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CSUN25周年
第25回CSUN年次国際会議「テクノロジーと障害者」に関する考察
2010年3月31日

出典:The DAISY Planet,March 2010
http://www.daisy.org/planet-2010-03

25年間で初めて、全ての会議がサンディエゴの同一会場で開催され、ほとんどの参加者にとって好都合だったようだ。あるホテルで開催されたセッションから、別のホテルで開催されるセッションへと大急ぎで移動しなければならないことは、もはや問題にはならなかった。25周年特別式典の一環として、CSUN卒業生のエリック・ウィリアムズ(Erik Williams)は、ノースリッジにあるCSUNのキャンパスからサンディエゴの会議場まで、150マイルをハンドサイクルで走った。これは、CSUN25周年記念の宣伝に加え、ウィリアムズ自身が支持する慈善団体の1つを支援する旅となった。

3月25日、2010年CSUN会議において、リハビリテーション法第508条の基準の修正案に関する、米国アクセス委員会による公聴会が開催された。会議出席者全員がこれに参加するよう勧められた。寄せられたコメントは全て変更されることなくhttp://www.regulations.gov.に投稿される。

いくつかの体験ワークショップでは、支援機器と支援技術について知る機会が得られた。たとえば、"Convert It, Read It, Take It With You"(「変換し、読んで、お持ち帰りください」)というセッションの参加者は、ドルフィン・コンピュータ・アクセス社(Dolphin Computer Access Limited)のEasyConverterを使用し、DAISY図書を制作し、その後それをヒューマンウェア社(HumanWare)のClassMate Readerで再生することができた。GWマイクロ社(GW Micro)が企画したプライベートワークショップでは、会議出席者はHIMS社が開発したさまざまな機器に関する質問をし、それらの操作方法を学ぶことができた。

CSUN2010会議では、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルネットワーキングツールに関するセッションも多数開催された。私たちが知識を共有する方法は変化しつつある。教育技術では、個体の成長からコミュニティの成長への移行が認められる。プライベートの会話が公開され、ますますアクセシブルになりつつあるソーシャルネットワーキングツールを通じて、生徒は教師だけでなく、お互いに関わり合うことができるようになった。ネットワークを通じ、ツイート1件ごとに、アクセシビリティに関する認識を確立していくことは、かつてないほど容易である。CSUN2010 Tweetupと、さまざまなツイッターが投稿した会議メモに関する情報は、Tweetupのウェブサイトで入手できる。

CSUN2010会議全体を通して、製品とサービスを一層アクセシブルにしようとしているアドビ社(Adobe)の取り組みを実際に目にすることができた。アドビ社のアンドリュー・カークパトリック(Andrew Kirkpatrick)は、ユーザーがデジタルコンテンツをダウンロードし、購入し、管理できるAdobe Digital Editionsソフトウェアが、スクリーンリーダーのユーザーには現在アクセシブルでないことを認めた。Adobe Digital Editionsのアクセシブル版は、2010年末までに利用できるようになるとのことである。アドビ社はまた、アクセシビリティをしっかりとサポートしているものを含む、さまざまな電子書籍プレーヤーの使用許可契約を進めている。これにより、アクセシビリティのサポートが証明されたプレーヤーで、アドビ社のReader Mobileソフトウェア開発キットを使用し、保護された電子書籍コンテンツにアクセスすることができるようになる。

プレクスター社(Plextor)とビジョン・オーストラリア(Vision Australia)の共同セッションでは、Plextalk製品や両者の連携の歴史とともに、刺激的な新開発についての洞察が示された。Plextalk Pocketの改良には、柔軟な音量・速度調節と、メニュー選択の「ショートカット」機能、テキストベースのコンテンツのスペルナビゲーション (Spell-navigation)と新しいワイヤレス機能が含まれる。発表者は、DAISYオンライン配信サービスの実演として、オーストラリアからのストリーミングを行った。公式にはこのサービスは、2010年末までに利用可能となる。

ドルフィン・コンピュータ・アクセス社のマティアス・カールソン(Mattias Karlsson)は、EPUB、DAISY、HTMLおよびその他のフォーマットによるコンテンツを集めたオンライン電子書籍図書館への「アクセシブルなアクセス」を提供する、新しいEasyReader Bookshelfを実演してくれた。

パネリストのラリー・スカッチャン(Larry Skutchan)、デヴィッド・アンドリュース(David Andrews)、ジュール・アン・リーベルマン(Jule Ann Lieberman)は、さまざまなDAISYデジタル録音図書プレーヤーの特長について、その概要を説明し、比較検討した。紹介されたDAISY読書システム/プレーヤーは、Victor Reader Stream、BookSense、Plextalk Pocket、BookPort PlusおよびNLS Playerであった。メモリーベースのDAISYプレーヤーの開発は、デジタル録音図書の読書状況をまったく変えてしまった。参加者は、さまざまなユーザーグループが異なるニーズを抱えているため、多種多様なプレーヤーがあるのは良いという点で同意していた。若い世代は携帯電話に似た最新機器を好むが、高齢世代は複雑な機能が少なく、操作ボタンが大きめの大型プレーヤーを高く評価するようである。

ガイア・ディートリッヒ(Gaeir Dietrich)は「DAISY 101」と題した発表で、当然とも言える称賛を得た。ディートリッヒはさまざまなDAISYフォーマットの違いを説明し、支援技術専門家に、DAISYプレーヤーとDAISYコンテンツについて知るための情報源を紹介した。

「インターネットコンテンツとDAISY図書へのPCを使用しないアクセス」というセッションを主催したソルーションズ・ラジオ社(Solutions Radio)のCEO、ヴェルネル・ハーン(Werner Haan)は、DAISY図書、新聞、ラジオ局とポッドキャストに、IRISウェブラジオとORIONWebbox(Online Reading and Information ON demandの略)を通じてどのようにアクセスできるかを紹介した。

“Digital Accessible Publishing Spotlight: Distribution, Standards and Challenges”(「デジタルアクセシブル出版への注目:配信、標準規格および課題」)(You Tubeで視聴可能:http://www.youtube.com/watch?v=JS7X8q5ZTt8)という発表の中で、DAISYコンソーシアム事務局長のジョージ・カーシャ(George Kerscher)は、デジタル出版の現状、DAISYおよびEPUB標準規格の開発と両者の関係、デジタル著作権管理(DRM)、およびその他の情報アクセスに関する問題を取り上げた。
(編者注:カーシャの発表はほんの10分弱であるが、キャプションが付いており、一見の価値がある。)

「Bookshare最新情報」というセッションでは、クリスティーナ・コーエン(Kristina Cohen)が、Bookshareの会員が90,000人に増えたこと、そしてBookshareライブラリにはおよそ70,000タイトルの蔵書があり、毎月1,000タイトル以上が追加されていることを述べた。また、Bookshareのウェブサイトでは現在フルテキスト検索をサポートしていることを、参加者に知らせた。

展示ホールは技術問題に熱心に取り組んでいる人達であふれていた。また、DAISYが世界中の人々の生活に変化をもたらしていることを、今一度直接体験することができたのは素晴らしかった。

セロトーク社(SeroTalk)のマイケル・ラウフ(Michael Lauf)は、CSUN2010で27社のメーカーにインタビューを行った。そのうちの5社はDAISYコンソーシアム賛助会員である。ラウフのポッドキャストで、HIMS、IRTI、Design Science、PlextalkおよびOlympusなどの最新の製品に関するニュースを配信している。

印刷以外のフォーマットによるCSUN会議プログラムが必要な参加者は、これまでCDを利用することができた。しかし今年は、プログラムの各部分を、HTMLファイルやそれぞれ別個のDAISY図書として、DAISYコンソーシアムのウェブサイトから事前にダウンロードすることができた。(さらに会場ではCDも支給された。)

DAISY Planet3月号にこの記事を寄稿してくれた、DAISYコンソーシアムのコミュニケーション・マーケティング・スペシャリスト、ヴァリュ・ルセーノ(Varju Luceno)に感謝したい。