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国際連合事務総長による国連ポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書『2030年までに達成すべき尊厳への道:貧困に終止符を打ち、あらゆる生活を一変し、地球を守るには』に対する声明

国際図書館連盟(IFLA)

国際図書館連盟(IFLA)は、統合報告書ならびに同報告書に情報へのアクセスが盛り込まれたことを歓迎し、持続可能な開発に向けた変革をもたらすアジェンダに不可欠な支柱として、情報へのアクセスとそのためのスキルの役割を認識するよう、国際連合に働きかけていく。

国際図書館連盟(IFLA)は、図書館・情報コミュニティの世界的な代弁者であり、図書館および情報サービス機関とその利用者の利益を代表する主要な国際機構である。IFLAは独立した非政府・非営利組織で、150カ国の1400を超える会員組織から成る。我々は、国際連合事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書1と、人権に基づく持続可能な開発への変革を伴うアプローチ、開発に向けた新たなグローバルパートナーシップ、実施を監視する枠組みを歓迎する。IFLAは、安全で平和な社会と有能な機関によって、開発を支援する手段として情報へのアクセスが取り入れられることを歓迎する。

「報道の自由および情報へのアクセス、表現、集会および結社の自由は、持続可能な開発を可能にする。」

これを受けて我々は、国際連合に対し、情報へのアクセスとそれを効果的に利用するスキルを、すべての持続可能な開発目標を支える分野横断的ターゲットとして、かつ、実施手段として含めることにより、人権に基づく開発アプローチに情報へのアクセスが与える変革を伴う影響を、十分に認識するよう促す。

我々は、知財改革に関連のある持続可能な開発アジェンダへの重点的な取り組みを歓迎する。それは、公的資金による調査研究へのアクセス(オープン・アクセス)、すべての人の技術へのアクセス、TRIPS協定の柔軟性、技術革新に向けたインセンティブを支援するものである。

さらに我々は、学習と多様化の手段としての文化および先住民の知識、ならびに、極めて重要な教育スキルとしての生涯学習を含む、情報へのアクセス支援にかかわるさらなる論点が、統合報告書に盛り込まれたことも歓迎する

我々は、実施手段としての、公開されているデータへのアクセス情報格差の評価を支援する。また、情報量の多い人と少ない人との間に見られる、データや情報へのアクセスと、これらの利用および伝達における情報格差を解消するメディア・情報リテラシーのスキルに対するニーズが、デジタル環境の下では増加するのみであることに留意する。

残念ながら、統合報告書には、開発に向けた情報通信技術(ICT)の可能性に関する内容が欠けていることに、我々は失望している。国際連合が2003年に開始された世界情報社会サミット(WSIS)のプロセスからのインプットを取り入れることができなければ、まさに好機を逃すことになるだろう。それゆえ我々は、ポスト2015年開発アジェンダで、実施手段としてのICTと開かれたインターネットの重要な役割と、特に農村および遠隔地域において、図書館や地域の情報センターなどの施設を通じた、手頃な価格でのICTへのアクセスと一般の人々による情報へのアクセスの重要性が認識されることを確保するために、国際連合加盟国に対し、WSISのターゲットと指標を含む成果を統合することを要求する。

情報へのアクセスをポスト2015年開発アジェンダに盛り込むことを支援するために、480を超える国内および国際組織が、2014年8月に発表された情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言2に署名した。リヨン宣言は、図書館、情報仲介機関および開発機関が、ポスト2015年開発アジェンダに情報へのアクセスを盛り込むことを背景に、一致協力することを謳っている。我々は国際連合とその加盟国に対し、ポスト2015年開発アジェンダに関する政府間交渉の次の段階でリヨン宣言を利用し、以下の方法を通じて、情報へのアクセスを盛り込むことと情報を効果的に利用するスキルについて周知するよう促す。

  • 個人のプライバシーの権利を尊重しつつ、情報およびデータへの一般の人々によるアクセスの権利を認める。
  • 実施の手段として、地方自治体と情報仲介機関、ICTおよび開かれたインターネットなどのインフラストラクチャーの重要な役割を承認する。
  • 政府による継続的な資金援助、整合性、情報の保存と提供、人々による情報へのアクセスを確保するための政策、基準および法制度を採用する。
  • 情報およびデータへのアクセスの影響に関する評価を可能にする目標と指標を開発する。

図書館などの情報仲介機関は、政府、各機関および個人による、開発に不可欠なデータの伝達、整理、構築、理解を支援するためのスキルとリソースを備えており、新しい持続可能な開発アジェンダの実施を支えるスキルと能力を伴う有能な機関としての態勢を整えている。

1 http://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/5527SR_advance%20unedited_final.pdf

*掲載者コメント:この報告書はHTML化してDINFにも転載しています。
http://www.dinf.ne.jp/doc/english/intl/SR_advance_unedited_final.html

2 Lyon Declaration on Access to Information and Development(情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言)http://www.lyondeclaration.org

*掲載者コメント:情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言は、翻訳してDINFに掲載しています。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/ifla/lyon-declaration_jp.html


原文:
Response to the Synthesis Report of the Secretary-General On the UN Post-2015 Development Agenda: "The Road to Dignity by 2030: Ending Poverty, Transforming All Lives and Protecting the Planet"
http://www.ifla.org/node/9254

2030年、尊厳への道:
貧困を終わらせ、全ての人々の生活を変革し、地球を守る
国連事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書 (A/69/700)