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講演2 「日本における誰もが読める本の取り組み」

【質疑応答】

 会場● 一昨年は、絵本を作るのに、作家さんとか画家さんにお願いにあがりました。私、泣きました。でも去年は、いいよいいよ、自由にやってくれ、もうリライトOK、書き直しOK、絵だって勝手に変えていいって言われました。とてもうれしくて。それから録音したものを、私は横浜市立盲学校にいるんですけれども、平塚盲でも使える、広島でも使える、広島でも使えるというふうになりました。
 先ほどの渡辺さんが、0歳から、皆さんのお腹の中に赤ちゃんがいるとき、ケンカしちゃいけないんです。で、手で読む絵本が、お母さんたちの手に渡ることによって、子育てがとっても楽しくなったんですね。それから、絵本を介さないで、お母さんと子ども、お父さんと子どもだけが赤ちゃんとがしゃべっているのではなくて、絵本があることによって言葉が育つんです。会話が育つんですね。0歳と1歳と言いましたけれども、1歳3か月に私は一つの壁があると思います。その次は3歳の壁があるのですけれども、自分の思いを伝える言葉ができたら、戦争はなくなります。

 野村● はい、ありがとうございます。それからもう一人、梅田さんのほうでお願いできますか。今、サピエ図書館というのが、とても話題になっていると思うのですが、その状況はいかがなのでしょうか。学習障害とか知覚障害の人にとってもアクセシブルなのでしょうか。

 会場● 日本点字図書館の梅田と申します。点字図書館界で、この4月から、今までないーぶネットという全視情協が運営しているDAISYとかのサイトがありましたけれども、そこに音声データを加えた形で、この4月から全国視覚障害者情報提供施設協会が運営するサピエというものが始まっています。ここでは点字図書館とかサピエに加入している公共図書館を登録している視覚障害者、それと視覚障害以外の「等」と言われる、今回の著作権法改正で、視覚的表現の認識に障害のある方たちとして、37条3項で利用者として認められた方たちですけれど、その方たちのためのDAISY図書を利用することが可能になりましたので、ネット上でオンラインサインアップといって登録ができますけれども、どこからでも、お近くの点字図書館とか公共図書館にちょっとご相談いただいて、どこか希望を。あるいは日本障害者リハビリテーション協会の受付になっておりますけれども、そこを介してサピエに登録すれば、読書に困難を抱えている方はご利用いただけます。それをダウンロードして、AMISとか、あるいは音声、CDとかSDカードに落として、DAISY再生専用機で聞くということも可能になっています。

 野村● アニカさん、今まで聞いていて、コメントをいただけますでしょうか。

 アニカ● ありがとうございます。今日のお話、非常に興味深く伺いました。日本の皆さんが、特に布の絵本、どういうものを作っていらっしゃるのかを見ることができ、非常に感動しました。自分の作っているものとは随分違う、だけれども拝見しているととてもよくできていらっしゃるし、遊び心がいっぱいでとてもすばらしいと思いました。

 野村● もう一人、コメントをお願いしたいのですが、河村さん、お願いします。

 河村● コメントというか、非常に感動しておりまして。こういうふうにしてだんだんと選択肢はたしかに広がっている。だけど、それが本当に子どもと結びつくには、子どものいるところにその本がなきゃいけないんですよね。それで、それを全国の子どもたち、小中学生だけで今、一千万人いて、その中で読みに障害があると思われている子どもが5%くらいいますよね。つまり、視覚障害を含めて、あるいは肢体不自由で本が持てないとか、あるいはさまざまな発達障害、知的障害の子ども、合わせて少なくとも50万人くらいいるわけですよね。さらに、その子たちができれば乳児期、幼児期から本との出会いを持たなければいけない。やはり相当国がしっかりやらないと、せっかくいろいろなチャンスがあっても、子どもたちとつながっていかないのではないかという思いを強くしました。
 今年国民読書年なんですよね。もう、半ばきていますけれども。この読書年がこのまま終わっちゃったのでは何にもならないのではないか。まだ後半戦がありますから、ぜひ皆さんといっしょに、読書年らしい読書年となるように、クリスマスプレゼントになるよう、取り組みをこれからぜひ皆さんといっしょにやっていければなと思いました。

 野村● ありがとうございました。