音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

2001年GLADNET年次総会

ITアジェンダ-民間部門、助成財団、消費者の視点 日本のIT会社や助成財団からの、収入創出や途上国におけるITに関わる経験についてのプレゼンテーション

講演 (竹中 ナミ 氏)
(プロップステーション 理事長)

竹中氏

 皆さんこんにちは。関西弁は英語だとどんな風になるのでしょうか。通訳のおねえさんありがとうございます。プロップステーションというNPOで草の根の活動をボランティアで1991年からずっとやってきました。1998年の9月に厚生大臣認可の第二種の社会福祉法人となりました。この活動の中心はITを活用して家族の介護を受けているような状況の人も学び仕事を出来るような人にしようとすることです。キャッチフレーズは「チャレンジドを納税者に出来る日本」です。日本は経済がかなり豊かな国ということでたくさんのチャレンジド(障害)を持つ人たちが年金を得たり、様々な保護を受けています。しかし、保護があってもチャンスがないというのが日本の現状です。私自身がこういった事をしだしたのは、まもなく30才になる娘がいるからです。娘は重度心身障害で全く目が見えなくて音がわかっても意味がわからなく自分もしゃべることは出来ず母親の事もほとんど認識できません。彼女は現在は国立病院で世話になっていて毎月税金が5、60万円使われている状況の中で私は何をすればいいのか考えました。何をしたら、彼女のような人もたくさんの人に支えられこれからもいろいろな事を出来る人達がほこりをもって生きていけるんだろうという私の人生のテーマを見つけました。彼女を通して無数の障害を持つ人たちと出会いました。その人たちが日本では保護をされてもチャンスがない、自分が誇らしく生きることが出来ないという状況を見てなんてもったいない国なんだろうと思いました。もっとも大切なのは国民一人一人のほこりであるはずなのにそれを与える事が出来ない国であると思いました。人に何かしてもらう方が障害者だけでなく得と思うような国民性になってきたと強く感じます。それなのにセカンドチャンスは女性だから、高齢者だから、障害があるという様々な理由で拒まれています。チャンスをつかむことが出来ないという国の構造がおかしいと考えてきました。私はこの活動をボランティアでやってきましたが、行政的な補助はまったくありません。全ては活動に共感をしてくださっている人たちが様々な形で応援をしていただいて活動をすすめています。ITというものを取り入れたくさんの人の協力で私が望んでいるようなミッションを実現出来るような社会になるのではないかという仮説をたて活動を始めました。ちょうど活動を始めた1991年は日本にパソコン通信が上陸をした年でした。パソコン通信を使えば見えない人は音声装置で意見を交換したり聞こえなかったりしゃべれない人は文字ベースでやればほとんどそれは障害になりません。パソコン通信の世界では言語の障害でゆっくりしかしゃべれない人も文字の情報交換では文字の一行は他の人の一行と平等です。ここでは平等な意見交換が出来ます。家族の介護が必要で自宅から出にくい人も自宅にいながらにしてプロップステーションのスタッフとして参画が出来ます。まず自分達の活動そのものをITを使って始めました。現在のスタッフの大半は様々な障害を持つ人たちです。さきほど河村さんから知的障害の話しがありましたがプロップステーションのメンバーは全ての障害を持っています。知的障害に限定しているわけではないです。たまたま、私の娘が障害のデパートのように色々な障害を持っているので視力、聴力、身体障害、難病、精神障害といったあらゆる障害種別の方々がプロップステーションでITを学びコンピュータネットワークを通じて仕事をしていくという事にチャレンジしています。活動はたくさんの人に支援されています。私自身はコンピュータはほとんど使えなくて英語も話せず日本語の関西弁しかしゃべれないのですが口と度胸は世界中で5本の指に入ると思います。このミッションを伝えるために出会える限りの日本の国内のトップリーダー達と会いました。プロップステーションのコンピュータのセミナーには日本マイクロソフト、アドビ社、マクロメディア社、アドビシステムズ、ITコンサルのフューチャーシステムコンサルティングのトップリーダーの社長達がプロップステーションの会員や役員となりボランティアとして活動を広げる協力をしています。しかし、最終的には国を変えるためには法律を変える事が必要です。今年のプロップステーションの目標はアメリカのADA(Americans with disability Act)を日本の風土に合う形にアレンジして法律の背骨にする事を目指し政府の様々な用心とも会い日米のワーキンググループなどを作る第一歩を踏み出そうとしています。ちょうど総理大臣が替わり日本の総理大臣としては若い小泉さんという改革を大変標榜する人が選ばれました。一昨日の5月14日の国会質問でも与党の中から神戸のプロップステーションという団体が言っている日本版ADA成立についての推進を問うという趣旨の質問が出ました。これに対し小泉首相はアメリカと共に研究をしていきながらこれを政策にしたいと思うという答弁をしたばかりです。まず、与党内で国会議員のチームを作り、参議院選挙の後に超党派に広げて全ての政党、派閥で参画をいただきこのミッションを制度として国の政策の柱としていってほしいなと思っています。私たちの活動は日常の生活の中で生まれ、初めてパソコンを触るという人のセミナーからプロになるようにたくさんのコンピュータ関係者が教える。覚えた人は自ら講師となって次の人を育てていくという循環があります。実力をつけた人はあなたはこんな仕事ができるここまで来たという評価をします。プロップステーションは支援して下さっている企業や行政や自治体から仕事を受託します。その仕事を在宅で介護を受けてコンピュータを学んだ人に振り分けます。勿論、営業、見積もり、請求書を企業とやりとりをし、皆さんが仕事をした後に発注者にお返しするといった事もやります。パソコンのマウスを生まれて初めて触るところから介護を受けてプロになるところまで一貫してプロップステーションが実験プロジェクトとして10年間やってきました。こういう話は口で言っているだけですとわかりにくいと思いますのでビデオを10分間ほど見ていただきます。このビデオはつい最近プロップステーションの活動を取材して下さった日本のメジャーなニュースの番組です。一本目はABC(朝日放送)が今年2月に取材をしたもので2本目はNHKの関西の支局が取材をしたもので1月4日に一年の最初のニュースとして今年のトピックとして放送されたものです。この中で注目していただきたいのはいろいろな障害の人が年齢など関係なく勉強をされているという事です。セカンドチャンスを得るために高齢の方にもお入りいただいています。講師自身、支援者やボランティアに障害を持っている人がたくさんいるという事です。
映像の中に出てくる様々な機材やセミナールームあるいは、ソフトウェアは全て支援してくださっている企業からの提供であるという点に注目してビデオを見て下さい。


ビデオ1  ABC(朝日放送)

(スタジオのコメント)「チャレンジド」というのは神様から挑戦する使命を与えられた人々という意味なんだそうです。アメリカでは障害を持った方々をチャレンジドと呼ぶのだそうですね。このチャレンジドとコンピュータとの出会いが社会に大きな変化を与えようとしています。
(取材者の質問)日本でチャレンジドを進める神戸の団体を取材しました。チャレンジドというのはすごく素敵な言葉だと思うのですが。
(竹中さんの音声)私もこの言葉に出会った時そう思いました。
(ナレーション)神戸市東灘区にある社会福祉法人プロップステーションは9年前に設立されました。障害を持つ人が情報技術を生かし仕事につき、さらには納税出来る社会にしようと活動しています。理事長の竹中ナミさんは長女が重傷の心身障害児だったことから障害を持つ人の自立と社会参加を目指して活動してきました。
(竹中さんのインタビュー)アメリカではハンディキャプという言葉がマイナスのイメージが強いということで「ザ・チャレンジド」という言葉を生み出したように私たちの中でも少しでもポジティブな生き方をしていくためにまず言葉から入っていくのもありなんかなと考えたのですが。
(ナレーション)チャレンジドにとって自立への重要な鍵となっているのがコンピュータの修得です。障害を持った人でも健常者と競うことが可能になりました。
(ビデオ中の音声、受講生に話しかける竹中さんの声)どうもプロップステーションのナミねえです。よろしくお願いします。今日は2回目という事なんですが実はプロップのセミナーで長年勉強をしてきた障害を持つ方が講師をされます。
(ナレーション)セミナーの講師は卒業生。受講生にホームページを作成するための技術を教えています。卒業するとグラフィックやプログラミングなどの次ぎのコースも待っています。
(教えている様子)もしこれを全部選ぶやんか、これをすべてコピーすると…..
(ナレーション)このセミナーの会場ですでにいくつかの仕事を請け負った男性に出会いました。石田ケイアイさんは先天性脳性麻痺をもった人ですがバーチャル工房というグループの一員として仕事をしています。
(インタビュー 石田さん)自己表現が出きると言うことは大きいです。
(ナレーション)ケイアイさんは大阪市東住吉市で奥さんのユウコさんと暮らしています。コンピュータを使えば自宅にいながら打ち合わせも出来るため仕事のチャンスが広がりました。
(インタビュー 石田さん)仕事は一人でするのですか?
はい。一人で、出来たら見に来て貰います。
(ナレーション)これは石田さんが描いた作品です。俳句とコンピュータグラフィックを組み合わせた作品を石田さんはデジタル俳画と読んでいます。このデジタル俳画が昨年広島県で開かれた国民文化祭で広島県知事賞を受賞しました。

(ナレーション)一方チャレンジドに仕事を依頼した人はどういう感想を持っているのでしょうか。このポスターは大阪寝屋川市で開かれるソールコンサートのものです。二人のチャレンジドの合作です。
(インタビュー 女性スタッフ)有名な方がデザインされたと思われた。知的障害であるがゆえに精神障害であるがゆえに埋もれてしまっているので是非是非ひっぱりだして上げたいです。
(ナレーション)2月17日プロップステーションの竹中さんは三重県を訪ねました。厚生労働大臣やマイクロソフトの前社長らとチャレンジドの社会参加について座談会を行うためです。こういった活動がチャレンジドへの意識をかなり変えています。
(インタビュー)いわゆる消費者として差別区別するべきでもないし労働者としても差別区別するべきでもないと思いますし、取り組んでいない企業は衰退していくと思います。
(ナレーション)チャレンジドを納税者に出来る日本社会、プロップステーションが掲げる大きな目標ですが市民の一層の意識改革が求められています。
(インタビュー 竹中)チャレンジドが仕事をするというのが今の最大の目標にしているのでたくさんの方が彼らが出来る能力を持っているという事を知って、彼らに期待して仕事をやらせてみようという気持になっていただくのが課題です。


ビデオ2  NHK関西支局

(スタジオのコメント)こんばんは、6時になりました。1月4日木曜日今年最初のニュースパーク関西です。今年もよろしくお願いします。(途中省略)障害者のためのパソコン講習会です。技術を身につけて貰い自立や就職を支援しようというものです。
(インタビュー 竹中)全ての障害を持った方に色んな力が眠っている。それを引き出す、一番今、適切な道具がコンピュータのネットワークだと思うのですね。
(スタジオのコメント)21世紀にかける人たちを追いました。今日からシリーズで21世紀を迎えて様々な夢の実現を目指して地道な活動をしている人たちを紹介します。1回目の今日は神戸から障害者へパソコンの技術を教えることで障害者の自立や就職の支援に取り組んでいる女性を紹介します。
(ナレーション)神戸市社会福祉法人のプロップステーション理事長をしている竹中ナミさんです。障害者の自立を促そうとパソコンの講習会を開いています。
(インタビュー 竹中)全ての障害を持った方に色んな力が眠っている。それを引き出す一番今、適切な道具がコンピュータのネットワークだと思うのですね。ですからコンピュータが上手になるセミナーをやっているのではなく自己実現に向かうための道具としてコンピュータを使っていこうあるいはITを活用していこうというのがプロップの活動です。
(ナレーション)竹中さんの活動の原点になったのは重度の心身障害がある長女のマキさんの存在です。つきっきりで世話をするうち障害者の自立について考えるようになりました。そして働く意欲があれば障害者に出きる仕事がいくつもあることに気づきました。それを具体化するために始めたのがパソコンの講習会でした。交通事故にあって手足の自由がきかない人や脳性麻痺の人などが参加しています。参加者の指導にあたる岡本トシミさんは講習会の一期生でした。中学生の時にポリオに感染し両手が全く動かないため足でマウスを操作します。全くの初心者だったのが今では講師の収入で生計を立てられるようになりました。パソコンは障害者の生活を支える道具にもなっているのです。
(インタビュー 受講女性)パソコンをこれから触っていったらちょっと不自由なところがあっても出来ることが増えるのではないかと思ったからです。
(インタビュー 受講男性)こういうパソコンを使って可能性が開けるということに挑戦ですね。家にいながら出来るという事ですね。
(ナレーション)パソコンの講習を終了した生徒はこれまでに500人を越えました。このうちおよそ50人が講師やシステムエンジニアとして活躍しています。尼崎市に住む中内コウジさんもその一人です。筋肉が萎縮していく筋ジストロフィーで書類ももてなくなり会社を辞めました。職を失った中内さんに光を与えたのがこの講習会でパソコンの操作を覚えたことです。企業や官庁からホームページの立ち上げなどの仕事が来るようになり、かすかに動く腕と指先を頼りに仕事をしています。
(インタビュー 中内さん)やっぱりインターネットによる情報の収集であるとか自宅から外に出かけられなくても画面上で外を見れたり外の人とメールで話しが出来たりそういうところで絶対世界は広がると思いますね。
(ナレーション)竹中さんは今年4月から国のIT基本政策の一貫として障害者や高齢者を対象にしたパソコン講習を大阪市で開くことにしています。大阪府内の38の養護学校をコンピュータネットワークで結んで情報教育をする取り組みも始めました。21世紀を迎え障害者がもっと社会に参画出来るようにしたいという夢に向かって竹中さんの活動の輪が広がっています。
(インタビュー 竹中さん)今までの自分達がやってきた活動のノウハウの蓄積を元にもうちょっと大きな仕掛けを色々やって行動に移したい。それが、チャレンジド自身も今まで以上に積極的に動くそのための場をたくさん作っていきたい。一つは講習会でもあるでしょうしお仕事のゲットでもあると思うのです。そこにいろんな今たくさんの方が応援をして下さっているのでその応援者の層を広げてムーブメントにまでになれたらいいなと思います。「出来そうですか?」やれます。絶対やれます。


(会場拍手)

 ありがとうございます。という事でニュースを二つ見ていただきました。短い時間なのでプロップの全容を知って頂くのはむりです。結構面白そうだなと思いませんか?プロップの特徴は関西のノリといっても外国の人にはわからないと思いますが。日本は関西と関東でノリが違うのです。関東の人は何かきちんと取り決めや準備をしてある程度成功しそうだなとわかったら動き出すというのが日本の中心的なところにおられる方々なのです。私の生まれ育った関西というところではやりたくなったらやってみる。面白かったらやってみる。結果は後からついてくるというのが典型的な関西のノリです。プロップはこの関西のノリでやっています。話は変わりますがあそこでビデオをおねいさんが一人立って撮っておられます。あの方はボランティアで撮って下さっているですが先程のプロップを支援をして下さっているいろんな企業のうちの一つで世界の方々もご存じかと思いますがNTT東日本からわざわざ来ました。今日このグラドネットの様子を撮影し収録したものをNTTのホームページで流してくれるという事でボランタリーに来ていただいています。五十嵐さんありがとう。(会場拍手)
という感じで応援するとか、されるというよりも本当にお友達感覚でやっています。今その誇りを奪われている人間が誇らしく生きていくということは明日私が万が一誇りを奪われる状態になっても誇らしく生きていける国になるという事なんだなと思います。それを理解して下さる皆さんが応援してくださっています。たまたまその人たちが色々な企業のトップであったり政府のトップの方であったりすると考える図々しいナミねいなんです。先程から何度かチャレンジドという言葉が使われていたのです。プロップステーションでは障害者と呼ばずにチャレンジドと呼ぼうと声をあげさせていただいています。チャレンジドという言葉に出会ったのは1995年の1月17日に阪神淡路大震災という神戸が全滅するという大変恐ろしい大震災の時です。私も神戸生まれ神戸育ちで家が丸焼けになりその後高齢の両親ともども大変でした。この時にアメリカにいらっしゃるプロップの支援者の方からチャレンジドという言葉を初めて教わりました。ハンディキャップでもなくディスエーブルドパーソンでもなくチャレンジドでした。チャレンジャーとは違うのかと聞いたところザ・チャレンジドだと言われました。「ed」がつくチャレンジの何で受け身なのときくと、神から挑戦という使命や課題あるいはチャンスを与えられたという意味なんだと教えてくれました。このチャレンジドという言葉は決して日本でいう障害者だけを表すのではなく震災復興に立ち向かっている人たちはチャレンジドだという使い方をすると教えて貰いました。ちょうどその時は自宅も丸焼けになり仲間スタッフも全員被災者になるという状況でどうしようかと思っていたのでこの言葉に大変励まされました。プロップステーションでは障害者と呼ばずチャレンジドと呼ぼう、あるいは自分がチャレンジドという自覚を持って生きられるようにしていきたいと思いました。私自身も障害を持つ子のかあちゃんとして自分もチャレンジドで神からチャンスを与えられたという気持でこの言葉を使い始めました。お陰様でインターネットでプロップステーションがチャレンジドと言うので言葉の背景の哲学が少しずつ日本の中でも広がってきたと考えています。

竹中氏日本版ADAについてですけれど一昨日国会質問でもたまたま取り上げられました。日本は戦後の経済復興を本当に若くて働き盛りの男性が中心になって支えてきました。右肩上がりで驚くほどの復興を日本は遂げました。それは過労死もいとわないというような働き方が出来る、あるいはそれが正しいという理屈で馬車馬のように日本は働いてきたからです。しかし、今日本が目前としているのは未曾有の少子高齢社会です。少子高齢社会というのは恐らく私の娘のような状態の人が限りなく増えていく社会だと思います。日本の厚生労働省の統計ではあと15年も経たないうちに2家族のうち1人は必ず介護が必要になるそうです。私は娘の介護を20年していますが平均睡眠時間が毎晩2時間か3時間だったんです。本当に介護にまみれて生きてきました。そういう経験をしている私にとって10数年後に2件に一人必ず介護の必要な家族がいるというのはひとごとではありません。それを支えてきて現に今、国立の療養所でお世話になっていて5、60万円の毎月税金を投入出来る国なんてもうほとんど続かないです。私が娘のような状態になっても恐らくその時にはお尻をふいてくれる人も私が倒れ込むベッドもないだろう。待っているのは働けない人を自然淘汰するという冷たい国なのかなと思っています。そうならないためにどうしたら良いのだろうと一所懸命ない知恵を絞って考えた結果がこういう形になりました。私はたくさんのチャレンジドに娘を通じて出会いました。チャレンジとの中には色々な能力や思いや意欲が眠っているのだなと思いました。なかなかそれを発揮する事が出来ないです。しかし、ITやコンピュータ通信は個人を解放し、持っている物をすべて外へ出していく事が出来るようになります。これはすごい道具だなと思っています。ただし、まだまだ使いにくいです。現に私はコンピュータがまだまだだめです。大変失礼な言い方ですがコンピュータはまだ、あほです。私はやっと文字を両手指一本でしか打てないのです。タッチタイピングが出来ません。字を探しながら打ち、漢字の変換もわからないというレベルです。人間の挑戦ではなく私はこれは科学の挑戦だと思います。こういう私が本当に不便なく苦労なく使えるようになった時コンピュータや科学が正しかったと言えるのではないかと思います。つまりチャレンジドという、今道具がなかなか使いにくい人たち、不可能をたくさん抱えている人たちはまさに可能性の種を持っている人です。不可能をたくさんあればあるほど科学技術に貢献をするわけです。そういう意味でプロップステーションには科学技術とその科学技術をビジネスにしている人達にとってもっとも優秀な種がたくさん転がっているところです。そういってああいう色々な応援を集めてくるわけです。でもそれを非常に賢明な経営者は信じてくれます。今日明日のビジネスではないけれども10年後に私たちはこれで本当にシェアを広げられるかもしれないと思うのです。日本の少子高齢社会で見えにくくなった、聞こえにくくなった、歩きにくくなったというどこか人に手助けがいるという人たちが増えた社会になります。今の強者が中心の道具ではもうビジネスが成立しないだろうと自覚された経営者の方々が大変強い応援をしてくださっています。さっきのニュースの中で養護学校にコンピュータの情報教育をというものがありました。大阪府下に40校の養護学校があります。これは一般の学校ではなく全て障害を持つ子供達だけが学ぶ学校です。聾学校、盲学校、肢体不自由、知的ハンディ、病弱の学校と5種類あります。この40校を全てをネットワークでつないで情報教育の推進をプロップがやってほしいと大阪府から頼まれました。ところが人件費に該当するお金しか予算は出せないと言われました。全部の養護学校をまわってみたら見たらコンピュータ自身はまだDOSでまだウィンドウズが入っていなかったりしてみました。煮染めたみたいな色の物で捨ててあるのかなと思ったらまだ現役だったりしました。しかもインターネットにつながってはいるのですが4時間しか使えないと言われました。一日4時間使えれば良いのではないかと言ったら予算は一ヶ月4時間だとわかりました。そんなところでどうやって人件費だけで状況を改善出来るのかこれは大変だと思いました。ところが、ここで公的なお金を入れてしまうと公的にしばられてしまいます。公の肩代わりをNPOがするのは変だと思いました。ですからこれはNPOマインドとしては企業などの民間と力を合わせて改善をして素晴らしい次世代のものを生み出さないといけないと思いました。そこでさっそく支援をして下さっている企業の皆さんに声をかけました。40校に1万数千人のチャレンジドの児童生徒がいます。彼らは日本の学校制度では養護学校が基本で一般校では法律上いけません。まず、養護学校に行き許可が出れば普通の地域の学校に行きます。ただ、地域の意識がかなり変わってきていて学校によっては障害を持つ子を受け入れるようになってきました。したがって養護学校には一般校では受け止めることができない重度の子供達ばかりが大阪府下に1万数千人集まっているわけです。ここで何が言えるかというと日本の明日の高齢社会の縮図がここにあるのです。介護が必要な人たちが1万数千人いてITを使って自分自身を向上させたり、社会に参画していきたい、仕事をしたい、ビジネスマン、ウーマンになりたいという人たちがいます。この集団を何らかの形で情報通信を使って変えることが出来るのは今までに例のないモニタリング集団でありマーケティング集団です。1万数千人の半分の数の先生達がいます。彼らが家に帰ると家族がいて10万人を越えるようなネットワークがあります。これをあなた達はビジネスマンとして放っておくのですかと言いました。冗談めかして言っているのですがプロップの支援企業の皆さんは言いたいことを理解してほんの2、3ヶ月の間に1億円に相当する機材、ソフトウェア全てがそろいました。最後に電話回線がアメリカと違って日本は市内通話が一番高いという異常な国で、これだけは現物なので悩みましたが資金的に援助してくれる会社が集まりました。すべての学校に配布する最新のパソコンやソフトウェアをプロップのオフィスに置ききれずボランタリーに貸していただいたビルの部屋にボランティアの人たちに運んで貰いました。そこでボランティアが一台一台インストールしました。そうしないと届けてもその学校の先生が使えない学校がいっぱいあります。動作環境を調べる所まで全てインストールをした上で各学校へ配布をしました。先程筋ジストロフィーが進行して企業を辞めたという青年がいましたが、彼が今ネットワーク管理の担当をしています。優秀な技術者と一緒になってサーバを構築して全部の学校で配布されたパソコンをつなげました。全部の先生と希望する生徒と生徒の家族にメールアドレスを配布しました。そこで意見交換をして就労につなげるあるいは良き教材を作っていく事を自分達の生活を向上させていくのを自分たちで力でやろうと進め始めています。この実験結果はあと1年ぐらいすればかなりの成果が出てくると思います。またご報告する機会があれば嬉しいと思います。最後に私が言いたい事は人間にとってはお金より誇りが大切だという事です。私たちを支援してくださる企業のトップの方は何十億、何百億というお金を儲けていらっしゃる方もいます。ですが、その人達も日々悩んでいます。私が日々悩んでいることと大きなお金を持って悩んでいることも人間の悩みとして差はありません。自分の悩みがある意味人間にとってもっとも大きな悩みと言えるかもしれません。その悩みを解決していく努力を一緒にみんなでしようねという社会になってほしいです。私の娘は本当に国が経済的に貧しくなったり社会の意識が荒廃したら生存不必要と言われる存在ではないかと思います。でも母親としてはそれだけは絶対それを阻止したいです。その出発点から一人でもたくさんの人が力を合わせて身の丈にあった形で社会を支えてくれるという時代を築いて行ければと思っています。そのためにこそITが役だっていってほしいと思います。今日はありがとうございました。