音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

研究者達は何をしなければならないかを知っている

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』2007年5月号, p.3
編集:エヴァ・ヘドベリィ

研究者達は今日、何がディスレクシアおよび読み書き困難の原因となっているのか、ほとんどわかっている。遺伝的要因があることは立証されているし、この世襲要素は社会的でも生物学的もありうる。多くの場合はその両方である。

研究者達は子ども達が重度の読み書き困難を抱えることを、防ぐ方法をも知っている。最も重要なのは幼稚園と学校が早期に読み書きに問題がある危険性を持つ子どもを見つけ、刺激を与えてその子どもの言語発達を促すことである。効果が実証されている方法も幾つか見つかっている。

これは新たな情報ではない。読書研究者やその他の専門家達が、何年も前から知っている事実なのだ。それにもかかわらず、中学生年齢になるまで必要な援助を得られない子どもが大勢いる。中にはもっと年齢が上にいくまで得られない子どももいる。知識はある‐それなのに全ての人間がそれを利用できるわけではない。なぜだろう?

読書研究者の重要な課題の1つは、研究の成果を、子ども達の読み書きの発達に関係する仕事をしている人々に広報することである。それは教職課程や講義、セミナー、図書や新聞の記事や定期刊行物等を通して行うことができる。また経験豊かで有能な教師達も良き指導者として、読書研究者の研究成果を伝えることができる。一部の学校はこれらの知識を理解し、充分な働きをしている。その結果は上々だ。高学年で読み書きにつまずき、支援を必要とする生徒の数が減少しているのである。

様々な方面で、これらの知識を適用しようとしている個々の教師達がいる。しかし学校経営者の支援や早期の取り組みの利点を理解する同僚がいない場合、彼らの仕事には困難が伴うだろう。

政府は学校及び教師の研修に資金を投入することを決議した。スウェーデンの各自治体に、3年間で9億クローナが分配される。その資金は学校に入って1年目の児童達の、読み書き及び計算の教育の強化に利用される。焦点が当てられるのは、重い困難を持つ生徒達である。また同期間に政府は、教師達の業務研修のために20億8千万クローナを拠出する。教師達は業務研修を受けている間、通常の給与の80%を受け取ることができる。どの教師が業務研修に参加するのかは、学校長が決める。

現在その政府の拠出金をいかに良い方法で用いるのかは、地方自治体と学校経営者にまかされている。既にある知識を利用するべき時はもう来ているのだ。

新聞『読み書き』, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, 2007年5月号, p.3より翻訳