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2001年GLADNET年次総会

フォーラム 若年者の雇用と高齢労働者のパートナーシップの創造と効果的な実践

講演 Barbara Murray 氏
(国際労働機関(ILO)所属)

Barbara氏

Barbara Murrayさんをご紹介したいと思います。国際労働機関ILOのシニアスペシャリストとしてジュネーブで勤務していらっしゃいます。4年間ほどバンコックで勤務されていた経験もあります。職業、リハビリテーション、障害者の問題にも取り組まれています。バーバラさんはILOに勤め始める前からGLADNETにも関わっていらっしゃいました。

 他の講演者からは非常に具体的な数字を踏まえたアメリカの例等が出ましたが私は世界の状況をもう少し広い視野で話しをしていきます。私は若者、高齢者の雇用とパートナーシップの構築の順に話をしていきます。

 それでは、若者と高齢者の雇用の問題とはなんでしょうか。世界でどのような話しあいがなされているのでしょうか。そして特定された問題をどのように解決をしていこうとしているのでしょうか。どのような取り組みがされているのでしょうか。問題の答えが出ていない物もあるわけで、もしかすると皆さんの中から良い解決案が出てくるかもしれません。若者と高齢者を見ていくわけですが障害者も忘れてはならないポイントです。ILOは"DECENT WORK"「ちゃんとした仕事」という意味のコンセプトがありで活動しているすべての地域で"DECENT WORK"が主要なゴールとなっています。労働市場ではいろいろな変化が起こっています。こういった変化から様々な対策や政策が出てきています。こういった対策や政策が失業や雇用促進に対して大きな影響を与えているわけです。世界で障害者の状況がどうなっているかを鳥の目で見てみたいと思います。
 具体的にILOを見ていきましょう。チリの事務局長からこの"DECENT WORK"という言葉が生まれました。ILOの主たる目標は男女や障害者の区別無く平等な機会を与えたいという事です。人々に自由と平等と補償と尊厳が与えられている状況の中で生産的できちんとした仕事を与えたいと思っています。これはほとんどの国で労働者それぞれの向上心にかかわる問題でしょうし、尊厳、認識、補償、尊敬、男女平等そして連帯に関わる問題です。仕事の場での権利、就業条件、収入補償、そして適切な主張が社会の中で出来るといった権利すべてが重要です。そして障害者にとっても重要な問題ですが残念ながら障害者にこういった全ての権利が与えられているという訳ではありません。この目標は多くの国ではまだ現実化していません。それはあまりにも不平等が介在しているからです。これはとても挑戦的なゴールで特に現在グローバル化が起こっているわけでこれまでの考え方、すなわち政府こそが主要な役目となって雇用者と従業員と一緒になって労働力の条件を定めていこうという今までのやり方に対して一石を投じているわけです。この目標を実現していくためには色々な問題があります。
 「インフォーマルエコノミー」という言葉があります。これは法律面や、統計に表れてこないような非公式な経済です。例えば日本やアメリカではインフォーマルエコノミーはまだまだ小さい規模ですが、他の世界では違う状況があります。例えばラテンアメリカでは新しい仕事の9割がインフォーマルエコノミーを形成しているという事がわかります。
 ILOのすべての活動は政府、障害者を代表とするようなNGOと一緒に"DECENT WORK"をやっていくわけですが、それだけではなくビジネスNGOのロータリーインターナショナルなどの民間の社会団体などとも一緒に仕事をしています。"DECENT WORK"の実現に向けていろいろなプログラムが組まれています。このプログラムは三部構造となっています。まず、知識水準を上げていく必要があります。10年間ADAが施行されてから障害者雇用率が果たして上がったのかというとほんの1%の違いしかなく、換えって1%下がったのはどういうことなのかという話がスーザンさんのセッションで出ました。こういった疑問に対しても答えていかなければなりません。そしてもう2つ目に障害者への非差別、機会の均等に対して、雇用、トレーニングに関しての主張をしています。3つ目に技術協力のサービスを提供してます。そうする事で雇用の機会を国家レベルで押し上げていこうという事です。

 さて、市場にはどのような大きな変化が起こっているのでしょうか。スーザンさんのお話にもありましたように知識と能力を基本とする社会へとシフトが起こっています。グローバル化というのは国際競争にさらされるという事です。今までとまったく違ったやり方をしなければならないという事です。情報、コミュニケーションの技術のICTによる様々な変化が生まれています。ICTで金融市場も変わりましたし、新しい経営戦略や手法が用いられるようになり、組織も変わってきています。能力や知識に強く依存する経済や社会に変わってきています。通信分野の技術において大きな革命が起こったと言えます。自動化もはかられました。能力の低い労働の需要が減り、かわって高度のスキルが求められるようになりました。これによって障害者への機会のドアを開く面もあり、一つのコインの二つの側面と言えるでしょう。それから低能力サービス活動へのシフトがあります。今まで人がやってきた仕事が機械でまかなわれるようになりました。障害者がやっていた仕事が機械にとって代わられてきました。特に発展途上国でよくある事で、政策立案者もサービス提供者も考えなければならないのは能力の低いサービス活動でのシフトです。新しい形態の組織では、会社の階層をなるべく平らにするということや製品のラインを世界的に見て生産から市場までを広範に見てやっていく事です。こういう状況で企業は柔軟に需要に対応していかなければならなくなってきています。そして、従業員の責任と関わり方も大きくなってきています。成功するためには自己管理や新しいビジネスのやりかたを導入する必要があり、今までの仕事形態はすでに存在しません。終身雇用の考え方は下がって、パートタイマーや短期の契約社員が増え、自営業も増えています。固定給を払う労働市場から変動のあるものへと変わってきました。伝統的な雇用主と従業員といったつながりがなくなってきています。例えば私の父は生涯を通して役所で仕事をするのが当たり前でした。今では前の仕事をキャリアとして下積みにして別の仕事へ転職するのが当たり前となりました。政策立案者はこういった状況の変化に十分理解が出来ません。このような低い給与、質の低い仕事、補償の悪さ、労働条件の低下はインフォーマルエコノミーが持っている問題でもあります。そして、生産性の違いで給与が変動するという状況になってきています。将来はどうなるのでしょうか。政治家はこうなるといった具合に選挙前に断言しますが、専門家に話しを聞くと専門家自身わからないと言います。雇用主であれ専門家であれ今は大きな不確定要素があるということで戦々恐々としています。

 障害者の状況について見ていきましょう。世界には全人口の10%が障害者で6億1000万人の障害者がいると言われています。ILOの予想では1998年度の統計によると2005年には6億1000万の障害者のうち3億8600万人が就労年齢であるとして、そのうち80%が途上国にいるであろうとしています。5人のうち4人は途上国です。その80%は地方に住んでいるだろうと考えられています。これは各国政府やNGOと話をする上で重要なポイントです。80%の人は全く電話回線の届かないところに住んでいて伝統的な色合いの濃く農業に従事するしかないというような状況を念頭に置かなければなりません。ですから、失業率も高いわけです。世界の障害者の失業率の数字を出すのは難しいのですが、最低でも健常者の2倍、もっと高いでしょう。国によっては80%の失業者が障害者であるというところもあります。失業のレベルは障害のタイプによって違ってきます。視覚聴覚言語障害といったものもありますがなかでも知的、精神障害者のふたつのグループは特に就業率が悪いです。また、実際に仕事に従事していても非常に低い賃金であることがほとんどです。インフォーマルエコノミーでは、質の悪い仕事や非常に就業条件も悪いです。ここに政府の介入が必要となります。女性の障害者は不利な状況に置かれています。貧困の中でそして社会的の除外の中で生活をしています。

 社会から阻害されている人々のためにILOは仕事をしていますが多くの若者が長期の失業に悩んでおり世界で7000万人と言われています。国によって違いがありますが、若者の失業率は10-40%という数字がありますが文書の資料もありますので詳しいデータが欲しい方は私のほうまで言って下さい。若者の多くはインフォーマルエコノミーで仕事を見つけます。全く最初から仕事がない場合もありますし仕事があってもすぐにドロップアウトしてしまう事もあります。若者の障害者は現在の社会状況に大きな影響を受けています。彼らの教育を受けている人々との競争が激化しています。若い人にとって仕事を見つける際に経験がないという事が悪循環を生んでいます。経験が無いから仕事がない、仕事がないので何でもやりましょうという事で条件の悪い仕事をすることになります。多くの人がどうしてこういった事が起こっているのか疑問に思っています。日本の場合は問題ではないのですか?多くの国では問題ですね。どうして若者の失業の問題があるのでしょうか。Beverlyさんにマイクをまわしてください。

(Beverly Beckles 氏)
 いくつか申し上げる事が出来ると思います。私は発展途上国から来ていますがカリブ海では若者の失業率はとても高いです。もちろん、障害の有無に関わらずトレーニングの機会さえありません。そうすると仕事を得ることも出来ません。経験という事ですが雇用主は経験が欲しいのですが、若者ですので経験がない場合が多いです。

(Barbara Murray 氏)
 ありがとうございます。その他にどなたか、どうして若者の雇用問題があるのかお答えしたい方はいらっしゃいませんか。

(伊藤 氏)
 日本でも経済の停滞の影響で若者の雇用の問題は最近出ています。いったん、仕事を失うと新しい再就職先を見つけるのは大変難しいが若者は例えば12ヶ月位待てば何らかの仕事にはありつける状況にはあります。

(Barbara Murray 氏)
 Beverly Becklesさんトレーニングについてもあとで話したいと思います。

 政策立案者がよく言うことは若者の雇用状況に一番影響を与えるのは国家の雇用状況だと言います。ですから、こちらが上がればこちらが下がるという状態です。ですから景気がよくなれば若者の雇用問題はなくなります。しかし、調査によるとほとんどの国では成人の雇用率が1%上がると若者の失業率が2%上がるそうです。ですから国家の雇用状況というのがとても重要です。勿論他の要素もあります。若者の最低賃金ですが雇用主はこの賃金で良いと思うわけですが、障害者の雇用でも同じです。雇用主は最低賃金さえも生産性のないであろう人に渡したくないという事です。法律で強制していないような国では最低賃金さえも払わない国もあります。そういった状況が普通になっています。いずれにせよ、若者の給与に関しては経験がないので十分な給与が払われていないという事が言えます。若者の雇用においては社会保障の支払いや年金の問題もあり、これも変えていかなければなりません。障害者の両親が我が子がいじめられるなどの理由で仕事に行かせたくないと言う親もいます。これに対しても法的な規制を考えなければいけません。それから若者の労働力の規模があります。大きな規模があるために競争が激しく、差別という問題や教育、人種、性別の差別が出てきます。教育のレベル、最初に受ける訓練の質、これまでの仕事の経験等がファクターとなって若者の「雇用適性」を形作ります。これらが研究の中で指摘されている点です。問題に取り組むならばこのうちのどれに優先順位を置いていくか決めていく必要があります。後でこの「雇用適性」についてはILOのトレーニングの重点にもしているので触れていきたいと思います。
 続きまして高齢者の労働層に対しての話をします。Susanne Bruyereさんからのアメリカの報告はありましたが高齢化の諸問題は同じ様な現象が多くの先進国でも起きています。45才以上の人口は2億人から2050年には19億人にまで伸びる予想です。100年間で9倍の伸び率です。途上国は今のところ若年人口が多いのですが、ただ、高齢化のスピードは先進国よりも速いです。今は高齢化の問題は出てきていませんがいずれ顕在化してくる問題です。高齢化によって雇用の懸念も出てきます。50才を越えて職を失うとどういう理由であれ新しい復職先を見つけるのは難しいです。性別の問題もあり、往々にして多くの高齢の女性は識字率が低く数学知識も持ってきていません。45才を過ぎるとなんらかの障害で罹患(りかん)していきます。社会保障の問題もあり、多くの高齢の労働者は年金を受けることが出来ません。今まで高齢者の世話を見てきた「大きな家族」による支援といったものがこれがだんだん出来なくなってきています。
 ではまた、皆さんにおききしましょう。何が原因でこういった状況になったのでしょうか?若い人、高齢者、障害者が必要でなくなった理由はなんでしょうか。高齢者の労働者の問題の原因は何でしょうか?ヨーロッパはどうですか?

(Micheal Kamp 氏)
 多くの変化がビジネスにあり高齢の人は技能を身につけたりしてついていくことができません。一方でこれはニーズでもあり、反対にもういらない、辞めなければならないという労働層も変化によって出てきています。十分にトレーニング、再トレーニングなどの準備がなされていないという事です。政府からの報告からも再教育の重要性が指摘されています。一方では人々を求め、技能不足という事でいらない人が出てきています。

(Barbara Murray 氏)
 日本ではどうでどのような背景があるでしょうか。日本の今の状況を新聞記事などを読まれた印象で構いませんのでコメントをいただけませんでしょうか。日本はアメリカやヨーロッパと似ていますか。企業で変化が見られている30、45才位の中年層だけで他の年齢層の人は影響を受けていないのですか。日本の状況はどうですか。丹羽さん。

(丹羽 氏)
 決して他の国と違う状況ではありません。問題はいったん解雇や離職した場合は新しい技能を例えばICT関連の技能を取得をするのは難しいです。これが一つの理由ですが新しいテクノロジーに対応出来るであろうという望みのもと若い人の求人をしています。それによって残されるのは他にも理由がありますが45才、50才以上の労働者達です。
(Barbara Murray 氏)
 他に何か意見のある方いませんか。タイではどうですか?
(Monthian Buntan 氏)
 タイでは政府による公務員の早期退職プログラムがあります。中年層は一方でIT技能を修得する事を勧められ、それがないと昇進の可能性が低くなり解雇の可能性すらあります。公務員は最後まで安定した終身雇用の仕事であったのですがその状況は今は現実ではありません。障害者に関して言えばサービス業、ホテル等でも高齢の電話オペレータの方々はタッチパネル方式のシステムの機械化が進み深刻なマイナスな影響が特に視覚障害のオペレータの中であります。

(伊藤氏)
 日本は長いこと年功序列で年をとるほど賃金が上がるという制度を保ってきました。これがまず一つの大きな要因として高齢者を経済状況が悪くなると解雇せざろうえなかったという実体の原因の一つとなっていました。一方働く人が誰のために働いているかという家庭の中での位置づけが変わってきました。家庭の単位がどんどん小さくなってきています。そこで、政府の施策を含めての社会的な構造調整が始まっています。以前ですと高齢者や熟練労働者、高額所得者が多くの家族を支えるという構造がありました。しかし、核家族化が進み小さな家族となり、より少ない家族しか支えなくてもよくなり、高額を稼ぐ高齢者が必要でなくなってきました。しかし、そういった家庭であるにもかかわらず、高齢者に対しては高賃金を出さざろうえないという状況であります。いずれこれは時間がたつと解決すると思います。もちろん高齢者の人口が他の国に多いので高齢者自身がどう所得を得て生活を営んでいくかという別問題は残りますが家庭の構造の変化と経済の失速の2つの要因が過渡的にうまく調整できないというのが実体です。高齢者のスキルとしての要請のあった熟練というものが日本の産業構造の中で熟練を要するような労働力が必要となくなってきているのだというのもまた別の問題としてあります。もちろん、ITというスキルは高齢者にとってはとっつきにくいと思いますが熟練を必要としない技術がこのように出てきたのは事実です。一般的に言って日本の熟練を必要とする労働市場は少なくなってきています。
(Barbara Murray 氏)
 ありがとうございます伊藤さん。
まさに、調査の結果の通りのお話が出ました。変化のペースが速い、年齢の差別がある。若い人はコンピュータを毎日使っているので問題ないだろうという考え、技能の不足、高齢者はいらないという年齢での差別、教育と技能の不足と障害という問題があります。これらについてすべて皆さんがアップデートされた指摘をしてくださりました。

 それでは、次ぎの質問、問題解決のために「何をする必要があるか」「どういうアクションが必要か」という事です。そこで、ILOの出している3つのコンセプトを発表したいと思います。雇用適性、資産、能力の3つです。

 「雇用適性」とはなんでしょうか。仕事を得ることが出来る。就職をすればそれを続けて伸ばし続ける事が出来る。変化があればそれに対応する事が出来る。解雇や離職、仕事を変えたいという場合に新しい仕事を確保をすることが出来る。就職をし、男性であれ女性であれ子育てなどに専念のため休職をし、また復職をするという人生のいろいろな場面でのフレキビリティーが可能であるという事です。
 「雇用適性の資産」に関して3つのレベルがあります。ベースライン、中レベル、ハイレベルの3つです。ベースラインは、ベーシックなスキルがあり個人的な属性という事で信用がありしっかりしているという事です。多くのNGOの障害者向け向けのトレーニングでもカバーされており時間にきちんと来て正直であるといったことです。中レベルは職業的な技能や全般的なもので問題解決力、コミュニケーション力などがこれにあたります。個人的属性も動機づけや、イニシアティブもこれにあたります。ハイレベルの資産はではチームワークが出来るか、個人的に自己管理が出来るかといった事です。
 「能力」は個人的な知識、技能、態度、仕事関係以外での資質全てが含まれています。ある職場でこの仕事が出きるという事だけではなく、異なる内容、異なる状況、異なる技術的状況でも資産を応用する事が出来る能力が含まれています。ちなみに、知的障害者はここの部分が欠落している人が多いです。独立をしてクリエイティブに対応する能力もここに含まれています。
  政策立案者等にとって特にこのコンセプトを理解する事が高く求められています。一人一人の「雇用適性」を基本的教育や初期トレーニングそして継続的な生涯学習を通じて促進していく必要がありILOもこれに取り組んでいます。また、高齢者の雇用の問題の現象にも取り組んでいますし、失業や不完全雇用の人たちの問題にも取り組んでいます。
  それではイニティアティブに移ります。どういう対策が国というレベルでとられてきたのでしょうか。実際の需要を考えずに同じ様な内容のトレーニングが続けられる事もあります。例えば実際に仕事がないにも関わらず電気技師が毎年80名要請されるとします。多くのトレーニング提供者は現状として同じ技能を同じ数だけトレーニングを続けるという状況があります。したがって、労働市場の需要にきちんとリンクしなければならないという事です。需要に合わせた救済教育、仕事のトレーニング、求職の手伝い、実地訓練が必要となります。
  また、国の政策にでてこなかったような知恵が民間によりだされています。私は来週スリランカに行き経営者の会議に出席しますが経営者のためのトレーニングというものが実施され、加盟企業の中で障害者雇用機会が生まれています。そこでは障害者の問題も話されます。取り組みがまだ浅いですが雇用の一部を担う経営者の側面も忘れてはなりません。若者の障害者も弱者の一人です。経営者の考えを聞くと非常に啓発される事があります。多くの時間をかけて経営者のみなさんからどのような労働者が必要なのかという事をおききしています。
  もう一つの国際レベルでなされているイニシアティブは経営者と労働者間の協力です。ILOのコンベンションがありますがこちらに小冊子がありますのでご参照下さい。青年に関するILOのグローバルプログラムもICTは取り組んでいます。コフィア・アナン国連事務総長、カンソム・ビアILO事務局長、世界銀行総裁が高レベルでのネットワークを若者の雇用について構築しています。9月に最終会議が行われ採択が行われ報告書も出る予定です。アナン事務総長は「グローバルコンパクト」というものを打ち出しています。企業が社会的目的に対して責任の一端を担うべきと訴えています。青年雇用もその一つで40を越える国際企業も合意しています。ここで問題として残るのは誰が責任を被うかという責任の所在です。多国籍企業でしょうか。国の政策上の問題でしょうか。
  高齢者労働者に関してもさまざまな試みが各国でなされています。仕事を続けるという事に関して法制化が進んでいるヨーロッパの企業のほとんどは障害を生じた人を廃職にするのは違法になっています。トレーニングも法令の中でカバーされています。日本では、いくつか公的なトレーニングによって転職を促しているときいております。それには補助金も含まれています。最低の割合が設定されていると高齢労働者に関してはきいています。高齢労働者対象のトレーニングもあると聞いております。設定された退職年齢までとどまることも望まれていると聞いています。これらは、大きなインパクトというわけではありませんが政府として取り組んでいる問題です。
  英国においてもトレーニングフォーワークというプログラムがあり59-63才を対象にしています。アメリカの事例はSusanneから報告がありました。英国では民間企業のボランタリーなイニシアティブもあり、テスコという巨大なスーパーマーケットチェーンがあり55-70才の年齢に対してマチュアエントラントプログラムという名の元に5000人を雇用しています。若者と障害者の高い離職率という問題を考慮して決定をしたという事です。高齢者は忠誠心が高く仕事熱心だという事です。高齢者は離職率が非常に低いという事です。
  ILOでもEUでも高齢者に対するコメントが出されており来年の9月に国連で第二回高齢者会議が開かれます。各国からの参加が予定されています。そこで勧告が出される予定です。
  最後にいくつかのよくきかれる問題に触れて話を終えたいと思います。皆さんも直面されている事だと思いますが、多くの高齢者達が基本的な教育や識字がない故にトレーニングへのアクセスが阻害されている事です。これに関して政策や実際の対策において政府や社会的パートナーが実施すべき事は何でしょうか。所得状況を改善をするためにどのようなトレーニングが行われるべきなのでしょうか。新しくICTが出現し多くの関連学習トレーニング機会がありますがトレーニングはどのように開発されているのでしょうか。そしてこの可能性をどう経済に結びつけていけばよいのでしょうか。6億1000万という障害者人口の中でどのようなアクセシビリティーをはかっていけば良いのでしょうか。新しいICTトレーニングに関して障害となっているのは何でしょうか。政府や社会的パートナーやNGOによってこれをどう克服していけばよいか私も答えを持っていませんので皆さんに是非おききしたいです。教育やトレーニング分野で実際にリーチをかけていくために私たちは何を実際にしていけばよいのでしょうか。最後に多くの人たちにより継続的なトレーニングという意味で生涯学習の必要性が言われています。特に変化多様な世界には必要ですがしかし、これも障害者に対してアクセスが十分にはかられていませんし教育内容のレベルが低いです。特に中小企業さらに、インフォーマルセクターではこの傾向が強いです。これに対してどのような公的な政策や企業のイニシアティブがとられるべきなのでしょうか。これがもっとも答えていくのが難しくチャレンジングな問題だと思います。皆さんも他に色々な問題をかかえていると思いますがそれはディスカションの中で取り上げていきたいと思います。