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デンマーク国立盲人図書館

デンマーク国立盲人図書館(DBB)

デンマーク国立盲人図書館は未来に向けて大きな一歩を踏み出しました
もし障害者のアクセシビリティを考えるなら、公共図書館及び専門
図書館も、同じようにこの一歩を踏み出さなくてはなりません

目次

夢を現実的なヴィジョンに

デンマーク国立盲人図書館(DBB)はヴィジョンをもっています。それは視覚障害者がそうでない人々と同じように同じ情報源にアクセスできる平等な権利を保障することです。

二、三年前には、この魅力ある考えはつかみ所のない夢に過ぎませんでした。今日、それはもう夢ではありません。ニ、三年すれば、テクノロジーによってこのヴィジョンは現実のものとなるでしょう。

デジタル化がその方法です。

技術開発に遅れをとらないことを旨として、DBBでは2000年を技術面の完全な切り換えの年と決め、過去のアナログ技術から今日のデジタル世界への重要な一歩を踏み出す計画です。

新世紀に入る直前、3年間のパーフォーマンス契約が、デンマーク文化相のニールセン(Elsebeth Gerner Nielsen)氏とDBB 館長であるタンク(Elsebeth Tank)氏の間でかわされました。この契約では、DBBの全利用者に情報への平等なアクセス権を保障していく手立てとして、最優先項目にデジタル化を行っていくことが挙げられています。

時間のかかるアナログ技術から・・・

DBB は利用者のためにあらゆる種類の情報を載せられるメディアを開発し、製作し、提供しています。これまで主要なメディアといえば点字と従来の録音図書でしたが、視覚障害者やディスレクシアの人々が利用できる数量は極度に限定されていて、世界中の途方もない量の印刷物からすると、ほんのわずかなものに過ぎませんでした。既にご存知のように、録音図書というと、従来のカセットレコーダーで再生する、何本かのカセットを組んだ嵩張るものです。音を音波で記録したいわゆるアナログ技術のよい例と言えますが、カセット上でもかなりのスペースを使うメディアでした。

録音図書はまた棚を広く占領します。コピーして送付するのに時間がかかりますし、利用者にしてもカセット上の特定箇所を見つけるのに、かなりの時間を要することもあるでしょう。

・・・デジタルの豊かさへ

デジタル技術ではそのすべてが変わります。保存された情報は、物理的にも、きわめてわずかなスペースしかとりません。著作物は簡単にコペンハーゲンのDBBから利用者へ、またユトランドの図書館へと直接電子メールで送られ、本棚から、アナログ仕様の同じものを取り出すだけの時間ほどもかからないでしょう。

現在行われているデジタル化により、ほんのわずかな改良を加えることで、視覚障害者が利用できるテキストや情報をぐんと増やすことができました。

デジタル技術により、電子テキスト自体が改良されれば、読書をできずにいた人々にも情報検索が可能になります。時を待たずに、この新しい革新的な技術は日常茶飯のこととなるでしょう。

新しいデンマーク語の合成音声は2001年または2002年に市場に出される見通しです。

もし品質が期待にそうものであるなら、普通のテキスト・ファイルも合成音声を使って聞けるようになるでしょう。2000年に行われるテストに向けて、DBBではおよそ100万デンマーク・クローネの寄付をIT宝くじ基金から受けました。

DBBでは、既に、点字図書の製作に、紙を使うのであれ、電子形態をとるのであれ、デジタル技術を活用してここまでやってきました。今日、点字用の特別なディスプレイがパソコンでも利用でき、晴眼者が画面で読むものを視覚障害者は触れて読み取ることができるようになっています。

視覚障害者がコンピューター技術を使う能力や動機付けに欠けていると思い込んでいる人がいるとしたら、それは実際間違っています。

先ずは「永続的な価値のある作品」から

2000年までに、DBBではデジタル音による録音に切り換えようとしています。盲人のためのデジタル図書館の立ち上げは「永続的価値のある作品」から取り掛かることになるでしょう。DBBはこれまでアナログ技術で製作されていた小説など「永続的価値のある」文学作品をデジタル化していきますが、その数は1年に225タイトルのペースです。デジタル録音のものは貸出を始める前に、先ず、アナログ版に変換されることになります。これは、数年の間は、大部分の利用者が自分の使っているカセット・レコーダーで再生できるものを要望すると見込んでのことです。ですから、利用者が、実際に、技術変革(デジタル化)を身をもって体験できるのは4、5年、後になるでしょう。

と言いましても、デジタル・レコーダーは、利用者が検索をかけて見ることができるようになっているため、定着を見せ始めています。これまで、これらのレコーダーは一般標準に従っていないという不利な点を抱えていましたが、この分野の開発は速い速度で進んでいます。

DBBでさえ、録音スタジオ、ダビング機器、アーカイブといったデジタル化に必要な完全な設備を備えている訳ではありません。初期の経費を抑えるため、デジタル処理の一部は外注することになるでしょう。

DBBは自らのヴィジョンに遅れをとらないよう、アナログ・マスターテープの膨大な蔵書をデジタル化しなくてはなりません。蔵書はその数がマスターテープにしておよそ8万、11,000タイトルをカバーしています。DBBでは蔵書のうちの40パーセントを2002年及び2003年でデジタルに変換できるものと期待しています。

着実なデジタル化

経済的な理由から、DBBではデジタル技術による利用法を慎重に選抜した利用者グループに漸次的に紹介していく方法をとります。

大きく言うと、IT戦略法はふたつの利用者グループに焦点を当てます。コンピューターを持っているグループと仕事をもっているグループです。といっても、デンマークの労働者のうち視覚障害を持つ大部分の雇用者はコンピューター利用者です。近年、DBBではこの利用者グループに対するサービス提供について、要請がどんどん大きくなってきていると感じています。例えば、このグループを対象にした参考文献のデジタル音による製作は、2000年に始まります。また、同グループの電子テキストに対する需要は増加の可能性がとても高いといえます。

障害をもった移住者や亡命者の需要もまた増加すると見込まれています。DBBは、2000年に、このグループのために新しい取り組みをすることになるでしょう。

盲ろう者はDBBを利用する最も弱い立場にある人々です。2001年からは、盲ろう者の為の特殊な録音実験とマグナ・プリント出版を最優先で行うつもりです。点字読者も、また、利用者グループとして優先的に考えられるでしょう。DBBは視覚障害者の書き言葉である点字の活用を維持し強化する努力を支援していくことは是非必要であると考えています。2002年までには更に大きな努力がなされるでしょう。

陳情活動とリンク作り

IT開発によりDBBの活動は少しずつ改革をみることになるでしょう。図書館としてまた図書製作者としてDBBは、陳情活動やリンク作りという新しい役割を視野に入れながら、その機能を充実させていきます。

DBBは積極的に行動を起こして、情報交換を行い、利用者の側に立って、他の図書製作者とのリンクを設けていくつもりです。

DBBはデンマーク中の利用者にサービスを直接提供しています。更に、DBBの機能として、公共図書館に録音図書を提供していくという中心的存在でもあります。この機能により公共図書館の録音図書の貸し出しサービスは支えられており、特にディスレクシアの人々をその対象としています。近い将来、個人の利用者及び図書館の両者が直接カタログにアクセスできるようにしたいと思っています。

とりわけ、DBBは公共図書館が提供している情報のすべてに利用者が平等にアクセスできるよう保障していきたいと望んでいます。デンマークの図書館電子ネットワークにオンラインで接続を可能にするには、標準的な図書館システムが必要です。特殊な補助的モジュールを使えば、このシステムに視覚障害者がアクセスできるようになります。DBBは2002年から2003年にかけて、最新最良のシステムを用意し、実現を図ることを目指します。

触発と助言

公共及び専門図書館は、障害者のため、情報へのアクセシビリティの改善に努めています。DBBでは専門的知識・技術を提供していくことで、この努力に応えます。例えば、あるデータ・ベースが障害者にも利用できるものなのかどうか、また、どんな解決方法をとるべきなのかといった図書館からの相談に応ずることができます。

DBBでは、触発者、助言者としての役割を推し進めていくことが最優先であると考えます。コンサルティング・サービス、研修コース、出版は優先順位の上位を占めます。更に、DBBとその他の図書館双方が関わるプロジェクトもまた上位選択肢のひとつとなるでしょう。これはDBBが「サービス提供の中心的存在」という機能を新たにしていくひとつの方法です。

DBBでは、デンマーク文化省が描く子供文化に関する青写真に触発され、障害のある児童に対し図書館としての全体的取り組みを強化していくつもりです。2000年には子供文化に関する公共図書館及び地方自治体との共同プロジェクトをスタートさせることになっています。

DBBは、また、公共図書館がそのサービス提供者としての重要な機能に満足しているかどうかを調査し、公共図書館の将来的需要と必要条件を探りたいとの希望ももっています。この調査は2000年に行われます。

障害者の道を開く

デンマーク電子専門図書館(DEF)は、まもなく、DBBの専門知識・技術を生かすことができるようになるでしょう。狙いはDEFが管理している膨大なデジタル・データを障害者が利用できるものにすることです。言葉を変えれば、電子専門図書館の発展を考える時に、視覚障害者の需要を考慮しましょうということです。

最近は、数え切れないほどのマルチ・メディア製品が市場に出回っています。しかし、これらのどれをとってもほとんど視覚障害者が利用できるものではありません。したがって、DBBはほかの図書製作者と協力を図って、利用者の情報へのアクセシビリティを改善していくことになります。

インターフェースを備えた参考書のように、障害者の需要を受け入れたマルチ・メディア商品を供給することはひとつの可能性です。

同様に、図書製作に携わる企業と協力すれば、DBBの録音図書の幅を広げていくことができるでしょう。DBBは、いくつかの国際フォーラムで積極的な役割を担っていますが、いずれも盲人など障害者のための開発に関連するもので、図書館における問題解決法や図書製品が取り上げられています。

内部改革へのステップ

総合的なテクノロジーの変更は、DBBの組織とその業務のあり方にかなりの変化をもたらすでしょう。陳情活動を行い、新しくリンクを設けていくという役割を引き受けるためには、DBB自体がその専門分野で国立能力センターとしての位置付けを明確にしていくことが絶対的に必要です。

こういった理由から、DBBでは現在の製作志向の文化土壌に取って代わるプロジェクト志向の文化土壌を育てることを目指しています。秩序だった産業文化は、知識とテクノロジーを基盤とする柔軟性のある文化へと、根本的に変わっていかなくてはなりません。

この移行は1998年に始まっています。開発、非ヒエラルキー構造、業務過程の単純化、柔軟性の獲得、信頼性、そして部門横断的な問題解決といった点が、この移行過程の中心となるものです。また、DBBでは職員のために2000年から2002年までの間に計画している大規模な研修プロジェクトを念頭においています。このプロジェクトは図書製作、コミュニケーション、個人の資格制度を焦点にした3つの長期研修プログラムからなっています。

DBBは経費面を考えた効率性を活動の基盤とするものですが、かと言ってこの体制が社会的側面や多様化した職場の現実を認めない訳ではありません。90パーセントの雇用者を巻き込む内部討論など、長い過程を経て、DBBの倫理憲章を公式なものとすることができました。社会的対策面からは、DBBの次の3つの雇用者グループに特に力を注ぐことを強調しています。視覚障害者グループ、少数民族グループ及び職務研修計画の下に雇用されたスタッフのグループの三者になります。

盲導犬は何匹になりますか?

DBBの新しいウェブ・センターでは、デンマークの公共図書館など視覚障害者のアクセシビリティに関心を持つ団体に対し、支援を行っています。

ウェブ・センターは、他の図書館が作成したホームページやデータ・ベースのアクセシビリティのテストを受け付けています。欠陥が認められた場合、ウェブ・センターが該当図書館のインターフェース部分の改善をお手伝いすることができます。公共図書館は、また、DBBが開催する研修コースにスタッフを派遣し、そこでテスト法や、もし必要なら、ファイルの整理法も学ぶことができます。

DBBは障害者のためのアクセシビリティを段階的レベルで捉える測定法を創りあげました。盲導犬5匹を獲得できるホームページやデータ・ベースがあるかもしれませんね!

アクセス不可 盲導犬 0匹
盲導犬0匹

アクセス困難 盲導犬 1匹
盲導犬1匹

アクセス可  盲導犬 2匹
盲導犬2匹

アクセス良  盲導犬 3匹
盲導犬3匹

合格     盲導犬 4匹
盲導犬4匹

ハナマル   盲導犬 5匹
盲導犬5匹

あなたはどのレべルまで大丈夫そうですか?
あなたの団体は盲導犬を何匹獲得できそうですか?