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スウェーデンにおける印刷字を読むことに障害のある人々への図書館サービス-ディスレクシアとDAISYを中心に-

それぞれの所見を合わせる‐共通の理論によって、より共感しあうことができる。

スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行
新聞『読み書き』2007年5月号, p.6
文:エヴァ・ヘドベリィ

現在神経生物学、心理学、教育学、遺伝学の分野で各教授から所見を学ぶ者は、そこに存在する様々な意見の相違の実態を目にできるだろう。しかしこの件に関しては、そうではない。研究者たちは読み書きの過程に関するより深い理解のために、重要なパズルのピースを全て寄与している。

「私達が様々な見解を合わせて、総体にしてみることが必要なのです。そうすれば、読み書き困難の危険性を持つ子ども達を助けるには何が最良なのか、共通の理論を導き出すことができます。これは社会が無視をしていられない理論です。」マーティン・イングヴァルは述べた。

すでに私達は、何がディスレクシア及び読み書き困難の原因となるのかよく知っている。また私達は、ディスレクシアが原因で困難を負う危険性のある子ども達を、いかに助けるかも知っている。例えば早期の系統だった集中的な読書訓練は、後々まで続く良い効果を与えることができる。この知識を用いている各学校は、その努力に対する報いを得ている。そこで読み書き困難を生じる生徒は少ないのだ。しかし全ての学校が必要な支援を子ども達に与えているわけではない。そのために多くの子ども達が読書に対して、不必要に大きな問題を抱えているのである。

マーティン・イングヴァルは、社会は私達人間が読み書きを学ぶにあたり、それぞれ異なった条件で生まれてくることを、真面目に受け取っていないと主張する。この問題を浮き彫りにする為に、彼は大学の教職課程を引き合いに出した。この10~15年ほど読み書きの指導は、低学年の教師になる学生にとっては必修ではない。実際ほとんどの生徒達は、教師が読み書きを指導しなくても自分でできるようになる。しかし教職課程は、支援が必要な生徒から目をそらしている。このような生徒達は、対応を知っている教師からの支援を必要としているのである。

「社会は全ての子どもに、成長するためのチャンスを公平に与えていません。それを見ると、私は怒りを覚えます。この問題は、全教師が読み書き指導の方法を学ばない限りは解決しないのです。私達の現在の政府はそれに気がついているようです。」

マーティン・イングヴァルは現在、ストックホルムにあるカロリンスカ病院の統合医学教授である。彼は西洋医学がいかにオルタナティブな医学理論を取り入れるかについて、研究している。当新聞『読み書き』がマーティン・イングヴァルに出会った時、彼はちょうど中国から帰ったところだった。彼はそこで、医師達と伝統的な中国の医学について話し合ってきたのだ。

マーティン・イングヴァルによると、科学の躍進を得るためならば、私達は新たな研究結果とオルタナティブな理論に対して前向きでなければならない。従来の研究は、新たなものを乱用するのではなく、まず科学的に試験をしてみなければならないのである。

「私達はある物事がばかばかしく見えるからといって、目をそらしてはなりません。最初はかなりばかばかしく見えるような事柄が、後に真実であるようなことも起こるのです。例えば免疫防御と健康の関係性のように。」

現在これらの理論がある。子ども達のある種の読み書き能力は魚油中のリボースによって改善できる、読み字の困難は食物中の毒性の添加物によって引き起こされる、そして運動によって読字を刺激する、等である。学術研究はこれをナンセンスとばかりは言っていられない。研究の結果がこれを正しいと示す可能性があるのだ。また研究者達が間違った結論を導き出すこともある。その場合彼らは、恐らく結果を正しく解釈する上で重要な、背景理解を欠いているのだろう。

共通の理論を生みだす試みにおいて、研究者たちは互いに助け合い、間違った結論を修正していくことができるのだ。

新聞『読み書き』, スウェーデンディスレクシア協会(FMLS)発行, 2007年5月号, p.6より翻訳