音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

DAISY活用事例交換セミナー

資料
デイジー(DAISY)とは?

デイジー(DAISY)とは何ですか?

 Digital Accessible Information System (誰でも使える情報システム)の略称で、スイスに事務局を置く国際非営利団体のデイジー・コンソーシアム(http://www.daisy.org)が維持・管理の責任を負って無償で提供する国際規格です。
 DAISY規格の特徴は、インターネットのホームページに使われている無償で利用できる国際規格のみを組み合わせて、文字・音声・画像を同期させることによって、様々な障害がある人々と高齢者にも使えるマルチメディア文書を簡単に作り出せることです。既存のマルチメディアと違って、見るか、聞くか、指先で読むかのどれかができれば、必要な情報が得られます。
 従って、DAISY規格で作られた文書は、視覚と聴覚がある人にとっては画像と音声付の電子図書あるいはホームページであり、全盲の方にとっては録音図書あるいは点字図書、そして、聴覚がない方にとっては音声の部分に完全な字幕がついたマルチメディア文書と、同じコンテンツが様々な使い勝手で使われます。
 1998年に最初の国際規格(DAISY2.0)が制定され、その後将来に備えて制定された最新の規格(DAISY3)は、2002年に米国の標準規格であるANSI規格(Z39.86)として採用されています。

DAISYで文書を作るとどんな点が便利ですか?

 視覚障害の方には、市販されている専用プレイヤーや無償で手に入るパソコン用のソフトを使って、目次やページが使える長時間の連続再生が可能な録音図書として使えます。パソコンを使う場合には聞きながら同時に点字で文章を表示して綴りを確認しながら読むこともできます。弱視の方は、音声・大活字・点字を同時に使って文章を確かめながら読むこともできます。盲ろうの方は点字に集中して読むことができます。認知・知的障害の方はナレーションつきの文章をゆっくり繰り返し読むことで理解が深まるといわれます。
 本を持って読むことができない重度の肢体不自由の方も、音声コマンドや、各種のワンボタンスイッチで自由に文書を選んで必要なページを開くことができるようになります。文章を読むことが困難な非識字者にとっても、朗読している部分がカラオケのように自動的にハイライト表示できるDAISY規格の文書は強力な味方です。この機能を生かすと、見えない人にも聞こえない人にも、授業や講習の際に、今資料のどこが話題になっているかを比較的簡単に示すことができます。
 利用者が文書を読むときに要求されるほぼあらゆる特別のニーズにも柔軟に対応できることがDAISY規格の特長です。

DAISY文書と読むためのツールをどこで入手できますか?

 1999年に日本が世界に先駆けて本格的にDAISY規格録音図書の製作とサービスを開始したのを皮切りに、その後スウェーデン、アメリカ、イギリスで主に視覚障害者とディスレクシア(読みの障害者)を対象に少なくとも年間2万タイトルのDAISY規格の録音図書が作られています。これらの録音図書は障害者にのみ無料で国際的に貸借できます。
 まだ数は少ないですが、出版社が初めからDAISY規格のマルチメディア図書を出版する動きも始まっています。特に米国では電子出版される教科書の規格を近く国レベルで決めますが、DAISY3の規格を採用する可能性が高いと思われます。スウェーデンではディスレクシアの権利擁護団体からすべての教科書をDAISY規格の電子図書で提供するようにという要求が出ています。
 DAISY規格の文書は、パソコンで製作することができます。非営利目的に使われる製作用のソフトウエアは財団法人日本障害者リハビリテーション協会が再生用ソフトと共に無償で提供しています。パソコンを使いこなしている人であれば1週間ほどの研修で基本的な製作方法を習得できるので、一度使い方を覚えれば臨機応変にDAISY規格の教材や文書が作れます。出版社等の営利企業向けの製作ソフトは販売されています。

開発途上国でも使えるのでしょうか?

 パソコンとソフトが入手できればDAISY規格の教材や文書は最も経済的です。家庭用医学書の分量の図書は再生時間が約50時間ありますが、100円以下のCD-ROM1枚に収録できます。コピーは1枚10分程度です。印刷や録音カセットとくらべても格段に経済的です。リサイクルや技術革新で、途上国でもパソコンが入手しやすくなるにつれて、無償の製作ソフトと再生ソフトがあり、障害がある人々のための相互貸借の国際ネットワークが確立しているDAISY規格の文書は将来ますます入手しやすくなります。
 試験的にDAISY文書を製作し評価を始めてから実際に様々な障害がある人々にサービスが提供できる体制を作り上げるまでには2-3年が必要です。タイやインドでは、将来を見据えて視覚障害者団体がDAISY規格の録音図書の製作に試験的に着手しています。それぞれの国で試験的な導入と評価をきちんと行ない、幅広い利用者も参加して全国的な導入計画を立案することができれば、途上国の障害者と非識字者が直面する二重のデジタル・ディバイド解消を積極的に進めることができます。
 それぞれの国でDAISY規格の利点を最大限に生かすための試験的な導入と評価活動をできるだけ早く進めることが重要です。