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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

録音新聞委員会(Taltidningsnämnden)とスウェーデン国立録音点字図書館(TPB)に与えられた新たな任務
協力体制は必要である

文:レーナ・ブークヴィスト(Lena Boqvist)

録音新聞委員会とTPBの協力体制は、録音新聞及び録音図書の普及を推進し、サービスを高めることができるだろうか? 政府は考え、2つの機関に同じ任務を与えた。

録音新聞委員会とTPBは、2つメディアの間の製作技術、配達や受け取りの方法の違いに関し、利点と欠点とを評定する。そしてこの協力関係によって、より利用者に優しい製品を生み出し、国家の資金をより効果的に用いることができるように願っている。

協力体制の提案

録音新聞委員会の委員長、ヘンリク・セリーン(Henrik Selin)はこの任務を喜んで受け入れた。

「この協力関係が必要だという考えは、日ごとに膨らんできてきました。」TPB館長のローランド・エサイアソン(Roland Esaiasson)もセリーンに同意した。エサイアソンは、任務を受ける前にすでに彼らは協力関係を結ぶことについて話し合っていたと述べた。彼らは2人とも2007年の秋にそれぞれの役職についている。

「これらがまったくの新規事業であることを喜ぶ気持ちを、私達はそれぞれ持っていたのです。」ローランド・エサイアソンは言う。

「録音新聞の業務がどのようなシステムで動いているのか、知ることができるのは大変参考になります。この任務は、将来どのような協力体制を築くのか、共同で提案を出すことなのです。」

予約購読者を地図上に記す

録音新聞委員会は自社の新聞の吹き込み版を作成している、一般の新聞社の支援をしている。150種類の一般新聞のうち、約100種類に録音新聞版がある。予約購読数は総計して、約8,500件である。

録音新聞には2種類ある。吹き込みによる新聞(ラジオ新聞または、CD/カセット新聞) とスクリーンリーダーによる新聞(RATSと呼ばれている。)である。録音新聞委員会は(各新聞社に)配分する為に、12,600万クローナを所持している。

「予約購読者一人ひとりにかかる経費は高額です。けれどもそれはこの事業に対する経費をいかに減らすかという意味ではなく、いかにより多くの利用者を得て、この資金を有効に用いるかという問題なのです。」ヘンリック・セリーンは述べた。

録音新聞委員会側の任務には対象グループを地図化することが含まれている。既に購読している利用者も、現在はまだ連絡を取っていない人々も、である。

その他のプロジェクトによって得た経験

「私達はこの資金をより広範囲に渡って有益に用いなくてはなりません。例えばディスレクシアの人々に対してなど。」ローランド・エサイアソンも言葉を添えた。

TPBはつい最近、あるプロジェクトを遂行したばかりである。それはインターネットにつないだプレイヤーを通じて、録音新聞と録音図書を続けて読み上げるというものだった。

「このプロジェクトで得られる体験は、やがてパンを焼くのと同じような日常の一部となっていくでしょう。」ヘンリク・セリーンは述べた。

「選択の自由は重要です」

プロジェクト『新聞と本とがデジタルにやってくる(Tidningen och boken kommer digitalt)』は政府が以前発令した任務に盛り込まれており、それはTPBと郵政庁(Post- och telestyrelsen)が国内のデジタル配信網を発達させるというものであった。この任務については2008年の5月末日に、結果を報告することになっている。

「私は将来的には、利用者がより容易に使えるようになって欲しいと考えています。新聞も本も両方読める機器が何種類もあるべきです。例えば携帯電話やその他のハンディタイプの機器等です。」ローランドは言った。

「選択の自由は重要です!誰でもが自分に一番適した機器を選べるようでなくてはなりません。」

制作の際の同じ技術

録音新聞委員会は現在、録音新聞予約購読者に各機器を提供する責任を担っている。これまでに録音新聞や録音図書用の様々な機器が制作されている。

「もし録音新聞と録音図書の各製作者達が同じような技術を用いていたら、容易に同じ利用者がそれを使うようになるでしょう。近いうちに録音新聞用のデータファイルは、デイジーへの互換性を持つようになると私は考えています。」ヘンリク・セリーンは言った。

「私達は年内に、この業務をどのようなものにするか膝を詰めて話し合う予定です。」 ローランド・エサイアソンが述べた。

『みんなの図書館』, スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)発行, 2008年第1号, p.10~p.11より翻訳