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フィンランド公共図書館へのDAISYの導入

Sanna Schildt(サンナ・シルト)
フィンランド ヘルシンキ セリア視覚障害者図書館情報担当オフィサー

要約

セリア視覚障害者図書館は、フィンランドのヘルシンキに置かれている。セリアの利用者は14,000人を超える。また、269の公共図書館が、印刷字を読めない障害がある各館の利用者のために、セリアからオーディオブックを中心とした資料を借りている。フィンランドでは、印刷字を読めない障害がある人々は、公共図書館のサービスを利用するか、あるいはセリアのサービスを利用するか、もしくはその両方を利用することができる。たとえばスウェーデンでは、印刷字を読めない障害がある人々は、皆、公共図書館しか利用できない。

セリアは2004年に初めてDAISY図書を製作した。リクエストによるDAISY図書の貸出は2006年に開始され、カセットテープによるオーディオブックの貸出は2008年初めに終了した。セリアは2006年にDAISYを公共図書館に導入し始めたが、最も活発な広報キャンペーンは2007年に実施された。セリアは公共図書館とともに会議やイベントを企画し、郵送および電子メールで情報を伝えた。セリアの図書館司書もまた、公共図書館を訪問し、図書館職員や利用者に対し、DAISY図書およびDAISYプレイヤーの使用方法を実演した。数館の図書館がこのようなセッションを企画した。セリアはまた、司書が使用できる冊子やその他の情報資料を発行した。

セリアの利用者は、フィンランド視覚障害者連盟を通じてDAISYプレイヤーを借りることができるが、図書館や老人ホームなどは、独自にプレイヤーを購入しなければならない。公共図書館においてカセットテープからDAISYへと移行する上での最大の障壁のひとつが、DAISYプレイヤーの不足であることから、セリアでは、公共図書館での実演と職員に対する研修に使用するために、200個のプレイヤーを購入した。プレイヤーは、印刷字を読めない障害がある利用者に最も積極的にDAISYを紹介している図書館に寄贈された。

公共図書館が、カセットテープを非常に使いやすいと考えているにもかかわらず―ほとんどの利用者がカセットプレイヤーを所有しているので―DAISY図書は好評を博している。セリアのウェブサービスであるセリアネットを利用すれば、DAISY図書が簡単に借りられると、図書館は考えている。リクエストに応じた貸出をしているが、図書館は、セリアのブッククラブに参加し、同じタイトルの図書を数冊借りることや、「クリスマスコレクション」あるいは「夏のコレクション」などのような、特別なテーマに関する図書一式を借りることもできる。これらのサービスにかかる費用は、視覚障害者が負担しなければならない。今回のサービス見直しにより、「リクエスト」による貸出制度の導入は避けられないであろう。つまり、利用者は図書館に図書を返却する必要がなくなるということである。

プロフィール

1976年 オウル、フィンランド生まれ 
ヘルシンキ大学(民俗学)文学修士号取得

フィンランドのヘルシンキにあるセリア視覚障害者図書館の情報担当オフィサー