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IFLAダーバン大会参加者・SAPESI意見交換会 報告要旨3

Mobile Library Project(図書館車プロジェクト)

蓮沼●配布資料-「3.Mobile Library Project(図書館車プロジェクト)」参照

日本のモバイル・ライブラリー・ビークルが、ブック・モービルですね、日本語で専門的に。あ、すみません、皆さん図書館の方で、モバイル・ライブラリーってご覧になったことありますか? まず、皆さんの図書館でブック・モービルを運行されているところはありますか? あとでいただきにあがりますから。

ありがとうございます。それから、モバイル・ライブラリーをご覧になった方はいらっしゃいますか? 手を挙げてみてください。あ、かなりですね。でもなんか、東京の方なんかはご覧になったことはないと思うのですが、こんなふうな感じですね。ちょっと今写真を出しますから。日本から中古のやつをいただいて、こっちへ来てやるんですけれども、それでぐるぐる回るといい。

日本は右ハンドルにキロメートルですよね、南アもそうなんですよ。アパルトヘイトで道路をよくしましたから、わりと自動車は使える。長い時間、1台の自動車をだいたい10万から15万kmくらい乗ります。日本の図書館車というのは市町村が持っていますから、12~13年すると新しいものに更新されますけれど、だいたい2万km、3万km、4万km。南ア人は、「え、日本人は捨てるの」と。「バカな、それは新車じゃないか」と。ここは、日本の4倍くらい大きい国で、人口密度が少ない。そして道がいいから長い距離をみんな飛ばして走るんですよ。だからついマイレージが延びる。日本で使っておられる図書館車というのは、2万km、3万kmというのは私達にとっては新車に近いというイメージがある。というわけでこちらに持ってくる。今日本でやられている500台くらいの図書館車が走っているようですけれども、これは12年くらいで更新されるのでしたら、こちらでまだまだいくらでも使えるので、是非分けていただきたいというのが私達のお願いなんです。

ちょっと、車がどういうふうに動いているかというのをお見せしたいのですけれども。

これが現地に持ってきたものなのですが、きれいに色を塗り直してあるんですね。なんできれいに色を塗り直すかというと、学校の校庭にきれいな自動車が来るとみんな「あっ」となりますよね。これが大事なんですよ。それから、きれいな自動車がスラム街を回ると、みんな手をこうやって見るんですよ。それできれいな自動車が学校の校庭にきて、すると若い先生方がわりと最初に借りていきます。教室に戻って絵本なんかを子ども達に読んでいると「う、うちの先生すげぇ」と。隣のおばあちゃん先生は、「いやだね、私はこんなのに触ったことがないから」ってこうやっていると、隣のクラスが「お前のとこの先生、アホやね」ってこうやるんですね。

学校は、4学期制ですから、4学期で最初の1か月目に自動車で回って、先生に本を置いていきます。最後の月、だいたい3か月目に返してもらって。次の2学期目に行って返してもらう。3学期、4学期、年に8回回りました。

自動車を差し上げるときの条件の一つに、司書を必ず乗せてくださいと言っています。それは貸し出しコントロールという意味ではなくて、先生達に本の使い方を教えるためです。先生達はお互い、同じ職場の先生達同士は、「私使い方知ってるわ」とこうやるんですね。本当は知らないんです。子ども時代に本を見たことがないんだから、図書を使ったことがないんですから。だけど、同僚には知らないとは言えない、恥ずかしくて。そのときに、図書館車がきて、司書が中に乗っている。たいてい女性ですが、先生達の図書の使用のコンサルタントをやってくれる。これが非常に大きいんです。

私達がいつもお願いしているのは、必ずバスの保管と本の保管のためのベースを一つ作ってくださいということです。特に本は陽射しに弱いですよね、夏なんかは。必ずこうやってくださいと。

こういうふうな本がだいたい並んでいますね。今私達がリコメンドしているのは、本の背表紙に印をつけることです。1~2年、2~3年、3~4年、5年。子ども達が自動車に来たときにどれが自分の学年に向いているかというのがすぐにわかるように、これを作れるように今指導しています。

これはバスがくる前に、大学で持っている本ですけれども、学年ごとにわかりやすくストックしてあります。

だいたい8時にバスが出て、2時頃帰ってきて、それから積み込みをします。

これが、帰ってきたバス、夕方全部もう一回満載した状態ですね。明日の朝8時にさっと行くんです。

2校以上行く時はですね、前もって、あの学校はこれとこれが欲しいと言われた、これを別にしておかないと1校目が全部持っていっちゃう。

だいたい一つのバスが25校から多いところは四十数校回っています。そんな感じですね。

借りるのは、100冊の学校もあれば、千数百冊借りてくれる学校もあります。

これは、バスが行くと、原則としては私達は先生にまとめてお貸しします。ただし、先生が慣れてくると、だんだん、もう図書館なんていくらでもできるんだから、先生達がお前達好きなものを借りなさいなんて、生徒さんと一緒にきて好きな本を借りさせて持っていく先生もいます。そういう時は、生徒達がこんなふうに列を作って返しにきます。

これは貸し出し管理ですけれども、今はできるだけパソコンを乗っけて、バーコードにして、パソコンで貸せるようにしています。こうやるとですね、運転手が貸し出し管理できるんですね。そうすると、同乗の司書の方は、先生のコンサルテーションができるわけです。今これをどんどんどんどん広めています。

これは司書のかたで、こうやって教えていますね。

こうやって、本だけではなくてこのような副教材を積んだりしています。場所によっては、ポータブルのジェネレーター、発電機を積んだりするところもあります。そういうところというのは、コピーマシンなんかありませんから、私達の持っていくジェネレーターの付いている、プリンターが付いていまして、コピーなんかとってあげると非常に喜ばれます。

本は先生が生徒にまた貸します。これはあとでお回ししますけれども、ここに先生が生徒に貸すと、名前を書くんです。太郎ちゃん、と。返すときはいつと書いてこれを渡すと、先生はこれを持っていれば、バスが次にいつ来るかはわかっていますから、その2、3日前に「太郎ちゃん、返しなさい」と言えばいい。これは、子どものときに触ったこともない、図書館にもあまり行ったことのない先生が図書館のオペレーションをやり始めていることになるんですね。これが大きいんですよ。やはり、何も知らない、図書館や図書を知らないような先生のところに図書室なんて言ったって、物置になるのはあたりまえなんですよ。こうやってウォームアップして、将来、マーケティングで言うユーザー育成、ユーザー教育というのをやっております。ちょっと見てください。回しますので。

それから、これは学校ごとに、先生の名前が書いてありまして、行くたびに、4回ここに線がひいてあると思うのですが、どの先生が何冊借りたかというのを書くんです。これは、バスの運転手が、司書が書くのではなくて、先生に書いてもらう。つまり何冊借りたかというのに責任を持ってくれるんです。

これは、コントロールシートです。

次の時に、なんとか先生、何冊ありますからお返しくださいというのをこれを見て言うわけですね。先生達は、自分で書いた数字ですから責任を持ってくれます。こういうことをやることによって、学校図書室ができるような、ほこりをかぶって物置にならないようなウォームアップができるようになっております。

だいたい、これが図書館車の一般的な活動です。今、具体的にどこの州がどんな活動をしているかというのは、武藤さんからお話いただきたいと思います。

武藤●

すみません、また、簡単なプレゼンテーションに基づいて説明させていただきます。(報告資料-「1. 移動図書館車活動プロジェクト(M/L)進捗状況」参照

今私達が活動している移動図書館車プロジェクトですけれども、南アフリカには9つの州がありますが、今4つの州で稼働しています。まずヨハネスブルグ、あとプレトリアが入っているハウテング州に、MEIというNGO団体から1台、稼働しています。ここのMEIの1台が、1台で40校、今後は1つの教育区の中で全部の枠をカバーしようと、今そういう活動をしているところです。その他1台、教育省で管轄している移動図書館車が4台稼働しています。

ダーバンのあるクワズールー・ナタール州ですけれど、今日スクール・ライブラリーで実際ホストとしてとりまとめていましたELITSのほうでプロジェクトを運営していまして、今9台稼働しています。クワズールー・ナタール州には全部で教育区が12ありまして、残りの3台で12の教育区を全部カバーするという方向で今行っています。今年度内で策定する予定です。

あと、ケープタウンのある西ケープ州、こちらはEdulisという教育省が管轄している図書館車の事業があり、こちらも4台稼働しています。ケープタウンの中心部のエリア、およびケープタウンからだいぶ離れた郊外のエリアも、それぞれ活動しているところです。

あと、ブルームフォンテンのあるフリーステート州、こちらはEducation Resource Centreが直営で行っています。こちらは、昨年2台、昨年2か所で納入を始めまして、今2台稼働していますけれど、今年3台稼働する予定です。フリーステート州には5つの教育区がありまして、こちらも年度内で全教育区をカバーできるという方向で動いております。

その他の5つの州につきましては、今年、州の中心部、州都と呼ばれているコアな都市にまず入れていく。そこからまた徐々に各郊外にエリアを拡大していくという計画で、今図書館車活動を行っています。

次に、先ほど蓮沼から話がありましたけれど、今回は中古の、こちらでは新品の自動車なんですけど、日本から輸入して入れるのですが。実際こちらでしたら、日本で使っていた「としょかん」と書いた自動車を船で移動しまして、いったんダーバンに入港しまして、その後各教育省に。そこで実際に運営していくことになります。各州ごとで、こういうふうにカラーリングして、子ども達が「あ、なんだこの自動車は?」と見つけられる、それで図書館車が回っていくという活動をしています。

今後の内容ですが、今までは各教育省が輸入の名義を行っていましたけれども、今後は私達が輸入名義になって、私達から各州のほうに配分していくというそういう予定で今手続を行っています。

輸入通関業者とも提携しまして、実際こちらはDelegated Freightという会社と提携して行っているのですけれども、こちらのダーバン、こちらでやっているのですが、ここと提携して通関業務を行っています。

彼らもこういう活動していることで、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ、企業社会責任活動に貢献しているということで、彼らもそういう企業イメージのプラスということで提携して活動しています。

現在、4つの州に入って活動しているのですが、具体的に深く知りたいので、どういう活動が行われているのか写真で説明します。

まず、MEIというNGOの団体ですが、こちらが一番移動図書館車の活動が古くから始まっていまして、いわゆるフロンティア的な団体ですので、彼らからいろいろ、今後どうしていく、移動図書館車プロジェクトのチームにどういうふうに運営していこうか、どういうふうに図書館車活動を行うのかというのを、実際に指導しました。

次に、ダーバンのあるクワズールー・ナタール州ですが、昨年5月にダーバンから南に150kmほど離れたところで、全国図書プログラム設立集会を開催したのですが、その時にこちら、スピーチで話している方が南アフリカの教育大臣、ナディア・パンドールさんを招いて、隣の人はクアズールー・ナタールの州の教育大臣、なんとかクローネさんという方なのですが、彼女達の前で移動図書館車の引き渡しも併せて挙行しました。

このときの記事が、日本の新聞にも載っていまして、こちらは皆さんに回覧いたしますが、南ア全土に日本の図書館車再利用ということで記事にもなりました(毎日新聞です)。

他に、先ほどのクローネさんですが、実際に移動図書館車が今活動していますイダンダ地区に同乗して、子ども達の前で実際に本の読み聞かせを行った、そういう活動も行っています。

次に、ケープタウンのある西ケープ州ですが、もともと2か所、郊外で、ケープタウンからだいぶ離れた僻地で活動していたのですが、ケープタウンのすぐ近くの外国人居住区街、カエリチャという地区で移動図書館車を開始しました。こちらのカエリチャ地区なのですが、アパルトヘイトの騒動の時にも大分争った地区ですし、南アフリカでも3番目に大きい黒人居住区街です。この中で活動を始めたというのは大きな意義があると思います。

また、西ケープ州の特徴なのですが、アパルトヘイト時代、かなり白人の、国会もありましたし、やはり南アフリカの最初の都市でもありましたので、だいぶ財政面でも優遇されていた部分がありました。ただ、アパルトヘイトが崩壊してから、今まで優遇されていた部分を他の州に回していたので、今はだいぶ西ケープ州はたまに予算とか、財政投資というのが他の州と比べてだいぶ落ち込んでいるというのがありまして、それでかなり、居住区街の中でもインフラが遅れているエリアでした。そのインフラの遅れているエリアで、移動図書館車が始まったというのは大きな意味があるかと思います。

ブルームフォンテンの中央部に位置しているフリーステートの地区では、昨年度初めて移動図書館車活動が開始されました。ムベオというところがブルームフォンテンの町の側で、もう一つティアという、ちょっと読めないのですがだいぶ山のほうのところで、都市部の拠点と僻地の拠点でそれぞれ同時期に始まったことに意義があると思います。

移動図書館車活動以外、モニタリング以外にどういう活動をしたかと言いますと、私達のロゴも新しく作りましたということ。あと、南アフリカには舗装されていない道もたくさんあります。また、かなり起伏の激しい所ですので、図書館車のバスでも入り込めないエリアというのもどうしても出てくると思います。その時に活躍が期待できるのが、こういう四輪駆動の自動車の後ろにコンテナ車をつけて、そこに本を集配する、そういう方法を導入していこうかというので今動いているところです。

それ以外に、全国ELITS会議、こちらにも参加して、移動図書館車の活動を、普及ということを説明しました。

次に、私達、今移動図書館車の活動を実際教育省の人と協力して活動していますけれども、本を集める、図書館車を収集する、それを贈って、教育省の人達が主体となって活動していただく、それが本来の趣旨ですので、集めるということも重要ですけれども、今後実際にどういうふうに経営的な面で、運営面でより効率的に移動図書館車活動が効果が出るようにしていくのかについてもサポートしていきたいと思います。

以上でSAPESIの説明は終了になります。