2011年4月8日
報道関係者各位
日本障害フォーラム(JDF)みやぎ支援センターの活動報告(第一次)について
日頃より、障害のある人をとりまくさまざまな事柄につきましてご関心を寄せていただき、ご配慮とご尽力を賜っておりますことに、敬意と感謝を申し上げます。
この度の東日本大震災は、現代史上、例を見ない大惨事を引き起こし、被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。
「日本障害フォーラム(JDF)」での現在進行中の活動につきまして、以下のとおりご報告させていただきたく存じます。
JDFについて
わたしたち「日本障害フォーラム(JDF)」は、障害者施策の推進および障害のある人の権利の推進を目的に、障害者団体を中心に2004年に設立された組織です。構成団体は下記のとおりです。
日本身体障害者団体連合会 日本盲人会連合 全日本ろうあ連盟 日本障害者協議会 DPI日本会議 全日本手をつなぐ育成会 全国脊髄損傷者連合会 全国精神保健福祉会連合会 全国社会福祉協議会 日本障害者リハビリテーション協会 全国「精神病」者集団 全国盲ろう者協会 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 (以上、13) |
みやぎ支援センターについて
障害のある人の多くは、日常的にさまざまなサポートや医療を必要とする人たちで、この状況下、安否や生活状況が大変気がかりです。日頃、障害のある人たちと活動をともにしているJDFのメンバーは、被災された障害のある人たちの支援と今後の復旧・復興を支えていくために、3月30日に「被災障害者総合支援本部 みやぎ支援センター」を仙台につくり、活動を始めました。
活動の目的は、被災された在宅の障害のある人たちとご家族、障害者支援事業所とその利用者・職員等の被災状況や緊急に求められていることを把握し、直ちに必要な支援を提供・紹介することです。そして今後の生活や仕事・活動を再建・復興するための基となる情報を把握し、JDFをはじめとする関連団体へ提供することです。
まずは宮城県保健福祉部障害福祉課の協力を得て、津波の被害が最も大きかった地域や沿岸部の障害者支援事業所や避難所等を訪問し、安否や現状についての聞きとり調査を行なっています。活動開始から8日を経過した時点での調査結果の概要を裏面に記載、詳細資料を別添しますので、みなさまにご周知いたしたく、ご案内申し上げます。
なお、昨日4月7日、当センターと「被害障害者を支援するみやぎの会」とが仙台市内で共催した「東北関東大震災にかかる情報交換会」についての資料も添付させていただきます。
JDFみやぎ支援センター訪問聞き取り調査 第一次報告
(2011年3月31日~4月6日)
2011年3月11日現在、津波被災地域の21市町、157ヵ所の障害者支援事業所を訪問し把握した、4月7日時点の状況は下記のとおりです。
【概要】
障害のある本人の死亡11人 行方不明3人
建物 流失6ヵ所 焼失1ヵ所 全壊12ヵ所 半壊23ヵ所 影響なし106ヵ所
- 障害のある人本人の死亡・行方不明者が14人となっています。地震発生時、障害者支援事業所の活動に参加していた人の死亡・行方不明者はありませんでした。(利用者の避難誘導後に事業所に戻った職員の死亡が2名あり)。この点については、地震発生時の津波に対する対応の早さがあったと関係者が語っています。一方、作業所やデイサービス事業などに参加していなかった在宅の人については、安否確認については遅々として進んでいません。被災している地域の役所も、探す糸口さえない心もとない状況です。安否確認が出来ているのは、約半数の人たちと推測されます。
- 建物の被害は約3割弱が受けており、流失、焼失、全壊は19ヵ所に及んでいます。地域生活の拠点の早期の確保が必要です。
- 津波による被害を受けた事業所では、公用車(送迎車・リフト車・入浴車など)・私用車を問わず車の被害が多く、利用者の送迎や職員の通勤などその後の事業運営が非常に困難になっています。住民の移動等により作業所(通所事業)に通えない利用者がいます。
- 支援物資は各事業所にも充分に届いています。一方、障害のある人の個々のニーズに則した介護用ベッドなどの用品が不足しています。また、場所によっては、一人ひとりに必要なものが行き渡るまでの人手と時間が不足しています。
- 地域差はあるものの、ガソリンやプロパン等の燃料は入手しやすくなってきています。
- 事業所におけるライフラインについては、ほぼ復旧しています。
- 自宅の全壊を免れた人たちも、浸入した泥(ヘドロ)や散乱した家具などの片づけを早急にしたいとの要望がでています。しかし、他に介護する人がいないこと、障害のある人のそばを離れられないこと、装備や装具が必要なことなどから、障害のある人やその家族は困っています。
- 障害者作業所などでは、仕事先・取引先が倒壊・流失したなど仕事の確保が困難になっています。緊急支援としての官公需など、あらたな仕事の確保が必要です。
※なお、昨夜(4月7日23時32分)発生の余震の影響も本日4月8日午前中、訪問して確認中。
【統計】
対象地域の事業所数(障害者支援事業所)157ヵ所
*とくに津波被害の大きかった沿岸部地域(亘理町、名取市、栗原市、南三陸町、東松島市、登米市、大崎市、多賀城市、仙台市、石巻市、松島町、女川町、柴田町、七ヶ浜町、気仙沼市、岩沼市、蔵王町、塩釜市、丸森町、利府町)に所在する事業所をリスト化し訪問の対象としました。
●被災状況
利用者 | 家族 | 職員 | 家族 | |
死亡 | 11人 | 21人 | 2人 | 7人 |
行方不明 | 3人 | 5人 | 1人 | 3人 |
●建物の被災状況
流失 | 焼失 | 全壊 | 半壊 | 影響なし |
6 | 1 | 12 | 23 | 106 |
【添付書類】
- 訪問聞き取り調査 第1次報告(速報値)
- 「福祉事業所調査票」
- 「JDF東北関東大震災被災障害者総合支援本部みやぎ支援センターの活用について」
(発行元:宮城県障害福祉課、発行日:3月30日) - 「東北関東大震災にかかわる情報交換会 参加団体一覧」
(開催場所:仙台市福祉プラザ、開催日:4月7日)
日本障害フォーラム(JDF)みやぎ支援センター 訪問聞き取り調査 第1次報告(速報値)
2011年4月8日
調査目的 被災された障害者支援事業所とその利用者、ご家族、職員等の被災状況や緊急に求められている事柄を把握し、生活支援や今後の生活や仕事・活動を再建、復興するための基礎情報とする。
調査期間 2011年3月31日~4月7日
調査対象 宮城県提供の被災地域の障害者自立支援事業所名簿をもとに対象事業所を選定(122か所)
調査を進める中で多機能型、複数一体運営、複数の共同生活住居等判明し、対象数が増加、最終的には、調査対象数は157ヵ所となった。
調査地域 亘理町、名取市、栗原市、南三陸町、東松島市、登米市、大崎市、多賀城市、仙台市、石巻市、松島町、女川町、柴田町、七ヶ浜町、気仙沼市、岩沼市、蔵王町、塩釜市、丸森町、村田町、利府町の11市、10町
調査方法 別紙の調査用紙を用い、直接訪問し聞き取りを行った。一部、後日電話での補充聞き取り、インターネットでの情報確認、自治体提供の被災状況調査を参考にし、内容を補足した。
回答率等 157か所中157か所(100%) 但し、項目により回答率は異なる
下記回答は調査時点であり、その後、復旧等なされている場合がある
基礎的数値
1.管内別対象事業所数
仙台管内 74 石巻管内 46 気仙沼管内 26 登米管内 2
大崎管内 1 栗原管内 1 大河原管内 7 合計157か所
2.施設事業所種別数
- 通所系 92(授産、就労系、生活介護、児童デイ、地域活動支援事業等)
- 入所系 9(更生、療護、施設入所支援)
- 居住系 50(グループホーム、ケアホーム)
- 地域支援 6(居宅介護、相談支援、就業・生活支援センター)
3.被災状況
- 建物被害 流失6 焼失1 全壊12 半壊23 影響なし106
(半壊には床上浸水、一部損害、立入禁止をふくむ)
- 設備損壊 対処可能95 対処不能25
(対処可能:補修、修理等で再開可能な状態)
- ライフライン ガス 使用可 93 使用不可31
水道 使用可100 使用不可25
電気 使用可105 使用不可20
- 交通アクセス 道 路 通行可112 通行困難 7
公共交通 利用可 36 利用困難40
タクシー 利用可 47 利用困難15
ガソリン 入手可 45 入手困難35
- 利用者被災状況 利用定員総数 2406名 利用者総数 2086名
本人死亡11 本人不明3 家族死亡21 家族不明5
現在の生活場所 自宅782 避難所60 その他171
(その他 実家、GH、他施設、県外等)
支援、サービス利用中止数 71名
- 職員被災状況 職員数 501名
本人死亡2 本人不明1 家族死亡7 家族不明3
現在の生活場所 自宅224 避難所17 その他9
通勤困難 9
(通所困難 自家用車の流失、公共交通の運休等)