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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

フィンランドで起きているDAISYブーム

文:マリア・キムベリィ(Maria Kimberg)

フィンランドにおける録音図書の貸し出しは堰を切るかのように増えており、特にこの2年間で倍増している。フィンランドでは利用者がインターネットを通じて予約し、家に届く仕組みになっている。しかしスウェーデンでは他の方式を取り、ダウンロードに一本化することにした。

2005年には隣国フィンランドで貸し出しができるのは音声テープのみだった。その中央図書館のセリア(Celia)が視覚障害者やその他の読書に困難を持つ人々に貸し出した録音図書は348,000冊だった。

昨年利用者が自宅から予約できるようになると、セリアのデイジー録音図書貸し出し件数は683,000冊になった。

「私達は現在市場への広報に今までよりもずっと力を入れています。私達がカセットだけを貸していたらこんなに広まることはなかったでしょう。現在私達は、こんなにも多くの人々に今までよりもずっと素早く、サービスを提供できるようになりました。さらに郵送料も半分程度になりました。」セイラの館長、マルケッタ・リィエメー(Marketta Ryömä)が述べた。

その他の形態

フィンランドの録音図書貸し出し方法は、スウェーデンのとは違う。フィンランドではほとんどの録音図書を、中央図書館であるセリア図書館から貸し出している。つまり利用者達が図書館のシステムの中に組み込まれていて、それによって録音図書を送っている。

スウェーデンの録音図書の貸し出し形態は、ほとんどの録音図書を各地域の図書館が貸し出すことを土台にしている。録音図書を広報する各地域の多くの媒介役のおかげで貸し出し件数が伸びており、2006年にはスウェーデンでは170万本の録音図書が貸し出された。これは住民一人当たりの録音図書貸し出し件数が、世界各国の中でも最も多いことを意味している。

代わりにダウンロードを

スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)は今後、実際のCDを利用者に送付するサービスを拡大していくことはない。スウェーデン国立録音点字図書館が推進するのは、録音図書の物理的な取り扱いをやめ、デジタル配信へと移行していく計画である。

利用者は録音図書そのものをダウンロードするか、またはインターネットを通じて流れてくる図書を聴く。助けが必要な利用者はこれまでと同様に、地域の図書館で支援サービスを受けることができる。この新しい配信方式には、恐らくTPBの、様々な技術システムの開発が必要となるであろう。

『みんなの図書館』, スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)発行, 2008年第1号, p.7より翻訳

フィンランドの公共図書館へのDAISYの導入については、次の報告に詳しく書かれている。
『フィンランド公共図書館へのDAISYの導入』Sanna Schildt(フィンランド ヘルシンキ セリア視覚障害者図書館情報担当オフィサー)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/Croatia_seminar/sanna.html
『フィンランド公共図書館へのDAISYの導入』のスライド
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/Croatia_seminar/sanna_pp.html