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NIMAS(全国指導教材アクセシビリティー標準規格報告書) - バージョン1.0(抄訳)

全米一般教育課程教材アクセスセンター(NCAC)

項目 内容
国名 アメリカ
発表年月 2004年10月14日

本報告書は、特殊技術応用センター(CAST)と連邦教育省特殊教育プログラム局(OSEP)の協力合意(合意番号H324H990004)のもとに設立された全米一般教育課程教材アクセスセンター(NCAC)の支援によって作成された。
本報告書に示された意見は必ずしもOSEPの方針または立場を反映させたものではなく、教育省の公式な承認を意味するものではない。

NIMAS報告書のエグゼクティブ・サマリー

委員会の勧告

連邦教育省特殊教育プログラム局(OSEP)は、自主標準規格である全国指導教材アクセシビリティー標準規格 (NIMAS)の技術仕様を制定するために、特殊技術応用センター(CAST)の全米一般教育課程教材アクセスセンター(NCAC)に資金を提供し、専門家委員会「全国ファイルフォーマット技術委員会」を招集した。NIMASは、PK-12<訳注: プリキンダーガーデンから12年生まで>の障害のある生徒向けに印刷教科書に代わるアクセシブルなフォーマットの教科書の提供を進めていく。NIMASの適用によってソースファイルが標準化される。標準化されたソースファイルから、正確で信頼性のある代替フォーマットが開発され、これを受け取る資格が認められた障害を持つ生徒に配布されるかもしれない。

専門化委員会は教育者、出版社、技術者、擁護団体を代表する40名をメンバーとして2002年11月に発足した。2003年に3回(1月、3月、6月)、直接顔を合わせる公式会合を開催し、補足として大規模な電話会議やオンライン討論を行って勧告を作成した。委員会は、印刷教材へのアクセスに関する障害を持つ生徒のニーズについて詳しく述べた一連の管理原則を規定し、これらの原則に基づいて、以下の勧告を行うことに合意した。

繰り返し、効率的でない変換(印刷物から点字へ、印刷物からデジタル録音図書(DTB)へなど)を行う必要をなくすため、ファイルフォーマットは、1つのソースファイルから多様な生徒に対応した変換(点字、DTBなど)ができるような柔軟なものにしなければならない。委員会は、ANSI/NISO Z39.86規格(DTBookエレメントセットの一部とそれに関連したパッケージ・ファイル)をNIMAS バージョン1.0に適用するよう勧告した。教科書の出版社は基本エレメントセットを提供し、第三者のデータ変換業者が選択エレメントを追加する。そして、両方のエレメントを含んだデジタルのソースファイルが生徒に対応した形に変換される。本報告書には、基本エレメントと選択エレメントの適用基準が示されている。詳細は、第III 節「技術仕様に関する委員会の勧告」を参照のこと。

テキストと同等のものを作成するために、教科書の出版社は埋め込み画像も含めたPDFファイルも提供する。
アクセシブルな教材の品質、一貫性およびタイミングの良い配布を保証するために、NIMASは、現在の開発および配布システムの妨げとなっている非効率的な方針や手順についても対処しなければならない。委員会は以下を勧告する。

NIMAS仕様の2年間の段階的実施

NIMASに準拠したコンテンツ変換を全ての面で既存のANSI/NISO Z39.86仕様および勧告に準拠

以下を達成するためのNIMAS委員会の設立。

  • 基本エレメントと選択エレメントの適正で一貫性のある適用を保証するための、技術文書とモデルの追加開発。
  • NIMASとANSI/NISO Z39.86との継続的整合化と、その後のNIMASのバージョンアップ
  • アクセシブルな代替バージョンの教科書の利点に関する情報をさらに広めるための、障害者支援団体に対する幅広い能力開発活動。

アクセシブルな教材の入手可能性の向上による教育学的効果の調査。

  • 生徒ごと(特に、視覚障害を持つ生徒と印刷物の読みに障害のある生徒)に解決策を実施する現在の苦労を解消するために、NIMASはアクセシブルな教材の開発に向けて統一された取組方法を構築しなければならない。そして、デジタル教材を入手し、変換する能力を高めることによって、多様な学習者に対応する体系的な取組方法の開発を州レベルで推進しなければならない。
  • 技術委員会は、生徒に対応したアクセシブルな印刷教科書に代わるバージョンの教科書を配布するときは、既存の著作権の規定を尊重しなければならない(第121節、チェーフィー改正)ことを認める。
  • 技術委員会は、障害を持つ生徒全員が教科書のアクセシブルな代替バージョンの教科書を入手できる可能性を効果的に高め、同時に、知的財産の所有者およびコンテンツ作成者への著作権使用料の支払いを確実にする代替コンテンツ配布モデル(自主的、強制的、自由市場)について熱心に検討するよう勧告する。
  • 技術委員会は、全ての生徒に対する適切でアクセシブルな教科書の提供を保証する第一歩として、NIMAS 1.0の全国的な採用を全会一致で勧告する。
    技術委員会の勧告には、その仕事の特徴である継続した、熱心な協力が反映されている。委員会のメンバー、委員会に代表を出している組織、公に発言する人、特殊教育プログラム局の全てに対して、前例を作ることになるこの合意の達成を支援するよう勧告している。技術委員会は全員、NIMAS 1.0の採用によって、障害を持つ生徒の一般教育課程におけるアクセス、参加、前進の機会が大幅に増加すると考えている。

作業の範囲: 技術委員会には、アクセシブルな教材、標準規格案の実施スケジュール、実施した標準規格の成功を評価する手順を効果的に促進するための、一連の技術仕様を教育長官に提供する責任が課せられている。

目次

背景

A. NCLBとの関係

2001年の落ちこぼれ防止法(NCLB)によって、学校に対する新たな厳しい要求が決められた。これらの要求事項は、教師の資格、教育プログラムと戦略、生徒の試験と試験の報告、水準に満たない生徒や特別の必要がある生徒への支援に影響をあたえた。しかし、最も根本的な点は、NCLBが、全ての生徒の教育上の進歩状況に対する学校の責務を強化したことである。このような責務を初めて制定した法律は、画期的な1997年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)である。IDEAでは、大規模な評価への参加に加えて、障害を持つ生徒に対して、一般教育課程へのアクセス、参加、向上が要求されている。NCLBは、IDEAで概略が示された普通児と同じ質の教育を障害児に提供する学校の責任をさらに強く、重くした。

しかし、それでも、障害児と普通児の成績の格差は大きい(Thurlow、Wiley、Bielinsky、2003年)。現在使われている一般教育課程とそれに付随する責任制度は、通常、障害児の成績向上または成績評価のために作成されているわけではない。それどころか、教育課程の開発、採用、検証のどの段階にも障害児が含まれていることは希である。従って、ほとんどの一般教育課程には、多様な学習者の向上を支援する、研究に基づいた代替の方法、教材、評価が欠けている。

一般教育課程の最も大きな欠点の1つは、柔軟性のない、印刷教材が広く使われている点である。IDEAが通過した後、全ての生徒が一般教育課程へアクセスできること、従って、一般教育課程の大部分を占める印刷教材にアクセスできるようにすることが不可欠になった。しかし、障害を持つ生徒の多くにとって、印刷技術の限界がアクセスへの障害となり、その結果、学習への障害となっている。ページ上の文字や画像が見えない生徒、本を手に持ったりページをめくったりできない生徒、文字の解読や構文の理解ができない生徒、紙に書かれた単語に集中できない生徒にとって、印刷された文字は深刻な妨げである。印刷物という媒体から意味を引き出すための苦労や、必要な支援はそれぞれ異なっているかもしれないが、彼らが直面している壁は1つであり、同じものである。それは、印刷された文字である。印刷物に基づく教育課程では、これらの生徒は、実は、単に、学習にアクセスするための適切な道具と教材がないだけなのに、学習できないと誤認されているのかもしれない。

教師は、代替の制度やプログラムの適応、調節、開発を通して、印刷教科書がもたらした障壁を削減するために最善の努力をしなければならない。現場で作成された代替案は費用がかかり、効率が悪く、研究基盤と体系的な開発が欠如していて、障害を持つ生徒が一般教育課程に本当に組み込まれるのはなく、さらに別の道が出来てしまう。これらの問題を解決し、現実的にNCLBとIDEAの優先課題を実施するためには、障害を持つ生徒にはより柔軟性のあるバージョンの教材へのアクセスが必要であり、そのアクセスは、一般の生徒が印刷教材を入手するのと同時でなければならない。

現代のデジタルデータは印刷物と同じ内容を提示することができるが、使われる媒体は、柔軟性が高く、アクセスしやすい。言葉や画像を見ることのできない生徒向けには、画像のテキスト説明を伴った点字や音声への変換がもっと簡単にできるようになる。本を手に持ったりページをめくったりできない生徒向けには、デジタル本の仮想ページなら、スイッチを軽く押すだけでめくることができる。文字が解読できない生徒向けには、どんな単語も自動的に読み上げられる。語彙の基礎知識が不足している生徒向けには、クリックするだけで定義(英語または他の言語で)が提示される。アクセシビリティー以外に、デジタルテキストには構文、意味、理解の補助情報も埋め込むことができる(BooneおよびHiggins、1993年; Dalton、Pisha、Eagleton、CoyneおよびDeysher、2001 年、MacArthur およびHaynes、1995年)。

デジタル版の長所は、これらの代替バージョンやその他の多くのバージョンが個人単位で入手できる点である。必要としている生徒は入手でき、必要としていない生徒には見えないか、邪魔にならない。デジタル版によって、教師は、それ以前には想像できなかった方法で個人の事情に合わせて教材を用意できる(Hay、1997年; Lewin、2000年; MacArthurおよびHaynes、1995年)。このように、個々の生徒に合わせて変更できる代替バージョンによって、これまでの教科書に見られた障壁を大幅に削減することが可能になった。このように教室でデジタル教材を使用することには利益があることが、たくさんの調査結果に示されている(BarkerおよびTorgesen、1995年; Bottge、1999年; Dalton他、2001年; Erdner、GuyおよびBush、1998年; MacArthurおよびHaynes、1995年; Wise、RingおよびOlson、1999年)。

B. 国内標準規格の必要性

全ての生徒のための新たなアクセシビリティーを求めた結果、アクセシブルなコアカリキュラム教材を入手できることが州および地方の教育機関にとって極めて重要なものになった。全ての生徒、特に印刷物の読みに障害のある生徒が、アクセシブルで、柔軟で、生徒に合わせて変更できる教材を幅広く入手できるようにならない限り、一般教育課程における障害を持つ生徒の確実なアクセス、参加、進歩は実現しないだろう。

いくつかの理由から、現在、障害を持つ生徒の中に、自分が必要としている高度に機能的でアクセシブルな図書にアクセスできる者はほとんどいない。認識不足の問題もある。アクセス問題や、利用できる解決案を知らない教育者は多い。しかし、大多数の生徒にとっては、アクセスの欠如は主として、印刷教科書のアクセシブルなバージョンの開発および配布のための統一システムがないことが原因である。システムがないと、タイミング良い納品ができない。

既存の開発および配布システムは、機会を生み出すどころか、障壁を生ずる非効率的な方針および手順に依存している。これらの障壁が、システムの全てのレベルにおいて、成功を妨げている。
出版社は通常、障害を持つ生徒全員が使用する、印刷教材の完全にアクセシブルなデジタル版の製作および配布は行なっていない。多くの州の法律では、読みに障害のある生徒向けに点字などのアクセシブルなバージョンに変換するために、教材のデジタル版を第三者(チェーフィー改正の著作権保護法例外規定によって定義された認可機関)に提供することが出版社に義務づけられているが、出版社は現行の規制および技術の要求事項に基づいた非効率性の問題に直面している。行政上の手順が不明瞭なことと、州レベルの一般に通用するファイル形式がないことが、出版社が法を遵守しようとする努力の妨げとなっている。世の中一般に通用するファイル形式なしには、出版社が法を遵守するのは難しい(それぞれの州、障害者組織、教師、生徒が皆、異なるバージョンとファイル形式を要求している)。さらに、現在のシステムでは、デジタル版をアクセシブルなバージョンに変換する作業の重複が増え、これらの教材の入手のために州の費用が増加し、アクセシブルな形式の受領に不必要な遅延が生じている。

さらに、これらの法律は、全ての障害を持つ子供のニーズに対処しているわけではない。1996年に制定されたチェーフィー改正は、ごく一部の障害を持つ生徒(すなわち、読みに障害がある生徒)を対象として作られたものである。代替フォーマットの教材の利用資格者は、以下のとおり、連邦規則集第36巻701.10項に規定されている。

  • 資格のある専門家によって、よく見えるほうの目の矯正視力が20/200以下<訳注: 約6メートルの距離から視標を見て、正常な視力の人が約60メートル(200フィート)離れた距離から読み取れるものしか見えない人の視力>、または、視野が20度未満と認定された視覚障害者。
  • 資格のある専門家によって、矯正視力で(視力には関係なく)標準の印刷物を読むことが困難であると認定された視覚障害者。
  • 資格のある専門家によって、身体的制限により、標準の印刷物を読んだり、使用したりできないと認定された者。
  • 資格のある専門家によって、器官の機能不全による深刻な読書障害があり、普通の方法で印刷物を読むことができないと認定された者。

チェーフィー改正に従って、現在、アクセシブルな形式の配布は、著作権の所有者への使用料を支払わず、わざと市場を経由せずに第三者の認可機関を通してデータが提供される構造になっている。様々な自由市場を通せば、障害を持つ生徒の幅広いニーズに対応できるかもしれない。例えば、出版社は、障害を持つ生徒のニーズを満たすために、完全にアクセシブルなバージョンの資料を直接作成し、配布することができるだろう。もうひとつの方法として、ライセンス制度を作って、第三者が印刷教科書のアクセシブルなバージョンの作成および配布のために教科書の著作権所有者から許可を得て、著作権使用料を支払う過程を単純化することもできる。

現在の出版のやり方も、完全にアクセシブルなデータの作成と配布への経済的な動機を損なっている。出版社が教科書に載せるために自社が作成するデータや、購入する画像に対するデジタル権を獲得するのはまだ一般的ではないからである。これらのデータはたいてい複数の版で使われる。そのため、最初のライセンス協定が結ばれた後に出版社が既存のデータのデジタル権を獲得することは困難である。 従って、市場を創設し、需要をかき立て、一般に著作権法に適合したやり方で、完全にアクセシブルなデジタルデータの作成および配布に対する経済的動機を出版社に与えることが、障害を持つ子供全員の印刷教材への完全なアクセスを確保するために重要である。

チェーフィー改正で認可機関と呼ばれている非営利機関やその指定業者が出現し、障害者の代わりに、印刷物のよりアクセシブルなバージョンを開発して、配布している。レコーディング・フォー・ザ・ブラインド・アンド・ディスレクシック(RFB&D)やアメリカン・プリンティング・ハウス・フォー・ザ・ブラインド(APH)など、最大の認可機関は全国的な組織で、長い間、生徒たちのために印刷物に代わる形式のデータを作成してきた。チェーフィー改正では、印刷に代わる形式は点字、音声、デジタルテキストに制限されている。この制限は、これらの認可機関が現在、アクセシブルなデータの作成および配布の対象となる生徒の範囲を拡大することができないことを意味している。多くの認可機関は、顧客のためにより良い方法として、デジタル版への移行を開始したが、アクセシブルなバージョンを作る標準ソースフォーマットが出版社から入手できないことが妨げとなっている。出版社が異なると、デジタル版の作成や配布に使うフォーマットやテンプレートも独自のものになる傾向があるので、認可機関が効率的なデータ変換手順を開発するのは困難である。たいていの認可機関は、印刷物からデジタル版を作成するためには、出版社からソースフォーマットの提供を受けるよりも印刷物から作成する方が簡単であると判断した。
一貫した、統一された出版社のソースフォーマットの欠如が原因で生まれた非効率性以外にも、現在、ほとんどの認可機関にはマークアップされたデジタルファイルを共有するための仕組みがなく、そうする意欲を高める刺激もないので、作業の重複問題が発生している。出版社のソースフォーマットを統一することで、その後、認可機関の間でデジタル・ソースファイルを共有するための技術的基礎が提供される。この取り組みを行えば、印刷教科書のアクセシブルなバージョンの作成に関連した、現在の非効率性の問題はさらに改善されるだろう。

非営利機関の他に、Texterity、Data Conversion Laboratory、Mazer Corporation、ghBraille LLC、Duxbury Systemsなどの営利を目的としたデータ変換関連の会社にも、商品開発の一部として、あるいはデータ変換過程の下請業者として行っている作業で、出版社の統一ソースフォーマットを採用の恩恵があるだろう。
一般的に、学校も学区も教材のアクセシブルなバージョンを一般教材と同じ入手先から直接入手するわけではないので、認可機関と協力して入手しなければならない。そうでなければ、自分たちで作成しなければならない。どちらの方法も複雑で時間がかかる。学区は、生徒ひとりひとりのニーズを満たし、様々な学校や教室で利用できる技術を使えるようなフォーマットを(1つまたは複数)明らかにしなければならない。学区は、必要なフォーマット作りの業者または手順を選ばなければならない。データを注文したら、バージョンを生徒や技術に個別に合わせるために、レポジトリー<訳注: 書籍デジタル収納>および配布のシステムを開発しなければならない。最後に、これらのアクセシブルなバージョンを使用する教師を支える地元の能力を開発しなければならない。技術やフォーマットが多すぎて、長々とした手順がさらに非常に複雑になり、データの納品が遅れ、納品されたときにはもう必要なくなっている、という例があまりにも多い。

教師が自分の学級のためにアクセシブルなバージョンを入手する方法は限られている。必要な本、注文手順、代替フォーマットを生徒へ納品する方法を明らかにする手順を定めた指針のシステムがある学区や州で働いていれば、教師は音声バージョンや点字バージョンの教科書を受け取ることができる。手順が確立されていない学区で働いている場合は、生徒に適していて、現在の教室の技術に適合したフォーマットを明らかにし、それを提供できる業者かレポジトリーを見つけることができる。手順が確立されていない学区で働いている場合の第二の選択しとしては、例えば、有資格の特殊教育専門家のような地区内の認可機関と協力して、自分たちで印刷教科書のデジタル版を作成する方法もあるが、これは時間がかかり、誤りの多い作業(有資格の点字翻訳者へのアクセスがない、など)である。どちらの方法についても、生徒に質の高いアクセシブルな教科書をタイミングよく提供できることは証明されていない。さらに、前に述べたように、著作権や市場の制約のせいで、教師は、必要としている生徒全員のためにアクセシブルなフォーマットのデータを入手できるわけではない。

アクセシビリティーに対する障壁が多い上、ファイルフォーマットの多様化のせいで起こる問題には特にいら立たされる。しかし、これらの問題も、標準ファイルフォーマットの採用によって簡単に対処できる。共通または標準フォーマットの採用は、鉄道(共通の軌間の採用)からビデオ技術(DVDやHDTVの共通フォーマットの採用)まで、他の多くの分野における進歩に不可欠だった単純化のステップである。同様に、印刷教科書のデジタル・ソース・バージョンを提供するために、共通の全国指導教材アクセシビリティー標準規格(NIMAS)を定めることは、アクセシビリティーの向上への大きな刺激となるだろう。電子出版に関連した既存の標準および現在生まれつつある標準が、教材の中身を表現から分離する柔軟な中核フォーマットの指定をサポートし、1つのソースファイルから点字、大型活字、音声など、様々なアクセシブルなバージョンの出力を可能にする。このように、たった1ヶ所変えることで、教育制度における多くの点にある多数の障壁に対処することができる。

明確で一貫性のあるファイルフォーマットを1つ作成すれば、出版社は、質の高いデジタル版の印刷教材を、変換と配布を行う全ての認可機関に迅速に、同時に届けることができるようになるだろう。
認可機関は、これらのデータをアクセシブルなバージョン(アクセシブルなデジタル版および点字印刷など)に効率的に変換し、迅速に学校や学区に届けることができるようになるだろう。
しかし、NIMAS構想は現在、既存の著作権法と例外規定であるチェーフィー改正と密接な関係にある点に注目しなければならない。この関係があるため、印刷教科書のアクセシブルなバージョンを生徒が確実に入手できるようにするためには、複数の段階を踏む手順はこれからも必要だろう。複数の段階を踏む手順には、変換のマークアップのための、ソースファイル(NIMASバージョン1.0準拠)の第三者機関(認可機関)への納品も含まれる。この二次的な(任意の)マークアップが完成したら、ソースファイルを生徒に対応したフォーマット(点字、デジタル録音図書、その他の特殊フォーマットなど)に変換する準備は完了する。この手順についてさらに詳しい説明が必要な場合は、本報告書の第IV節Aを参照のこと。

データを1つの共通デジタル形式で第三者の変換業者に提供すると、教室で簡単に実行できるようなフォーマットのアクセシブルなデータを教師が常にタイミング良く入手できる可能性は非常に高まるだろう。特に印刷字を読めない障害のある生徒は、やっと、必要なアクセシブルなデータを必要なときに入手できるようになるだろう。
いくつがの主要な州(カリフォルニア、テキサス、ニューヨーク、ケンタッキー)は、教科書の調達過程でアクセシビリティーを考慮に入れることを求める新たな法律または修正条項を既に制定しているか、または最近制定したところである。これらの州法の構想の趣旨は、障害を持たない生徒が従来の教材を入手するのと同時に、障害を持つ生徒が適切な教材に確実にアクセスできるようにすることである。しかし、生徒用のアクセシブルなバージョン作成の基となる、印刷教科書のデジタルソースの提供に関する全国規準が存在していることがこの目標には不可欠である。実は、これが、教育省の目標である、アクセシブルなコアカリキュラム教材の作成および配布のための効率的なシステム作りを実現する唯一の方法である。NIMASには、すべての生徒が利用できる学習の機会を大幅に拡大できる可能性があり、従って、これは、出版社、技術専門家、教師、支援団体、生徒にとって非常に重要である。

C. 目標

NIMAS構想の目標は、幾重にも重なっている。なによりも重要な目標は、印刷教科書の適切でアクセシブルなバージョンを必要としている生徒全員が、これを入手できるようにすることである。これらの教材を開発および配布するシステムの効率が悪いために、現在、この目標は損なわれている。システムの効率の悪さから、学校は生徒ごと(特に、印刷字を読めない障害のある生徒)に教材を提供するのに苦労している。システムの効率の悪さはの多くは、ファイルフォーマットが多数あることに起因しているので、この作業の具体的な目標は標準化に向けて前進することだった。
一般的な取組方法は、様々なファイルフォーマットではなく、複数の出力変換(点字、デジタル録音図書など)を作成できるような柔軟なひとつのソースフォーマットを採用したNIMAS案を開発し、さらに深めていく、関係者より成る委員を選出することだった。この1歩によって、アクセシブルな教材の開発および配布システム全体を通して存在する問題に対する解決策の構築が進み、以下の目標が達成されるだろう。

  • 出版社が場合によって異なるフォーマットを作成する必要を減らすことによって、第三者との関係の効率性を向上させる。
  • 多くの場合、非効果的な変換の繰り返し(印刷版から点字、印刷版から電子ブックなど)の必要性を減らし、アクセシブルな教材の開発のための統一された取組方法を確立することにより、認可機関による変換および納品過程の効率を向上させる。
  • 学校および教師向けに、入手手順を単純化する。
  • 教師向けに、実施手順を単純化する。

NIMASの開発によって、NIMASを有意義に効果的にするために対処しなければならない困難で重要な問題が多数生まれる。NIMAS開発という目標を追求する一方で、技術委員会は特に以下の疑問や問題に対処しようと努めた。

  • 州、学校、生徒がアクセシブルなデジタル教材にタイミングよくアクセスできるようにするためには、どの構造が最も確実だろうか。生徒のデジタル教材に対する要求は、時間と共に変化する。今日の問題の核心にあるのは、「ジャストインタイム」の納品に規則正しく対応できない非効率的なシステムである。その結果、生徒が教材を受け取ったときには、適切なものではなくなっていることが多い。
  • チェーフィー改正による著作権法の例外規定では、アクセシブルなコンテンツの配布は特別なニーズのある人の一部に制限されているが、この制約をどう克服するか。チェーフィー改正は、本来、アクセシブルなバージョンを必要としている生徒が、実際に利用できるように保証する方法として作成されたものであるが、対象の中には、これを必要としている多くの生徒が含まれていない。
  • アクセシビリティーとデジタル著作権管理(DRM)との技術的な矛盾をどのように調和させるか。DRMは著作権所有者によるマーケティング権の行使を促進するための、許可のない配布を制限するセキュリティ技術である。現在、DRMを効果的にするため、電子ブックのテキストデータはコピー防止のためにロックしなければならない。スクリーンリーダーやサポートされたリーディングソフトなどの人気のある補助技術ツールでは、ロックされたテキストデータは使えない。
  • 障害を持つ生徒の成績向上にアクセシブルな教材はどう役立つか。標準規格に基づいた指導(標準規格、教材、指導の実施、評価)で障害を持つ生徒を考慮に入れることに関するこれらの調査で出てきた疑問に対処する必要がある。

最終的に、これらの重要な問題に対処し、NIMASの開発という特定の目標を達成することによって、多様な学習者に便宜を提供する体系的方法の開発が州レベルで促進され、アクセシブルな教材の品質、一貫性、タイミング良い生徒への配布が保証されるだろう。

D. プロセス

連邦教育省からの命令により、同省と相談をして、全米一般教育課程教材アクセスセンター(NCAC)は商務省国立標準技術研究所(NIST)と協力し、消費者、技術専門家、実行可能性調査の専門家の代表40名より成る技術委員会を招集した。
このグループは設立以来「全国ファイルフォーマット技術委員会」と認識されており、その目標も「全国ファイルフォーマット」にあるといわれている。本報告書では、教育省からの正式な用語に合わせるために、全体を通して「全国ファイルフォーマット(NFF)」という名称を、「全国指導教材アクセシビリティー標準規格(NIMAS)」という名称に置き換えた。

技術委員会は6ヶ月間に3回招集された(全部公開。日付、時間、場所はNCAC のウェブサイトに掲載: http://nimas.cast.org)。技術委員会では3回とも、技術委員会のグループ(消費者、技術専門家、実行可能性調査の専門家)をそれぞれ代表するメンバーの貢献について議論を行った。第1回会合では、アクセシブルなデータに関する、障害を持つ生徒のニーズの特定に焦点が当てられ、消費者の代表の貢献に重点が置かれた。第2回会合では、NIMASの制定に関わる技術問題の特定に焦点が当てられ、技術専門家の代表の貢献に重点が置かれた。第3回会合では、実行可能性の問題(知的財産権関連、市場の緊急性など)の提起に焦点が当てられ、実行可能性調査の専門家の代表の貢献に重点が置かれた。委員会の全会合の詳しい概要は上記のウェブサイトで入手可能である。

これらの会合を通して、技術委員会は、アメリカ合衆国法典第2編第15条a項「成人の視覚障害者に対して図書を提供するための法律」および同法に基づく著作権法の例外規定(121条、1996年「チェーフィー改正」など)の制約に従い、指導教材アクセシビリティー標準規格案を作成し、修正を重ねた。121条は、著作権の所有者に対して著作権使用料を支払わずに、資格を有する、印刷物の読みに障害のある人に対する非演劇的作品のアクセシブルなバージョンの提供を許可するものである。
代表たちは、討議のために特定の情報を各会合前に提出するよう要求された。各会合の後、CASTは討議の記録をまとめて、見直し、討議、修正のためにこれらの項目の草案を回覧した。これらの会合後の連絡はインターネットフォーラムやフォローアップの電話会議で行われた。

E. 技術委員会

商務省国立標準技術研究所(NIST)と協力し、NCACは技術委員会のメンバーとして以下のグループから各40名を召集した。

  • 消費者を代表する団体(視覚、印刷物の読みなどの障害を持つ人を支援する団体、州や地方の教育関係者の代表など)
  • 障害(視覚、印刷物の読みなどの障害)を持つ生徒の親を代表する団体
  • 教材の出版社またはそれらの組織メンバー(学区、米国出版社協会など)
  • 支援技術の開発者またはそれらの組織メンバー(支援技術産業協会など)
  • 特殊フォーマットのデータの作成者(レコーディングフォーザブラインド&ディスレクシック(RFB&D)、アメリカン・プリンティング・ハウス(APH)など)
  • 州の特殊教育プログラムの行政官またはそれらの組織メンバー(National Association of State Directors of Special Education: 全米州特殊教育ディレクター協会など)
  • 特殊教育の専門家および地方の行政官
  • 教科書を採択している州の教科書行政官または、それらの組織メンバー(National Association of State Textbook Administrators:全米州教科書行政官協会など)および、教科書を採択していない州の同等の職員
  • アクセシビリティー、出版ソフトおよび支援技術の開発者
  • 情報技術規格団体(アクセス委員会など)
  • アクセシブルなファイルフォーマットの作成および自動変換技術に相当の経験を持つデータ変換業者

技術委員会のメンバーは、障害を持つK-12<訳注:幼稚園から高校3年生まで>の生徒の教育特有のニーズを識別し、詳しく説明する専門知識、アクセシブルなデジタルデータの有用性の向上に対する投資経験、教育課程の計画における経験、技術的専門知識を持っていることから選ばれた。
技術委員会は、上に示したグループの代表に加えて、ハーバード大学の法科大学などのNCACのパートナーや、教育長官が職務上の委員会メンバーとして任命した同省の職員3人にも批評や指導を求めた。
技術委員会の責務は教育長官に「アクセシブルな教材の効率的な配布を促進するための技術仕様一式、標準規格案の実施スケジュール、標準規格実施の成果の評価手順」を提供することだった。

F. 会合の概要

第1回会合

2003年1月7日に開催された第1回会合では、技術委員会は消費者グループのニーズに対処し、指導教材アクセシビリティー標準規格が取り扱わなければならないフィーチャーや機能のリストの作成を開始した。この議論のための情報として、消費者グループを代表する各参加組織には、生徒のためになるフィーチャーおよび機能を列挙した希望リストを提出するよう求められた。同時に、CASTは技術委員会のメンバーではないが利害関係のある消費者からもコメントを集めた。会合での議論や情報に基づいて、CASTは、指導教材アクセシビリティー標準規格案のフィーチャーや機能の作業リストを作成し、技術委員会メンバーに回覧し、批評とフィードバックを求めた。委員会のメンバーには、CASTが設置したOnline NFF Communityにおけるオンライン討議を通して、作業リストに関する議論および修正の機会が与えられた。2月初めの短時間のフォローアップ会議/電話会議で、提案されたフィーチャーや機能が承認された。
第1回会合の詳しい概要については付録Aまたは会議概要オンラインhttp://www.cast.org/ncac/index.cfm?i=3190&option=Summaryを参照のこと。

第2回会合

2003年3月11日に開催された第2回会合では、技術委員会は、技術専門家グループの関心事について取り組み、指導教材アクセシビリティー標準規格のための技術仕様を明らかにする作業を開始した。会合の前に、技術専門家グループの代表は、希望リストを考慮して既存のファイルフォーマット、アクセシビリティーの指針、新しい技術について見直し、勧告および懸念を述べるように求められた。第1回会合と同様、CASTは、委員会のメンバーからのコメントとフィードバックを調整し、会合後に技術標準規格案を回覧した。技術委員会のメンバーには、NFF技術委員会のウェブサイトや、3月末に開催されたフォローアップ会議/電話会議でこれらの技術標準規格案について議論および修正する機会が与えられた。
会議概要オンライン http://www.cast.org/ncac/index.cfm?i=3196&option=Summaryを参照のこと。

第3回会合

2003年6月9、10日に開催された第3回会合(最終会合)では、技術委員会は、市場の影響、著作権上の制約、自主標準規格の広範囲な採用の実現に必要な手続きおよび手順について評価を行った。実行可能性調査の専門家グループの代表は、このテーマに関するコメントを会合前にCASTに提出するように求められた。会合後、CASTはもう一度、技術委員会のメンバーに一連の勧告案を回覧し、NFFのウェブサイトや、フォローアップ会議/電話会議で勧告について議論および修正する機会を与えた。
第3回会合の詳しい概要については会議概要オンラインhttp://www.cast.org/ncac/index.cfm?i=4193&option=Summaryを参照のこと。

技術委員会の共通認識および理解

3回の会合の間に、NIMASが障害児のための教材へのアクセスを向上させる必要性に関して、技術委員会の共通認識が得られた。共通認識が得られたのは次の4点である。1) NIMASの指針、 2) NIMASの基本のフォーマット、3) NIMASのフォーマットの適用、4) NIMASの限界と制約

A. 生徒のニーズを明らかにする

以下の第III 節に詳しく述べたように、技術委員会はNIMASの採用および実施に関する一連の指針を作成した。これらの指針には、障害を持つ生徒が印刷教材にアクセスするときに直面する障壁に関する技術委員会の評価が反映されている。これらの指針は、障害を持つ生徒に教材へのアクセスを提供することの意味の限界を定めようとするものである。指針は、単独では規範的なものでも規制的なものでもない。むしろ、NIMASに従っている人々が、教材へのアクセス提供という目標を特定の適用が満たしているかどうかを判断するのを助けることを意図したものである。

B. 全国指導教材アクセシビリティー標準規格の基本フォーマット

技術委員会は、新しい標準規格の作成ではなく、既存の標準規格の利用と実施のための指針を開発することを選んだ。この決定を下した主な理由は、技術委員会には、報告および勧告作成上の時間の制約があったからである。時間の制約が、全く新しい標準規格の開発の妨げとなった。技術委員会はANSI/NISO Z39.86、DocBook、単純なASCIIファイルなど、いくつかの異なる標準規格を検討した。意義深い議論を行い、主として、多様な障害児のニーズに対処するため、様々なフォーマットに出力できるようにするため、新たなニーズが明らかになったときに対処できるよう拡張するため、そのうち簡単に変化させるため、拡張可能なフォーマットを採用すべきであるという結論に達した。さらに、既存の標準規格の中には、技術委員会が明らかにしたニーズと同じニーズの多くに対処する目的で開発されているものがいくつかあることを確認した。これらの標準規格のいくつかは既に、教育界で影響力を持っており、従って、既にこれらの標準規格で教材を提供する技術を有するデータ変換業者や出版社にも影響力があった。

特に、NIMAS技術委員会とZ39.86諮問委員会の両方で委員を務めるメンバーたちは、ANSI/NISO Z39.86を検討するよう技術委員会に正式に提起した。これらのメンバーたちは、Z39.86に関する以下の背景情報を提供した。

Z39.86が長く熱狂的に支持されている重要な要因の1つは、DTBookの中に識別されるXMLのソースコンテンツをサポートしているからである。NIST2001電子出版会議での実演で、DTBookの中に暗号化されているソースファイルが示され、そのファイルから、点字、マイクロソフト・リーダー版、デジタル録音図書が作成された。従って、DTBookによって、1つのソースファイルから多くのフォーマットを作成することができる。以下のようにZ39.86 は幅広い分野で支持されている。

  • NLS、RFB&D、APH、アメリカ盲人連盟(AFB出版経由)、BookShareなど、障害者にコンテンツを提供している全国組織がZ39.86の実施を行っているか、実施する計画をしている。
  • 点字翻訳ソフトの開発者がZ39.86に対応するためのツールを作成している。
  • AFB教科書・教材に関する問題解決フォーラムは、訓練プログラムのさらなる開発において、Z39.86をサポートする準備をしている。
  • 国際的には、DAISYのXML技術の作業グループが、Z39.86の実施および訓練に焦点を当てている。
  • 出版社のコンテンツを変換するデータ変換業者がDTBookとZ39.86に大きな関心を示した。
  • 記録ソフトの開発者たちがZ39.86の実施を計画している。
  • マルチメディアの開発者たちがZ39.86を強化することのできる識別機能に注目している。
  • プレイバックやリーディング・システムの開発者たちがZ39.86の実施を計画している。
  • Z39.86がオープンソースの開発の対象となっている。
  • 諮問委員会が支援ソフトや有効なサンプル実装の開発を行っている。
  • 国連が、すべての人が情報にアクセスできるようにするためのDAISY標準規格に対して強い関心を示した。

これらの要素に基づき、技術委員会は、NIMASにANSI/NISO Z39.86のDTBookエレメントセットを適用することに合意した。NIMASに既存の標準規格を適用することで、技術委員会は、DTBookエレメントセットを2つの異なるグループに分けることができた。

基本エレメントセット: これらのタグでマークアップされたデジタルファイルは出版社から提供され、NIMAS 1.0を構成する。

選択エレメントセット: 後に教科書をアクセシブルな形で表示するために必要。認可機関がNIMASに準拠したデジタルファイルにこれらのタグでさらにマークアップして、生徒に対応したバージョン(点字、デジタル録音図書など)に変換する準備をする。

ANSI/NISO Z39.86は「デジタルな録音図書(DTB)を構成する電子ファイルセットの形式と中味を定義する」(http://www.niso.org/standards/resources/Z39-86-2002.html)。一般に、「DAISY(アクセシブルな情報システム)」と呼ばれ、印刷物をアクセシブルなデジタル版に変換するための技術的な手順を提供している。次の節は『DAISY構造の指針』からの抜粋である(以下のウェブサイトで入手可能http://www.daisy.org/publications/guidelines/sg-daisy3/structguide.htm#contents)。

DAISYのDTBは、全盲、弱視、印刷物の読みに障害のある人々のために、印刷物をアクセシブルな形式で表示したデジタルファイルを集めたもの(以下、「ファイル」と呼ぶ)である。これらのファイルには肉声の録音、マークアップされたテキスト、機械が読み取れる広範囲のファイルが含まれている可能性がある。
DAISYのDTBの構造はXMLタグで指定され、読者はブラウザーかプレイバック装置を使用してアクセスする。インターネット技術が利用されていて、情報へのアクセスの大幅な向上のために、いくつか専門のアプリケーションも追加されている。

DAISY 3は以下の種類のDTBを全てサポートしている。

  • 音声とタイトル要素のみ: 構造を持たないDTB。これはDTBの中でも最も単純なもので、構造を持たない図書に使用される。XMLテキストのコンテンツファイルは含まれない場合もあるが、含まれている場合でも、図書のタイトルと他の必要な記号だけしか含まれない。図書は直線的に読まなければならない。DTBの中のポイントに直接にアクセスすることはできない。
  • 音声と見出しのみ (下記の「見出し」を参照): 構造を持つDTB。XMLテキストのコンテンツファイルがある場合、図書の構造のみが含まれ、ナレーション付き脚注などの機能へのリンクが含まれる場合もある。これが最も一般的なDTBの形式で、スタンドアロンのプレーヤーではこの形式が理想的である。
  • 音声、見出しと一部のテキスト: 構造と一部のテキストによるDTB。XMLテキストのコンテンツファイルには図書の構造と、索引や用語集など、キーワード検索とテキスト検索に必要なテキストのみが含まれる。
  • 音声とフルテキスト: 構造とフルテキストおよび音声。この形式のDTBは最も複雑であるが、最高のアクセスが提供される。XMLテキストのコンテンツファイルには、図書の構造とフルテキストが含まれる。音声とテキストはシンクロしている。
  • フルテキストと一部の音声: 構造、フルテキスト、一部の音声のDTB。XMLテキストのコンテンツファイルには図書の構造とテキストが含まれる。音声ファイルにはテキストの一部の録音が含まれる。この種類のDTBは、発音のみ音声形式を使う辞書に利用することができる。
  • テキストのみで音声はなし: 構造を持つ電子テキスト。XMLテキストのコンテンツファイルには図書の構造とテキストが含まれる。音声ファイルはない。

XMLによって図書の製作者は、非常に細かく構成することができるようになる。HTMLと比較して、XMLはマークアップの種類が多く、さらに複雑な構造と、適切な入れ子状態が可能になる。

DAISY 3に従い作成されたDTBには以下のファイルの一部または全部が含まれる。

  • パッケージ・ファイル(オープン・イー・ブック・フォーラム(OEBF)のパブリケーション・ストラクチャー1.0.1から作成)。DTBに関する管理情報、構成ファイル、これらのファイルの相互関係を含む。
  • 適切なマークアップを伴う、図書のテキスト(一部または全部)を含むテキストのコンテンツファイル。
  • 図書を朗読する人間の声の録音を含む音声ファイル。
  • 音声ファイルとテキストのコンテンツファイルをつなぐ情報を含む同期マルチメディア統合言語(SMIL)ファイル。
  • 見出し(NCX)。図書の中の全てのポイントを含むファイルで、ユーザーはこの範囲内で移動することができる。

著作権 c 2002 DAISYコンソーシアム
http://www.daisy.org/publications/guidelines/sg-daisy3/part1.htm#auto_0000

ANSI/NISO Z39.86 (DAISY 3)は、テキストのコンテンツを音声(デジタル化した人間の声および合成音声の両方)によって幅広くサポートすることに加えて、他の媒体への対応も行っている。画像ファイル、絵、チャート、グラフ、表、地図などをそれに対応するテキスト(見出し、長い説明)と一緒にDTBに組み込むことができる。ANSI/NISO Z39.86は同期マルチメディア統合言語(SMIL)を使用しているので、他のアクセシブルなメディアをDTBに追加することができるようになっている。さらに詳しい情報が必要な場合は、以下のサイトを参照のこと。http://www.niso.org/standards/resources/Z39-86-2002.html#SMIL.

ANSI/NISO Z39.86は非常に複雑なため、技術委員会は、完全な標準規格は、現時点では、出版社の能力を超えていると判断した。従って、もっと幅広い標準規格は、後日、適切な組織が簡単に組み込むことになるだろう。

C.既存の標準規格との整合

NIMASに既存のANSI/NISO Z39.86を適用することで、デジタル形式やアクセシビリティーの分野の既存の国内および国際的な指針や標準規格のすべてと整合が取れるようになる。名称の頭文字にあるように、ANSI/NISO Z39.86は以下のように正式に承認されている。

  • 全国情報標準組織(NISO)が開発した全米標準規格
  • 2002年3月6日、米国規格協会(ANSI)が承認。

DAISYコンソーシアムは、一貫して既存の標準規格を土台にしてANSI/NISO Z39.86の開発を行っている。1998年にワールドワイドウェブコンソーシアム(W3C)がSMILを標準規格に採用した後、DAISYはW3Cの活動に全面的に歩調に合わせ、HTMLと共にSMILをDAISY 2.0に採用した。1999年、DAISY仕様にXMLサポート(W3C規格の1つでもある)が加えられ、DAISY 2.01となった。2001年、W3CのXHTML 1.0とSMIL 1.0を土台としたDAISY 2.02 が発表された。ANSI/NISO Z39.86 2002はDAISY 3.0を表している。

1998年、NISTの奨励を受け、電子ブックのオープン規格の作成に関心を持つ出版社によってオープン・イー・ブック・フォーラム(OeBF)が設立された。1999年、OeBFはeBook Publication Structure 1.0を発表し、アクセシブルなXMLを標準規格に制定した。これによってDAISYコンソーシアムとOeBFの作業の間の相互運用が進められるようになった。

NIMAS 1.0にANSI/NISO Z39.86 2002を適用することで、NIMAS 1.0に準拠した教科書ファイルが、アクセシブルなデジタルデータに関連した既存の標準規格や仕様の全てをサポートした構成が保証されるようになる。

D. 全国指導教材アクセシビリティー標準規格の限界と制約

NIMAS案は途方もなく大きな一歩であるが、現時点で、確認すべき重要な限界と制約がいくつかある。

  • 技術委員会が開発したNIMAS準拠のファイルそれ自体では、障害を持つ生徒が使用できないという点は注目に値する。生徒が使用できるようにするには、これらのファイルを点字への出力、電子ブックリーダー、その他の代替フォーマットに適した形に変換しなければならない。NIMASの目的は、手順の一部を自動化することによって、その後の変換作業を簡単にすることである。そうすれば、データのアクセシブルなフォーマットへの出力に必要な時間を大幅に削減できるようになるだろう。
  • 合意されたNIMASの指針には、点字への直接出力や電子図書や録音図書に必要なテキストの完全なマークアップさえ要求されていない。DTBookのエレメントセットには、これらのフォーマットへの変換には重要であるが複雑で、適切なタグ付けには熟練した人間の関与が必要であるとされてきたその他のタグが多く含まれている。技術委員会は、既存の著作権法と調整して、現行のシステムの中で適切なタグ付けを行う熟練した人間の技術を提供して、生徒に対応した代替フォーマットを出力するファイルを作成している第三者のデータ変換業者(「認可機関」)にこの追加作業を任せることに合意した。しかし、教科書の出版社に知的財産の利用の許諾とそれを行う経済的動機の両方がある場合は、この合意は教科書の出版社が完全なマークアップを行うことを制限するものではない。
  • それにも関わらず、マークアップを行う人間、マークアップにかかる時間、作業の重複の可能性についての懸念は消えない。 現行の制度の下では、データ変換業者はそれぞれデータのマークアップを行う。DTBookに完全に準拠させるために基本のNIMASのマークアップを拡大する場合もある。また、データ変換業者は、その段階のマークアップ手順を完了するために、専用タグ(例えば、合成音声の単語の発音表記)を追加するだけの場合もあるだろう。最良のシナリオは、データ変換業者によるDTBookの完全なマークアップと、完全にマークアップされたファイルの集中管理だろう。完全にマークアップされたファイルが入手できなければ、競合するデータ変換業者による専用マークアップされたファイルの共有は期待できないだろう。そうなったら、ある州の生徒向けに完全にマークアップされたファイルを他の州の生徒が使用できないという事態になるかもしれない。州がそれぞれ、完全なマークアップのために契約し、お金を払わなければならず、アクセシブルなバージョンの教材の納品が遅れるという問題は永遠になくならないだろう。これらは、これから対処しなければならない問題である。重複作業が永久になくならないという問題を解決しなければ、真に実行可能な全国標準規格の制定という目標は大幅に損なわれてしまう。
  • 技術委員会は、NIMASが障害を持つ生徒全員のアクセシビリティーのニーズを満たすものではないことを認識している。技術委員会の会合で、障害を持つ生徒全員のアクセシビリティーのニーズを満たすことのできる標準規格の作成と、チェーフィー改正や著作権法のその他の条項の持つ現実との間に対立があった。これらの法律では、著作権所有者の許諾なしでは、印刷物の読みに障害のあることが確認されている子供に対するアクセシブルなデータの提供は制限される。技術委員会の出版社の代表メンバーは、印刷物の読みに障害のある人の狭い法律上の定義からはずれた人々をアクセシビリティーの対象に含め、著作権法侵害を助長する可能性がある標準規格を採用することに対して懸念を示した。しかし、技術委員会の他のメンバーは、著作権の制約に関わらず、もっと広範囲の障害を持つ生徒のニーズに対処した標準規格を確保したいという意見だった。
  • 教育者もこのジレンマを感じていた。著作権法の例外規定があるにも関わらず、教育者にはアクセシブルな教材を障害を持つ生徒全員に提供する法的義務があるためである。教育者が出版社に対して、障害を持つ生徒を含む全ての生徒が使う教材のアクセシブルなバージョンを要求し、出版社から購入することを制限する法律はない。しかし、市場の要求が少ないことがこの取組みの実現性の妨げとなっている。教育者が購入する可能性のあるアクセシブルな市販の教材はほとんど出版されていない。さらに、現在は、障害を持つ生徒全員が使用するアクセシブルな教材の標準規格はない。このジレンマを解決することは、教育省からNIMASに課せられた責任の範囲からは明らかに外れていたので、技術委員会は、印刷物の読みに障害のある人々の狭い法的定義外の人々をアクセシビリティーの対象としてNIMASに含める努力はしなかった。

委員会が勧告した技術仕様

委員会は3回の会合の後、技術仕様のアクセシビリティと教育学的な基盤となる一連の管理原則および技術仕様自体をまとめた。管理原則は、以下の項目に分けて提示された。

全国指導教材アクセシビリティ標準規格(NIMAS)の管理原則

原則 1: NIMASには十分な拡張性を持たせて、多様な表示形式への変換(テキストから点字、非テキスト要素のテキストに相当する形式など、適切なフォーマットへ)をサポートしなければならない。

原則 1の理由: NIMAS 準拠のファイルは、障害を持つ生徒が使用する形式への変換を意図して作成されている。現在、このファイルの使用は、著作権法第121条に従い、「視覚障害者またはその他の障害者」としての適格性が認められた生徒に限定されている。しかし最終的に、NIMASが個別障害者教育法(IDEA)、アメリカ障害者法またはリハビリテーション法504条に従いサービス・便宜を受ける資格を持つ全ての生徒にアクセス可能な教材を提供するための基盤となることが予想されている。従って、NIMASの仕様には十分に柔軟性を持たせて、現在と将来の両方の変換の必要をサポートできるようにしなければならない。

  • NIMASは、テキストから音声へ、テキストから適切にフォーマットされた点字へなど、媒体の種類の変換に役立つものでなければならない。
  • NIMASは、テキスト・キャプション付きのビデオ、ビデオの説明など、複合的な内容を持つ媒体の同時および同期表示の挿入をサポートしなければならない。
  • NIMASは、調節できる程度に複雑な内容を提供するため、階層型コンテンツ要素(テキスト、画像など)の挿入をサポートしなければならない。

原則 2: NIMASは、印刷物(テキスト、画像、図、表など)に含まれる全ての媒体の挿入をサポートしなければならない。

原則 2の理由: 原本の印刷物の内容は、適格な生徒のニーズによって、聴覚的、図式的または触覚的に、またはこれらの媒体を組み合わせて表現される場合がある。従って、原本の印刷物の内容は「全部」、変換できるようにすべきであり、その目的(意味)は指導順に明確に表示されなければならない。

  • NIMASは、全ての画像データ(写真、画像、図、フローチャート、表など)の挿入をサポートしなければならない。
  • NIMASは、倍率変更が可能な高解像度の画像要素の挿入をサポートしなければならない。
  • NIMASは、非テキスト要素(画像、装飾、 ナビゲーション、情報提供など)の文脈的な意味を識別する意味情報の挿入をサポートしなければならない。

原則 3: NIMASは、印刷物の構造情報(章、節および小節、段落、改ページおよびページ番号、必要な場合は行番号、索引、目次など)を組み込めるようにしなければならない。

原則 3の理由: デジタルテキストは、教室で印刷教科書と一緒に使用されることが想定されているので、共通の基準点が必要になる。現在、改ページと段落がその機能を果たしている。他の媒体の形式へ正確に変換できるようにするため、この基準システムの構造を少しも損なうことがないようにしなければならない。

  • NIMAS は、アクセシブルなバージョンを使用する生徒も印刷物を使用する生徒も平等に経験できるよう保証するため、テキスト要素と非テキスト要素の間の柔軟な移動をサポートしなければならない。
  • NIMASは、学習に関連した意味情報(概要、主題文など)の挿入をサポートしなければならない。

原則 4: NIMASは、印刷物のよりアクセシブルな形式への効率的かつ自動的な変換を促進しなければならない。

原則 4の理由: NIMASは、処理をできるだけ自動化し、複数の表示形式(点字、デジタル録音図書など適切なフォーマット)に変換できるようにしなければならない。そうするために、NIMASは、一貫した規則を有し、細かい要約レベル(粒度)をサポートし、将来の変更に対応した標準構造に基づいたものにしなければならない。

NIMASは、DTD準拠およびNIMAS構造指針準拠の妥当性検証機能をサポートしなければならない。

原則 5: 標準が利用可能になるのに伴って、NIMASは、特殊な記号を必要とする学問(数学や音楽など)など、学問の全ての分野に対応しなければならない。

原則 5の理由: 内容教科(特に、言語芸術、社会学、歴史、情報の表示が主としてテキストに基づき、画像で補っている教科)の中には幅広く受け入れられている構造マークアップを既に行っている分野もある。技術的に可能な場合は、数学、音符、科学(英数字体系、数式、演算規則、公式など)の標準の構造マークアップをNIMASに組み込まなければならない。

全国指導教材アクセシビリティー標準規格の成功の保証

A. 品質保証

技術委員会の第3回会合で議論されたように、品質保証は2つの異なる要素に分けることができる。すなわち、検証(NIMAS仕様に準拠して開発されたファイルが、正当なNIMASファイルであることの検証)と品質(正当なファイルに適用されたエレメント(タグ)が、推奨された指針に従って付けられたことの保証)である。

検証プロセスは自動処理(機械ベース)することに大筋で合意している。NIMASファイルは、自動検証ツールを使って、提出されたファイル(エレメントの存在、エレメント階層、属性の適切な使用など)と要求された構造とを比較して分析することができる。

現在、NIMASファイルの質の自動的な確保は実現できそうにない。印刷物の完全性を維持するのに必要な正確性をエレメントと属性に与えながら、同時にアクセシビリティーを確保することは大変な作業である。一般的な教材や、特に教科書に関しては、印刷物の構造的な要素(見出し、目次、補足など)は、章、単位、節や、それぞれの下位の構成要素を区切る方法である。さらに、構造的な要素や他の要素(画像、用語、引き出し線のついた囲みなど)の中には、意味に深みを与えるものもあり、これらの要素の確認および配置は、印刷物の教育的な趣旨の範囲内でその目的を助けるものでなければならない。これらの要素をアクセシブルにするために行う変換およびタグ付けは、可能な限り教育という趣旨を支えるものでなければならない。

コンテンツ開発者にとって、タグ付けされたファイルの品質を保証する最も良い方法は、既成の指針に従って開発することである。この場合、NIMASはANSI/NISO Z39.86を適用しており、それに関連したエレメントはDTBookエレメントのサブセットである。要求事項の指針は『DAISY構造ガイドライン』 (http://www.daisy.org/publications/guidelines/sg-daisy3/structguide.htm)に掲載されている。このガイドラインには適切なタグ付けのためのエレメントごとのプロトコルが記載されていて、NIMASファイルの提出を考えているコンテンツ作成者はこのガイドラインの要求事項に精通していなければならない。しかし、コンテンツの開発者は、各エレメントや適用について詳しく記述する以外に、提案されている手順の理論的根拠を詳しく知り、理解していなければならない。DAISYコンソーシアムは以下に示した『アクセシブルな図書および資料の作成および製造の原則声明』を発表した。

バージョン 1.0

最終改定日: 2002年6月14日

本原則声明には、視覚障害者向け図書館および代替フォーマットのデータの作成者が満たすべき最低基準が示されている。

DAISYコンソーシアムは、以下について支持を表明する。代替フォーマットのデータは、視覚障害者または印刷物の読みに障害のある人々が社会の他の全ての人たちと同じ情報にアクセスできることを保証するため、印刷物を忠実に表現したものでなければならない。本原則を採用する図書館または代替フォーマットのバージョンの作成者は、これらのバージョンは、どの国で作成されたかに関わらず、できる限り厳密に原本の印刷物を再現し、アクセシブルなものにすることを読者に保証する。

本原則では、「アクセシブル」を次の通り定義する。「印刷物を点字、音声、大型活字または電子テキストなどの代替フォーマットに変換して、印刷物の読みに障害のある読者が出来る限り簡単に、完全にその文書から情報を取り出すことができるような形にすること。」

DAISYは代替フォーマットのデータの作成および製造において、以下の原則を支持する。

  • 作成者は、印刷物の完全性を出来る限り尊重し、維持する。作成者は、情報へのアクセス提供にどうしても必要でない限り、コンテンツの変更または、重要な要素を削除しない。
  • 読者がコンテンツにアクセスできるようにするために、作成者が元の印刷物の順序を変更したり、視覚データの説明を追加したりすることが必要な場合があることを認める。
  • アクセシビリティーを唯一の目的として、印刷物の表現を変更する必要がある場合は、作成者が追加または削除する情報は全て、その旨を明らかにしなければならない。
  • 作成者には、印刷物の一部のみを作成しなければならないことがあることも認める。これらの部分的な作品についても、その旨を明らかにしなければならない。
  • デジタルデータの作成者には、読者のアクセスとナビゲーションを促進するため、印刷物に構造を持たせるよう勧める。

対象: DAISYコンソーシアムおよび国際図書館連盟(IFLA): 視覚障害者向け図書館部門
日付: 1999年1月27日(著作権 c 2002年DAISYコンソーシアム)http://www.daisy.org/publications/guidelines/sg-daisy3/principles.htm#title

本原則は、印刷物のアクセシブルなバージョンの作成という目標を明確に記述したものであり、コンテンツの作成者は、アクセシブルなバージョンを作成するときに、積極的に本原則を適用しなければならない。

DAISY原則声明の中の「完全性」という用語は、構造的な要素とその表示順序を維持することを指している点に注意しなければならない。構造的な要素(および追加の意味的エレメント)が持つ教育的な目標の維持に関しては、特に、アクセスの促進だけではなく、障害を持つ生徒の成績向上という趣旨の範囲内では、まだ指針には明確に示されていない。

NIMASの実施を成功させるには、アクセシビリティー分野の専門知識と教育設計の分野の専門知識を組み合わせなければならない。障害を持つ生徒が使えるようにするだけでなく、実際に彼らの成績を向上させるような、公平な教科課程の資源を提供することが必要である。

B. 文書化と訓練

NIMASは現存する標準規格を適用しているので、特にテキストや構造エレメントのタグ付けに関しては、既に大量の文書が存在しており、公開されている。エレメント、属性、階層の使用のプロトコルは適切なNIMASの構造化されたマークアップの実際的な例(モデル)で強化する必要がある。これらのモデルを作成し、全ての利害関係者が利用できるようにするために、現在、多くの補足的および協力的な作業が行われている。

全ての学年 (プリキンダーガーテンから12年生まで) に渡って、受け入れられているマークアップ方法が存在する全ての教科(言語科目、社会科など)において、教科書の変換サンプルを集めなければならない。できるだけ広く統一的に使用されるように、これらのモデルは公開して、素早い分析を受け入れるようにしなければならない。

さらに、教材におけるグラフィックエレメントのアクセシビリティー向上、配置、目的に関する文書も作成する必要がある。アクセシビリティー向上のためにデジタルメディアの柔軟性を利用することを目的としたこれまでのアクセシビリティー構想の大多数は、主としてテキストに焦点を当てたものだった。従って、教育上の目的を維持するために、グラフィックエレメントを効果的に表示する指針、モデル、プロトコルを開発する必要がある。

C. 配布

国家規模でNIMASを実施するために最適な作業の流れを決定することは、技術委員会の仕事の範囲外であり、したがって、技術委員会の正式な勧告には含まれていない。しかし、技術委員会の全メンバーは、出版社、州、地域の教育機関および学校でのNIMAS採用を首尾よく進めるためには、最終報告の中に配布に関する議論を含めることが極めて重要であるという意見だった。

  • 強制的(配布): アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)でNIMAS準拠を州や出版社に義務づける修正案が再承認された場合、効率の良い、安全で品質が保証された作業の流れをタイミング良く作成することが必要になる。
  • 自主的(配布): NIMAS仕様が自主的標準規格になる場合は、早期採用を考えている出版社と州には、技術委員会の作成した作業の流れに関する勧告が役立つだろう。
  • 自由市場: 各州、地方、学校への直接販売に利用できるアクセシブルな表示フォーマットに後で変換するのに、NIMAS仕様が教科書の出版社が開発したソースドキュメントの基礎的エレメントとなる場合、作業の流れに関する提案は、出版社にも教育機関にも役立つだろう。

上で説明した3つの実施カテゴリーの中にはそれぞれ、保管および引渡しに関する選択肢が2つ考えられる。それは集中と分散である。例えば、集中配布システムは、仕様を強制的または自主的に実施した場合に引渡しコンポーネントとして存在するかもしれない。引渡しの分散システムも、仕様の実施方法に関わらず、適用される可能性がある。従って、それに続く作業の流れに関する提案で、保管および引渡しの両方の種類が明らかにされている。

注: 以下の作業の流れの手順の分析は、最初、技術委員会メンバーのDave Schleppenbach、Martin Hensel、Rick Ferrie が作成し、2003年4月14日、技術小委員会に付託された。その後、小委員会での審議で出てきた事項を反映して編集と追加が行われた。

D. 現行の著作権の制約の中の作業の流れ

以下に概略が示された作業の流れは、現行の著作権法121項の例外規定(チェーフィー改正)の制限内でNIMASに準拠したアクセシブルな教科書を作成、検証、配布する手順を示している。チェーフィー改正に準拠した配布モデルの中では、強制的な検証および引渡し作業が、集中システムを通すか分散システムを通すかにかかわらず、以下の3つの段階が必要になる。

生徒が実際にアクセシブルな教科書を入手できるようにするためには、以下の3つの大きな段階を通らなければならない。

  • 出版社マークアップ(基本のNIMAS): これは、NIMASを実現するために達成しなければならない最低限の要求事項である。このNIMASに準拠したXMLファイルと一緒に、制作するために参照する埋め込み画像を添付したPDFファイルを提供するのは出版社の責任である(注: ファイル名未定)。図書のページ番号に基づいて画像ファイルに番号を付け、その後に流れを示す番号を順につける(13-1、13-2、以下同様、など)方法を提案する。画像は全て含めなければならない。画像の適切な解像度の調整や、どの画像を代替フォーマットに移す必要があるかという調整は、価値の付加段階に任せる。この中核となるNIMASファイルは、教科書の出版社が社内の資源を利用して作成しても良いし、ベースマークアップ組織(出版社がNIMAS準拠のソースファイルを作成するために雇う第三者組織または企業)を使って作成しても良い。
  • 第三者マークアップ(点字、デジタル録音図書、音声などNIMASの具体的な実施のためのもの): これは、点字、デジタル録音図書、音声という従来の形式でアクセシブルなファイルを実際に作成するために必要な段階である。第三者の価値を付加する組織(チェーフィー改正に基づく認可機関)が行う可能性が最も高い。しかし、厳密に言うと、アクセシブルなコンテンツを印刷物と一緒に表示価格で販売する目的で、出版社自身が(または、ベースマークアップまたは価値を付加する組織と協力して)この作業を行うことを妨げるものは何もない。同様に、XMLの変換ができる州は、この段階を自分たちの手で行う選択をすることもできる。
  • 表示フォーマットの引渡し: 変換された教科書の生徒に対応したアクセシブルな最終的バージョンは、著作権法の第121項(チェーフィー改正)の規定に従い、対象の生徒に監視の下で配布するために、州および地方の教育機関に引き渡される。州または地方の教育機関は、価値を付加する組織と協力して、チェーフィー改正の規定の遵守を維持する上で、適切な配慮を確保する責任を有する。

上記の第1段階も第2段階も、生徒に対応した代替のアクセシブルな教科書を作成するために必要なソースファイルの作成に必要である、という事実をもう一度強調するのは重要である。これらのアクセシブルなバージョンを作成するのには、提案した基本のマークアップでは十分ではない。集中レポジトリー(以下を参照)を設立すれば、第1段階と第2段階を合わせて、よりまとまった1つの仕組みを提供することも可能であるが、他に論理的な案か明確な市場の要求が出てこない限り、教科書のアクセシブルなバージョンの作成手順はこれからも分割されたままだろう。同時に、作成手順の分割によって、非効率性と重複の問題はこれからも生じるだろう。

E. ファイルの妥当性検証と配布

NIMAS準拠ファイルの配布方法の正式な検討は技術委員会の仕事の範囲外ではあるが、委員が実際に顔を合わせた3回の委員会の会合や、その間のオンライン会議および電話会議で、この手順がどう進むかについては何度も話題に上った。技術委員会は、全盲、弱視および印刷字を読めない障害のある生徒に一貫性のある、質の高い、アクセシブルなデータの提供を保証するためには、集中配布しシステムが不可欠であると考えている。

集中配布システムは、

  • 出版社が提供した基本のNIMASファイルの完全性と品質の妥当性を検証する効率的な方法を提供する。
  • 知的財産契約によって保護されているデータの安全な保管を行い、著作権侵害の可能性を最小限にくいとめる。
  • 州および地方の教育機関のための連絡地点を1ヶ所にする。
  • NIMAS準拠ファイルが全国的に採用される可能性を高める。
  • 州の技術力およびデータ配布能力に関わらず、教材への平等なアクセスを保障する。

集中配布しシステムがなければ、それぞれの出版社、データ変換業者、州および地方の教育機関が、NIMASファイルの妥当性と完全性の保証、著作権法遵守の維持、安全の確保の責任を担うことになるだろう。この規模で活動のまとまりがないと、非常に効率が悪くなり、著作権乱用の機会が増加して、全国の教室におけるアクセシブルなデータの質、その配布のタイミング、入手しやすさに大きな差が生まれてしまうかもしれない。

最後に、集中配布システムを開発すれば、同じファイルセットを2度タグ付けまたはマークアップする必要によって現在生じている重複を解消できるかもしれない。前の節で触れたように、出版社の提供するファイルには、基本のNIMAS 1.0マークアップが含まれ、それに、第三者の認可機関がオプションのエレメントセットからDTBookのエレメントを付加するだろう。安全な配布ポイントを1カ所作れば、生徒に対応したバージョンへの変換準備のできた完全にマークアップされたファイルが広く入手できるようになる。

F. NIMAS仕様の維持

教育界では、技術と教材の出版の進歩が、柔軟なデジタルデータの教育学的利益に対する認識の高まりと結びつくだろう。これらの要素だけでも、NIMAS仕様の修正および調整を暗示するだろう。さらに、NIMAS仕様はANSI/NISO Z39.86を適用しており、後者はそれ自体が継続的に保守されているので、ANSI/NISO Z39.86の改訂と比較して、NIMAS仕様のニーズを熟練者が定期的に分析することが必要になるだろう。

技術委員会は、保守ルールとバージョニング方針の必要が出てきたので、これらを決定するために出版社、データ変換業者、教育界、障害者の代表より成る小グループ(メンバーは10-20人)に支援すべきであると全会一致で勧告した。

追加の勧告

A. 実施スケジュール

NIMASを組み込んだ、またはNIMASに言及している法案(指導教材アクセシビリティー法、障害者教育法)は、一貫して承認日から2年間の段階的実施を予想している。強制的な準拠の場合、承認は法律の制定そのものと等しい。自主的な準拠は、承認はNIMASをアメリカ教育省が正式に指定したことを意味する。従って、技術委員会は、NIMAS仕様の2年間の段階的実施と出来る限り早期の自主的引渡しを勧告している。

B. 意識の向上

NIMAS技術委員会構想の初めから、全国の全盲者および弱視者支援団体が、これらの障害者にアクセシブルなデジタルデータがもたらす利益の理解において、重要な経験と専門知識を蓄積してきたことは明白である。これらの組織は、アメリカ盲人協会教科書・教材に関する問題解決フォーラムの枠組みの中で団結し、NIMASの必要性を初めて明らかにした法案、2002年の指導教材アクセシビリティー法(IMAA)の下で支援を提供し、技術的専門知識を維持する責任を担っている。これらの組織は長年、質の高いアクセシブルなデータのタイミングよい利用を保証する法律の制定のために活動しており、NIMAS技術委員会の協議は、彼らの過去および現在の活動によって豊かになり、拡大してきた。

全盲者および弱視者の全ての主要団体の代表は、積極的に技術委員会に代表を出しているだけではなく、他の障害者団体の代表に対して、デジタルデータの重要性への理解を支援しようとしている。彼らのやる気は軽視できない。彼らは、他の技術委員会のメンバーが、自分たちが乗り越えてきた過ちを犯さないよう支援しようと、蓄積してきた知恵、経験、失望、共感を繰り返して伝えた。

アクセシブルな代替教科書の入手に関する問題への彼らの理解の深さは強調されているが、それとは反対に、これらのアクセシブルなデータが障害を持つ生徒にもたらす利益についての経験が比較的少ない障害者団体もある。このように経験と認識が一様でないことから、アクセシブルな代替フォーマットの教科書や教材の大きな利益に関して、他の障害者団体の代表の専門知識を増やす必要性が浮き彫りになった。

技術委員会は、全ての障害者団体がNIMASを支援する知的な主張を進めるために、印刷に代わるアクセシブルな教科書についての障害者団体の認識を高め、専門知識を広げる必要があるということに全会一致で合意した。

C.障害を持つ全ての生徒

前に触れたように、技術委員会は、出版社によるNIMASに準拠したファイルの提供は、アクセシビリティーの包括的な解決策に向けた重要で、必要な第1歩であるが、障害を持つ全ての生徒のアクセシビリティーのニーズを満たすものではないことを認識している。

1. 著作権の制約

現行のシステムの下では、著作権所有者からの許可を直接求めず(そして、使用料を支払わずに)点字、音声、デジタルテキストに変換された印刷物に代わるアクセシブルなバージョンは、適格者である、印刷物の読みに障害のある生徒にしか提供されないかもしれない。皮肉なことに、著作権法121条の例外規定(チェーフィー改正)は、読みに障害のある生徒に他のフォーマットのアクセシブルで適切なバージョンを提供することに関する困難を和らげる目的で作られているのに、障害を持つ生徒全員のニーズに対処するために設計された構想で、基礎のエレメントとして適用されたときには、この規定が障害となってしまう。

チェーフィー改正の指針を最も保守的に解釈すると、アクセシブルな教材を受け取る資格があるのは、IDEA法の下でサービスや支援を受けている約600万人の生徒の5%未満になってしまう。実際には、チェーフィー改正の指針は少し柔軟に解釈されてきた。それにも関わらず、チェーフィー改正がNIMASのような広域的な構想の基盤になると、著作権のあるデータのアクセシブルなバージョンを障害を持つ生徒に配布することに関して、合法的手段しか提供できないという事実が深刻な障害になる。

現行のIDEAにNIMASの義務づけを含める文言は、著作権法の例外規定を修正する案である。これは、教科書のアクセシブルなバージョンをその適格者である障害を持つ生徒に提供するための目的に特定して、NIMAS準拠のデジタルファイルを直接、集中レポジトリー、データ変換業者、州または地方の教育機関に提供することを出版社に認めるものである。この修正案は、これらのデータにアクセスできる生徒を現行の著作権法の下で確認されている範囲より拡大するものではないが、教科書の出版社に対して認可機関としての活動を認めることによって、作成者からデータ変換者、ユーザーへの教科書ファイルの流れが非常に滑らかになるだろう。

現行の著作権法の例外規定を拡大して、コンテンツ作成者を増やしたり、生徒の対象範囲を広げたりすること以外、元の著作権法第121条の例外規定は、印刷物の情報(教科書を含む)が適当ではない人のための安全弁としての役割だけを意図したものだったことは明白である。例外規定は大規模なコンテンツ配布事業の基盤として利用する目的で作られたものではなく、そのように利用しようとすると、関係者全員(障害者、知的財産権の所有者、出版社)に害を与えることになる。より柔軟でより幅広い範囲を対象とした代替案が必要なのは明らかである。

2.自由市場におけるアクセシブルなバージョンの配布

印刷教科書のアクセシブルなデジタル版を提供する最も論理的で、最終的には効果的な方法は、自由市場の配布モデルの作成である。この1つの例が、出版社が印刷教科書に代わるアクセシブルなバージョンを作成して、州、地方、学校、生徒に直接配布し、同時に、その印刷版も入手できるようにすることである。他に実行できる解決策は、第三者が、アクセシブルなバージョン(著作権の用語で「派生著作物」と言う)の作成および配布するために、教科書の著作権所有者から許諾を受けて、適切な使用料を支払う手順を改善、単純化、促進するという方法である。どちらもの取組みも実行すれば、アクセシブルなデジタル版が、チェーフィー改正で与えられた著作権法の狭い例外規定で認められたニーズを超えた、生徒のより幅広いニーズに答えることができるかもしれない。自由市場の取組方法によって、現在、ごく当たり前のことになっている、アクセシブルなデジタル版の作成や配布の遅延や、対象が狭いチェーフィー改正に準拠した配布に関連して将来起こる可能性のある遅延をなくすことができるかもしれない。しかし、自由市場システムを機能させるためには、多くの条件を制定しなければならない。

第一に、消費者(州、地方、学校)が、出版社が作成および引渡す完全にアクセシブルな教材の価値にお金を支払う意志を表明しなければならない。教科書の採用に関する州法(デジタル・テキスト・ファイルの要求から、画像エレメントや、使いやすいナビゲーション機能を含めたアクセシブルなバージョンの提供を義務づける法律)の増加が需要の指標ならば、需要は確立されつつあるが、需要には法律の要求と例外規定ではなく、自由市場モデルを通して対応しなければならない。

第二に、デジタル形式のデータの複製および配布に必要な全ての権利の獲得を含む、必要な製作上の投資を促進するために、出版社がチェーフィー改正の下では諦めていた権利を取り戻せるようにしなければならない。これらの権利の取得は些細なことではないが、知的財産権の所有者と出版社が、妥当な使用料の支払いが可能であることを理解すれば、もっと魅力的なものになる。

第三に、印刷教科書の製作作業の流れを調整して、デジタル版の製作を主力製品の開発および製作過程からそれたものではなく、製作過程で自然に生まれた変化として吸収する必要がある。大手の教科書出版社の多くは、多くの出版物(中でも、印刷教科書とデジタル版)を製作できるようなデジタルの作業の流れを作ることによって、この方向に動き出した。しかし、補助教科書の出版社は一般的に、この移行をまだ採用していない。これらの中小の出版社が、準拠したデジタル版を製作するためには、大手の出版社や第三者のデータ変換業者と提携する必要があるかもしれない。

第四に、第三者のデータ変換業者は、その専門知識に対する要求の増加や顧客層の一斉の変化に対応する準備が必要である。民間の出版社が自由市場で販売するアクセシブルなデジタル版を製作する能力を構築するにつれて、代替フォーマットの変換の最終段階(点字、デジタル音声、または、他のアクセシブルなバージョンの製作)を実施している組織および企業は、自分たちのスキルに対する要求が高まっていることに気づくだろう。主として教育界の消費者が、これらの特殊な製品に対する需要の源だったが、自由市場制度においては、これら第三者組織が確立した信用とその専門知識の両方を付加したい出版社やその他のコンテンツ作成者からの需要が増加することが予想される。

第三者のデータ変換業者が構成する顧客層が変化する可能性についての評価を裏付ける、わかりやすい事実が2つある。1つ目は、この2、3年間、印刷物のアクセシブルなバージョンに対する需要の増加に対処するため、営利を目的とするデータ変換業者の数が確実に増加している。これらの新しい会社が、アクセシブルなバージョンを作成する専門知識を育成した多くの従来のデータ変換業者に加わった。2つ目は、ケンタッキー州の最近の教科書採用に関する法律では、出版社の提供する製品のアクセシビリティーに3つの段階(最低から最高まで)が認められている。アクセシビリティーの最低基準を満たしていると認定されるような製品の展示に関心を示した教科書の出版社はほとんどなかった。ほとんどの会社は、最高の評価を達成または獲得する製品を開発しようと積極的に努力してきた。最高の期待に応えようとするこの動きには、単に競争力のある教材というだけでなく、最も競争力のある教材を作ろうという意欲が示されている。

上に示した4つの条件で達成できないものは1つもないと思われ、障害を持つ生徒、知的財産権の所有者、コンテンツ作成者、データ変換の専門家への恩恵は一目瞭然である。アクセシブルなデジタル版は、(それを必要としている)障害を持つ生徒と、(それを欲しがるかもしれない)障害のない生徒に提供されるだろう。知的財産権の所有者とコンテンツ作成者には、適切な使用料とデジタル権の管理が保証されるだろう。コンテンツの変換の専門家は、教材の代替バージョンの作成に関する専門知識が、現在の狭い市場を越えて、広範囲な教育事業に拡大していくのを目にするだろう。NIMASは、この構想を進めるための拡張可能な土台を構築するものである。

3.アクセシビリティー以外の動き

NIMASの公式の目的は、障害を持つ生徒に対するアクセシブルなデータのタイミング良い提供を促進するために、統一された仕様を構築することであるが、これらの代替バージョンが提供されるのは、国の教育制度の範囲内に於いてである、という事実を忘れない。この教育制度という場を考慮に入れて、NIMAS準拠のソースファイルから作成された教科書に代わるアクセシブルなバージョンが、どの程度まで生徒の成績を向上させるかは重要であり、非常に妥当な疑問である。アクセスと成績の両方を向上させることが、技術委員会のメンバー全員の議論に浸透しており、この見通しと関心が管理原則に明確に記されている。

共通認識によって生まれ、本報告書に詳細が示されたNIMAS 1.0は、障害を持つ生徒のアクセスと教育上の両方のニーズを満たすための堅固な技術基盤を構築する。前に提示した著作権上の制約のせいで、NIMAS 1.0は、その恩恵を受けることができる可能性のある障害を持つ生徒全員に対して基盤を提供するには至っていない。現在は、身体的または感覚的障害(全盲、弱視、なんらかの学習障害の生徒)によって読みに障害がある生徒は適格とされているが、印刷物の意味の解読または抽出で同様に苦労している可能性のある生徒(ADHD、聾、難聴、認識能力が低い生徒など)は適格ではない。

第1番目の制約は不平等を表している。IDEAまたは第504条に従いサービスを受けているすべての生徒には、できるだけ早く、できるだけ効果的に、アクセシブルな教材を提供する必要がある。現在、これらの教材を受け取る資格のある生徒は、引き続き受け取れるようにすべきであり、知的財産権の所有者とコンテンツ作成者には使用料の支払いと配布の管理を保証すべきであり(アクセシビリティーを妨げない範囲において)、教育機関にはタイミングの良い入手を保証しなければならない。

第2番目の制約は不透明性を表している。コアカリキュラムの印刷教科書の柔軟でアクセシブルなデジタル版は、成績に関する影響を判断できるほど十分には入手できていない。しかし、わかっていることは、幅広い範囲の障害を持つ生徒(現在、読みに障害がある人として資格がある生徒と資格がない生徒)が、技術に基づいた教育上の解決策の恩恵を受けることができる、ということである。

この分野における最近の広範囲に渡る研究の概要が、全米一般教育課程教材アクセスセンターによって作成された(Strangman、HallおよびMeyer、2003年)。 以下は、この分野の多くの研究の一部である。

  • 言語に関連した障害を持つ生徒は、合成音声変換、音節レベルまたは音名レベルの合成音声変換のあるデジタルテキストを使ったとき、単語認識、理解、流暢さに良い影響が見られた(Elbro、Rasmussen、Spelling、1996年)。
  • 注意力、構成力、学習の障害を持つ生徒は、技術的裏づけのある概念マッピング戦略に触れたとき、学力が向上した(Anderson-Inman、Knox-Quinn、Horney、1996年; Herl、O'Neil、Chung、Schacter、1999年)。
  • 聾または聴力障害のある生徒は、デジタル教材と一緒に一連のテキストの強調表示や見出しが与えられたとき、着実に学力が向上した(Mcinerney、Riley、Osher、1999年; Andrews、Jordan、1997年)。
  • 認識能力が低い生徒は、短所を補強しながら、長所を最大限に強化する柔軟な技術に触れたとき、機能的スキルが向上した(Wehmeyer、Smith、Palmer、Davies、Stock、2003年; Carroll、1993年)。

これらの調査結果やその他の多くの結果は、NIMASの技術仕様の根拠となる管理原則を作成するとき、委員会のメンバーによって明確にされた。技術委員会は、これらの利益は、学問的にも技術的にもありうることが知られているが、それにも関わらず、NIMAS 1.0では直接対処されていないことを認めている。これは、見落としたわけではなく、後で上に拡張できるような、維持可能な、実行可能な、著作権を遵守したベースラインを構築する必要に迫られて下した戦略的な判断であった。

これらの考察を裏付けるため、技術委員会は、NIMASの維持活動で、障害を持つ生徒全員のためのアクセシブルなデジタル教科書が入手しやすくなった場合の教育学的影響に取り組むよう強く勧告している。

D. 有効性の調査

前節で触れたように、教科書の代わりのアクセシブルなバージョンの入手可能性の向上に対するNIMASの影響は、2つの主要な調査分野、すなわちアクセシビリティーと成績にそって評価すべきである。

1. アクセシビリティー: これからの調査のために提案する疑問点

NIMASソースファイルの潜在的な恩恵の実現を保証することが極めて重要である。NIMAS自体は生徒にとって価値はほとんどない。その価値は、障害を持つ生徒向けのアクセシブルな教材の入手可能性に対する影響を測ることによってのみ、評価することができる。NIMASを制定したら、障害を持つ生徒のためのアクセシブルな教材へのアクセスは改善されるだろうか。

以下のように、対処しなければならない問題がいくつかある。これらは、NIMAS自体が十分かどうか(結果として生じる教材は、十分にアクセシブルか、など)から、NIMASの実施が入手可能性を高めることにつながるかにまで及んでいる。

NIMASソースファイルから作成された教科書のアクセシビリティーについての疑問

  • NIMASソースファイルから作成された代替フォーマットの教科書は、対象とする生徒のニーズを満たすのに十分にアクセシブルか。
  • 代替フォーマットの教科書は、障害を持つ生徒全員のニーズを満たすのに十分にアクセシブルか。これらにアクセスできないのはどんな生徒か。

NIMASソースファイルから作成されたアクセシブルな教科書の入手可能性についての疑問

  • NIMASソースファイルが入手可能ならば、障害を持つ生徒に対するアクセシブルな代替フォーマットの教科書のタイミング良い配布が増えるだろうか。
  • NIMASソースファイルが入手可能ならば、代替フォーマットの教科書の作成と配布に関連した現在の重複と非効率は解消されるだろうか。
  • NIMASソースファイルの仕様は、代替フォーマットの教科書に対する州レベルの要求事項に十分に対処しているだろうか。

2. 入手可能性: これからの調査のために提案する疑問点

アクセスは、障害を持つ生徒のニーズを満たす上で重要なステップである。しかし、落ちこぼれ防止(NCLB)法の時代には、アクセスはただの第一歩に過ぎない。説明責任が重くなったNCLBでは、アクセスではなく学習と成績が評価される。アクセスではなく学習結果が望ましい結果である。調査上、重要な問題は、障害を持つ生徒にとって、教科書のアクセシブルなバージョンの提供が成績を向上させるかどうかである。

  • NIMASソースファイルから作成された代替フォーマットの教科書を提供すると、障害を持つ生徒の成績は向上するだろうか。
  • NIMASソースファイルから作成された代替フォーマットの教科書を提供すると、障害を持つ生徒の学習に対する意欲や取り組み態度が改善するだろうか。
  • 教科書のアクセシブルなバージョンの提供が生徒に与える影響に違いはあるか(成績が上がる生徒と上がらない生徒が出てくるか、など)。
  • どんな教室の状況(教師の準備、ハード面の入手可能性、生徒のクラス分けなど)が、教科書のアクセシブルなバージョンの有効性に影響を与えるのだろうか。

付録

米国国会図書館視覚障害者サービス(NLS)の制限についての説明

読みに障害のある人の適格性

公法89-522には、「米国議会図書館長が規定した本サービスに関する規則に従い、資格のある専門家よって、身体的制限が原因で普通の印刷物が読めないことが認定された」人に対して資料を貸し出す、と明記されている。本プログラムに関する現在の連邦規則は、1974年6月7日付連邦公報に記載(1981年10月2日修正)されている。連邦規則では、読みに障害のある人は明確には対象に含まれていない。公法89-522の下では、読みの障害が身体的理由に基づく場合のみ、NLSの録音図書プログラムを利用する資格が与えられている。さらに、録音図書プログラムの申し込みを考える前に、以下に示した資格のある専門家によって、読みの障害が身体的理由に基づくものであることの認定を受けなければならない。読みの障害が身体的理由に基づくものでない場合はプログラムを利用する資格がない。

(強調部分は、ウェブサイトhttp://www.loc.gov/nls/reference/factsheets/readingdisabilities.html でNLSが付加)。

相互に関係する2つの問題によって、生徒の適格性に関連した議論がさらに深まった。1つ目の問題は、上下両院のIDEA法案に、IDEA基金を受け取る前提条件として、州がNIMASを採用することが挙げられている点だった。2つ目の問題は、現行の著作権法の例外規定の下でサービスを受ける資格がある生徒(全盲、弱視、印刷字の読めない障害のある生徒)と、IDEA/ 第504条の下でサービスを受ける資格があるかもしれない生徒(なんらかの学習障害、注意欠陥多動性障害を持つ生徒、認識能力の低い生徒、聾の生徒、難聴の生徒など)のアクセスのニーズが両方サポートされていることを保証するNIMAS委員会の責任についてだった。

1つ目のNIMASをIDEA基金の受け取りの条件とする問題に関して、出版界とデータ変換業界の代表は、問題の文言を入れたままIDEA法案が通過すれば、技術委員会が教育長官に勧告することは何でも、出版社と州に義務づけられることになると指摘した。NIMASが義務づけられれば、出版社は現行の著作権法に準拠しなければならなくなるだろう。出版社の代表は、上院にIDEA法案の文言を提案することに利害関係者のコンソーシアムが合意したことを技術委員会に報告した。これは、出版社に認可機関として電子ファイルの配布を認める規定で、チェーフィー改正の下では現在認められていない。この明確な目的のために出版社が認可機関として指定されたら、生徒がアクセスできるバージョンに教材を変換するのに現在かかっている時間と費用は大幅に削減されるだろう。しかしチェーフィー改正の下では、資格が認められる範囲は、全盲、弱視、読みに障害がある生徒に制限されたままだろう。

このことからNIMASの作業の流れの手順が議題になった。構想どおりにいけば、出版社は、NIMAS形式にマークアップした電子ファイルを集中レポジトリーシステムか分散レポジトリーシステムに提出し、ここで妥当性の検証が行われる。これらのファイルは、コンテンツ変換組織(認可機関)に渡され、ここで生徒の使用に適した表示形式に変換される。州はこれらのファイルを集中レポジトリーか分散レポジトリー、または、データ変換業者から入手する。出版社の提供したファイルは、中核のNIMAS (バージョン1.0)となり、データ変換業者がNIMAS 1.0と点字、録音図書などの適切な形式に関する既存の標準規格との調整を行う。

2つ目の問題に関して、委員会のメンバーは、チェーフィー改正で資格が認められている生徒にしかNIMAS 1.0を推奨できないという制限について話し合った。特に、学習障害や認識能力の障害の関係者の代表が、現行の著作権法の下では、これらの障害を持つ多くの生徒がこれらの教材を受け取る資格がないことに深い失望と落胆の意を示した。出版社の代表たちと米書籍出版協会(AAP)は、近い将来、障害を持つ生徒全員がコアカリキュラム教材のアクセシブルなバージョンを使用できるようになることへの期待を示した。NIMASフォーマット自体についての議論や、現在検討されている問題には、障害を持つ多くの生徒が使用するためのNIMASの適用を妨げるものはないことについての議論も行われた。

それから、専門小委員会が作成した勧告に議論が移った。CASTのChris Wilder-Smithが勧告の概要を紹介し、何が必要か、何が実行できそうかの議論が始まった。専門小委員会は、多くの電話会議や文書の共有を行った後、DTBookエレメントセットをそっくりそのままNIMAS 1.0とするよう勧告することに決定した。CASTは、マルチメディア、双方向性、用語、文献情報に関するエレメントや、関係のセマンティクスを、特に視覚障害のない生徒(リッチかつ、印刷版と提携したデジタル版の教科書の恩恵を受けることができる生徒)にとって非常に望ましいものとして参照として載せるよう提案した。これらの種類のエレメントは、これからの検討に重要であることは認められたが、必要な時間の枠組み内でNIMAS 1.0に含めるには意欲的で一般的すぎると思われた。

ホートン・ミフリン社の出版技術部長Pearce McNulty、マグローヒル社のAlex Mlawsky、米書籍出版協会(AAP)の学校部門の事務局長Steve Drieslerが率いる技術委員会の「実行可能性」小委員会は、議論の経過と文書の共有について報告した。月曜に作成された、完全なDTBookエレメントセット案に対する回答の原案の配布と見直しを行った。

実行可能性に関する提案では、会合の初めの頃に明らかにされたDTBookエレメントの一部と用語/文献エレメントが確認された。議論は、実行可能性に関する文書で提案されたエレメントに焦点を当て、表や画像をデータ変換業者に提供する方法に特に重点を置いて行われた。表の図だけではなく、表のデータも受け取る必要性についてかなり議論が行われた。提案は明確に説明され、詳細はつめる必要があるものの、技術委員会は全般的には合意した。

メイザー社のRick Ferrieは、アクセシブルな電子教材の配布のための自由市場モデル構想の実行可能性に関する議論の議長を務めた。議論によって、この構想をコンテンツ作成者と消費者の両方にとって魅力的にする要素が浮き彫りになった。

  1. 自由市場の配布モデルの下で販売されるアクセシブルなデジタル版は、特別なニーズのある人の一部による使用に制限されない。どんな生徒も使えるようにすることができる。
  2. 多くの出版社は、作業の流れが、自社の教材のデジタル版に加えて印刷版も製作できるようなデジタル化の方向に動いている。
  3. 出版社は教科書の印刷権の取得と同時に、デジタル権も取得するよう努力している。
  4. 消費者は、教材のアクセシブルなデジタル版に対してお金を払うことに反対ではなく、これによって、出版社は、自分たちの作業への適切な報酬を想定し、障害を持つ生徒のために開発する製品の品質水準をより高く設定することができるようになる。

以下の様に、このモデルの迅速な採用を阻む障害が明らかされている。

  1. 印刷からデジタルへ作業の流れを転換する費用。出版社は転換費用が増加する方向に進み、補助的な出版社は財源が限られていること。
  2. 一般の生徒の中に、デジタル教材市場が見つかっていないこと。
  3. 教材の代替バージョンは、消費者に無料で提供すべきであるという意識。

RFB&DのJames Pritchettは、「マークアップ以外の技術的問題」と名づけた問題の議論の議長を務めた。議論は以下の4つの広範な問題について行われた。

品質保証: 品質保証は2つの異なる段階に分けることができる。妥当性の検証(ファイルは正当なNIMAS文書だろうか)と、品質(ファイルの妥当性が証明されたら、マークアップは完璧だろうか)である。最初の問題である妥当性の検証は、必要なタグが全部あり、正しく構成されている(文の中にパラグラフがない、など)ことを確認する自動(機械ベース)作業を通して対処することができる。2つ目の問題では、もっと質的な評価が要求される。NIMASファイルが評価基準を満たしていることを証明するには、どちらの段階も必要であると思われる。技術委員会は、既存の手続きの見直し(他の標準規格団体は何を行ったか、など)を行い、技術委員会全体に提案するよう示唆した。

マニュアルと訓練: マニュアルは標準規格に不可欠であることが認識されなければならない。どれくらい詳しいものにするか。複数のマニュアルが必要だろうか(技術的評価基準と「最優良事例」のマニュアル、FAQタイプのマニュアルも必要だろうか)。マニュアルだけで十分だろうか、それとも意味的マークアップの専門知識とある種の訓練が必要だろうか。時間の制約のせいで、マニュアルと訓練に関する議論は不十分だったが、出版社の代表は異口同音に、技術委員会に対してマニュアルと訓練の指針の勧告と、例として、適切にマークアップされたファイルの出版社への提供を要求した。技術小委員会のメンバーはモデルを作成することに合意した。

作業の流れ: 作業の流れの問題は、NIMAS技術委員会の活動範囲外であるが、NIMASを出来る限り効率を高めるものにするならば、最適な作業の流れの勧告(集中レポジトリー対分散レポジトリーなど)は技術委員会の作業には不可欠であると思われた。技術の小委員会も実行可能性の小委員会も、作業の流れの問題への対処(チェーフィー改正の制約内で、自由市場モデルとして)を開始し、これらの議論に注釈を付け、1つの草稿まとめて、委員会全員の協議に付した。

仕様の維持: 他の技術仕様と同じように、NIMAS仕様も技術や使用法が変化するにつれて変更が必要になる。特に懸念されるのは、NIMASとANSI/NISO Z39.86との関係である。Z39.86は、それ自体が継続的に維持されている。Z39.86が変更される度にNIMAS仕様も更新する必要があるだろうか。また、これは出版社にとって新たな冒険的事業であるので、予想外の不明瞭さ、問題、トラブルがNIMASの採用後にかなりたくさん出てくるだろう。技術委員会は、出版社、データ変換業者、教育界、障害者を代表する個人のグループ(おそらく10人くらい)をNIMAS維持委員会として認め、資金を提供して、維持手順やバージョニング方針の必要が出てきたら、これらを決定させるよう強く勧告した。

次のステップを見直して会合は終了した。

  1. 管理原則を改定し、委員会のメンバー全員に配布して、見直しを求める。
  2. 専門小委員会は会合を開いて提案された全てのエレメントおよびマークアップを確認し、提案を詳しく説明した文書を作成し、委員会のメンバー全員に回覧してコメントを求める。勧告されたエレメントやマークアップがNIMAS 1.0の要求を満たしていることを確かめるために、消費者/支持者の小グループへの回覧が優先される。消費者/支持者の小グループからのコメントを受け取ったら、エレメントのリストを出版社の代表たちに正式に提出して、見直しと議論を求める。
  3. NIMAS技術委員会からの教育長官への報告の作業草案の概略を作成し、委員会のメンバー全員に配布して、コメントと見直しを求める。

抄訳:(財)日本障害者リハビリテーション協会