最新ニュース
AMIS3:ファイナルリリース
ニュースレター5月号より
DAISYコンソーシアムによるオープンソースのDAISYソフトウェアプレーヤー、AMIS3のファイナルリリースが、今月初め発表され、DAISYのウェブサイトのAMISプロジェクトページよりダウンロード可能となっている。AMIS3では、何が新しくなったのだろうか?
- 安定性の向上
- セルフボイスの改善
- z39.86-2005規格準拠図書のサポート
- Windows Vistaのサポート
- テキストのみの図書のサポート
- 図書の読み込み速度の向上
- Jawsスクリプトへの対応
- DAISYフォーマットのキーボードショートカットリストを内蔵
- ページスタイルのカスタマイズが可能
- ツールバーのカスタマイズが可能
- トラブルシューティングの強化
AMISの製作プロセス
AMISの製作には5年以上が費やされ、世界中の多くの献身的な人々がその開発に貢献してきた。
2002年には、(財)日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)が中心となり、ソフトウェア製造業者による通常の取り組みから外れたニーズを抱えるユーザーのためのDAISY図書プレーヤーを開発するAMISプロジェクトが開始された。AMISの最初の試作品には、点字ディスプレイ、大活字およびジョイスティックなどをサポートするさまざまなアドオンが搭載されていた。これはデモンストレーションと実験のためのプラットフォームとして使用された。さらに、DAISY図書を読むために自宅のコンピューターでAMISを使用しているエンドユーザーの小さなコミュニティもあった。その一部はAMISを気に入っていたが、中にはAMISが「通常の」コンピューターアプリケーションとあまりにも違いすぎると不満を訴える者もいた。これは本当のことであった。もともとデモンストレーション用であったため、AMISは非常にグラフィカルで、スクリーンリーダーのユーザーがすぐに親しめる一般的な機能(メニューバー、ダイアログボックスなど)の多くを備えていなかったのである。
翌年、DAISY for Allプロジェクト(DFA)が開始された。AMISの開発を中心となって進めていた開発者がDFAチームに迎えられた。そしてDFAのニーズを受けて、それまでAMISが触れてはいたものの、大々的には扱っていなかった国際化という問題に取り組むことになった。DFAは東南アジアで活動していたので、そのターゲットユーザーの母国語は、主流のソフトウェアでは使用されていないスクリプトで書かれていた。彼らは、画面項目(メニュー、ダイアログボックスなど)が翻訳されたプレーヤーだけでなく、自分たちの地域で、自分たち自身の言語で制作された図書を再生できるDAISYプレーヤーも必要としていた。
これらの経験から、AMIS2.0の開発が進められた。AMIS2.0は、メニュー、ダイアログボックスと、標準的なレイアウトを備えた従来型のソフトウェアでありながら、AMIS独自の視覚的なインターフェースと音声出力インターフェースで多くの東南アジア言語を完全にサポートするものとなった。DFAは、翻訳者たちとのワークショップを毎年開催し、AMISの新たな「ランゲージパック」の製作を行った。
AMIS3は、アンビュラント(Ambulant) SMILプレーヤーを搭載しており、AMIS2.6実験版をもとにした完全なリライトである。AMIS3の重要なアーキテクチャ変更は以下の通りである。
- より使用しやすくわかりやすい、完全にリファクタリングされたバックエンド。AMIS3は、独自のプロジェクトへの組み込みを希望する者にとって、クロスプラットフォームアプリケーションとして機能し続ける。
- 動画、画像、キャプションなどのSMILを完全にサポートする、主流のマルチメディアアプリケーションであるアンビュラント(Ambulant) SMILプレーヤーの搭載
AMISのローカライゼーションワークショップでたびたび使用されてきたウェブベースの翻訳ツールが、「DAISYライオン」という名称で正式に承認され、リリースされた。これにより翻訳者たちは、遠く離れていてもAMISのランゲージパックを製作する活動を行うことができる。また、「ライオン」を使用して、これまでの翻訳を維持することができる。
AMISのライセンス
AMISは常にオープンソースで開発が進められてきた。AMISの製作に使用されるソースコードは誰でも無償で入手することができるが、AMIS3 DAISY再生ソフトも同様である。
チームと貢献者たち
AMIS3.0の製作を中心となって進めてきたDAISYスタッフ:
主任のマリッサ・デメリオ(Marisa DeMeglio)、音声担当のダニエル・ウェック(Daniel Weck)、そしてJaws スクリプト担当のアヴニーシュ・シン(Avneesh Singh)
バージョン3.0開発への著名な貢献者:
アンビュラント(Ambulant)の搭載のために、現場で信じがたいほど多くのサポートをしてくれた、CWI(オランダ国立情報工学・数学研究所)のジャック・ジャンセン(Jack Jansen)およびディック・バルターマン(Dick Bulterman)
DAISY会員機関およびユーザー団体から実験に参加してくださった皆様(特にラース・ソネボ(Lars Sonnebo)とアーロン・ハウエル(Aaron Howell))
3.0および旧バージョン開発への著名な貢献者:
- プロジェクト創始者で、長年AMISの推進者かつ支援者である河村宏(現DAISYコンソーシアム会長)
- AMISを最初に製作した(財)日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)
- AMISのローカライゼーションをはじめとするDFAプロジェクトへの資金提供者である日本財団
- DFAワークショップを主催したインド国立盲人協会(NAB)、タイ盲人協会(TAB)、スイス視覚障害者図書館(SBS)
- オランダのAMIS開発活動で積極的な役割を果たしているデディコン(Dedicon)
- 音声タイムスケールコードを提供し、AMIS C++開発構想に非常に早い時期から参加していたスウェーデン国立録音点字図書館(TPB)
- 世界中の30人以上の翻訳者の皆様
旧バージョン開発への貢献者:
- ローカライゼーションの取り組みに貢献したDFAフォーカルポイント
- AMISの製作、初期の開発に参加し、ワークショップの共同発表者も務めたマーク・ハッキネン(Markku Hakkinen)
- 初期のクロスプラットフォームに関する実験と、アクセシブルなプロジェクト構成およびワークフローの構築を支援した、インド、マレーシアおよびタイのボランティアプログラマーチーム ・ 国際化の専門家で、AMISのローカライゼーションワークショップで共同発表者を務めたジュリアン・キャン(Julien Quint)
AMISプロジェクト主任のマリッサ・デメリオには、AMISの開発におけるその絶え間ない尽力と、AMIS製作の経緯を詳しく説明してくれたことに、特に感謝している。
AMISに関する情報及びダウンロードはこちらから(英語)
http://www.daisy.org/projects/amis/