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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

迅速さ、アドバイス、(判りやすい)表示が効果を表した

文:マリア・キムベリィ(Maria Kimberg)

イェーテボリィ(Göteborg)の録音図書課は日常業務を変更するのに、長い時間をかけた。利用者への貸し出しサービスを改善する為だ。

判りやすい課内の表示、ブックトークの為の多くの資料、アドバイス、手元にすぐにダウンロードできる録音図書などは改善した項目の一部である。

イェーテボリィの市立図書館の活動は、2005年の今年度のDAISY図書館賞を受けてから、躍進を続けている。

録音図書課はスペシャルメディア部門に属し、そこでは図書館司書、助手、3人の読み書き技術者、計10名の職員が働いている。ここには職員が揃っているばかりでなく、2007年には約60万クローナに上るメディア助成金が配分された。この事業の責任者はロッタ・アルヴェリン(Lotta Alverlin)である。

「私達はメディアの取り扱いにあまりにも多くの時間をかけすぎないように、本当に努力しています。その代わりに迅速なサービス、ブックトーク、アドバイス、それにこの課ができるだけ心地良い環境になることに力を注ぎたいのです。この課の貸し出し利用者の多くは視覚障害者ではなく、読むことにその他の困難を持つ人々です。ですから興味を引くような表示をすることが重要なのです。」

「私達は全ての年代の人々を視野にいれておりますし、学校がある間はこの課へやってくる人々の大部分は読み書き困難を持つ人々です。」

迅速に、簡単に

イェータプラッツセン(Götaplatsen)の傍のこの課は、とても気持ちの良い印象を与える。広々としていて風通しが良く、多くの録音図書が部屋の一番奥にある電動可動式書棚に収められていて、その書棚にある以外の録音図書が、利用者によく見えるようになっている。各書棚は丈が低く、あちらこちらにお勧め図書の表示がある。ストリンドベリィを読むように薦める表示があるのは、このクリスマス休暇にストリンドベリィ(strindberg)の生涯を映画化したものが放映される為である。「共にいるなら、寂しさは薄れる(Tillsammans är man mindre ensam)」を薦める表示があるのは、この小説がやはり映画になった為だ。

それらのお薦め表示の傍らには、その図書の録音図書が何冊も並べてある。既にダウンロードされ、シンプルなビニールのパックにタイトルが記されていて、すぐに貸し出しができるようになっている。

図書館の書棚にない録音図書も、ダウンロードが可能な図書であれば、すぐに利用者の手元に届く。

「私達はデータを焼き付ける機械を新しく購入しました。CDを2枚同時に焼きながら3枚目のラベルをも書くことができるのです。私達にとってこの機械はちょっとした革命です。これのおかげで仕事が信じられないほど簡単に、そして迅速にできるようになりました。」図書館司書、マリー‐ルイーズ・エーケレーフ(Marie-Louise Ekelöf)は語った。

アドバイスは重要

この図書館は様々な製品のDAISYプレイヤーを50台、貸し出し用に持っている。去年の夏からは録音図書の入っているメモリーカードも貸し出している。このプレイヤーとメモリーカードは録音図書課がメディア助成金で購入したものだ。またメモリーカードを郵送で貸し出すためのパッケージのデザインにも、職員たちが関わってきた。

「業務の前提が変わるということは、それについて考えなおすことを意味します。私達は大きなメディア助成金を手にしましたが、それは私達が保持し、再分配するものです。私達は希少で独創的な作品を買い、ダウンロードをすることができます。

しかし何よりも大事なのは常に利用者やここにいる職員たちに指導し、アドバイスをすることでしょう。新しい技術にお金をかけたところで、それを使えなければなんの意味もありません。」ロッタ・アルヴェリンは言った。

『みんなの図書館』, スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)発行, 2008年第1号, p.4より翻訳