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2001年GLADNET年次総会

本会議のホスト組織によるプレゼンテーション

講演 河村 宏氏
(財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長)

河村氏

 日本障害者リハビリテーション協会の活動でIT関連でやってきた活動あるいは、これからやっていかなければならない事を中心に話をします。私の後ろにあるホームページは日本語と英語両方で作ってあり、インターネットで見ることが出来ます。簡単に日本障害者リハビリテーション協会はどんなとこか述べたいと思います。
  日本障害者リハビリテーション協会は財団法人で国内外における障害者のリハビリテーションに関する調査と研究を行い国際的な連携の中で障害者のリハビリテーション、社会参加に寄与していくために作られました。私の務めている情報センターはごく最近出来ました。
  1996年にノーマネットというインターネット上で障害者自身の団体、あるいは障害者を支援する団体を支援する団体をスタートしました。この中で障害に関する情報を世界中から集めて配信していくDINFというものがスタートしています。
  DINFについての紹介をいたします。これも日本語と英語両方で提供しています。DINFは主として研究報告や日本障害者リハビリテーション協会が出している雑誌などの情報を載せています。そして、DINFを通じてDINFならではの情報を提供しておりアジア太平洋障害者の10年関連のワーキンググループの情報も掲載しています。このような見かけをしています。今スクリーンに出ているのは12にわかれたDINFのコンテンツです。12番目はアジア太平洋障害者10年関連の情報です。詳しい内容につきましては後ほどインターネットでご覧になってください。DAISY関連情報もここで見ることが出来ます。ここでは主にDAISYのウェブサイトを日本語に訳し、日本にいるDAISYに興味のある方への情報提供を行っています。私のプレゼンテーションは全体が遅れている関係上短くまとめます。
  今情報センターあるいは、日本障害者リハビリテーション協会が一番関心を寄せていることの二つに焦点をしぼって話をします。一つはアジア太平洋地域を中心に若い障害を持つ人たちにトレーニングの機会を提供しています。そして、それぞれの国で頑張ってもらうというお手伝いです。この研修はダスキンという企業グループの資金提供をいただき毎年10名の定員で1年間の研修を実施しています。さきほど話題にあがりましたタイからもアンポールさんがこの会場にも来ています。アンポールさんはパタヤの訓練センターの教官をしている若い青年です。日本で今研修を積んでいるところです。他にモンゴル、マレーシア、中国、韓国、フィジー、ミャンマーなどの国からの参加があります。トレーニングの中にITを取り入れ、何人かの参加者は実際に自分のホームページを作り、写真などを置いて情報提供を試みています。研修の中でのITの中身は視覚聴覚という二つの障害については情報障害という事で特にITに関わる障害と認識しています。身体障害のモビリティーの障害を含めて、インターネットのウェブのアクセシビリティーを中心に取り組んできました。
  情報センターではウェブの国際標準団体のW3Cに加入してウェブアクセシビリティーの改善に一緒に取り組んでいます。今日、この会場ではパソコンで要約筆記をしてもらっていますが、その内容をそのまま点字ディスプレイに出し、視覚障害者で点字を読める人がそれを使う、あるいは耳が聞こえなくて目が見えない人は点字や手話を手で触る事が唯一の情報源となるのでもうろうの人を会議でサポートするといったシステム、ソフトウェアーの開発も私たちがやってきました。ほぼそれが完成したので今日は実際に点字ディスプレイによる情報提供をしています。
  情報障害の大きなグループに学習障害(LD)あるいは知的障害の人々があります。彼らにどのようにわかるように情報提供をしていくかは私たちの目的です。ひとつの到達点はこんなものではないかというものをお見せします。それはDAISYと呼ばれ、世界中で共同開発してきたもので国債標準となっています。(約1分のデモストレーション)これはタイムワーナー社が発行したアメリカで最初に出版されたDAISYのマルチメディアトーキングブックです。画面の上で今黄色くハイライトになった部分があります。そこに読み上げられているテキストに相当する文字があります。つまり、人間が話す声に同期してテキストが表示がされるというプレゼンテーションです。これは絵が入っていませんが、日本の例を紹介します。インクルージョンジャパン(育成会)と協力して作った自立生活のためのテキストです。(約1分のデモストレーション)これは知的に障害のある人のためのセクハラ防止のための教本です。もともと、これとみかけがそっくりの本として出版されているものです。育成会の協力を得てDAISYにしたものです。私達はこれからもっともっと、こういった本を作っていき、インターネットでも全部をダウンロードしなくても読めるストリーミングの形で提供していきたいと思っています。つまり、知らなければならないこと、知りたい事、楽しみたい、といったマルチメディアの本がたくさんCDROMで配られたり、インターネット上にありそれらの中から好きな物を選んで読めるという環境を作っていきたいと考えているのです。これがマルチメディアのDAISYです。私たちはDAISY を制作のためのソフトウェアーを作ることに非常に力を注いできました。このプレゼンテーションは私達が作ったオーサリングのための編集ソフトで作ってあります。普通のパソコンでこのようなプレゼンテーションが作れます。私たちは発展途上国でこのソフトウェアーを使って、是非識字のためにもつかってほしいと考えています。付け加えるとこのDAISYのプレゼンテーションのコンテンツをCDROMに焼くと視覚障害者専用のCDプレーヤーで聞くことが出来ます。そして、少し工夫をすればマニアの中で流行っているMP3のプレヤーでも再生できます。つまり、普通に市場で手に入る普通のパソコンで作り今ご覧いただいている再生ソフトを使うと普通のパソコンで再生が出来、インターネットで流通も出来、視覚障害者のために特別に作られた専用のCDプレーヤーを使えばページに直接飛んだりある章を選んだりするマルチメディアという事です。これを国際的協力の中で完成しDAISYとよんでいます。タイムワーナーのような大きな出版社にもこのDAISYで出版してみようかという動きが出てきています。この流れを押し進めて、例えば職業訓練のための教材や学校の教科書がDAISYで作られればどんなにか便利になるだろうと考えています。障害のある人が共に同じ訓練コースで学べるような教材を作っていくことが可能です。この後タイのモンティアンさんより紹介があると思いますが、障害のある人が録音図書の作り方をインストラクターとなって広げていくという事も実際にタイでは試みられているようです。誰もが理解しやすく、アクセシブルで見えなくても聞こえなくても一緒にプレゼンテーションが出来ディスカッションが一緒に出来ます。絵の助けも借りて、家族や先生などのなじみのある信頼のある声で例えば火事の時あるいは緊急の時にどのように避難したら良いか教材としてわかりやすく教材として広げていくことも出来ます。自分の命を守り毎日の生活を楽しむことにこういったマルチメディアを使っていく事が私たちの目標です。他にも大切な仕事がたくさんありますが、情報センターがもっとも力を入れていることはこういったインターネットの技術あるいは、もっとひろくITを使って全ての人が一緒に理解出来る情報を提供していくことです。会場の外にさきほどのマーチンルーサーキング博士(Martin Luther King Jr.) の"I have a dream"のプレゼンテーションの入ったDAISYに関するCDROMが配布用に置いてありますのでお持ち帰りいただき後でゆっくりご自分のパソコンで試して下さい。今ご覧になっている再生用のためのソフトもそこに入っています。日本障害者リハビリテーション協会では途上国向けには制作するためのソフトは非営利の利用という事で無償で提供します。日本国内では再生用のソフトは個人の使用では無償で提供します。出来るだけ早くこういったアクセシブルなマルチメディアが普及し、どこへいっても働く場でも毎日のすべての生活の場でもわかりやすいアクセシブルな情報が得られる状態を作り出す事を目指しています。以上で日本障害者リハビリテーション協会のやっている事で一番GLADNETの総会に関わりのあると思われる事の発表を終わります。ご静聴ありがとうございました。