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障害者団体、Kindleのテキスト読み上げ機能削除に抗議

リン・アンドリアニ(Lynn Andriani)
パブリッシャーズ・ウィークリー(Publishers Weekly)
2009年4月7日午後1時49分

 印刷字を読めない障害(印刷字を読む能力を制限する身体障害)があるおよそ200人の人々がこの日、ニューヨーク(New York)の作家協会(Authors Guild)本部前で、アマゾン社(Amazon)にKindle 2のテキスト読み上げ機能を無効にすることを求める 同団体の企てに反対する抗議集会を開いた。全米盲人連合(National Federation of the Blind)に率いられた抗議者らは、「我々に電子書籍を!」「我々全員が読めるものを!」そして「2、4、6、8、作家協会(Authors Guild)による差別だ!」と繰り返し唱えた。

 このデモは、Kindle 2で利用できる電子書籍すべてについて、著作者と出版社にテキスト読み上げ機能を無効にする権限を与える予定であるという、アマゾン社(Amazon)の発表を受けて行われた。抗議者らが「Kindleを無効にするな」「作家協会(Authors Guild)に電子書籍を投げつけろ」「Kindleに言論の自由を」などのスローガンを記した看板を掲げる一方で、読む権利同盟(Reading Rights Coalition)のメンバーらが、マイクや拡声器を手に群衆の前で演説をした。

 「今日、多くの方々が参加してくださったことを非常に喜んでおります」と、全米盲人連合(National Federation of the Blind)のクリス・ダニエルセン(Chris Danielsen)広報部長は語った。同連合は、本拠地であるボルチモア(Baltimore)からバス2台分の参加者を引き連れて抗議行動に参加し、その他の抗議者たちは、バージニア州(Virginia)、ペンシルバニア州(Pennsylvania)、コネティカット州(Connecticut)およびニュージャージー州(New Jersey)から集結した。Danielsen(ダニエルセン)は、彼自身はKindleを所有していないが、テキスト読み上げ機能がすべての電子書籍に使用できるようになるなら、「印刷字を読めない障害がある1500万人の他のアメリカ人と同様」Kindleを手に入れるであろうと述べた。アマゾン社(Amazon)では、権利保有者の許可があれば、Kindle のテキスト読み上げ機能を有効にする予定でいる。抗議のためにボルチモア(Baltimore)からニューヨーク(New York)を訪れた盲目の学生ダイアン・グラント(Diane Grant)は、読書用に別の機器を所有しているが、読むためには本をスキャンしなければならないのだと語った。グラント(Grant)もまた、テキスト読み上げ機能が使えるようになれば、Kindleを購入すると述べた。ニュージャージー州(New Jersey)で点字を教えているクリスティ・リンチ(Christy Lynch)は、ここに来たのは「この運動を称えるためです。視覚障害者は、他の人々と同じ権利を持っているのです」と語った。

 作家協会(Authors Guild)のポール・エイケン(Paul Aiken)会長は、公式声明を発表し、その中で、視覚障害者およびその他の印刷字を読めない身体障害があると認められた人々に、著作権のある書籍の音声版を含む特別版の利用を認める、チェーフィー改正(Chafee Amendment)として知られる著作権法の例外の適用を提案した。「技術により、この手続きは容易となるでしょう」とエイケン(Aiken)は述べたが、この日、抗議者らによって配布されたビラでは、このシステムは「厄介である」としている。エイケン(Aiken)はまた、アマゾン社(Amazon)およびその他の電子書籍機器製造業者らに、点字キーボードと可聴式メニューコマンドを含む音声出力機能を備えた機器の製造を促し、さらに出版社には、既存の書籍契約を改正し、チェーフィー改正(Chafee Amendment)のもとでは特別扱いの対象とならない学習障害者など、その他の人々にも、音声出力の利用を認めるよう働きかけた。「今日の抗議行動は、遺憾であり、また無用であります」とエイケン(Aiken)は述べた。「私たちが連合側の弁護士に、1か月前初めて申し入れ、以来何度も繰り返しお伝えしてきましたように、発売される電子書籍をすべての人にとってアクセシブルにする解決策を達成するために、誠意を持って交渉を進めていくことをお約束します。」