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事例報告(先生、保護者からの報告)

山中 香奈(LD親の会「たつの子」保護者からの声・兵庫県LD親の会「たつの子」代表)

皆さん、こんにちは。兵庫県 LD 親の会たつの子からまいりました山中です。よろしくお願いします。

冒頭に野村さんからご紹介がありましたけれども、たつの子では2008年9月から約30名の子どもたちが、DAISYを使って勉強を始めました。2007年のLD学会、横浜があり、そのときに私が河村先生をはじめDAISYに出会い、うちの息子が使い始めて、本当に変化したんです。読めない書けない息子が、読めるようになって、ちょっと書けるようになって、国語が大嫌いだったのが好きになったんです。1時間の授業が楽しくなった。それを、たつの子で、うちの息子こんなに変わりましたとお友達にも言いたくて言いたくて。1人言って、2人言って、3人言ってといったら、「私も使いたい」、「僕も使いたい」ってなっていったんです。そのため、2008年6月、たつの子で勉強会を行いました。そのときにもリハビリテーション協会さんをはじめATDOさん、奈良デイジーさんをはじめ皆さんにご協力をいただいて、DAISYというのはこういうものだということでご紹介をいただきました。

その結果、9月から約30名が使い始めることになりました。そして、今その子どもたちのお母さんや子どもたちが、どう思っているかというのを、インタビューしてきました。と言ってもお母さんたちに、こんなことをお話ししてねとICレコーダーをお渡しして、それぞれに録音していただきました。

各保護者、かなり緊張していますしそれぞれ一人ずつ話していますので、ボリュームが違ったり言葉が堅苦しくなってたりするかもしれませんけれども、率直な感想だと思いますので、いつも私だけの声を聞いている皆さんもいらっしゃると思いますので、今日はたつの子のいろんなお母さんの声を聞いていただきたいと思います。

■インタビュー

●インタビュー1

DAISYを使用させていただいているのは小学校1年生の男の子で、アスペルガー症候群の診断を受けております。学校では特に支援は受けておりません。

DAISYを使用して8ヶ月になり、週に2、3回程度利用しております。1学期の間は学校での授業も短いお話ばかりで、学校の授業でも振付をしながら教科書を読んだりしていたようで、その延長で家でも楽しく本を読むことが出来ていましたが、2学期に入り、長い文章になってくると、長い文章に対する苦手意識から、音読の宿題を嫌がるようになりました。そこでDAISYで聞いた回数をカウントしていいよということにすると、本人の負担も軽減されたようで、自分でパソコンで何回聞いていい?と自ら回数を決めて、DAISYを聞いた後は音読の宿題にすんなり取り組む事が出来ています。

自分で本を読むと、文のまとまりや意味などを考えずに一気に読んでしまうのですが、DAISYを聞いた後だと、音声の真似をしながら、時に音声の口調を真似てふざけたりしながら、しっかり間を取って読むことが出来ています。

また、息子は読むこと自体には問題は無いのですが、意味の理解はほとんど出来ていません。意味の理解の面でもDAISYは助けになってくれていると感じています。

でも、何よりDAISYに感謝しているのは、苦手な事に対する拒否感が強かったり、不安に対する耐性の弱い息子にとって、心理的な負担の軽減の助けとなっていることで、親子共に大変ありがたく思っております。今後ともよろしくお願いします。

●インタビュー2

現在小学校1年男子の母方の祖母です。年中の時、小児心療内科を一度受診し、まだ障害名ははっきりとしたことは分かりませんが、いわゆる、読み・書き・そろばんの困難さをともなっている、広汎性発達障害だと思われます。

幼稚園は、ひらがな・漢字・数字などフラッシュカードを用いた早期教育に力を入れているお勉強重視の3年保育に通っていました。年中、年長と進むにつれ、クラスのお友達は次々と出来ることが増え、自信が付いていく中で、孫はどんどん自信を喪失して、幼稚園に行くのがとても辛そうでした。

年長の一年間は公立の施設で週1回の感覚統合と2、3人のグループ療育を受けていました。幼稚園の3年間はまったく字を見ようともせず、本を触ろうともしませんでした。

その頃、パンフレットで親の会たつの子を知り、すぐに入会させていただきました。2008年の年末までには、DAISYの存在も教えていただきました。

小学校ではいろいろ話し合った結果、普通クラスに在籍しています。クラスでの支援は席を一番前にしてもらい、担任が声を掛けやすくしてもらっています。時々、児童支援の先生が付いてくれるそうです。

2009年4月の入学時にはDAISY教科書を提供していただきました。使用開始から8カ月目に入ります。国語の教科書だけでしたが、パソコンで聞き流しで数回聞いて、話の内容が分かるからでしょうか、音声に続いて、読み始めました。覚えているところは先に読んでみたり、また、追いかけたりして、現在も逐次読みですが、何とか本も読め、宿題のプリントも母親のサポートを受けながら、読み進んでいます。私も小学校の自由参観の日に教室を覗きに行きました。国語の時間、担任の先生が物語の主人公の気持ちを問う場面で、自分から手を挙げて発表しました。先生から「よくわかったね。」とほめられ、私の方を笑顔で振り返り、満足そうな顔をしていました。板書も遅いながら書けているようですし、連絡ノートも毎日自分で書いてきています。

小学校入学前には真新しいランドセルや学習机を見て、素直に喜んでやれなかった私ですが、今はDAISYに巡り合ったことで、確実に表情が明るくなり、笑顔が増えた孫や家族の顔にその効果をはっきり感じ取っております。

様々な困難を持った子どもたちや人々にDAISY図書が広く普及し、一日も早く提供されることを切に願っております。

●インタビュー3

学年は、小学校4年生と小学校3年生の男の子です。お兄ちゃんの方は1歳1カ月の時に掛かった突発性発疹の後遺症で肢体不自由児です。下の弟の方は広汎性発達障害でどちらかというと高機能自閉という診断が下りています。

子どもは、お兄ちゃんの方はやはり身体が不自由な部分があって、アテトーゼという症状がありますので、身体が揺れるということがあって、本を読むのが行が飛んだり同じとこを繰り返し読んだりとかいうことがありました。

下の子は、国語の関係がやはり弱くて、語学に関してちょっと遅れがあってやはり同じように本を読んだりするときに同じところ同じ行を読んだり飛ばしたりという事がありました。

学校ではお兄ちゃんの方は支援学級の肢体不自由児学級において個別というか、そのクラスにおいて授業を受けています。主に支援学級に置いては、国語・算数を重点的にやっていただいていて、交流学級の方で社会や理科を受けています。

下の子は普通学級において授業を受けています。下の子に対しては、週に何時間か支援員の先生が付いて下さるという話ですけれども、実際に支援員の先生が授業に付いて下さっているかどうかは不明です。

DAISYを使用してだいたい1年半ちょっとになるんですけれども、DAISYを使用することによって、読み飛ばしとか同じところを読むってことが格段に減りました。

初見であってもたどたどしくですけれども、ちゃんと行を飛ばさず読めるようになってきていることがすごいなと思います。

お兄ちゃんにおいても、去年と今年と担任が代わったんですけれども、今年の担任の先生から「本読みはとっても上手ですよ。」ていう形で聞かされて、ほんとに普段そんなに、え~って、上手に読めるのかなって思ってたんですけれど、意外と学校ではきちっと飛ばさずに抑揚つけて感情込めて読んでますよ、っていうのを聞いて安心しました。

下の子も本読みに関しては、そんなに苦にせず読めるようになってきたのが、ああ進歩だなって思いました。

DAISY使用頻度なんですけれども、お兄ちゃんの場合は、大体週に3回位、本読みの宿題がある時にDAISYを聞きながら一緒に読むっていう形でやっています。

下の子の場合は、まず新しい単元に入る時に集中的に3、4回聞いて、あとは週に1回、2回、聞きながら読みながらという形でやっています。

ほんとに利用し始めて、ちゃんとほんとに読めるようになったというのがすごいな、親が聞いててもやはり行を飛ばしたりすることなく、言い回しがおかしくなく、ちゃんとその言葉言葉が文節文節できちっと切れて、意味が分かって文章のここを読んでいるんだなというのが分かるようになってきたのがすごいなと思いました。

お兄ちゃんの方は特になんですけれども、DAISYが来るのをすごく楽しみにしてて、来たら「やっと来たー!」という感じで使っています。ほんとにDAISYに関しては、もう少しスピードコントロールが、微妙なところでゆっくり出来たりとか、ちょっと早めたりっていうのが出来るようになれば、すごくありがたいなっていうのを親子で話しております。

●インタビュー4

学年は小学校2年生です。女児です。診断名は広汎性発達障害と診断されました。

娘はまずじっと座っている事が難しく、集中しているときは1時間でも2時間でも座っていられるんですけれども、少しでも興味の外れることになると、じっとしていられないので、先生が本読みをしていてちょっとでも詰まるようなことがあったら逃げ出してしまいます。

DAISY画面

先生も人間なのでやはり詰まったり間が空いたりすることは絶対あるので、それは仕方のないことなんですが、そのじっと出来ないということでやはり、DAISY教科書は絶えず途切れることも間が空くこともなく進んでいくので、とっても重宝しております。

話はそれましたが、学校では特別支援学級に所属しております。

DAISYを使用し始めて、2年弱位になるかと思います。ほぼ毎日、DAISY教科書を開いて、聞かせたり、時々私が横について止めたりして、それを輪唱させたりしています。利用し始めて元々私の言葉が関西弁がきつくて、他の標準語ですとか、やはり関東の人がお話になられる言葉が理解できなかったんですが、DAISYを聞かせるようになって、他県の方の言語も理解できるようになりました。また、関西弁以外の言葉が理解できるようになってとても感謝しております。それと、DAISYの教科書以外にDAISYの物語、はなさかじいとか、そういった物語がいくつかありますので、それも聞かせております。もともと音過敏がありまして、DVDとかCDの話を聞かせると、その音がいやで耳を塞いでしまったりしていたんですけれども、DAISYの場合は、その音響効果が一切無いので、排除されているので、嫌がらずに見たり聞いたりしております。ですから、どんどんDAISYの物語とか増やしていただけると助かります。

●インタビュー5

息子は現在小6です。診断名はアスペルガー傾向、ADHD傾向です。

DAISYを使用するようになって、一年ほど経ち、最初は興味を示さず使用していませんでしたが、3カ月程経った頃から、物語の単元から使用するようになりました。それからは週に3日程度使用しています。

息子は一応読むことに困難はありませんが、字ずらを追っているだけで、ほとんど内容の理解が出来ていませんでした。DAISYはハイライトで視覚的にどこを読んでいるのか分かりやすく、適度なスピード、聞きやすい音声で読んでくれるので、ストレスが軽減されたためか、次第に内容を理解できるようになってきました。

内容を理解出来るようになってくると、学校での授業にも積極的に参加できる場面も増え、また、むらはあるものの少しずつテストの点数にも反映してきました。また、一つ出来ることがあると自信を持つことができ、他のことにも意欲的に挑戦するようになってきました。

DAISYは息子のように読みに特に問題のないと思われている子どもにもとても良いツールだと実感しています。

息子本人からの希望としては、段落に番号があるともっと助かりますということでした。どうも有難うございました。

●インタビュー6

学年は小学校6年生、男の子です。診断名は広汎性発達障害、詳しくは高機能自閉症になります。

子どもの困難性ですけれども、社会的なやり取りが分かりにくいということと、国語に関して言えば、読解力ですね、特に物語などの主人公の気持ちなどを読み取ることが苦手です。逆に漢字等は特に困難性、読みや漢字等には困難性はありません。

学校での支援ですけれども、先生の方に障害特性の方を伝えています。席の方を前の方にしていただいたり、声を掛けて頂く時には出来るだけ簡潔に分かりやすく説明していただけるように心がけて頂いています。

DAISYを使用してからですけども、たつの子で使うようになってからすぐですので、1年3カ月位だと思います。

頻度なんですが、夏休み等、お休みの時には1日おき位で使っております。普段はなかなかきっちりと時間を取ってやれず、週1回位しか使ってやれないのが実情です。

利用し始めての子どもの変化なんですけれども、やはり本を読みながら理解するという2つの作業をするのに、彼は困難性があったんですけれども、DAISYの場合、画面で見ながら本を読んでいただくことで、読みではなく、内容の理解の方に集中することができるので、読解に関しては、やはりDAISYを使いながらの方が本人が良く分かっているような気がします。本人もこの方がわかりやすいというふうに言っております。

母親や子どもの感想なんですけれども、母親としても横について一緒に勉強するよりも本人が自分で自主的に止めて同じところを繰り返したり、好きな頻度で聞けるということで子どもの自主性という意味で、すごく効果があるかと思います。

子ども自身もパソコンを使うことは好きですので、時間が許せば楽しく使っているようですが、やはりなかなか時間が十分取れない場合、優先順位の方はそんなに高くなっていないところが実情です。

DAISYに対しての希望や要望ですけれども、一般的な本に関してもたくさんの種類のものが自由にダウンロードして家で使うことができれば大変ありがたいなと思っています。

ますます繁華されることを楽しみに待っています。今後ともよろしくお願い致します。

●インタビュー7

小学校2年生、男児の母親です。診断名は広汎性発達障害で、現在の困難ですが、不注意衝動性が強いということで、文字の細部や形を捉えにくい、特に書くことに困難があります。読む事も読み飛ばし、それから勝手読みが多いです。対人関係がスムーズに行きませんので、自分の言動で相手がどのように感じるかなど推測が難しく、思いつくままの言動をしてしまうことで、対人関係がなかなかうまく行きません。見通しの付かないことへの抵抗感、なかなか取り組まない、人の輪に入って行かない、というようなことがあります。

現在の支援なんですが、1対1でのサポートで教員免許を持たれた先生が週に4日、スクールサポーターの学生さんが週に一日、担任と相談しながら、学習面と生活面での支援をして下さっています。算数を一日一回個別指導として1対1で別室で行っています。その中で一部国語の対応もして下さっています。

また、本人のレベルに合わせたプリント、宿題をサポートの先生が準備して下さるなど、長期の休みの際にも彼専門の彼のレベルに合わせた宿題を出して下さっています。また、前日に翌日の授業内容を担任からご連絡頂き、本人に登校前に説明し、だいたいの流れをつかんで、学校へ行くということを続けています。

それから、DAISYを使用してですが、2008年の7月頃から使い始めましたので、おそらく1年6カ月です。頻度としては、週4回~5回、音読の宿題と予習を主に行っています。まず音を聞く、それからシャドウィングを行う、音を文節等の区切りごとに止めて本人が読み、その後でDAISYの音を聞く、ということで確認をしています。

また、余裕のある時は段落ごとに何を書いているか内容確認を親子で行います。利用し始めてからの子どもの変化ですが、読むことへの抵抗感が徐々に低くなって行きました。

それから特にセリフですが、抑揚がとても上手になったことで、音読の発表会などで、みんなからほめられたりして、自信が大きくなっています。それから、文末の勝手読みはまだまだ続いていますが、読み飛ばしは少なくなりました。特にセリフが上手、これはとても本人としては喜ばしいことだと思います。

それから、感想ですが目からだけではなくて耳からも情報が入ることによって、勉強は大嫌い、でも本当は分かるようになりたいと思っている子どもの勉強へのハードルを少しでも下げることができるとても大切なツールだと思います。

また、学校での導入をぜひともお願いしたいということと、将来、障害のあるなしに関わらず、どの子も使える勉強の選択肢の一つとして、当たり前に提供されるものであれば、ということを非常に強く思います。以上です。

●インタビュー8

小学校3年生、男児、ADHDと軽度知的障害です。聴覚が過敏で気がそれやすく、集中がしにくいので、飛ばし読みや思い込み読みが多いです。漢字を覚えていてもその場に応じての読み方がすぐに出てこなかったり、言葉の意味や言い回しが、だんだん難しくなってきて、読んでいても意味が分かりにくくなってきました。

通常の学級で、担任の先生、友達から個別に噛み砕いた説明を再度してもらったりして配慮を受けています。

DAISYを使い始めて約1年3カ月程です。最近は他の宿題やテストのやり直しなどでじっくりする時間がなくなってしまい、週に1、2回位です。音読の宿題への負担感が軽減されました。楽しんで読んでいます。行の最後まで読む事を気を付けているようです。

なかなかじっくりとする時間がなくなってしまい、もう少しじっくりとするように心がけたいと思います。欲しい教科や単元が希望する子どもにタイムリーに届くようになることを願っています。

【インタビュー終わり】

長い時間ありがとうございました。先ほどの皆様の発表に巻きが入って大分時間に余裕ができてすべてお聞かせすることができました。一番最後だったので、とてもゆっくりと時間をいただいて、申し訳なかったと思います。

たつの子では他にもたくさんの子どもに使っていますが、先に先生たちの発表があったように学校で使っている事例は今のところ聞いていません。皆さん、家庭でのみです。兵庫県はたつの子が利用し始めたということで、導入は早い方だと思うんですけれども、実際学校での活用の報告としては、ゼロです。今後、保護者の希望にあったとおり、学校での利用が子どもたちのますますの勉強のハードルを下げると思っています。今後は学校での使用がどんどんできるように希望を伝えていきたいと思います。ご清聴、ありがとうございました。

山中氏配布資料

兵庫県LD親の会「たつの子」での事例

資料内容2

学習障害 小1男児

資料内容3

自閉症 小1女児

資料内容4

広汎性発達障害ADHD傾向の小1男児

資料内容5

アスペルガー障害・LD 小5男児

資料内容6

自閉症 小4男児

資料内容7

ディクレクシア LD 小5男児

資料内容8