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デイジー活用事例集 中学校

ひとりで、主に予習や復習に使用し、寝室では枕元にパソコンやPTP1を持ち込み寝るまでの間使用している。電車の中でもPTP1でデイジーを聴いている

保護者 山中 香奈

1.本人の現況

中3(15歳)の男子。診断は、学習障害、広汎性発達障害である。読み書き計算が特に苦手である。漢字の読み書きは、5学年以上の遅れがあり小学3~4年生レベルである。小学生で習った漢字も読めないものが多い。読むこと自体に疲労感を伴う。ルビを振って読むことはできるが読むことに集中すると内容理解が困難となる。文字を音に変えることで精いっぱいのようだ。読んでもらうと読む労力から解放されることで内容理解が進むようである。

読みに関する支援は、集団での授業では特になかった。3年生~5年生の頃は、週に1時間程度、抜き取りの授業を受けていた。6年生になると人手不足で抜き取りはできなくなった。中3よりテストの際は別室で問題を読みあげてもらっている。

2.デイジーの活用による支援

デイジーは、小学校4年12月より使い始めた。それまで読みたがらなかった教科書をデイジーで何度も読むようになった。内容把握ができるようになり国語の授業に参加するようになった。

デイジーを使用するようになったきっかけは、西岡有香先生(大阪医科大学LDセンター)の紹介で、使用期間は5年。

使用したデイジー教科書は、小学校の国語、中学校の国語、英語、理科第一分野、理科第二分野、地理、歴史。図書は、『走れメロス』(日本障害者リハビリテーション協会)、『ぺんきや』(日本ライトハウス)。ハリーポッターシリーズ、赤毛のアン等を点字図書館で借りて利用した。

デイジーの再生環境は、パソコンとPTP1。再生ソフトは、AMISを使用している。

家庭学習では、ひとりで、主に予習や復習に使用し、寝室では枕元にパソコンやPTP1を持ち込み寝るまでの間使用している。電車の中でもPTP1でデイジーを聴いている。

読みに関しては、小学生当時、何度も繰り返し学習した個所はすらすらと読めるようになることもあった。現在は音読という宿題もないし授業でも音読させられないようで読む練習そのものはしなくなった。

国語の授業がわからないと自信をなくしていたり、授業への参加も後ろ向きだったが、デイジーでの家庭学習で何度も繰り返し聴くことで文章の理解も進み、デイジーなら分かるという自信がついたし、授業への積極的参加の姿も見られるようになった。

重度のLDがあるのでテストの点数は悪いが、学習をあきらめないで継続している。ドキュメントトーカを利用してHPの読みたい個所を読むようになった。音声サービス(ニュースなども)を利用しているようだ。

デイジーで本を読むことは、当たり前となっている。自分の読みたいものがすぐにデイジー化できないことが残念だと言っている。もともと本を読むことが苦痛なので自分から新しい物語を探してまで読もうとはしないが、すでに持っている本は何度も読み返しているようだ。

また、学校で使う小冊子をデイジー化してほしいと、私にリクエストをしてきた。高校進学にも希望を持ち学習意欲は持ち続けていると思う。