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講演会
DAISY(デイジー)教科書によるディスレクシア等の学習障害児の支援
―アメリカとノルウェーの経験―

日時: 2011年2月11日(金)13:00~16:00
会場: 大阪市立中央図書館 5階中会議室 (〒550-0014 大阪市西区北堀江4-3-2)
共催: (財)日本障害者リハビリテーション協会・大阪市立中央図書館・日本DAISYコンソーシアム

【趣旨】

 学習に苦労している特別支援教育の対象者には、日本ではまだよく認識されていない「読むことに困難がある」子どもたちが多数含まれています。欧米ではディスレクシアと呼ばれる読むことが難しい人々は、その障害に対する認識が低い社会では、「怠けている」と思われることがしばしばあります。自分にあった適切な支援があれば自ら学ぶことができるこの人々に対する日本での支援がまだ手探り状態のため、多くの人々が十分に学べないだけでなく、自尊意識を深く傷つけられ、不登校等の様々な深刻な問題に直面しています。

 読むことが困難な生徒には、自分で読める形式の教科書と教材を選択する権利があるはずですが、日本では残念ながらまだその権利は実現されていません。教科書バリアフリー法の制定やDAISY教科書の無償提供を認めた著作権法の改正など、法律的な環境は整いはじめましたが国と自治体が提供の責任を果たしていないために、DAISY教科書の提供はボランティアによる支援に依存しています。

 アメリカとノルウェーでは、ディスレクシア等の読むことに困難がある生徒にも読めるDAISY教科書を国と自治体の責任で提供していますので、米国教育省国立障害研究所(NIDRR)のスウ・スウェンソンさんと、中学生の時からDAISY教科書を使って学習し現在専門学校で勉強しながらノルウェー・ディスレクシア協会役員をつとめるマイリン・ホルトさんをお呼びして、下記のご講演をいただき、DAISY教科書の日本における提供のあり方について考えます。

【プログラム】

13:00-13:10 開会挨拶
野村 美佐子 ((財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長)
13:10-14:10 講演1
「ノルウェー・ディスレクシア協会青年部の活動―情報アクセスと学習支援―」
  マイリン・ホルト (ノルウェー・ディスレクシア協会・青年協議会会長)
14:10-15:30 講演2 
「米国における『教科書・教材のアクセシブルな標準規格(NIMAS)』の成果と課題」
  スウ・スウェンソン(アメリカ連邦政府教育省特別支援教育・リハビリテーションサービス局副次官)
15:30-15:45 質疑応答
15:45-16:00 まとめ 河村 宏(国際DAISYコンソーシアム会長)
16:00 閉会挨拶

開会挨拶 

こんにちは。本日はお休みのところ、このような天気の中でお越しいただき本当にありがとうございます。昨日は別の会場で読む権利に冠する国際会議を開催いたしました。その際に、欧州など国際図書館連盟の、読むことに障害がある人々のために図書館サービスを考えるセクションの委員の方により、読む権利を勧める上で、著作権法の動向、点字の技術、点字を活用した教育支援についての動向をお話しいただきました。この会議には、アメリカ連邦政府教育省特別教育支援教育リハビリテーション局の副次官であります、スー・スエンソンさんとディスクレシアの当事者であるノルウェーのマイリンさんも参加していただきました。その会議の中で、私ども日本障害者リハビリテーション協会がDAISYのボランティアで、DAISY政策団体の方と協力して行っております、小学校や中学校の読みに困難を抱えた生徒にDAISYの教科書を製作、提供しているプロジェクトについて現状をお話させていただきました。

 日本の著作権法については、国が先ほど申し上げました生徒たちへのマルチメディアDAISY教科書の提供については、可能となるように規定していただきましたが、国の予算はございませんで、ボランティアベースで提供しているのが現状です。また、ディスレクシア当事者への見返りがまだまだ私たちは足りないため、マルチメディアDAISY教科書が必要としている人にまだ届けることができないというのが現状です。そのような状況でございますけれども、アメリカではDAISY教科書において国と自治体の責任で保証しております。NIMASとNIMATのシステムについて、これからスー・スウェンソンさんにお話をしていただきたいと思っております。また、ノルウェーのマイリン・ホルトさんからは、ノルウェーのディスクレシアの協会の活動についてなどお話をいただきます。そして、皆さまからの質疑応答、河村 宏さんのまとめを最後に予定しております。

 このような講演会でございますけれども、皆さまと今後DAISY教科書のあり方について、制度を含めてお話し合いをさせていただければと思います。本日の講演が皆さまにとって実りあることを願っております。なお、このセミナーに関しましては、大阪府民共済生活協同組合と全国労働共済生活協同組合連合会により、助成をいただいております。ここに厚くお礼を申し上げます。本日はよろしくお願いいたします。