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参考資料2

中央教育審議会初等中等教育分科会
「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」(平成24年7月23日)
(関連部分抜粋)

3.障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備

(2)「基礎的環境整備」について

④教材の確保

(ア)現状
 小・中・高等学校及び特別支援学校等では、教科書を使用するほか、各学校の判断により有益適切な教材を使用することができ、自治体が整備する教材の費用については、所要の地方財政措置が講じられている。また、文部科学省により、小・中学校及び特別支援学校について、それぞれ教材整備指針が示されているところである。
 教科書については、文部科学省において、視覚障害者用の点字教科書、聴覚障害者用の言語指導や音楽の教科書、知的障害者用の国語、算数・数学、音楽の教科書を作成している。
 また、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」に基づき、教科書発行者の発行する小・中学校用検定済教科書に対応した拡大教科書が、平成 24 年度から全点が発行されている。さらに、同法に基づき、教科書発行者が保有する教科書のデジタルデータを、文部科学省等を通じて、ボランティア団体等に対して提供することにより、拡大教科書等の作成に係る負担の軽減が図られている。

(イ)課題
 視覚障害のある児童生徒のための音声教材の整備充実、高等学校段階の拡大教科書の発行の促進が求められる。また、発達障害のある児童生徒が使用する教材等の整備充実を図ることが求められる。さらに、様々な障害の状態に応じた支援機器(*6)の充実を図る必要がある。
 また、教育の情報化を推進するに当たっては、デジタル教科書・教材について、障害の状態や特性等に応じた様々な機能のアプリケーションの開発が必要である。さらに、情報端末等については、特別な支援を必要とする子どもにとっての基本的なアクセシビリティ(*7)を保証することが必要である。

(*6)アシスティブ・テクノロジー(技術的支援方策)において活用される様々な機器のこと。

(*7)障害者を含む誰もが、情報機器やソフトウェア等に支障なくアクセスでき利用できること。

(3)学校における「合理的配慮」の観点

<「合理的配慮」の観点①教育内容・方法>

<①-2 教育方法>

①-2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮(別表3)

 障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法について配慮するとともに、教材(ICT及び補助用具を含む)の活用について配慮する。

①-2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮

障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法について配慮するとともに、教材(ICT及び補助用具を含む)の活用について配慮する。
視覚障害見えにくさに応じた教材及び情報の提供を行う。(聞くことで内容が理解できる説明や資料、拡大コピー、拡大文字を用いた資料、触ることができないもの(遠くのものや動きの速いもの等)を確認できる模型や写真 等)また、視覚障害を補う視覚補助具やICTを活用した情報の保障を図る。(画面拡大や色の調整、読み上げソフトウェア 等)
聴覚障害聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供を行う。(分かりやすい板書、教科書の音読箇所の位置の明示、要点を視覚的な情報で提示、身振り、簡単な手話等の使用 等)また、聞こえにくさに応じた聴覚的な情報・環境の提供を図る。(座席の位置、話者の音量調整、机・椅子の脚のノイズ軽減対策(使用済みテニスボールの利用等)、防音環境のある指導室、必要に応じてFM式補聴器等の使用 等)
知的障害知的発達の遅れに応じた分かりやすい指示や教材・教具を提供する。(文字の拡大や読み仮名の付加、話し方の工夫、文の長さの調整、具体的な用語の使用、動作化や視覚化の活用、数量等の理解を促すための絵カードや文字カード、数え棒、パソコンの活用 等)
肢体不自由書字や計算が困難な子どもに対し上肢の機能に応じた教材や機器を提供する。(書字の能力に応じたプリント、計算ドリルの学習にパソコンを使用、話し言葉が不自由な子どもにはコミュニケーションを支援する機器(文字盤や音声出力型の機器等)の活用 等)
病弱病気のため移動範囲や活動量が制限されている場合に、ICT等を活用し、間接的な体験や他の人とのコミュニケーションの機会を提供する。(友達との手紙やメールの交換、テレビ会議システム等を活用したリアルタイムのコミュニケーション、インターネット等を活用した疑似体験 等)
言語障害発音が不明瞭な場合には、代替手段によるコミュニケーションを行う。(筆談、ICT機器の活用等)
自閉症・情緒障害自閉症の特性を考慮し、視覚を活用した情報を提供する。(写真や図面、模型、実物等の活用)また、細かな制作等に苦手さが目立つ場合が多いことから、扱いやすい道具を用意したり、補助具を効果的に利用したりする。
学習障害読み書きに時間がかかる場合、本人の能力に合わせた情報を提供する。(文章を読みやすくするために体裁を変える、拡大文字を用いた資料、振り仮名をつける、音声やコンピュータの読み上げ、聴覚情報を併用して伝える 等)
注意欠陥多動性障害聞き逃しや見逃し、書類の紛失等が多い場合には伝達する情報を整理して提供する。(掲示物の整理整頓・精選、目を合わせての指示、メモ等の視覚情報の活用、静かで集中できる環境づくり 等)
重複障害(視覚障害と聴覚障害)障害の重複の状態と学習の状況に応じた適切なコミュニケーション手段を選択するとともに、必要に応じて状況説明を含めた情報提供を行う。(補聴器、弱視レンズ、拡大文字、簡単な手話の効果的な活用 等)