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ハンス・ハンマランド氏 講演 - LDに対する正しい認識の啓発 ・LD支援のためのIT関連ソフトの紹介

DAISYの紹介

マリッサ・デマリオ氏と野村氏の写真

司会者:この部分については、マリッサ・デマリオさんと野村さんにやっていただきます。後ほど、質問があればいくつかお聞きして、その後の懇親会のところで、改めてご質問いただきたいと思います。

野村:リハビリテーション協会の野村美佐子です。
これから、先程説明いたしました「デイジー」(DAISY)、そしてLPプレイヤーという再生ソフトをお見せしたのですが、まず、ハイライトテキストをそのまま読む、その読むためのものが再生ソフトと呼ばれているんですけれども、その再生ソフトがいろいろな障害者のために、どのように拡張したり、例えば、タッチパネルを使うなどして操作しやすいようにするソフト「アミ」という紹介をさせていただきたいと思います。

講師はマリッサ・デマリオさんです。アメリカの方で、イタリア出身のお父さんとお母さんを持っております。
コンピューターの方を大学で専攻していまして、今はプログラマーとして活躍している方なんですが、私どもの技術的なコンサルタントとして契約しており、現在、JSRPD(日本障害者リハビリテーション協会)のデイジーソフト開発のお手伝いをしてもらっています。
これからプレゼンをしてもらいますが、やはり情報センターのデイジーソフト開発の担当をしている東(あずま)美紀というものが、通訳というか、日本語で分かり易く説明をしてくれます。

マリッサ:いらしてくださってありがとうございます。今から「デイジー」と新しいソフト「アミ」(AMIS)の紹介をしたいと思います。 今から紹介します「デイジー」は、先ほどハンスさんのお話にもありました「デジタル録音図書」のひとつのフォーマットでして、それを使って、それプラス「アミ」というソフトウェアを使っていろいろな障害をお持ちの方に、どうやって使っていけるかというのをご紹介したいと思います。

「デイジー」とは、「デジタル・アクセシブル・インフォメーション・システム」、「アクセシブルな情報システム」という日本語訳があるんですけれども、それで録音図書を作る、そして何がいいかと言うと、テキストが表示されていると同時に音声が出る、テキストを見ながら音声が聞けるといういい特徴があります。

目次、本には目次が必ずあると思うんですけれども、そこでナビゲーション出来るようにデジタルでファイルとして、ナビゲーション出来るファイルがあるということが特徴としてあります。今から、その例をお見せします。
今から「デイジー」の再生ソフトウェア「アミ」をお見せします。

今、ソフトを起動しましたけれども、今一番右上にあるのが、ライブラリーなんですけれども…そちらをどう使うかが書いてあります。その左には「ナビゲーションバー」と言いまして、縦長に字がいろいろと出ていると思うんですが、一番最初にどういう図書がここにあって、どれを選ぶかというのがここにあります。
そして、下のほうにボタンがずーっと並んでいるので操作します。 今から、ライブラリーの中から本をひとつ選んでみたいと思います。

今現在、右側のほうの大きな画面の字が青くなっている部分が今ハイライトされている部分で、同時に音声としても出ています。
左側のナビゲーション出来る部分ですけれども、こちらのほうは今目次が表示されていまして、その本の目次を選択する事ができまして、そこから聞くことも出来ます。今、目次のひとつを選びました。

今お見せしたのが「アミ」というソフトウェアなんですけれども、この「アミ」という「アクセシブル・マルチメディア・インフォメーション・システム」、日本語訳は、「アクセシブルなマルチメディア情報システム」ということなんですが、このソフトは好きにカスタマイズすることが出来る、メインのコアがありまして、それにいろいろなものを付け加えることが出来まして、自分が使い易いように好きに変更と言いますか、設定することが出来るんですね。このソフトウェアは日本障害者リハビリテーション協会で今開発しておりまして、日本語と英語で今無償で配布しています。

今、皆さんが持っている封筒の中にCDが入っていると思うんですが、こちらの中に日本語版のソフトウェアと、それを使って聞けるサンプルの本が4冊入っています。
この「アミ」で出来る事というのは、基本的にベーシックなプレイヤー再生ソフトウェアとして使えるということなんですが、その他にいろいろなものを付け加えることが出来ます。

そのひとつにタッチパネルという、最近お店でも切符とかでも、その部分をさわって選ぶ事が出来るスクリーンがあると思うんですけれども、そういうものも一緒に使ったりとか、先ほど見せたゲームのコントローラーみたいなジョイスティックというものを使って操作したりとか、両手が不自由な人がいらっしゃると思うんですが、例えば一回ボタンを押して選べる様なものや、声で「次、前、再生」などを操作できる様なものとか、目の不自由な方が点字で表示を出来るディスプレイというものがあるんですが、そちらを使ったりとか、字を大きくして弱視の方に見やすいようなフォントで表示したりとか、先ほどお見せしたソフトの見た目を自由に変更出来るようになっています。

今からお見せするんですが、プレイヤーとして使用する場合に基本的な操作は、画面上のボタンをクリックして使う方法とキーボードからショートカットキーを使って操作する方法と、今お見せしたゲームのジョイスティックを使って操作する方法があります。

下にあるボタンの説明をひとつずつしていきます。同時に、キーボードのショートカットの説明もしていきます。青い左の方のボタン、下の矢印の書いてあるものですけれど、それは次のセクション、左側のナビゲーションにある目次の中の次のセクションをハイライトするものです。これを使うためのキーボードのショートカットはシフトと「N」です。そのひとつ上にあるボタンは目次の中の前のセクションに移動するボタンです。シフトと「P」で同じ操作が出来ます。

左側にある縁の大きなボタンがありますが、そちらのほうで選択するボタンです。左の青ボタンで上下の移動をして自分が読みたいものを探して、右の縁のボタンで選択する、これと同じ操作が出来るのはシフトとスペースバーです。

その横にある黄色いボタン、左に矢印が書いてあると思うんですけれども、そちらのほうはひとつ前のパラグラフ、段落に移動するというボタンです。
ひとつ飛ばしてもうひとつ右側にある黄色いボタンは、次のパラグラフに移動するボタンです。キーボードで操作する場合は、ひとつ前は「P」「N」を押すと次の段階へ移動します。

真ん中の緑のボタンが再生と停止ボタンです。それはスペースバーで同じ操作が出来ます。
今、右側の「?」のボタンを押しましたが、例えば画面上でどんな機能だったのか分からなくなってしまった場合、その部分を選んだところの説明をしてくれます。

ボリュームを上げる、下げる、これはカラーコントラストを変える、背景を色にしたり、その他の色に変えたり出来るボタンです。それは「C」を押すと同じことが出来ます。このボタン右から二番目にある小さい絵と大きい絵の書いてあるボタンですけれど、こちらのほうで今見えている右側のテキスト部分の字の大きさを変更すること出来ます。これはキーボードでは「A」を押します。

今、機能を説明するボードがOFFになりました。
今からフォントの大きさを変えたり、カラーコントラストを変えたりするデモンストレーションをしたいと思います。
今、字がだんだん大きくなっていますが、これは右から2番目の小さい絵と大きい絵のあるボタンをおしていす。

今お見せしている字を大きくしたりしているものなんですが、「カスケーディング・スタイル・シート」というものを使用しています。
「HTML」ファイル、インターネットを使っているほうはおわかりと思いますが、そちらのほうで見ているファイルが「HTMLファイル」と言いまして、そのファイルのスタイルを決定するファイルが、その「カスケーディング・スタイル・シート」CCSというファイルなんですが、そちらのほうで設定しています。

今からジョイスティックを使用する方法をお見せします。キーの上に絵を描いて貼ってあるんですが、今、画面上にあるボタンと同じものが貼ってあります。今のは普通にお店で買えるジョイスティックなんですが、左側の丸いボタンで上、下、左右移動出来るもので、上・下で左側のナビゲーション目次の中から、好きな本を選ぼうとしています。
後ろにあるボタンで本を選択するように設定しています。左と右で段落の移動が出来るように設定しています。
一通りの操作をお見せしていますが、このジョイスティックから全ての操作が出来るように設定しています。今、押したボタンは現在地を知らせるボタンなんですが、こちらのほうで今何の本を読んでいて、どこの場所にいて今段落番号がいくつかと言うことをお知らせ出来ます。

ひとつのボタンでライブラリーに戻る事が出来るボタンがあります。ひとつのボタンだけで選択できる機能をお見せしたいと思います。今、ジョイスティックのひとつのボタンを「選択する」というボタンに当てているんですけれども、今、画面上に見えている青い部分がどんどん移動していると思いますけれど、それが「アミ」の機能を表示しているものなのですが、青いのがどんどん動いている上でそのボタンを押すと、その機能を選択して実行する事が出来ます。今言ったとおりに下にどんどん移動している全部で11個機能があるんです。けれども、その一つ一つが青い色でハイライトされていると思いますけれども、それを移動したところで選択ボタンを押すと次の段階へ移ります。
一番最初のセクションへ移動します。今、ポーズを押してライブラリーへ戻るというボタンを押しました。

先ほどお見せした「アミ」のインターフェイスの表示されているボタンなんですけれども、そのタッチスクリーンで触ったときに一本の指に、丁度いい大きさにかなり大きめに作ってあります。彼女が今、使っているところをお見せしているんですが、彼女は行ったり戻ったりと5回ほど繰り返したんですけれども、2冊ほど読みましたが、「普通、本を読むのは嫌いだが、『デイジー』で本を読むのは楽しい。」と言っていました。

今、お見せしているのは、フィリピンから来ている少年だったんですが、彼は英語のほうのコンテンツで詩の朗読があったんですが、そちらの方を今楽しんでいる最中です。
今、お見せするのは先ほどのジョイスティックを使って操作しているところです。展示会で置いているタッチパネルスクリーンと大きなジョイスティックなんですが、そのひとつひとつのボタンに画面上に描いてあるのと同じ絵が描いてあって、それを押せば同じ動作をするということになっています。

この写真は視覚障害をお持ちの方が使っているところですが、このラップトップ、ノート型パソコンの下に点字ディスプレイがあるんですが、紫色のものがそうなんですが、これを使ってデイジーのほうを聞いて、それと一緒にテキストを点字で読んでいる最中です。これも視覚障害の方が「アミ」を点字ディスプレイで読んでいるものです。これが近くから撮った「アミ」の点字ディスプレイの写真なんですが、今、紫色のものが、ディスプレイが表示されていると思いますが、その上に点字を表示出来るものがありまして、それでテキストを読んでいます。

この写真は弱視の方が使っているんですが、弱視の方なので大きい字であれば見えるんですね。ディスプレイで大きい字に表示する他に、点字でもテキストが表示できるようにしています。

もう一枚同じ写真です。大きい字と点字ディスプレイを使っています。彼女は頭を少ししか動かすことしか出来ない方だったのですが、彼女は先ほどお見せしたスキャニング、ひとつのボタンで決定していくものに、すごく興味を持っていました。

ここでお見せしているのも「アミ」なんですけれども、点字ディスプレイを使っているのですが、コンピューターのスクリーンを見ていただくと、先ほどお見せしたのと全然違うものになっているんですが、見た目をカスタマイズ出来るという例でこちらをお見せしています。

今お見せしたのは全部ひとつのソフトウェアです。ただ、いろいろなものが付け加えられているだけで、基本的にはひとつのものです。

今こちらのほうでは、ジョイスティックとか点字ディスプレイとか作っていないので、あるものを使ってそれを付け加えて使っていくという方法をとっているので、他のプログラマーの方も付け加えたいときは簡単に出来るようになっています。たとえば新しいものを作ったときはみんなでシェアしていく形にしていきたいと思っています。

自分だけのソフトとして使いたい場合には、見た目の表示の部分で先ほどメインのものと違うバージョンを見ていただきましたが、見た目も変更できるので、自分だけのものとして変更していくことも可能なんです。

CSSというものも使ってフォントの大きさも更に大きくしたり、カラーコントラストも自由に表示も簡単に出来るようになっています。
あともうひとつあるんですが、キーボードで操作するときにシフトとかNとか言っていたと思うんですが、そういうのも自分で使い易いようにいくらでもカスタマイズすることが出来ます。

今後の「アミ」のことですが、クロスプラットホーム、今現在ウィンドウズにのみしか使えないんですが、今後、MacやLinuxでも操作出来るソフトにしていきたい、音声を再生しているとき、早聞きしたり遅聞きしたりスピードを調節することをひとつの目標にしています。

あとハンスさんの話の中でビデオ画という話がありましたが、そういうものを取り入れていったりとか、インターネット上にあるデイジーの図書を直接再生できる機能を付け加えていったりとか、画面を好きにカスタマイズ出来ると言いましたが、それを簡単に出来るものを作っていこうと考えたのです。

最後にプロジェクトのインフォメーションしたいと思います。 「アミ」のホームページで、今あるソフトのダウンロードが出来るようになっています。「アミ」に関する文章とユーザーガイドもあります。その他にも「デイジー」のオープンソース・ソフトウェアイニシアティブのほうがありまして、そちらのほうでオープンソースになっている「デイジー」関係のソフトウェアがダウンロード出来るようになっています。アドレスはお配りしたCDの中に入っております。

オープンソースというのは、皆さんにソースコードというプログラムのもとになっているものを発表しているということなので、他のプログラマーが自由に変更したり、付け加えたり出来るようになっているわけです。そういうものが「デイジー・オープンソース・ソフト・イニシアティブ」というものにあります。

私達の希望としましては、全世界のいろんな人達に使われるようになるということと、オープンソースと言うことなのでいろいろなプログラマーで興味を持った方が、新しい画面の表示されている部分とか、他のプラグイン、ジョイスティックの設定とか作って、こちらのほうに知らせていただけると、それをまた皆でシェア出来るということと、国際化、どんな国でもどんな言葉でも使えるようになったらいいと思っています。

司会者:CD-ROMを見ていただければ、全部わかります、ということです。マリッサさん、東さん、どうもありがとうございました。

申しましたように今日の催しは、去る5月14日に認定されましたNPO法人「コミコミ・ドット・コム」というものが、初めて自主的に企画したものでございます。コミコミ・ドット・コムでは、よりよいノーマライゼーションの実現というものが大きな目標としておりまして、その一環として今日お話があったこんなことも、今後も続けて取り組んでいきたいと思っていますし、先ほどお話しました社会教育というか生涯教育といいますか、今後ともずっと取り組んでいきたいと思っておりますので、今後ともご協力くださいますようお願いします。

今日は、お足もとの悪い中たくさんのご参加いただきまして、どうもありがとうございました。