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地上デジタル放送受信機の現状と活用例(大阪会場)

~開発者の立場から~

三菱電機(株)京都製作所 AV機器製造部 新規事業開発担当部長 谷水 明広

 

皆さん、こんにちは。東京の皆さん、こんにちは。ただいま紹介いただきました三菱電機京都製作所AV機器製造部の谷水と申します。本日はよろしくお願いいたします。今日は短時間ではございますけれども、「みんなのテレビ」と題して、当社の「しゃべるテレビ」を紹介いたします。

今日のセミナーでは、皆さんに「しゃべるテレビ」の便利機能を紹介したい。たくさんの方に「しゃべるテレビ」を使っていただきたい。我々のテレビをさらに便利にするために、皆さんの意見を聞かせていただきたいという三つの目的を持っております。

三菱の「しゃべるテレビ」のキーワードは、設置が簡単、操作が簡単、そして番組表の内容が音で確認できる点でございます。今日はこれらについて、皆さんに実機のデモを見ていただきながら紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

テレビと言いますと皆さん、何を思い浮かべますか? 絵がきれい、音に臨場感がある、デザインがかっこいい、自由なレイアウトができる、いろいろございますけれども、我々は今、使いやすさと省エネ、すなわちユニ&エコに着目し製品開発を進めております。

最近、地上波デジタル放送に対応したテレビに買い替えて、やたらリモコンのキーが増え、操作の方法が難しくなったという声を聞きます。デジタル放送はアナログ放送に比べてたくさんの優れた点がございます。ゴーストなしのハイビジョン画質、迫力ある 5.1chサラウンド放送、地域情報が簡単に手に入るデータ放送、そして番組操作が簡単な電子番組表。魅力いっぱいのサービスが開始されています。三菱の「しゃべるテレビ」は、これらのサービスを皆さんに簡単に使っていただけるように、いろんな工夫を凝らしています。

そもそも三菱がこのようなコンセプトでテレビの開発を始めたきっかけを紹介します。三菱にはユーザー・インターフェースを研究する部門があり、このメンバーが例年、大阪府の視覚障害者関係団体が主催される会議に参加しておりました。この部門の紹介で、京都にある我々テレビ部門のメンバーも 2006年にこの会議に参加させていただきました。同会議の対象製品は、従来は生活に密着した白物家電が主でした。当時、 AV機器は初めてという参加でございまして、アナログ停波の質問に始まり、 AV機器に関するユニバーサルデザインについて熱心な議論になりました。お恥ずかしい話でございますけれども、その会議で視覚障害者の方にとって生活の情報源としていかにテレビが重要なアイテムであるかということを勉強させていただきました。

弊社は音声読み上げ機能の重要性を認識する一方で、価格下落の激しい薄型テレビにおいて、読み上げ機能をどのくらいのコストアップで追加できるかというところを模索しました。幸い弊社ではサラウンドや音声遅延などの音響技術開発の中で、低コストで文字の音声合成を可能とする技術開発を進めておりました。そして技術開発成果の一つであるテキストデータを音声に変換する機能、これを活用することでコストアップを抑え、デジタル放送のメリットの一つである、画面に表示される電子番組表に記載されている番組内容のテキストデータを読み上げる機能を導入することができました。この機能は2007年に発売されたモデルから順次導入され、毎年、少しずつですが機能アップしてきております。まだまだ不完全ではございますけれども、毎年毎年、機能アップをしていこうと思っております。

ざっと製品開発の手順を振り返ってみます。市場の要望を拾い上げる市場調査、そして要望を具現化するために必要となる要素技術がなければ製品開発は始まりません。市場の声と要素技術を材料にして試作品を作り、実際に一般ユーザーに使っていただき操作性を確認します。さらに、製品の信頼性や安全性を確保するための様々な試験を行った上で、やっと新製品のイメージが見えてきます。使い勝手や信頼性、安全性の試験を繰り返し行い、様々な問題点を解決してやっと製品を世の中に送り込むことができます。

それではまず操作が簡単、らくらく設定についてお話ししたいと思います。

テレビを購入され、まず行うことは、テレビの設置作業でございます。テレビにアンテナ線を接続し始め、チャンネル設定などを行いますが、三菱ではこの操作を問いかけ方式で作業を進めることで、テレビの設定ができるらくらく設定を搭載しました。テレビからの問いかけにしたがって郵便番号を入力するだけで、デジタル放送、地上アナログ放送のチャンネル設定ができます。作業手順をテレビが音声でガイドしますので、購入後、最初にやらなければならない慣れない設定操作を、安心・確実に行うことができます。

次に、操作が簡単、使いやすいリモコンについて説明いたします。今ここに二種類のリモコンがございます。一つは小型機種についておりますリモコンでございます。もう一つは 37インチ以上の大型機種についているリモコンでございます。まずこちらのリモコンについて説明いたします。

弊社のリモコンの特徴の一つは、基本操作だけで十分なユーザーも、多くの機能を使いこなしたいユーザーも一つのリモコンで使い分けができるようになっているという点でございます。基本機能だけを使うならば、上の部分に蓋をかぶせ操作をしてください。こうしておくと誤って本来使いたくない機能を押して誤った操作をしてしまうことをふせぐことが出来ます。

いろんな機能を使いたいというユーザーには、この蓋を開けていただいて、逆の方向に差し込むと、メニューを選んだりさらに複雑な設定を使っていただけるようになります。

そして、放送波も色分けをして見やすくなっております。数字ボタンはユニバーサルフォントを使い、大きく見やすくなっており、形状は携帯と同じような幅・厚みにしておりますので持ちやすくなっております。

また、小型のリモコンの方ですが、裏側にデコボコがついていまして、音量とかチャンネルとか特定のチャンネルボタンの位置を手で確認していただけるという工夫もしております。

さらに後ろにひもを掛けることができる構造になっておりますので、「あれ、リモコンがどこにいったかな、おかしいな」ということがないように、ここにひもをつけていただいて、ぶら下げていただければ、いつも一定位置にリモコンを置いていただける。小さな工夫なのですが、そのような配慮もしております。

続けて、操作音について、実際にこちらのテレビを見ながら操作をしてみます。

今、放送を映しておりますが、例えばメニューを押します。そうするとメニューは出したという音が出ますし、メニューを消すときは別の音でお知らせします。このように音での操作の確認ができる仕様になっております。「あれ、テレビが動いているのかな」と、デジタル放送のときは残念ながら多少選局に時間がかかることもございますけれども、きちんとテレビがリモコンを認識しているということを音でお知らせできるようになっています。

さて、皆さんがデジタル放送、BS放送、CS放送、それに様々な映像機器を全ての入力に接続されることはほとんどないかと思います。そういう場合には不要な放送はスキップできます。リモコンで例えばBSを押してもBSを登録してなければ無効になる仕様になっています。

次に、本日、特にご紹介したい番組の読み上げ機能について説明いたします。

デジタル放送では、このように番組表を最大8日間、新聞のテレビ欄を見るように表示することができます。残念ながらアナログの放送にはこの機能はついていません。そして番組表を開いて十字キーで番組を選んでいきます。

 

【機械音声】NHK教育、1、大阪、心の光、宗教、人生、人間、現在放送中、午後3時ちょうどまで。NHK総合、1、大阪、アートエンターテインメント迷宮美術館、伝説の日本人画家、現在放送中、午後3時ちょうどまで。

 

このように、番組表の中を十字キーでアクセスをして選んだところの番組の内容をそのまま読むこともできますし、逆に特定のキーを押すことで初めてその部分を読み上げるという選択も可能です。

さらに、今見ている番組がどういう番組かということを確認するのに、番組を見ながら「番組の内容」を押すと……。

 

【機械音声】NHK総合、1、大阪、アートエンターテインメント迷宮美術館、伝説の日本人画家、現在放送中、午後3時ちょうどまで。20世紀初頭、霧のロンドンを描いた牧野義雄、フランスの……。

 

このように音声で、詳細内容をさらに詳しく知ることもできます。

 

【機械音声】20世紀初頭、霧のロンドンを描いた牧野義雄、フランスの幻の地方をよみがえらせた長谷川清、アメリカ日系人収容所で美術学校を開いた……。番組内容、海外で才能を開花させた日本人アーティストを特集……。

 

この機能を使うことで視聴中の番組の番組内容を簡単に確認することができます。

また、読み上げの速度も3段階で変更でき、耳での確認に慣れた、速く、遅くという設定ができるようになっています。さらに、今見ている放送の裏番組は何だろうというときに、裏番組というボタンを押すことで裏番組の内容を表示できます。さらに、その細かい内容を見ようというときには、この番組を選んでいただいて同じように番組内容を押していただければ自動的にその番組の内容を紹介できる構成になっています。

 

【機械音声】現在放送中、午後3時ちょうどまで。

 

本日はレコーダの機器は持ってきていませんが、テレビとレコーダを接続して、テレビの番組表で放送番組の予約を音声で確認しながら操作できるという機能も、一部取り入れております。

ここまで音声の便利機能を紹介いたしましたけれども、それ以外に2、3、弊社のテレビの特徴を説明いたします。

一つは転倒防止です。液晶テレビになり、ブラウン管のときと違って簡単に設置できるようになりました。一方で誤ってテレビ本体に触っても、テレビが転倒しないように事故を防がなければなりません。弊社のテレビには、複数の方法でスタンドに固定できる工夫がされています。設置場所によって最適の固定方法を選択できます。

また、イヤホン音量個別設定という機能があり、テレビのスピーカーからの音とイヤホンを接続したときの音を個別に音量設定することが可能です。例えば病院などでテレビを試聴中に、誤ってイヤホンが外れても、テレビのスピーカーから大音量が出ることを防ぐことができます。また一方で、テレビの画面を消して音だけを楽しむということもできますので、電気代の節約にもなります。

以上、短い時間にざっと特徴を述べましたけれども、我々のこれらの機能は、最新の機種、大きなサイズでは 46インチ、42インチ、40インチ、37インチ、小さなサイズでは26インチ、19インチまで準備しております。詳しくはお手元にございますカタログをお配りしました。 40ページに指標一覧表がございますけれども、その中のSDカードの欄に○印が入っている、ここのものが今一番新しい、しゃべる機能が入ったセットでございます。まだまだ不十分で中途半端な機能もいっぱいございますけれども、今後も皆さんから勉強させていただきながら、毎年毎年、少しずつですけれども、皆さんにより使いやすいテレビを設計していきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。

 

 

※   追記

 三菱電機から09年秋に発売された新モデルの一部では、操作メニュー使用時
に、カーソルが当たっている項目名や立体形状ボタンの名称の設定内容を読み上
げることができるようになりました。また、リモコンキーの一部(入力切換、オフタイマー、音声切換など)で、キー操作時の機能を読み上げたり、設定内容を
音声で確認できるようになりました。
 対象機種は、LCD-52MZW300、LCD-46MZW300、LCD-40MZW300の3機種です。
 以下のホームページにも機能紹介を掲載しております。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ctv/feature/uni_eco.html#speak