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2001年GLADNET年次総会

GLADNETコミュニティの会員による彼らの活動に関わるプレゼンテーション

講演 Beverly Beckles 氏

Beverly Becklesさんです。Trinidadの方です。カリブ海諸国での経験についてお話をしてくだいます。

Beverly Beckles氏

まず、冒頭に日本にこうしてこられたことを大変嬉しく思っております。河村宏さんをはじめ主催者の皆さんそしてスタッフの方々来日して依頼暖かいおもてなしありがとうございます。日本での滞在を楽しくすごしています。今朝Barbaraさんの方から世界全体の状況についての言及がありました。そして特に途上国の話もありましたが私はまさにそのカテゴリーに属します。私が直面している状況についてお話をします。私の発表は二つの部分に分かれます。まず、英語を話すのカリブ諸島について背景的な話をします。そして私の協会がどういう活動を地域で障害者に対して行っているかビデオも使って紹介します。

カリブ海諸国という事ですが地図を見るととても小さい事がわかります。英語とオランダ語を話す地域そしてフランス語スペイン語を話す地域に別れます。そうした島でなりたっています。英語とオランダ語を話す島は14あります。今日はこの地域の状況についてお話します。フランス語スペイン語を話す地域キューバやDominica共和国については今日は触れません。カリブ海諸国はAntigua, Barbuda ,Bahamas, Barbados, Belize, Dominica, Grenada, Guyana, St. Lucia, St. Vincent and the Grenadines, St. Kitts and Nevis, Montsterrat, Jamaica, Suriname, Trinidad, Tobagoの各国です。合わせて700万人の人口がありますがこのなかで一番人口が大きな国は210万人のJamaicaで一番小さいのがSt. Kitts and Nevisで3万1380名しか住んでいません。Montsterratという所がありますがここで火山の噴火があり人口は5000人まで減少しています。ほとんどの島は独立国で1962年にJamaicaとTrinidad, Tobagoが独立をしました。そして1983年にSt. Kitts and Nevisが独立をはたしました。今申し上げたカリブ諸国はカリビアンコミュニティー(CARICOM)Organization of American States(OAS)そして国連に加盟をしています。

経済は農業、漁業、観光業、石油化学業、貿易に根ざした経済を形成しています。しかしながら現在グローバル化が進む中で様々な現実に直面しています。生産面、投資面、貿易面でも様々チャレンジが特に北米自由貿易地域(NAFTA)、ヨーロピアンシングルマーケットの影響下で様々な課題に直面しています。

それでは、ここで障害者の状況についてお話します。今カリブ海諸国においてはまだまだ十分な情報がありません。統計は不確実なものがあります。政府としても細かな調査を行うことが出来ていません。一つ二つ障害者に関する基本的質問を投げかけても細かい情報がないという事です。例えば障害者の数ですがWHOの情報を元に3-10%の障害者がいるのではないかという事で大まかにはなりますが20万人の障害者がいるのではないかという推測が出ています。カリブ海では精神障害者やエイズは数字には含まれてきません。障害者とは視覚、聴覚、身体障害者、発達障害のみが該当するので他の分野を含めると先程の数字よりも大きくなるはずです。障害者に対する社会的なサービスは主に色々なNGO団体がチャリティーとして提供しています。これは恐らく他の途上国も同じだと思います。

もっとも最近は1981年以降政府からNGOに向けて十分ではないにせよ支援があるのは事実です。教育はこれもNGOによって立てられた特殊学校があります。もちろんTrinidadやベリーズなどの島によっては政府が特殊学校を運営しているところもあります。障害者の教育については政府は特殊学校を通じて責任を果たしています。しかし例えば特殊学校で教育を受けたとしても特別なカリキュラムが与えられるという訳ではありません。子供達一人一人の特別なニーズにそくした教育はまだ十分には行われていません。

ここで言う学校にせよ教育は初期段階であり小学校の時期をさしています。この後の高等教育や職業訓練の領域はかなり制約があります。訓練教育は個人で受けますが障害があると思われると職業につけないので障害があると認知されたくないという背景があり訓練を受けることを阻んでいます。雇用の話ですが、盲人のための授産施設はあります。しかしながらその他の障害者に対しては雇用は非常に限られています。昨日と今日の会議で世界でこの分野でどのような事が起こっているのかがあきらかになってきています。カリブ海諸国も同様、能力がないことやトレーニングが受けられない事や学歴がないという状況で労働市場の中で雇用を見つける事は出来ません。

JamaicaやBahamas、Trinidad, Tobagoでは技術的トレーニングの新しい取り組みがあります。コンピュータの使用がある程度可能になってきましたがこれも非常に限られた範囲内です。現状はコンピュータをようやく使えるあるいは識字率を上げるという程度にとどまっています。例えば視覚障害者に向けてのプログラムというようなところまでは行っていません。

しかし、1997年以降いくつかの前向きな取り組みも障害者に向けに国家が政策作りを始めています。Trinidad, Tobagoがまず始め、その資料を他の地域でも共有して行こうというものでBarbados、Bahamas、Dominica、Guyana、Jamaicaなどの国に情報を提供しています。実際の運営までは至っておらずようやく文書がそろったという段階です。これに伴ってGuyana、Jamaica、Trinidad、Tobagoでは国家レベルでの調整委員会が設置されました。その他にも同4カ国でで障害者に関する組織が様々な省庁の中に新設されました。また、同4カ国の政府からの障害者のための交通、住宅、教育に関しての法律の見直しの公約が出されています。こういった障害者のための取り組みの管轄は今までは保健省だったのですが社会サービス、労働省、教育省に移されました。省庁が確定されたということは障害者にとっては明るいきざしです。

地域の意識改革という事もはっきりしてきました。障害者が高等教育を受けるキャンペーンを行こうとしています。カリブ海7カ国でそれぞれ高等教育まで進んだ人たちを特定し雇用を促進するために印刷物を作り配布して障害者でもアクセスを整え機会を与えられれば高等教育を受けることは十分可能なのだといった意識を高めていこうとしています。これは意識改革に役に立ちました。アクセシビリティーに関しては民間部門のパートナーシップが大切です。ポートオブスペイン市というところがあり段差を解消するなどのアクセシビリティーの改善を出来るように企業の協賛を得て変革を起こしていく事が可能となりました。政府やNGOだけが動いても限られたことしか出来ないことがパートナーシップにより大きな事の達成が可能となるはずです。障害者の方々への雇用という観点では障害者はまだまだ技術トレーニングが受けることが出来ないので一貫した統合されたトレーニングを実施するために技術職業訓練の施設の建設を計画しています。こういったプログラムを受けた障害者の雇用が十分に可能だという事を証明していく必要があります。このような働きかけの結果、障害者の組織内部でも彼らも技術職業訓練を受ければ雇用が可能になるという事がわかっていくはずです。

1999年にTrinidadとTobagoはILOの協定159を批准しました。やはり批准しただけでは十分ではなく必用な事を実践していく必用があります。私たちTrinidadとTobagoとしてはこれを他のカリブ海諸国にも広めていきたいです。色々な前進がありますがまだまだ障害者をめぐる環境には改善の余地がたくさんあり教育がその一つです。障害児の初等、中等教育でもまだまだ不十分です。我々の地域では教育制度全体の見直しを行っています。障害児もとりこんだ形の教育改革が必用だと思います。また、統合的な視点に基づく0才から15才までの就学前を含むデイケアなどの受け皿がありません。理学療法やスピーチセラピーなどのリハビリテーションがまだ受けられない国もあります。リハビリテーションの看護婦もいません。ポートオブスペインやTrinidadであればサービスを受けられるかもしれません。あるいは北米まで行かないと受けられない場合もあります。医学的なリハビリを含めてサービスを障害者に提供出きるように働きかけていきたいです。アクセシビリティーの問題は今でもカリブ海地域では問題として残っています。島の配置を見ればわかると思いますがいつもアクセスは問題となります。道路が使用しにくいという事だけではなく施設も障害者にとっては使いにくいです。障害者にとってはそれがバリアとなります。ですからサービスを受けたくてもまずその施設に入るまでにバリアがあるという訳です。

法律の制度も不十分です。障害を持っていない人が障害者へ対してどのような態度や意識を持っているかという問題がまだあります。輸送手段が不十分でBarbadosで唯一バスがある位でTrinidad政府はそういった輸送手段の承認をするところです。低コストの住宅もありません。Trinidadで新しい住宅を建設をする際に一部を障害者むけにすることになっていますが他の国では実施していません。まず、統合的な職業訓練の機会を増やしていく事が必用です。島によっては職業訓練を行っている機関がないため訓練が出来ない島があります。これには資金の問題がつねにあります。サポートのサービスや就労の問題もあります。その他にも障害者の団体と障害者のための団体の間の緊張や葛藤もあります。問題は色々あるのです。

ビデオをお見せする前に時間が無いので中身を紹介します。
私が所属するNational Centre for Persons with Disabilities(NCPD)は職業訓練や斡旋をしているカリブ海地域唯一の団体です。他の団体がないので他の国に対する情報提供やモニタリング、ガイダンスなどのサービスもしています。地域の政府に対しても必用な変革を実施するように求めています。我々のセンターには130名の障害者の方々がいらっしゃいます。いわゆるサポーティドエンプロイメントというものはありません。職業斡旋所に行き企業に求人がないか探しそれを斡旋をするというシステムです。農業、園芸、木工、調理、オフィスでの仕事、医療、裁縫、印刷などの分野の職業斡旋と訓練を行います。

(ビデオ開始)
(Beverly Beckles ビデオの説明)
センターでやっている事や目的などをビデオの中で述べています。15才以上の方が対象で特殊学校出身の方や今までに教育を受けてこなかった方が技能を修得するために来る人もいます。どういったサービスを提供しているか説明します。職業上のリハビリテーション、職業関連の評価やカウンセリングを本人や家族に対して行います。技能の訓練も行っています。木工、オフィスの仕事、縫製、印刷、調理、農業、園芸などです。センターはNGOが運営していますのでこのセンターに付属する小さな企業があります。訓練を終えた人で一般労働市場での就労斡旋が難しい場合この企業で仕事の出来る場を設けています。予算の30%を政府から補助を受けていますがそれ以外の部分は企業部門から補充しています。いろいろな障害を持った方がいらっしゃいますが聴覚障害や言語障害を持つ方が多いです。可動性の問題を持つ方はセンターに来るのが難しいという問題があるのだと思います。コンピュータの訓練を行っていまが限定的なものです。この地域の政府の全ての職員に対してのコンピュータの読み書きの能力を確保するというプログラムがあり、石油会社と協力して我々がスペースを提供しコンピュータは企業が提供し訓練を実施していて我々のスタッフも訓練を受けています。まだごく基本レベルの訓練です。

(ビデオ終了)
障害者の雇用促進のためにNCPDが先頭に立ってカリブ海地域の障害者のために活動をしています。地域レベルの団体はまだありません。我々の経験を元にしてカリブ海地域全体の他の国の地域に対してサポートをしています。コンピュータ技術に関してはコンピュータによる読み書き程度の訓練にとどまっています。しかし日本の状況を伺った後では日本で行っていることを途上国にも是非広げていただければと思います。そういった輪に参加出きることを願っています。ありがとうございます。