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エストニアの現状

Marja Kivihall(マリヤ・キヴィホール)
エストニア タリン エストニア視覚障害者図書館
情報スペシャリスト

要約

本報告では、エストニア視覚障害者図書館(ELB)の活動について、その地位、蔵書、利用者、サービス、連携、革新と将来の計画などを紹介する。

1947年にタリンに設立されたエストニア視覚障害者図書館は、国家予算によって運営されている機関で、文化省の管轄下に置かれている。2004年、同図書館はエストニアレポジトリ図書館の分館となった。ELBは、エストニアの視覚障害者および印刷字を読めない障害がある人々にサービスを提供する中央図書館で、海外の利用者にもエストニア語の資料を提供している。図書館の蔵書は、オーディオブック(1600タイトル、4200冊)、点字図書(500タイトル、1200冊)、およびさわる本(20タイトル)である。フィクションが蔵書の中で最多数であり、学習教材と参考書がこれに続いている。

ELBは、エストニア最大の、オーディオ図書と点字図書の出版社である。年間製作数は、オーディオブックがおよそ85タイトル、点字図書がおよそ70タイトルである。

ELBに登録している利用者は約300人で、学童から退職者まで広い範囲にわたっている。さらに、フィンランドおよびカナダの視覚障害者も、同図書館のサービスを利用している。

利用者は以下のサービスを選択することができる。

  • -図書館での文献貸出
  • -郵送による図書、新聞および雑誌の貸出
  • -電子メールによる新聞3紙の電子テキスト版の利用
  • -図書館間の貸出

図書館間の貸出は、フィンランドのセリア図書館、ロシアのサンクトペテルブルグ視覚障害者図書館およびエストニア公共図書館との連携に基づいて行われている。ELBはまた、エストニア各地の3つの視覚障害者団体とも連携しており、文献を提供している。

2006年から2007年まで、以下の重要な革新が実施された。

  • -MP3フォーマットによるオーディオブックのCD製作
  • -点字教科書用のさわる地図と絵の製作
  • -古いテープに録音されていたオーディオブックの再保存とデジタル化、およびMP3フォーマットによるCD録音
  • -Kirjastoシステムに代わり、インターネットに基づく電子目録、Urram の利用

2008年以降、エストニア郵便局は、エストニアの視覚障害者に対する郵送料のサービスを廃止するので、エストニア視覚障害者図書館がこの費用を負担しなければならない。このような制度の再編成の結果、「リクエストによる」貸出システムを採用せざるを得なくなるであろう。つまり、利用者は図書館に図書を返却する必要がなくなるのである。

プロフィール

1975年8月19日 タリン出身
学歴:
1999年-2003年 タリン教育大学 社会福祉学の学士号取得
1993年-1997年 タリン教育大学 情報科学の学士号取得
職歴:2006年-  エストニア視覚障害者図書館情報スペシャリスト
1997年-2006年 タリン大学学術図書館目録編纂者
1996年-1997年 タリン技術大学図書館司書