エンジョイ・ディジー 私らしい方法で読む、わかる! 

ENJOY・DAISY Digital Accessible Information SYstem 読めるって楽しい! 全ての人が同じ情報をシェアすることが出来ます。

DAISYとは?
  DAISYトップ > DAISYについて [ 普及活動 ]
メニューはここから
本文はここから

普及活動

平成20年度

DAISY図書紹介事例

●読みやすい本(Easy-to-Read) 「赤いハイヒール 〜ある 愛の ものがたり〜」のご紹介
様々な理由で「読む」ことが困難な人たちがいます。視覚障害者を始め、知的障害者、失語症者、ディスレクシア(読み書き障害)、聴覚障害者・・・等々。(聴覚障害者が読むのに困難?と思われる方はみんなの図書館2006年10月号のこの交流のページをご参照ください)
ご紹介させていただく、「赤いハイヒール 〜ある 愛の ものがたり〜」はスウェーデンで出版された読みやすい本(Easy-to-Read スウェーデン語でLL: Lätt Läst)で、通常の本では理解が難しい方々を対象に、「わかりやすい・読みやすい」ということを念頭において作られた本です。
スウェーデンの「読みやすい図書基金」から出版され、写真の構成、レイアウト、文字の大きさ、ストーリー構成、語彙など様々な工夫がされています。日本語版では、分かりやすい言葉を選ぶとともに漢字にはルビを付けています。「読みやすい本」と言っても、内容は子ども向けではありません。そのため、子ども向けの本だけを読む年齢ではなくなったけれども、読むことは困難である聴覚障害者や知的障害者も楽しめます。
ストーリーは、知的障害のある若い女性アンネリーがおしゃれに芽ばえ、恋をします。しかし、母親からもらった誕生日の贈り物は、アンネリーが欲しかった赤いハイヒールではなく、やぼったいサンダルでした。あこがれの青年オーラとのデートを前に、アンネリーは思い切って靴を取り替えに行こうとしますが・・・・。障害のある人たちの自立への強い願いや、親の思いが「赤いハイヒール」によって象徴的に描かれています。
この本には墨字だけでなく、マルチメディアデイジーがセットされています。デイジー(DAISY)は、Digital Accessible Information SYstemの略で、日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。テープとは違い、読みたい章や節または任意のページに飛んだり、しおりを挟むようにブックマークを設定することができます。また、1枚のCDには50時間以上収録することができ、テープと比べ場所を取ることがありません。
デイジーと比べマルチメディアデイジーは図書の内容が音訳化されているだけでなく、さらに音訳に合わせて文章がハイライトされます。そして、文章と同じ画面で挿絵や写真など画像も見ることができます。文字も読みやすい大きさにフォントサイズを変更することができます。もちろん、再生スピードも読み手にとって聞きやすい速度に変えることができます。そのため、音訳されたものを読む視覚障害者だけでなく、フォントサイズを変えれば墨字が読める視覚障害者やディスレクシア(読み書き障害:知的障害は無いが読み書きが困難である障害)の人もこの本を楽しめるようになっています。
この本にセットされているデイジーの中に、マルチメディアデイジー再生ソフト「LpPlayer」が、入っていますので、コンピュータをお持ちの方はインストールすればすぐにマルチメディアデイジーでも読むことができます。
「世界のバリアフリー絵本展(2002年)」で、国際児童図書評議会から、障害のある青少年向けの推薦図書に選ばれた、この「赤いハイヒール 〜ある 愛の ものがたり〜」を、皆さんの図書館でも是非、そろえてください。

椎原綾子.読みやすい本(Easy-to-Read) 「赤いハイヒール 〜ある 愛の ものがたり〜」のご紹介
みんなの図書館.No.359,2007.3,p.80-81.
http://www.jca.apc.org/tomonken/mi200703.html

「赤いハイヒール 〜ある 愛の ものがたり〜」

●『LLブック、マルチメディアDAISYブックリスト』
『LLブック、マルチメディアDAISYブックリスト』のPDF版は 以下からダウンロードできます。
http://homepage2.nifty.com/at-htri/ll-book.htm

近畿視覚障害者情報サービス研究協議会「LLブック特別研究グループ」は、 リストの活用を呼びかけるとともに、 新たに追加すべき本の情報の提供も求めています。

なお、ここでいう「LLブック」とは「障害当事者に利用可能な本」という意味です。
お問い合わせは、 近畿視覚障害者情報サービス研究協議会 「LLブック特別研究グループ」(a-hat@lnetk.jp)まで。

リストでは『赤いハイヒール』や『DAISYファクトリー』で ダウンロードできるDAISY図書をご紹介いただきました。



●山内薫『本と人とをつなぐ図書館員』(読書工房 2008年1月)
http://www.d-kobo.jp/10_22.html

  図書館はすべての人に開かれている!

   図書館員として長年「図書館や資料を利用したくても
  利用できない人に対するサービス」に取り組んできた著者が、
  今まで出会ってきた読者たちとのエピソードから、
  「図書館とは」「人間にとって読書とは」を問いかける。」

  (初版帯文より)

本書の「第5章 楽しめる本に出会えるように」の中で、 マルチメディアDAISY図書を、図書館に来館する知的障害者の方に 読んでもらったときのエピソードが紹介されています。(本文:p.92-94,注:p.101)

『赤いくつ−ある愛の物語』を10人以上の知的障害者の方に見ていただいたところ、 途中で見るのを止めてしまったのは1人だけで、後の方は最後まで見てくださったそうです。

*『赤いくつ−ある愛の物語』は、『赤いハイヒール−ある愛のものがたり』を 製作・出版する前にサンプル版として作成し、頒布したバージョンです。

『バースデーケーキができたよ!』を見て、 1年後も「バースデーケーキがでてくるのは?」と言って 本のことを覚えていてくださった方もいました。

その方にとって、『赤いくつ』と『バースデーケーキができたよ!』が 「初めて自力で読み通した本」だったのです。

文字を読むことが難しい人と本との出会いが、 マルチメディアDAISY図書によって実現したという嬉しい事例のひとつです。