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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

補足か訓練か?

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』付録
新聞『聴いて!』p.8

言葉は意味を持つだけではない。言葉は読者または聞き手に(文章の)隠された意味をも仲介する。ある一節『彼は社会主義者だ!』は、何に焦点を合わせるかにより、様々な意味を持つ。「補足」という言葉もそれと同じである。

知的面は 、「教育」という言葉によっても、自然に一部を補うこともできるだろう。しかし障害者運動においては、その結び付けはしないものとする。それは誰もが、自分自身の経験や基礎の部分は、人間として一人ひとり様々であり、自由であるべきだからである。自転車に乗りたいと思うなら、自分自身の力で乗れるようになることを願うだろう。そこでまず補助輪を用いたところで一向に構わないはずである。もし身体障害者ならば、継続的に補助輪が必要だろう。しかしもし私達が進歩できる可能性があるならば、十分な練習を積んで、ある程度乗れるようになった時にはずせばよいのである。補助輪は私達に、大きな青あざを作らずとも練習を続けられる可能性を与えてくれる。もし私達が読み書きを学ぶのが困難であるならば、同様の手段を取って当然である。

もし文章を(目で読むだけではなく)聴くこともできるならば、これらを学ぶことができる。

  • 物語とはどのような構造なのか(文書化された物語の構造は、多くの場合口承のものとは違う)
  • 書き言葉の語彙を得られる(私達は語彙の80%は書かれている文章から学ぶからである)
  • 話し言葉のものとは異なる、書き言葉の文法を学ぶことができる(私達は途中に従属節が挿入されている文章など話すことはほとんどない)
  • 同級生と同じ文学を楽しむことができる。(言語とは交際の道具である)
  • 文学の魅力を体験し、それがさらなる読書への動機づけとなる
  • 内容を理解し学ぶのに、他人に依存する必要がなくなる

聴くことによって、より書き言葉に慣れることができる。そのことにより、元来の方法で読書をすることが容易になっていく。

さらに文書処理によって

  • スペルチェック機能を利用することにより、単語のつづりを覚えることができる
  • オートコレクト機能を通しても学ぶことができる。常に正しいつづりを目にすることができる為である。
  • 同意語リストは、言語に対して自信がない人に、言語の様々なニュアンスを使い分けられるようになる可能性を与える。
  • スクリーンリーダー― 機械の音声が生徒が書いた単語または文章を読み上げる。それによって、自分が書いたものがどのように響くのか、生徒が注意を向けることができる。

字を書く時に補足的な支援を受けることにより、書くことに困難を持つ人々は言語を用いる可能性を得る。そのことによって、その人はより安心して言語を用いることができるようになる。

まとめ

まとめとして、「補足か教育か?」という問題は間違っていると言わざるをえない。なぜならば補足は教育の形の1つだからである。これは一時期だけ勉強する各科目(自然科学系科目、社会科学系科目、数学)だけではない、スウェーデン語そのものをさらに向上させる手段なのだ。生徒達は書き言葉を学ぶことにより、いかにして書くべきかという疑問を持つだろう。その時こそ、その生徒は文法や綴りの規則を学ぶことに対して、最も意欲的になるだろう。

新聞『聴いて!』, 新聞『読み書き』付録, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, p.8より