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2007年IBBY障害児図書推薦リスト

はじめに

障害のある青少年の多くは、普通の本を読んだり楽しんだりすることができず、また、現在入手可能な多数の出版物の中から自分に合った本を見つけだすことができずにいます。そのため、デザイン、言語、話の構成、絵などが、自分たちの特別なニーズに合っていて、かつ文学性と芸術性を兼ね備えた本を特別に製作してもらうか、或いはそのような本を一般向けの本の中から特に選んでもらう必要があります。

障害のある青少年のニーズやスキルは、そうでない者たちと同様にそれぞれ異なっているので、このような青少年にふさわしいのはどのような本であるか、その青写真を作ることはできませんし、またそうすることは望ましいことではありません。結局のところ、多種多様な特別なニーズについての深い知識に基づき、幅広く本の選択ができるように計らうことによってしか、障害のある青少年が本にアクセスできるようにはならないのです。

コミュニケーションと社会参加のための手段である文学は、アイデンティティの確立や生活の質の向上において重要な役割を果たします。IBBYは障害のある青少年に、他の人と同じように本を楽しむ機会を提供するため、このプロジェクトに着手しました。

IBBYのナショナル・セクションに、以下の主要なカテゴリーの一つ、或いは全てについて推薦図書を挙げるよう依頼しました。

I. 2000年以降に出版された、特別なニーズのある青少年のために特別に製作された本

このカテゴリーには次のようなタイプの本が入ります。

  1. 手話つき絵本
  2. BLISSまたは絵文字(非言語的コミュニケーションシステムで、単語や概念が絵記号によって表現されているもの)つき図書
  3. 視覚障害児のためのさわる絵本。知的障害や重複障害がある青少年向けのさわる絵本/布の絵本
  4. 知的障害のある青少年向けに特別に作られた「やさしく読める」図書

一般向けの易しい読本や易しい読み物シリーズは含まないこととしました。

II. 2000年以降に出版された一般向けの絵本

このカテゴリーに入る本を選ぶ際には、芸術性及び文学性とともに、デザイン、テーマ、絵及び文章に関して特別なニーズが満たされているかどうかを考慮する必要がありました。また、言語障害がある成人にもふさわしい、「大人っぽい」装丁であることも重視しました。

IBBYは、一般的な理解力や言語、視覚認知及び身体運動技能などの特別なスキルを強化すると同時に、喜びや好奇心、想像力をかき立てる本を見つけたいと考えました。

III. 2000年以降に出版された、障害のある青少年を描いた一般向けの児童書(絵本及び物語)

このカテゴリーに入る本は、障害のある子どもや大人を描いていますが、その障害や障害による生活の違いに焦点を当てるだけでなく、障害者と世間一般の人々との類似点も強調しています。このようにして書かれた本の中で重要なものには、社会における障害のある青少年の理解と受容、そしてインクルージョンへの道を切り開く物語が含まれます。

最終的に選出され、このカタログに記載された本はごく限られているので、現在出版されているこのような本の全貌やその将来性を完全に伝えることはできません。しかし、このカタログと展示会を通じて、理解と知識がより深まることを期待しています。

更に、この分野における新たな本の出版と販売促進に関する良案を提供することができれば幸いです。

カタログNo.11「ぶんぶんうるさくしないでよ!」の写真
『ぶんぶんうるさくしないでよ!(カタログNo.11)』