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講演1 「DAISY再生プレイヤー(AMIS)の開発」

マリッサ・デメリオ   
DAISYコンソーシアムAMIS開発担当

今日はお越しいただきましてありがとうございます。大変多くの方がいらっしゃってうれしく思います。 最初に、DAISYとオープンソース戦略についてお話しします。これは先ほどご説明がありましたが、DAISYコンソーシアムはオープンソースのソフトウェアということにかなり取り組んでいます。

まず最初に、DAISYコンソーシアムのビジョンと使命についてお話ししたいと思います。DAISYコンソーシアムのビジョンですが、通常の印刷物を読めない人々が、遅れることなく、追加の費用を払うことなく、情報や知識に等しくアクセスできる世界を目指しています。DAISYコンソーシアムの使命は、国際規格および技術を開発・促進し、通常の印刷物を読めないすべての人々が情報や知識に等しくアクセスできるようにし、それによってより広いコミュニティに寄与することである、とあります。

では、オープンソース戦略とDAISYコンソーシアムのビジョンはどういう関連があるのでしょうか。オープンソース・ソフトウェアというのは誰かが作り、コンピュータの上で操作されます。それはコードを書くことによって作られます。オープンソースのソフトウェアの場合、こういうコードは誰でも無料で使うことができます。つまり、誰もがこのコードにアクセスして改良ができるということです。「コード」はまた「ソース」として知られていますので、「オープンソース」というのは、コードがオープンで誰に対しても開かれているという意味です。オープンソース・ソフトウェアというのは、様々なライセンス条件で提供されます。DAISYコンソーシアムとしましては、これは企業にとって使いやすいライセンス条件を目指しました。LGPLと呼ばれます。これは企業がオープンソース・ソフトウェアを使っていいということです。再利用もできるということで、商業ツールとしても使うことができます。つまり、再利用や改良を促すということ。様々なコードの再利用や改良を促しています。

また、オープンソース戦略の第2の特徴は、ベースとなるツールが十分に機能的だということです。つまり、DAISYコンソーシアムである技術を提案しているとして、その無料のオープンソースの手本を示す、提起するということになります。オープンソース戦略というのは、レファレンスの実施、つまりDAISY規格の成功事例、ベストプラクティスを実施します。これまでの最も優れた事例を手本として示していくわけです。またオープンソースツールというのは、開発途上国においても入手することができますし、また現地語で対応することができます。

無料のツールということなので、誰もがDAISYブックの検証ができます。つまりどういことかと言いますと、図書がDAISY規格に準拠しているかどうかを確認できるわけです。これはとても重要な点です。図書館に置かれている素材が、DAISYブックの規格に準拠していることであれば、アップグレードしていくことができますし、定期的にアップグレードができます。この内容がDAISY規格に準拠していれば、図書館の本を常にアップグレードしていきますから古くなりません。つまり無料の検証ツールが手に入るです。 また、オープンソースのソフトウェアというのは、このDAISYブックの検証をしたり、あるいはオーサリングツールとして使ったり、変換ツールを使うことができます。例えばアップグレードをしたり、再生のシステムに使うことができます。

次にお話ししたいのは、再生のシステムです。先ほども紹介がありましたが、私はAMISというプレーヤーに取り組んでいます。これはオープンソースのDAISYの再生用ソフトウェアで、DAISY図書に準拠しています。文字と音声を同期化して出します。またアクセシブルなナビゲーションを提供しています。セクションやページやフレーズなどに飛ぶことができます。またお気に入りを登録することもできます。音声スピードを調整したり、あるいは文字サイズを調整したり、バックグラウンドの色、文字の色を変更したりすることもできます。AMISとかDAISYを使える場所としては、例えばジョブトレーニング用マニュアル、防災ハンドブック、教科書などが良い例ですが、あらゆるものに応用することができます。

AMISの歴史ですが、日本障害者リハビリテーション協会が着手しまして、DAISY for Allのプロジェクト、DFAが引き継ぎました。そして特に各言語版のサポートに力を入れています。多くの国々に普及していまして、東南アジアにも普及しています。ですのでこのようなソフトウェアを各言語に対応するものにしていくことが重要です。私たち、毎年、各言語版作成のためのワークショップを行っています。参加者は私たちが招聘しまして、AMISの開発担当者、私のようなスタッフと一緒になってAMISを母国語版へと変換します。ワークショップはバンコクまたはニューデリーで行われます。こういった都市のリソースセンターがアレンジします。

どういうことをするかと言いますと、文字のラベルを翻訳します。いろんなメニューアイテムやダイアログにはラベルがありますので。また音声を録音します。スクリーンリーダーは必要ありません。これは録音図書ですので。音声も各国語で録音します。こちらにありますのがスクリーンショットです。これは英語版なんですがこれが各国語に翻訳されるわけです。私たちは英語版を持っていますが、それは私たちの母国語が英語だからです。もちろん日本語版もあります。これは日本の同僚の方々によって素早く制作されました。

最初に私たちがやった各国語翻訳は、ヒンディー語とタイ語でした。これはヒンディー語とタイ語のスクリーンです。それからもっと多くの各国語に翻訳していったわけです。他にもいろいろ言語に訳されていますが、これは1つのワークショップの参加者を写した写真です。2005年5月、バンコクで開かれました。また、タイから来た同僚もいますし、マレーシアやインドの方も参加しました。そしてみんなで一緒になって各国語に翻訳していったわけです。このワークショップからネパール語版ができましたし、マレーシア語版もできました。また他の言語にも翻訳されました。次は2006年4月にニューデリーで開かれた参加者の様子です。バングラディシュの方がいますし、インドネシア語に翻訳する方、タミール語の方もいらっしゃいました。またレコーディングブースの様子も写っています。テキストの翻訳、オーディオ・レコーディングも行いました。次にインドネシア語のAMIS、タミール語のAMIS、バングラディシュ語、そしてベトナム語。

そしてもう1つのワークショップが2007年5月、バンコクで開かれました。ネパールからの方、マレーシアからの方が参加しました。翻訳をさらに改良するために行われました。それはときどきしなければなりません。というのは、ソフトウェアが変化するからです。ですからとてもいいシステムになっています。それからこちらは中国語版です。フィリピン語のバージョンもあります。一番最近は、今年バンコクで開いたワークショップなんですが、そのときに6カ国語への変換が行われました。参加者の中には、そのワークショップの間に自国語に翻訳したAMISを持って帰ることができました。アフリカ語のAMIS、ロシア語版、モンゴル語版、そしてまだ翻訳中のものもあります。

ではどういうふうにAMISを使うのかということですが、ウェブサイトからダウンロードすることができます。amisproject.org です。Windowsのパソコンにインストールすることができます。ヘルプファイルがありますので、最初使うときにどのようなコマンドを使えばいいかを教えてくれます。またハードドライブからはオープンブックが手に入ります。それからCDやインターネットでも入手することができます。これは新しい機能です。スクリーンにはいろんなコマンドがあります。また、サイドバーもありますのでこれを見てナビゲーションすることができます。またブックマーキングも使うことができます。また、スピードを速くすることができます。また、色を変えたりページのスタイルを変えたりすることができますし、文字のサイズを拡大することもできます。

また、XML、CSSの編集に精通していたら。ご自身のツールバーを作ることができます。これはスクリーンの上または下にあってボタンがあり操作することができるものです。また、ページスタイルを独自のものにすることができます。CSSで、背景のカラー、ハイライトのカラーも変えることができます。このように調整して使っていただけるわけです。

将来においては、AMIS3.0バージョンを発表する予定です。現在のものは2.6です。今はもう3.0はベータ版ができているんですが、ビデオとキャプションがサポートされます。これを入れて操作することができるわけです。

私たちは翻訳のメンテナンスシステムも使っていますので、すべてのDFAに参加している国で使うことができます。再翻訳は要りません。恐らく、既にDAISYがあるところで使えるということです。DFAの諸国でDAISYがどのようなよい効果を生んだのかというお話を今日の午後のミーティングのプレゼンテーションで聞くことがで大変嬉しく思いました。DFA諸国でDAISYがとてもインパクトを与えていましたし、DAISYがますます普及していくと思います。

たくさんの言語に翻訳されたということで、とてもいいなと思っています。ますます発展していくと思っています。3.0以降は、新たな機能の可能性を考えています。例えばAMISをパソコンにインストールしなくてもCD-ROMから実行することができるようにする。ウェブブラウザによって統合もされるなどです。さらに動画のサポートが開発をしていきたいと強く思います。もちろん3.0ではキャプションがサポートされていますけれども、特に動画に関してどのような特徴をコントロールできるのかという質問がよく来ます。以上、AMISについてご紹介しました。最後に皆さんの質問を受けたいと思います。これからカーシャーさんに発表をいただきたいと思います。