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講演会
「DAISYの新時代―EPUB3とDAISYの連携によるインパクト」

報告1 DAISY教科書提供事業について
野村 美佐子
日本障害者リハビリテーション協会

スライド1

(スライド1のテキスト)

皆さん、こんにちわ。日本障害者リハビリテーション協会の野村です。同時に日本DAISYコンソーシアムの事務局長をしております。

先ほど河村さんが講演の中でEPUB3とDAISY4の配布フォーマットは同じなるというというお話をしていたかと思いますが、配布フォーマットのDAISY図書パッケージの一つにテキストと音声がシンクロして静止画像も入るマルチメディアDAISYと呼ばれる形式がありました。このマルチメディアDAISY形式で製作されている教科書の提供活動についてお話をさせていただきたいと思います。

スライド2

(スライド2のテキスト)

スライド3

(スライド3のテキスト)

皆様にはすでに私のプレゼンのレジメを配布させていただいておりますので、そちらを後で見ていただくこととしまして、ここでのプレゼンは短くさせていただきます。またマルチメディアDAISYとは何かについては、私のプレゼンの後で、マルチメディアDAISY教科書に実際に触れていただいたり、マルチメディアDAISYとはどういうものであるのかについて体験をすることができますので、そちらにお任せをしたいと思います。

スライド4

(スライド4のテキスト)

マルチメディアDAISY教科書活動というのは、2つの著作権の改正という重要な出来事と深く関わっております。一つは2008年9月の教科書バリアフリー法の施行とそれに伴う著作権法33条の2の改正、このことをきっかけとして私たちは、小学校と中学校の発達児童生徒等にDAISY教科書の提供が始めました。そして2010年の1月の著作権法37条の改正、この改正により児童生徒のニーズにあった形式での複製・自動公衆送信が可能となり、DAISY教科書をダウンロードでの提供をするようになりました。その間にはいろいろなことがあったわけなのですが、そのところは私のレジメで確認をしてください。

スライド5

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さて、2011年の7月の時点での状況についてお話をしたいと思います。
利用者は562名です。利用者の在籍するクラスは、特別支援学校のクラス、特別支援学級、通常の学級、そして通常の学級にいるが取りだしの授業を受けている児童・生徒になります。
利用者の障害は、発達障害まで拡大したわけなのですが、それ以外の障害に広まっていっております。眼球運動の障害、上肢障害、脳性マヒ、知的障害、視覚障害、そして発音がうまくできない構音障害など様々な障害の方々も提供を受けているということをお話ししておきます。

利用方法としてどういった方法で使用しているかと申しますと、通級の先生がDAISY教科書を使用して指導する場合、そして家庭学習、その場合は一人で行う場合と保護者と行う場合があるかと思います。また通常の学級で障害を持つ子がDAISY教科書を利用して、一斉授業を受けています。2010年の5月までは文科省の許可が下りなかったのですが、現在では障害がある児童生徒がいる場合は、他の子にもDAISY教科書を使用しても良いことになりましたが、このケースはまだ少ないように思います。さらにテストの準備などに使用していることもわかりました。

製作している教科書は117冊になります。このリストも配布しておりますのでご参照ください。昨年は140冊だったので、昨年より少ない数になりました。どうしてかと言いますと、小学校の教科書の大幅な改訂があったからです。そのため、ずべての児童生徒の二ーズに応じられなかったからです。
配布方法としては、CD-ROMでの提供、またはダウンロードでの提供となります。そしてどのように使用しているかというとパソコンが主流なのですが、最近では、iPhoneや専用機器などを利用して使用しております。

スライド6

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2010年の12月に行ったマルチメディアDAISY教科書のアンケートを行いましたが、効果について先生および保護者の154人の方が、「大いにそう思う」と「ややそう思う」という回答をいただいたのは次のようなことでした。「読むことへの抵抗感、苦手感、心理的負担が減った。」、「紙の教科書より長時間DAISY教科書を読むことができる。」、「読み間違えが少なくなった。」、「読むことに関心、興味がでてきた。」、 「自分から本を読むようになった。」、 「文章の理解度が良くなった。」、 「授業に自信をもって取り組むようになった。」、 「DAISY教科書を使用した教科への学習に意欲がでてきた。」という回答になりました。

スライド7

(スライド7のテキスト)

次に、文科省からの研究委託で行った実証研究について、お話をしたいと思います。研究協力校の発達性読み書き障害がある小学校4年生の児童のケースをお話します。 この児童は、1,2年生の頃は、本を読めないことで「自分はばかなのだ。」と思っていて、自尊心の低下が見られました。実証研究の中では、児童は、マルチメディアDAISY教科書を通常の学級で使用し、家庭では、自主学習に使用、通級指導室では担当の先生から基礎的な学習を中心に支援してもらいました。そしてDAISY化された試験問題を独力で読んで回答することができました。その結果、クラスの皆と一緒に学習をできたことの喜びと自信につながっていきました。しかし、このような支援はこれで終わりではなく継続して必要であることを感じました。

実際にDAISY化された理科の試験問題に取り組む児童のビデオをこれから見ていただきます。対象児童はパソコンを使用してDAISY化された試験問題に取り組んでいます。クラスの他の子は、紙の試験問題をやっております。そういう中で、対象児童は試験を受けているわけなのですが、楽しそうにやっているように見えませんか。今まで一人で試験を受けたことがなかったわけなのですが、初めて一人で受けることができたのです。しかし、書くことにも重い障害があるために、回答を書くことにも問題がありました。回答を書くことに関しては、今後の課題となります。

スライド8

(スライド8のテキスト)

 DAISY教科書提供活動の課題ですが、このパワーポイントのプレゼンには何も書いておりません。真っ白です。あまりにもたくさんあるためには書ききれなかったからです。たとえは、DAISYの製作ツールの開発が必要だということです。ツールの日本語化もとても必要であり、コストもかかります。そして一番の問題はボランティアでやっているということです。このままボランティアで良いのでしょうか?2008年からボランティアのDAISY製作団体と協力して活動を続けてきましたが、国からの予算はありませんし、そのような環境にもなっておりません。私たちは、国の支援というファイナルゴール(最終目的)があってそれがあるからこそボランティアをやってきたわけなのですが、まだ見えません。ここで、ボランティア団体である奈良DAISYさんの声をお聞かせしたいと思います。