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視覚障害者図書館および情報サービス事業の資金調達および管理システム:国際事例研究

第一部:概略報告書

背景

従来の印刷物を読むことが難しい人々の割合は、その原因が実際の視力の低下にあるか、あるいはさまざまな認知上の問題にあるかにかかわらず、かなり高く、また大部分の先進国では人口の高齢化に伴い、中途失明者の数も増加している。このため、読み物をどのようにしてすべての人にとってアクセシブルにするかという問題が、かつてないほど重要になってきている。

各国における視覚障害者への図書館情報サービスの提供は、ここで正当に評価することは不可能な、複雑な歴史的、地理的、文化的、政治的および社会的発展とともに始まった。

これらの要素のいくつかについては、そのモデル自体に関する議論の後に続く、背後要因のセクションの中で論じられるであろう。それは、政府の全般的な組織(中央集権か、連邦制かなど)から、障害に対する社会的態度に至るまでさまざまである。

しかしながら、いくつかの重要な共通要因もある。どの国も、「娯楽」用の読み物以外に、教育的な読み物もアクセシブルなフォーマットで提供しなければならない。そして、非常に多くの場合、このような資料の提供は、教育分野と一般分野とで、また教育分野の中でも初・中等教育分野と高等教育分野とで、責任を分担することによって行われている。このため、たとえば成人教育については誰が担当するかなど、資料の提供において、深刻な格差やあいまいな点が存在することが多い。

技術もまた共通要因ではあるが、たとえばインターネットにアクセスできるパーソナルコンピュータを所有している人の割合や、ブロードバンドを利用できる範囲など、国によってレベルが大きく異なっているのは明らかである。

代替フォーマットによる資料の製作プロセスもまた、おもな共通要因であるといえるが、それぞれの国が、たとえば複数の母国語の存在や、韓国語から点字への変換など、特定の言語にかかわる複雑性などから生じる特有の問題を抱えている。音楽と並んで教材も、図や参考資料、脚注、表などを含んでおり、これらすべてが問題を引き起こすので、変換が最も難しい例である。国内、あるいは(同一言語が話されている、もしくは広く使用されている)複数の国で、製品の重複製作を避けることが、製作機関の重要な目標となっている。