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2001年GLADNET年次総会

引き続きITアジェンダ-民間部門、助成財団、消費者の視点

企業における障害者雇用:はじめに

わが国の障害者の雇用に関する基本法は 1960年に制定された 身体障害者雇用促進法です。 数次にわたる改正を経て、 現行の「障害者の雇用の促進等に関する法律」に至っていますが、 1998年以降、 従業員56人以上の民間企業は、 法定雇用率1.8%の 障害者雇用が義務付けられています。 しかし、障害者の雇用促進のための方策として 「割当雇用・ 納付金制度」を 1976年の改正の際 取り入れられました。 実際、多くの企業はこの納付金を支払い、 障害者雇用率1.8%を下回っているのが現状です。

高島屋風景

 今回ご紹介する「株式会社高島屋大阪店」は日本国内でも有数の百貨店高島屋の、関西における基幹店舗ですが、このたび大阪店として初めて知的障害者を雇用するなど、障害者雇用促進に積極的に取り組んでいます。


脇田氏インタビュー

脇田氏インタビュー風景

Q: 今、現在津田さんが働かれてますが、津田さんの採用にいたるまでの経過を教えていただけますか。

 まず、面接につきましては、平成12年1月に大阪府内ハローワークさん主催の障害者合同面接会がマイドーム大阪でございまして、そちらで当社にご応募いただきました。採用の基準といたしましては、これは障害者、健常者に関わりなく同じでして、当社の中で能力を発揮していただける方かどうかということと、あと、人間関係を含めた社会性はどうなのかということになるかと思います。そういった中で、津田は当社の採用基準を十分クリアする人物であったということですね。それと社内でも障害の種類に関わらず、重度の方も含めて障害者雇用を促進していこうという考えになっておりましたので、大阪店でも初めての採用となる知的障害者である津田の採用を決めました。
採用の最終的な決定にあたりましては、大阪市職業リハビリテーションセンターの指導員の方と、数回にわたる情報交換をさせていただき、それら情報を加味しながら、後押しをいただいた形で結果をださせていただきました。
津田の入社1年を経て、大阪店では今春も市職業リハビリテーションセンターから一名の知的障害者にご入社いただいております。

Q: それまでに 大阪市の職業リハビリテーションセンターの方が、 こちらに出向いて雇用して下さい。ということはあったのですか。

 今のそれまではですね、なかなかご縁がなくてですね、 こちらも逆に大阪市の職業リハビリテーションセンターさんがですね、どこにあるかとか、 その意味も含めてまったく無知の状態であったんですけれでも、 たまたま合同面接会でお会いさせていただいてからはですね、 たびたびお越しいただきまして、津田との面談も含めてですね、 我々のお話もお聞きいただくと、 まああのそんななかで、この一年、津田が一年勤務を終えてきたわけですけど、 実は今年もですね、一名、職業リハビリテーションセンターのほうからですね、 一名のかたをまたお雇いするというような状態にいたったという形ですね。

Q: 津田さんのことについておたずねします。 津田さんは今どんな仕事をされているんでしょうか。

 大阪店の総務部の人事グループの中で、 主にアルバイト採用をですね、 アルバイトといいますと、 だいたいお中元、お歳暮期ですね、各々600名づづぐらいの人数を雇いますし、 平月なんかも催し場なんかでですね、多いときですと100名くらい入っていただくんですが、 その一連のですね、採用から入店までの手続きですね、 ですから採用の場合ですと、まず求人雑誌なんかに載せますとですね、それの電話、お問い合わせの電話がかかってくると、 その電話の応対、 実際、本人さんがですね、来られて、受付、申し込みにこられると。 そこでの、これまた、受付、応対ですね、実際の受付、応対と。 それから、実際入店が決まられましたらですね、それをパソコンに打ち込んでですね、 ネームバッチを出したりとか、入店の準備にかかっていただくと。 主にそういう採用から入店までの流れ一連をやっていただいております。

Q: 津田さんに対して、日々仕事を依頼するときに、 特に何か留意してお願いしてるようなことといいうのはあるんでしょうか。

 そうですね、一応障害者雇用ということで入っていただいたのですけど、これは障害者、健常者関係なくですね、やはりできないこと、それからできることですね、 これは、得意なこと、不得意なこととも言い換えるかと思うのですけど、 その辺でまず得意なことですね、これに関しては、我々と一緒でですね、 その業務に関しては、非常に高いレベルのものを求めていくと、 完璧にとは言いませんけれども、我々と同じレベルのものを求めていくと。 津田の場合ですね、津田本人とも話しをしていますと、何が不得意だといいますと、 複雑な計算が不得意であるというようなことを彼女自身も言うておりますので、 この一年は、先ほど申し上げました得意の部分ですね、電話の応対であるとか、 それから事務作業ですね、なんかを重点的にやってきていただきまして、 非常に今は高いレベルにきたなといいますか、私個人的には満足できるレベル、一年入社を経てですね、いうふうに思っております。 ですから、そうこうしていくうちにですね、自分もひとつの業務の到達点が見えてきたらですね、次の仕事にチャレンジしたいといいますか、 もっともっとというふうに思っているようですので、 今まで彼女が不得意と思っていた部分ですね、それは計算ということなのかもしれませんけれども、 そのへんを表計算なんかのソフトを使いながらですね、これからやっていってもらいたいなというふうなことを今は感じております。

Q: では、今後、高島屋として、 障害者雇用、知的障害、身体障害もありますが、どのように取り組もうとされていますか。

 当社、先ほど申し上げましたように、平成10年6月1日の地点でですね、 1.44%ということで、 非常にその当時の法定雇用率1.6%からも非常に乖離しておりまして、 平成10年を期にですね、障害者雇用促進3カ年計画というのを、これ全社的に 策定いたしまして、大阪店のみならずですね、関東の各店も含めて、 いろいろな障害採用、障害者採用という取り組みを進めてまいりました。 その中で、結果としてこの13年の6月1日に なんとか現在の1.8%の法定雇用率は満たすような形になれるということなんですけれど、 あくまでのこれはスタート地点についたという認識を当社の中でもっておりまして、 今後ですね、「新障害者雇用3カ年計画」というのを策定をいたしておりまして、 もちろん、障害者の方をお雇いするという数的な部分もそうなんですけど、 実際、中での労働環境面、就労環境面ですね、これハード、ソフトの面、両面からのですね、 整備をしていってですね、より働きやすい職場ということも含めて目指していきたいというふうに考えております。

Q: ハード、ソフト面でバリアフリーを目指すと言われましたが、 情報技術をすごい言われていると思うんですが、 そのあたりを活用して障害者雇用にいかしたい部分とかがありましたら教えてください。

 今、実は既存のですね、設備、機器ですね、OA機器も含めてと いうことになりますと、非常にその障害者雇用の 場が限定されるというのを今非常に実感をもっておるんですけれでも、 これが大阪の障害者雇用情報センターさんなんかに何度かお伺いさせていただくんですが、 その中で、例えば視覚障害の方ですとですね、拡大機、パソコンを使った文字の拡大機であるとか、 音声入力であるとかですね、もしくは、聴覚障害者向けのですね、 情報端末といいますか、その端末を持ちながらですね、字でコミュニケーションをはかるというような、 非常にそういうような機器がITのような機器がですね、整備されているのというのを知りまして、 今後そういうのをどんどん導入していけばですね、 これまで考えられなかった職場、もしくの職務の開発がしていけるのじゃないかというふうに思っております。