音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

パネルディスカッション「地上デジタル放送の今後への期待」

コーディネータ

障害者放送協議会 放送・通信バリアフリー委員長/浦和大学教授 寺島 彰

パネリスト

(福)全日本手をつなぐ育成会 常務理事      大久保 常明

(社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 理事長  高岡 正

(特)全国視覚障害者情報提供施設協会
情報アクセシビリティ検討委員会 外部委員     南谷 和範

(財)全日本ろうあ連盟 理事           宮本 一郎

 

寺島●それではパネルディスカッションを始めたいと思います。これまでの議論の中で、質問はすべて本セクションで受け付けることになりましたので、それにも配慮をさせていただきたいと思います。

このパネルディスカッションのテーマを、「地上デジタル放送の今後への期待」とさせていただきましたけれども、デジタル化への移行についてはすでに決定していますので、その次の段階に向けて、これからどのようにアクションを起こしていかなければならないのかを考えることが一つの目的です。もう一つの目的は、当事者のニーズを明らかにし、問題を解決するプロセスを考えることです。

例えば、ガイド71という情報機器や通信機器をアクセシブルにするための国際的な規格がありますが、それは日本の JIS規格が元になっています。また、多くの駅のホームにドアがついているような国は日本以外にはありません。多分、日本はバリアフリーで、世界で一番進んでいる国だと思います。

どうしてそうなったのかと言いますと、それぞれの分野において、障害当事者のニーズを十分にくみ上げてきた結果だと思います。障害当事者の方々が要望を出し、それに対して行政や技術者たちがそれに応えてきたのだということです。

日本の行政はそういうニーズのくみ上げを中心にして制度改変をやってきて、日本の福祉制度は世界的に見ても、最先端にあると思います。最近の社会保障改革のために後退していますけれども、それまでは日本は、北欧の福祉国家にはないバリアフリーの進んだ福祉制度をもった国であると思っております。

ところが、残念ながら放送の分野に関しましては、日本が最先端を行っているという状態では全くない状態であります。私は障害者放送協議会放送通信バリアフリー委員会の委員長をしていますが、この分野への影響力が弱くまだいろいろなバリアが存在します。それが実態ではないかと思います。

そこで、当事者の方のニーズをはっきりとさせ、それをきちんと解決していくプロセスが重要ではないかと考え、このパネルディスカッションを企画した次第でございます。

最初に、パネリストの方々から、今後の地上デジタル放送についてどういう取り組みをすべきかについて、 10分程度ずつお話しいただきまして、その後、これまでのプログラムで積み残した質問も含めて、大阪会場、東京会場からご質問をしていただき、最後に、まとめをしていきたいと考えています。

それでは、最初に、全日本手をつなぐ育成会の大久保さんからお話をお願いいたします。

 

大久保●今ご紹介いただきました全日本手をつなぐ育成会の大久保と申します。私どもの団体は知的障害のある方々の家族の会です。それとデジタル放送化というところで、お話しする内容がデジタル放送と直接結びつくかどうかはわからないところもあります。ただ、デジタル放送化の流れの中で、あるいはそれをいい機会ととらえて、放送と知的障害のある方たちというテーマで少しお話ししたいと思います。

まず、テレビによる情報、あるいは娯楽という部分もあるかもしれません。これは知的障害のある方にも非常に重要であり大切であるということです。

今どこで暮らしていようと、地域で暮らしている方、あるいは施設で暮らす方も含めて、テレビは必須の生活上のアイテムであるということです。ただし、障害特性といったところから考えますと、一般に皆さんが複雑なドラマとかを見て楽しむという形でない楽しみ方、あるいは情報を得る方法とかで違いがあるかもしれません。その一つの例としては、例えばニュース番組を見ても、なかなかわかりづらいという部分は、確かにあると思います。

そこで、今教育テレビでやっている「週刊こどもニュース」のようなものが、ニュースを知る上では非常に大切かもしれないということです。当然、他の歌番組やドラマも見て楽しむことはあると思いますが、なかなか複雑な展開のドラマになると、ストーリーを理解しづらいという部分もあるかもしれません。

しかしながら今、福祉の流れということであえて申し上げるなら、地域生活というのがキーワードになっています。まだ施設に暮らす方が10万弱くらいです。これから多くの方々が地域で普通に暮らしていくという流れにあるわけです。その中で、テレビの持つ重要性は、単に娯楽だけでなく、重要な情報を得るためのツールであるということです。

例えば、私どもが朝起きて、恐らくテレビをつけて、天気予報を見て、今日は傘を持っていくかどうかを決めたりするときに、例えば、雨の確率が何十%といったときに、概ね私たちはパーセントというものを頭の中で抽象的な概念として浮かべて、そこで判断するわけです。そういった降水確率何%というのが、素直に傘を持っていくかどうかにはなかなかつながらないかもしれない。そうすると、そういう情報をいかにかみ砕いてわかりやすく、あるいは視覚的に伝えていくかということになろうかと思います。

私たちは実際に、生活の中で自然に情報を得ながら生活をしている、そしてさらに災害情報などの緊急対応の問題もあります。こういった情報と、それこそ、ニュースという世の中の動きを見ながら自分たちの暮らしを考えていくことになろうかと思います。そういう意味でいけば、知的障害のある方々にとって番組としては今のところ不十分だという感じは否めません。

デジタル放送というところに話を進めますと、一つは、まずデジタル放送に変わっていく、そして今までのアナログのブラウン管のテレビは使えなくなる。まずこの情報を正確に得ていく必要があります。そしてそれは、複雑にデジタル放送がどういうものであるというより、まず、普通のブラウン管のテレビで見られなくなる、そこでデジタルに対応するテレビやチューナーが必要になる。この辺の情報をしっかりと知的障害のある方に伝えていく、あるいは支援する方々に伝えていく。そのときに当然、新たなテレビあるいはチューナーが必要になったとき、低所得の方々に対しては、経済的な支援を公的に保障してほしいということが片方であります。

それと、先ほど話がありましたけれども、リモコンの複雑な操作がデジタルになると増えていく。様々な機能を有効に使っていくということで、当然リモコンも複雑になっていく。そうすると、知的障害というところから申し上げるなら、できる限り簡略である方がいいと言えると思います。それは知的障害がある方だけでなく、高齢者の方々も含めて。それは機能を十分に生かせないことにもなるかもしれませんけれども、まずその前に、テレビを基本的に見るというか、基本的なところの操作に絞ったものが必要ではないか。

したがって、非常にやさしいリモコンが片方であって、一方で機能を十分に生かせるリモコンもある。つまりそういった選択肢を用意することが重要ではないか。

既に携帯電話では、いろいろな人に対応するよう簡単な操作のものも増えてきています。それと同じように、リモコンに幾つかの種類があっていいでしょうし、むしろパーソナルとまでは言えませんけれども、福祉の世界ではパーソナルサービス、個人個人のニーズに合わせた形の支援がどれだけできるかという方向で動いている中で、やはり放送の方も、少しでもそういった、一人ひとりのニーズに対応できような操作性への配慮をしていただければと思う次第です。

あともう一つはデジタルということで、多くのチャネルが可能になっていくというところで、やはり子どもの専用番組が増えるということは、片一方でいえば知的障害の方たちにもわかりやすい番組が増えるのかなと。そういった専用チャンネルがこれから増えていくことに期待したいと思っています。

テレビというのは、これからいろいろな可能性が一方でありますし、生活していく上で、そしてさらに言うならば、知的障害のある方々が、これから地域で暮らしていく中で必須のアイテムだと思います。それが一人ひとりに対してやさしいものであってほしいと期待しております。以上です。

 

寺島●どうもありがとうございました。次に全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の高岡さん、お願いします。

 

高岡●ただいま紹介いただきました全難聴の高岡です。大きく三つの点についてお話ししたいと思います。

一つは、放送は全国民のものであるということです。放送法には、放送は公共の電波を通じて行われるサービスであることから、すべての国民にあまねく電波を届ける、番組を提供するという義務が、放送事業者に課せられています。この「すべての国民」という中には当然、障害者も含まれるわけです。しかしながら現在の行政の施策、放送事業者、テレビメーカーなどの対応は、そうなっていないというところに大きな問題があると思います。

地デジに移行すると一部の地域で地デジが見られない地域が残ります。わずか数パーセントの地域なのですが、難視聴地域対策として政府はBSやケーブルテレビで地デジのチャンネルを再送信することを認めています。それにかかる経費は数百億円と言われています。このように、難視聴地域対策はあるのですが、難視聴者対策がないんですね。

私たち障害者が社会の一員である、人間であるということを保障するのが、午前中、藤井さんがお話しされた障害者の権利条約です。障害者も基本的人権を持っている、普通の人と同じであるということを高らかに宣言し、そのことを具体的に保障する道筋を示したものと言えます。このことは、障害者の問題が一部の人だけのものではなく、すべての市民にとって必要な問題であるということを示しています。特に今日、高齢化社会になった日本。高齢者が2,800万人。 75歳以上の高齢者も1,000万人を超えています。高齢になるとどなたも身体のどこかに幾らかの支障を生じます。つまり、障害者権利条約をきちんと対応するということは、こうした高齢化社会にも対応するということなのです。障害者が何かしら特別な重度の障害を持った人だけという考え方を改めなければならないと思います。

二つ目は、あらゆる施策に障害当事者が関わる仕組みを作る必要があるということです。放送・通信関係の施策では、障害者当事者が関わることができなかったために現在の大きな課題を抱えてしまっています。地上デジタル放送の規格を作ったのは放送事業者とテレビメーカーです。私たち障害者には一言も相談がありませんでした。

また、平成20年、昨年の2月に情報通信審議会 地上デジタル推進に関する検討会が行われましたが、この検討会が発足して約6年、 35回目にして初めて聴覚障害者、視覚障害者が意見を述べました。それまで、障害当事者が意見を求められたことはなかったのです。

また、通信と放送の融合が今の IT化社会の中で大きな課題になっていますけれども、これも私たち抜きに話がどんどん進んでいます。何かが決まった後に言われたのでは、とても大きな問題が残ると思います。

三つ目に今後どうするかという問題です。それは、私たち障害者も加わった施策形成の場を作ること。施策形成だけではなく、技術開発、社会に対する啓発の分野にも、障害当事者が関わった組織が必要だと思います。技術的な問題が詳しいとは限りませんが、ニーズは何かということは私たちが一番よく知っており、何を優先してほしいかということを言える立場にあります。

実は私たちは障害当事者が関わることについて、とてもいい経験を持っています。先ほど寺島先生がお話しされたガイド 71という、高齢者・障害者が使いやすい機器のガイドラインを作ったときは、いろいろな企業、行政と私たちが関わって作ったのです。日本規格協会=INSTACと通信機器メーカーの業界団体CIAJが一緒になって、通信機器のバリアフリーのガイドラインを作り、それが JIS規格になりました。通信機器のアクセシビリティだけでなく、コンピュータの操作性についても規格が作られています。

しかし、放送機器に関するガイドライン、JIS規格というものがありません。私たちを加えて、ぜひ、視覚障害者にも、聴覚障害者にも、あらゆる障害者に使いやすいテレビの規格を作る必要があると思います。

啓発に関しては、午前中の総務省の報告の中でも、地デジを推進するために、高齢者・障害者向けのサポートセンターを作るというお話でした。しかし、このサポートセンターを作ることについて、私たちは何も相談を受けていません。またもや行政だけが決めているのです。

昨年の2月に、デジタル放送通信に関する検討委員会で、全日本ろうあ連盟、全難聴、点字図書館の代表が、それぞれの立場で意見を述べました。地上デジタル放送には大きな問題がある。口々に話しましたところ、そこにいらっしゃる様々な立場の委員の方が、「衝撃的だった、言葉がない」と言うぐらいでした。なぜ私たちの声がかくも無視されなければならなかったのでしょうか。

サポートセンターは、これから動き始める組織です。先ほどの総務省の資料に問い合わせの電話番号は書いてあります。ファックス番号がありません。メールアドレスもありません。私たちは問い合わせをすることもできない、私たちのことを考えていない証拠なんです。

サポートセンターが機能すれば、一人ひとりの障害者を訪ねるといいます。では手話通訳は、要約筆記は、ガイドヘルパーは、誰が負担するのですか。福祉の予算でしょうか。これはきちんと総務省が、あるいは放送業界が対応すべき問題だと思います。

このように一つひとつの問題をとっても、私たち障害者抜きでは問題が解決しないということは、これまでの例で明らかです。

今後も私たちの力を結集して、地上デジタル放送に関わって、障害者権利条約の理念の実現を目指したいと思います。よろしくお願いします。

 

寺島●どうもありがとうございました。次に全日本ろうあ連盟の宮本さん、お願いします。

 

宮本●全日本ろうあ連盟の理事を務めております宮本と申します。よろしくお願いします。先ほど高岡さんは字幕の利用者というお立場での発言でした。私としては手話の利用者の立場から申し上げたいと思います。

まず皆様方、私はいろいろなところへ行って話しをするとき、必ず手話に対する見方を申し上げています。まず手話が必要だという理由ですが、例えば文章が読めないとか、あるいは日本語の文の読み方が苦手だと、意味がつかめないから手話が必要だという意味ではないのです。これは大した問題ではないのです。それは小さな問題でして、まず一番大切な問題は選択権ということなのです。例えば、手話を選択する権利を奪われたということにもなりかねません。我々聴覚障害者、ろう者にとっては、手話を見るか日本語の字幕を見るかは、自由な選択権があるべきだと思います。人間のその辺りの選択権については考えなければなりません。その辺も含めてご理解いただきたいと思っています。

次に、ちょっと数字の間違いがあってはいけませんが、平成14年度、「新聴覚障害者に関する放送の円滑化に関わる法律」、ちょっと長い名前の法律ですけれども、この中に、字幕放送・解説放送に関する文言が盛り込まれました。それは技術開発のためにということで、明確に示されたものですが、残念ながらその中には手話放送という言葉がありません。それは長い間そのままの状況で来ました。当然我々は、情報を得られないために知らないままになってしまったという経過があります。非常にこれは残念なことだったと思います。

その中で、平成19年度、「デジタル放送移行を目指して」という委員会が立てられますが、当事者としての参加をいたしました。そこで手話を利用する立場として、例えば100%手話を挿入する必要があるということを強く繰り返し求めてまいりました。しかし総務省の方は結局、その新たな指針の中には字幕の目標100%、これは高い目標として設定しています。解説放送も同様に目標を高いレベルで設定しています。しかし、手話はどうでしょうか。目標は何も明記されていないという状況。これから新たに検討しなければならない課題ということで一文添えてあるだけでした。非常にこれは残念な結果でした。

ともかく、総務省、NHK、放送事業者も努力していただくことを期待したいと思います。しかし先ほど、午前中にも NHKの中村さん、総務省の平林さんの報告もありましたが、まだ手話放送に関する取り組みというものが、今までなかったことがわかりました。全くやってないということではないと思いますけれども、一部の努力はありました。しかしまだ実現にはほど遠いという話で終わってしまっていると思います。

次に、技術の問題についてです。技術的な問題につきましては、まずテレビの画面ですが、皆さんがご覧になるテレビの画面に手話、例えばワイプ、あるいはクローズド・サインなど新しい技術の導入は可能です。もちろんデジタルでは難しいということは決してないわけです。可能性はあり、皆さんの期待通り実現できるはずのことなのです。しかしながら放送事業者及びメーカー側におきましては、映像の中に手話を挿入することは技術的に非常に難しい、挿入は困難であるという回答に終始しています。なぜかと、非常に不思議に思いました。そこでわかったことは、ARIB(アライブ)の規格がございます。少し話は戻りますが、まずデジタル放送の場合は、インターネットと同様にパケットの形で送信するというシステムになっています。一つ目のパケットを送り、順番にパケットを送るという形になりますが、そのパケットを受信した機械の方で、結局パケットを拡大し、テレビに必要な情報を取り出せてそして映像化する仕組みになっているのです。ところがそのパケットの中に決められた位置がありまして、それぞれの情報が配分されて入っています。そのとき放送事業者とテレビ受信機に相互に決められたルール、規格があるようなのですが、そのルールの中に映像があり、字幕のための記号があり、それを示すための時間情報も入っています。それらだけで、結局、手話に関するものを入れるスペースがないということなのです。それが今、映像に手話を入れられないという一つのネックになっていることがわかりました。

本当かどうか、情報が間違いかどうかわかりませんのでもう一度確認はいたしますが、とにかくARIBというものが手話の画像に制約をもたらしている大きな壁になっているということです。

実はARIBは、放送に関する専門家が集まって協議をして、そこの話し合いをもとに決められたということですが、ただその会議には、我々当事者は排除されたまま専門家のみで進んでしまったという経過があります。これは非常に残念なことです。これから ARIBを改正するのはもうできないと思います。なぜなら既にテレビ業界でも放送していますし、受信機もそのような規格で作られ販売されています。ですから今さら変えることは無理だということはありますが、何らかの新しい規格を加えるか、何らかの工夫が必要になってくると思います。

次に、最後になりますが、先ほど高田さんから話がありましたように、壁というのは法律があります。まず日本国憲法にのっとって放送法というものがあります。放送法の中に、先ほどの高田さんのお話にありましたけれども、日本国民すべからく平等にサービスを受けるという意味での文言が書き込まれています。しかし実際に現状はどうか。視覚障害者、身体障害者、聴覚障害者、同じ状況で平等に情報を受けられる環境にないわけです。ですからまだ放送法の目標は達成するという状況ではないという現状があります。

字幕の話ですが、字幕には力を入れて進んではいます。字幕利用者としては非常にいい状況ですけれども、政府、放送事業者関係につきましては、その見方については字幕利用者のためという見方ではなく、日本国民すべからく全体のための、つまり誰もが見られるという環境、お年寄りでも見られる、つまり最大公約数を選んだという字幕の視点からの対応だと思います。

ですから国民すべからく見ることができる一番いい方法として選ぶというものではなく、最大公約数ではなく、様々な言語があり、様々なニーズがあり、様々な障害があり、それぞれの障害特性やニーズにあった形で対応できるようなサービス提供というものが非常に重要。そういう努力の姿勢が大切だと思います。ですからその体制を促すためには、新たな法律を作る必要があるのではないかと思っています。それを作っていくために元になるのは、朝の藤井さんの発言にもありましたが、国連の障害者権利条約の理念を基本とし、そして放送法、すべての国民に対するサービスということでの環境も重ね合わせて、私たち一緒に考えていかなければいけない時代に入ったと思います。以上です。

 

寺島●どうもありがとうございました。それでは最後になりましたけれども、全国視覚障害者情報提供施設協会の南谷さん、お願いします。

 

南谷●着席で失礼します。今ご紹介いただきました全視情協の方で外部委員をしております南谷と申します。視力ゼロの視覚障害当事者です。今日はパネラーの皆さん、大変すばらしい肩書と実績の持ち主ばかりで、何か僕のようなものが混ざっているのはお恥ずかしい限りなんですが。あまり紹介できる実績とか肩書きもないので。今日はテレビの話ということで、私の好きなテレビ番組を申し上げたいと思います。好きなテレビ番組は四つほどあります。一つは、以前 NHKとアメリカのABC放送が協同で制作した「映像の世紀」というドキュメンタリーシリーズが。あとは日本テレビの長寿番組で「笑点」。そして今年で制作30周年となる日本アニメの金字塔の「機動戦士ガンダム」。最後にイギリスのグラナダテレビというところが制作しまして日本ではNHKが何度か放送している「シャーロックホームズの冒険」のドラマ版。この辺りが僕の好きな番組です。

ここでは本日、視覚障害の側から繰り返し論じてきましたテレビ受像機のバリアフリー問題の、現状と解決の方途について、より総論的な観点から改めて考えてみたいと思います。

本日は「しゃべるテレビ」について、三菱の谷水さん及び福井さんから話がありました。谷水さんからは開発側としての認識や開発過程についてのお話をいただきました。福井さんからは「しゃべるテレビ」の実機に即して「しゃべるテレビ」でできることとできないことについて、詳細な説明がありました。

さて、福井さんの話からはっきりしたこととしましては、現状の「しゃべるテレビ」では、視覚障害者にとってできることとできないことがあるという事実です。例えば、デモにもありましたように、電子番組表=EPGが利用できることがわかりました。これは重大な進歩です。リモコンの形状の話に終始しないで受像機本体のソフトウエアに手を入れてEPGの読み上げ機能を実現した三菱電機の英断に拍手を贈りたいです。「山田君、三菱電機に座布団2枚」といった感じですかね。その一方で、画面に表示されるメニューの読み上げができないこともわかりました。メニューによる操作は、地デジ操作の基礎となっていますので、メニューの読み上げができない以上、残念ながら「しゃべるテレビ」で地デジが使えるようになったと言うことはできません。結論的に言えば、視覚障害者のバリアフリーはポツポツと部分的に実現された段階ということになるのではないかと思います。

今日は放送テレビについてのシンポジウムですので、ちょっとテレビの話をしたいと思います。 TBSの往年のテレビ番組に「風雲たけし城」というのがあったのを皆さん、ご存じですか? 私より上の世代の方は覚えているのではないかと思います。この番組はビートたけしが城主として君臨しているたけし城を、視聴者から選ばれた挑戦者たちが幾つもの関門を突破して攻略を試みるという企画番組でした。この幾つもの関門の中に竜神池というのがあったんですね。この関門は池の中に飛び石が幾つかあって、挑戦者はこの飛び石を勢いよくポンポンと跳び移っていって池の横断を試みるというゲームでした。ちなみに、池の中には偽の飛び石というのも混ざっていて、誤ってこれに乗ってしまうと挑戦者はそのままズブンと沈んで落っこちてしまうという関門でした。

さて、現状の視覚障害者にとって地デジは、この竜神池のような状態になっているんじゃないかというのが私の印象です。つまり、ところどころにある飛び石を起用にうまく利用すればなんとかかんとか利用できるかできないか、使えるかもしれないという兆しが出てきたという感じです。それも、「しゃべるテレビ」の登場でやっと一つか二つ、飛び石が準備されたというのが正直な感想でして、これではどんなに運動神経抜群の挑戦者でも地デジという名の竜神池を突破することは不可能でしょう。

今日、福井さんがデモビデオを見せてくださいましたが、 EPGの閲覧は標準的に視覚障害者全般にできることだと思います。が、録画の方は決してあれでできるということにされては困ります。福井さんは、恐ろしく運動神経抜群の挑戦者で、とても器用に何とか録画をやっているというところがありまして、あのビデオを見て、視覚障害者でも録画できるんだと思われてしまうと、ちょっと誤解を招くかなという印象を持っていますので、ここは確認しておきます。

さらに、福井さんから話があったように、ボタンの数を極限まで減らした簡単リモコンというもの。僕はこの「簡単」にはカッコをつけたいです。簡単リモコンというのは視覚障害者にとってはむしろバリアになる場合がしばしばある。このことを私は指摘しておきたい。だから安易な簡単リモコンは、いわば竜神池では偽の飛び石とも言えるようなものになってしまうことも気をつけてほしいと感じています。これが、現状認識でございます。

さてでは、これからどうしていけばいいのかを話したいと思います。

端的に申し上げれば、できる限り横断するための飛び石の数を増やして、できる限り多くの視覚障害者ができるだけ簡単に地デジを視聴できるようにするということに尽きます。そのためには関係者が協力しながらそれぞれの分野で活動することが不可欠です。

ここでは四つの関係者についてそれぞれに期待するミッションを話したいと思います。関係者の第一は、家電メーカーでございます。

三菱電機には、まだ実現されていないメニュー読み上げまで含めた「しゃべるテレビ」の一層の発展を期待します。また、地デジテレビにおいて大きな販売シェアを持つ他の大手家電メーカーには、視覚障害者の地デジバリアフリーに関して、その技術力と意欲を具体的な形で証明していただきたいと願うところであります。

RNIBのリチャードも言っていたように、視覚障害者及び他の障害も含め、こうした障害者のテレビへのアクセスは世界的な課題だと、こういう視野が必要です。世界のデジタル家電市場をリードする日本メーカー、幾つもありますが、こういうメーカーには国際的な視野を持ってこの問題に取り組んでいただきたいと感じる次第でございます。

一方、第二の関係者としては、我々視覚障害者関係団体を挙げることができます。今の地デジが視覚障害者にとってどうして使えないのか、何が不便なのかということについて広く深い認識と情報を持っているという自負が我々にはございます。だから我々はより一層の情報収集に努めて、メーカーの皆さんにはできる限り具体的にどのような飛び石が必要なのかを伝え、またメーカーの努力の結果を視覚障害者の側にフィードバックする、視覚障害当事者に広報していかなければならないということを改めて感じています。技術的な知見まで意識して、メーカーと当事者の間の橋渡しができないものかと感じ、またこうした作業への強い意欲を感じております。

そして第三の関係者は、第二と非常に重なり合うわけですが、視覚障害者当事者、個人としての当事者の皆さんにももっと声を上げてほしいというのが我々の希望でございます。視覚障害者はテレビを見ていないという偏見はまだ世の中にはびこっています。この偏見を克服するためにも、地デジ受像機が使えないとか、解説放送の目標値が設定されてもほとんど行われていないじゃないかとか、あるいはそもそも目標値が10%というけど、考えてみれば放送全体の10分の1に過ぎないわけですから、目標がたったの 10分の1になってるじゃないかという疑問とか不満を、総務省なり、家電メーカーなり、ヨドバシカメラの店員なりに、あ、別にヨドバシカメラに特別なこだわりはなくてたまたま秋葉原にあるというだけの話なんで、量販店の店員に直接伝えてほしい。私は、こうやって直接言っていくことで世の中に周知していくことが必要だと思いますが、直接言うのが苦手ということであれば、全視情協に所属しているような施設に申し出ていただいても構いません。

最後に第四の関係者として、国、政府には、こうした地デジバリアフリーのための試みを促進するために、極めて積極的な関与を期待します。公共の限られた資源である電波を用いた放送において、地デジという方式の採用を決定し管理しているのはやはり国というのが適切でしょう。そうであるなら、国は地デジのバリアフリーを推進する責務があるといっても過言ではございません。ぜひこの点を確認し、肝に銘じていただいて、この責務とも言える役割を積極的に果たしていただきたいと懇願する次第でございます。

最後に、加えて申し添えたいのは、本日繰り返し指摘されているように、関係者間の連携、当事者の参加を忘れてはならない。そうでないと実質を伴った結果を出すことができないということを確認しておきたいと思います。

「風雲たけし城」の話で時間を結構とってしまいました。まだ言いたいことはたくさんありますが、ひとまずここでお話を終わらせていただこうと思います。

 

寺島●どうもありがとうございました。これまでのプログラムを含め、質問はすべてこのパネルディスカッションにお任せしますと言われていますので、少しこれまでのプログラムを振り返ってみます。

大嶋さんは、目で聴くテレビとクローズド手話放送についてのお話をしていただきました。また、地上デジタル放送受信機の現状と活用例について開発者の立場と、利用者の立場からお話しをいただきました。それらのご質問もここで受けることになっています。それでは、少しご質問を受ける時間にしたいと思います。最初に大阪の会場でどなたか、ご質問がありましたらご発言ください。

 

花山●はい、大阪の会場です。皆さんスピーカーと画面に釘付けのようでした。時々は笑いも巻き起こっていました。さて、何かご質問のある方、いらっしゃいますか? お手を挙げていただけますか?……女性の方がお一人いらっしゃいました。前の男性の方もですね。よろしくお願いします。

 

大阪会場●今日はいろんな方面の方々のお話を聞くことができてとてもいい勉強になりました。これはどなたへの質問になるかわからないのですが、先ほどから当事者の声をということも強調されていたと思うのですが、その当事者の視覚障害者といたしまして、やはり解説放送のことがすごく気になるんですね。

解説放送というとドラマだけをイメージされてしまいそうなのですが、それだけではなくて、普通に見ている日常の番組の中にはいろいろなものがありますので、特にニュースなど、外国からの中継とか。ニュースだけではありませんけれども外国人の方のインタビューだとか、最近特に字幕だけになってしまっていて、翻訳が全然わからないということが多いんですね。一番肝心な、一番聞きたいところがすべて文字だけになっていたり。そういうのも音・声で聞かせて欲しいです。また、地上デジタルになるといろいろな情報が満載だと聞いていますので、それにすごく期待しています。特に私、阪神ファンでございますので野球放送中に選手が映ったときに、赤星選手の今の打率とか、試合状況とか、あと、途中から見たときに何対何だとか、本当に基本的なところがすべてわからないんですね。そういうところも必要だというか、そういうところを楽しんでいきたいと思う人はたくさんいると思うので、そういう声を届けたいんですけれども、いろんな場面のときに、いろいろな方面の方の中に放送局の制作側の方とかディレクターとかアナウンサーとか、そういう方も入った、知ってもらう会のようなものを持つことはできないでしょうか? これをどなたに聞けばいいのかわからないのですが、ぜひそういう場を持っていただいて、生の声をもっともっと聞いていただきたいなと。

長くなってすみません、クイズ番組が大好きなんですが、最近のクイズ番組はやはり映像で「これは何でしょう?」とか「次の漢字の読みを答えなさい」ということが多くなってきて。あと、肝心の答えも文字だけなんです。今の答えは何だったのかとすごく気になることが多いのです。そういう状況だということを、もっと多くの、一般の方にもですけども、現場の方にもぜひ聞いてほしい。そういう場をたくさん作っていただけたらなと、心から思います。よろしくお願いいたします。

 

寺島●司会の寺島です。一応、障害者放送協議会のことを説明させていただきますと、現在、年に2回ではありますけれども、全文字協という放送事業者がほとんど加入している団体と障害者放送協議会が行っている懇談会があり、そこでは今お話がありましたような、外国人が話すところがよくわからないとか、あるいはスポーツ解説も、視覚障害者の方にはよくわからないので困っていますというようなことは、既に何回も言っています。クイズ番組のことは初めてお聞きしましたので、次回、そういうところで発言したいと考えております。

また、事業者を相手にするだけでなくいろんなところで、それぞれの団体が発言していただければと思います。

他に大阪会場でこれまでの発言に対してご質問はありますでしょうか?

 

花山●大阪からはあと2人手が挙がっています。よろしいですか?

 

寺島●一人当たり1、2分くらいでお願いします。なるべく多くの方に発言していただきたいのでよろしくお願いします。

 

大阪会場●いろいろな話、どうもありがとうございました。私もテレビで字幕を見ているわけですが、もっと欲しいのは手話です。手話が出てほしい。ときどきワイプで手話通訳が入っている。でもそのワイプを外して、ちゃんと体が出て手話が見える、もっと大きなスペースにしていただけたら、それを工夫していただきたいということです。

それとクローズド・サインというお話がありましたけれども、意味がよくわからなかったので、もう少しそれの説明をしていただきたいと思います。

 

寺島●大嶋さん、よろしいですか?

 

大嶋●それでは簡単に説明させていただきます。今、テレビを見たときに、字幕を見たいという場合には、リモコンで字幕のボタンを押せば字幕が出てきます。そして押せば消えます。つまり宮本さんも言われましたが、選ぶという権利が保障されています。それと同じことを手話についてもするというのがクローズド・サインです。つまり、ボタンを押せば手話が出てくる。そして必要でない人は手話のない画面を見る。この手話を選ぶという権利を保障する、これがクローズド・サインです。クローズド・サインという手話はできているのかな?

 

宮本●このような表現をしています。

 

大嶋●以上です。

 

寺島●どうもありがとうございました。ワイプの方は、先ほど申し上げました懇談会でそのような希望があったことをお伝えします。その懇談会にはNHKの方も参加されていますので。もう一人の方の質問をお願いします。

 

 

大阪会場●京都では地元の放送局に字幕付与を求めていますが十分ではありません。私たち中途失聴者や難聴者だけでなく、字幕を必要とする障害者にとって、地元のニュースや話題は大切ですし、もっと正確に知りたいです。その放送局はローカル局ですが、字幕付与の要望を繰り返し出しても、予算や財政が厳しくて実現できないとの回答になります。国がしっかりとローカル局にも字幕付与を、目標ではなく義務として実施できるように支援なり指導をするよう求めます。この点、検討されているかどうか、質問です。

 

寺島●高岡さん答えていただいていいですか?

 

高岡●高岡です。総務省が字幕あるいは手話をつけた番組に対して補助金を出していますが、キー局は現在ほとんど補助金がなく自前でやっています。その分、解説放送ですとかローカル局への助成を多くしていると聞いています。ただ、全額助成ではなく、最大でも2分の1の助成なので放送事業者にとっては負担がまだ大きいと感じている局があるのかもしれません。この辺も制度上の改正を求めたいところです。

 

寺島●全文字協との懇談会には、総務省が出席していますので、そこで発言していきたいということでよろしいでしょうか。大阪会場の質問は以上ですね?

 

花山●そうですね、ご意見やご要望も含めまして質問は大阪からは以上です。ありがとうございます。

 

寺島●ありがとうございました。では、東京会場でご質問ありましたらどうぞ。まず後ろの方、お願いします。

 

東京会場●神奈川からまいりました。質問は谷水さんにお願いしたいのですが、その前に、幾らテレビとレコーダにフルで音声の機能がついたとしても、実はマニュアルにとても大きな問題があります。今のマニュアルは実機の操作をしながら読むことを前提にして書かれているので、それを読んだだけではどのボタンを何回押したらこの操作になるのかということは全くわからない状態です。今、マニュアルがホームページ上でPDFで公開されている場合も多いのですが、仮にそのテキストが抽出できたとしてもその壁にぶつかりますし、点訳や音訳をしてもやはりその問題が残ります。

この件に関しては、他の問題と合わせて、関東の手をつなごうすべての視覚障害者全国集会でJEITAに要望書を提出してあります。

では谷水さんへの質問ですが、「しゃべるテレビ」は、実際に僕も量販店で見てきたのですが、実際に漢字仮名交じり文を読み上げる辞書にかなり問題があって、番組によっては何を言っているかがわからなくなることがしばしば起きます。番組によっては、頻繁に地名とか人名とか独特の言い回しが出ることもあります。この問題の解決するためには、各メーカーがそれぞれ音声エンジンとか辞書を開発して、それに対応していったのでは、コストも時間もかかって現実的ではないと思われます。各メーカーが競争して機器を作っていくことについては決して問題があることとは思っていないのですが、やはり共通に必要なものですので、このアクセシビリティに関しては。エンジンとか読み上げ辞書といったものを他のメーカーと共同で開発して作っていった方が、これからもコストを上げずにできていくというふうに思うのですが、その辺の検討はされていますでしょうか?

 

寺島●それでは大阪会場、谷水さん、お願いします。

 

谷水●社内的に、何とか読みあげの正確さを向上させようというところではやっておりまして、少しずつですが、精度を上げるということでは動いております。ただ、今おっしゃられましたメーカー同士の横通しで協力してやっていくところは、ほとんどできてない内容が多いと思います。我々も業界の中で横通しする機会もありますので、そういう機会を通じて、今後、今いただいたご意見を参考にしながら改善をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

寺島●どうもありがとうございました。それではもう一人。三番目の方、どうぞ。

 

東京会場●私は、視覚障害者です。私自身は2005年秋から、iPEG、インターネット番組表を使って一発予約録画などをして、地デジではないんですけど、便利にテレビを視聴してきた者です。今回、放送がアナログから地デジに変わるということで、どの程度いろんな取り組みがなされていて、どのようなことが検討されているのかというのを期待してきたんですが、かなりがっかりしているところです。

一つ質問させていただきたいのですが、地デジになりますと4つのカラーボタンによるインタラクティブ機能がありますが、それに関してのアクセシビリティとか配慮点はどのように検討されたり、どのような取り組みがされているでしょうか。それをお伺いしたいと思います。

 

寺島●パネラーの中でわかる方はおられますか? 谷水さん、わかる範囲で教えてください。

 

谷水●なかなか即答しづらいのですが、先ほどから聞いております、メニューでの読みあげの改善。メニューでここを押せばこういう機能ができるという説明も、画面上には出てきますので、そうしたものも我々メーカーとしてはできるだけ読み上げできるようにすること、今後の課題として考えていきたいと思います。メーカーの努力としての答えしか今はできませんけれども、そういうことでお願いします。

 

寺島●こういうことは総務省が決めれば何とかなるとか、あるいはJEITAが決めればいいとか、そういうことはありますでしょうか?

 

谷水●例えば字幕やデータ放送に対して、ある程度、読みあげに対しての規格化、もしくは画面上の見やすい位置に字幕を出す方法、もしくは字幕をさらに言葉として伝えるといった規格を統一して、実際にテレビに適用しやすいように決めていくということは、我々の開発にとっても非常にメリットが出ると思います。

 

寺島●どうもありがとうございます。そういうことも放送協議会で少し取り組んでいきたいと思います。では、先ほど手が挙がっていた方、どうぞ。

 

東京会場●こんにちは。東京からまいりました。よろしくお願いいたします。朝から今の時間までいろいろとお話を伺えて、理解はできましたが、一つ困っていることがあります。

「目で聴くテレビ」について、繰り返し同じような番組ということで、ちょっと問題です。新しく刷新していただけないか。例えば、いろんなクイズ番組、あらゆる新しい企画を盛り込んでいただきたい。また、NHKでも、例えば字幕をつけるときに、バックを黒くする方法とか、また民間事業者も同じように見やすい形に、楽しめるような工夫をしていただけないか。

 

寺島●多分、利用者からの質問だと思いますので、高田さん、お願いします。

 

高田●おっしゃるとおり、本当にそのようなご要望、多くの方々からいただいて困っています。番組の再放送をしないでいつも新しい番組を放送できるような条件ができれば、もっと視聴者が増えると思います。また、放送時間も延ばしたいです。それは同じです。問題は、さっき言いましたように資金です。お金がないのです。これについて総務省に資金の援助をしてほしいということをたびたび申し入れていますが、少しずつ増えてきてはいますがまだまだです。不十分というのが実情です。本当に悔しい思いをしています。皆さん、どうぞよろしくお願いします。

 

寺島●どうもありがとうございました。他にご質問はありますでしょうか?

 

井上●障害者放送協議会の著作権委員会の井上と言います。先ほど大久保さんの方からお話がありました。例えば字幕放送、それから手話の放送、いわゆる聴覚障害者の方以外のニーズもあると。実は発達障害ですとか高齢、私も高齢になってきていますけれども、例えば字幕がついていると聞き逃したところが字で残っているので確認できたり。それから「手話ニュース」は内容を要約して放送していますので、しかも字幕で、難しい漢字にはルビ振りがあったりしますので、知的の障害の方ですとか発達障害の方には実は隠れたニーズがあると。視覚あるいは聴覚障害以外にも大きなニーズがあることを放送事業者の方やメーカーの方にも伝える必要があるかなと思います。質問というよりも意見半分だったんですけれども、以上です。

 

寺島●ありがとうございました。質問はこれで終わりということにしたいと思います。せっかくの機会ですから、こういう要望をぜひ出しておきたいという方がおられましたら・・・。大阪会場、いかがでしょうか?

 

花山●大阪の皆様、何か要望、ご意見、ありますか? お二方、手が挙がりました。それでは福井さんからお願いしてもよろしいですか?

 

福井●すみません、竜神池を落ちたところはビデオに撮らず、落ちなかったところだけ映したのであれでしたが、福井です。先ほど、外国人の発言の日本語訳が読むだけで声が出ないのでわからないという話がありました。これに類似した問題で、取材の過程でインタビューはとれたけれども、本人が誰だかわからないようにするために、画面の顔にぼかしをかけて、なおかつ声をウォウォという声にしたり、アヒャアヒャという声にしたり、聞こえないようにして、誰にも聞こえないから字で出しているという手法、最近とても多い。わからなくする声なら流さない方がましと私は思います。声が出せないのならナレーターの声に置き換えた方が、例えば視覚障害者だけでなく、何か仕事や作業をしながら、遠くからテレビを見ていて字が読めない人とか、あるいは高齢で字が読みにくい人にも役立つのではないかと思いました。

こういうことというのは、解説放送で実現するというよりは、むしろ番組の作り方そのものを見直すことで改善すべきではないかと。解説放送というのはもっと別のものだと私なんかは思います。以上です。

 

寺島●貴重なご意見をありがとうございました。このことにつきましては、今までも放送事業者と何度も話をしていて、 NHKでは、キャスターの教育で、例えば、「ご覧ください」とか「画面の通りです」というようなことは言わないようにという研修会をやっているんだそうです。でもそういうことが効果を上げていないのだと思います。こういったことも申し入れていきたいと思っています。また先ほどのわざと聞こえないインタビューというのは初めてお聞きしましたので、それも追加していきたいと思います。

もう一人の方はいかがでしょうか?

 

花山●はい、岩井さんですね、よろしくお願いいたします。

 

岩井●日本ライトハウスの岩井です。私ども、いろいろなグッズを扱っているんですが。よく利用者の方から、わしらはテレビは見えなくてもいいと。だから地デジになってもラジオはちゃんとあるんだろうな?と。ラジカセその他テレビのチューナーがついたラジオでテレビを聞いてらっしゃる方が非常に多いわけです。やはり広報が十分にできていないという話の中に、ラジオは大丈夫かということもあります。視覚障害者にとって、音声で聞ける専用の地デジのラジオというのも非常に重要なニーズであります。この辺の開発も含めてぜひお願いしたいと思います。

改めて繰り返しますけど、そういったことすら十分情報が伝わっていませんので、この辺の広報、周知方、よろしくお願いしたいと思います。

 

寺島●この質問について何かご意見はありますか?デジタルテレビを聞けるラジオがあるという話を聞いたことがあります。少し調べてみたいと思います。

では、もう一人の方、手を挙げておられますね。

 

高田●コマーシャルで思い出しましたけれども、テレビコマーシャルはほとんど字幕もないし、手話もない。解説放送もない。なぜコマーシャルにそのような手話とか字幕とか解説放送がないのでしょうか。これはおかしな問題ですよね。我々、障害者はそういった商品を買わなくてもいいという意味なのでしょうか。寺島さん、ご意見をお伺いしたいと思います。

 

寺島●これについても、懇談会で何度も話が出ています。イギリスでもコマーシャルに字幕が入っていないんですね。それは、コマーシャルを出すスポンサーが嫌がるからだと言っていました。日本でもまだ具体的には検討されていないそうです。スポンサーに言うのを憚っているみたいな、そんなことを放送事業者の方は言っていました。我々はそれが事実かどうかはわからないのですが、障害当事者の団体がどんどん要望を出していただいた方がいいと思います。

 

宮本●コマーシャルのことなんですけれども、コマーシャルに字幕がつくということについて、今、実際に大きな矛盾が起こっています。皆さんご存じでしょうか。

テレビに字幕がついてなくても、例えば電車の中に字幕がついていますね。スポンサーが嫌がるという話もありましたけど、それでは筋が通らないと思います。そういう矛盾がなぜかよくわかりませんが、とにかくその辺り調べてみて、課題として考えなければいけないと思います。

 

高岡●広告に字幕放送の字幕がつかないというのは、字幕をつけなくてもいいというような規定があったそうですけれども、それは改訂されて、字幕をつけられるようになって、広告主の方々も幾つかの番組に字幕をつけるという努力をされています。実際に聴覚障害者の方々と広告を提供する方々、広告を作る方々が一緒になって、どういう字幕がいいか、字幕をつけるとこういうふうにわかりやすくなるというような啓発活動を一生懸命されていますので、もう少し私たちも応援していく必要があると思います。

 

寺島●どうもありがとうございます。それでは、先ほど東京会場から手が挙がりましたので、後ろの方からお願いします。

 

東京会場●東京の視覚障害者です。福井さんが大変わかりやすくテレビのリモコンの使い方を説明してくれて、よかったと思います。ここで一つの具体的な提案をしたいのですが、これはあるメーカーのものを説明するのが目的ではないので聞く人が聞けば、視覚障害者の人ならあれだなとわかるようなものです。ここにリモコンではありませんが、数字キーがたくさんついた道具があります。テレビのリモコンは、この2倍か3倍くらいキーがあってとても覚えきれません。私が今ここで持っている電気製品はとても具合がよくできています。聞こえると思いますが……

 

【機械音声】再生停止キー、押すたびに再生と停止の切り替え、または操作の決定。メニューキー、押し続けるとキー説明。

 

今言いましたけれども、メニューキーがありまして、3秒か5秒長押しすると、他のキー操作が無効になって、その代わりどのキーを押しても説明をしてくれます。

 

【機械音声】再生停止キー、押すたびに再生と停止の切り替え、または操作の決定。移動キー、押すたびにページ移動、見出し移動の切り替え。5キー、情報キー転用、バッテリーや経過時間など情報をガイド、押すたびに情報のスキップ。

 

というようなものです。今は地デジに関係する話でございますが、それがテレビのリモコンにつけばすばらしいです。目前にしている地デジ放送のために、キーについてリモコンについているあるボタン操作をすると全部キーを読み上げるという、これは非常に大事な機能だと思います。テレビということを離れて、リモコン一般、スイッチ一般について、ある操作をすると、キーを全部読み上げてくれるようにしたらよいのではないかと思います。できましたらメーカーの方からのコメントがあれば、ありがたいです。

 

寺島●どうもありがとうございます。大阪会場の谷水さん、お願いします。

 

谷水●貴重なご意見、ありがとうございました。操作するときに内容が一つひとつわかるようにすることが重要だと、今日改めて認識しました。リモコンに入れる場合、それから製品として対応する場合、両方の方法があると思います。少し持ち帰って、どうしたら今よりもっと操作がわかりやすくできるか、内部でいろいろ検討してみたいと思います。よろしくお願いします。

 

寺島●では、前で手を挙げていただいていた方、お願いします。

 

東京会場●「目で聴くテレビ」のことなんですが、4年くらいずっと、例えばプログラムを変えるということ、非常にキー操作も不便で、古い文字放送の場合の方が簡単でした。内容が違うせいか、その辺がそうなんだと思いますが。

また、最近、いろんなゲームをします。これご覧ください。DSということで字幕がきれいに映るんですね。鮮明にわかるんです。携帯と比べても、似たような機能ですが、非常にいい機能で非常に便利なものです。以上です。

 

寺島●後半はご紹介でしたが、前半について高田さん、よろしいですか? では、大嶋さん、どうぞ。

 

大嶋●字幕の操作、それから字幕の質ですね。これは今アイドラゴンⅡをご覧いただいているのだと思います。来年4月から、デジタル対応に変わります。厚生労働省は、今、アイドラゴンを持っている人に対しては無料でアイドラゴンを配布するということを決めました。4月1日から始まるデジタル対応のアイドラゴンは、操作や字幕もきれいに出るようになります。今お持ちのアナログテレビにつないでもきれいに見えるし、デジタルテレビを買われた方は、デジタルテレビにつないでもきれいに見えるものに変わります。

 

寺島●どうもありがとうございました。後ろで手を挙げておられる方、お願いします。

 

東京会場●埼玉県からまいりました。普段は視覚障害者の点字ディスプレイのメーカーに勤めています。私自身、ロービジョン者なんですけれども、リモコンとデータ放送の受け取りに関して意見というか、お聞きしたいというか。まずリモコンなんですが、先ほど質問された方が見せてくださったような、多くの視覚障害者が使っている機器を利用した共通化のリモコンを作れないかと考えました。

というのは、今、視覚障害者の中で、エアコンの場合はメーカー関係なく共通のリモコンだけ売っていたりします。そういう形で、先ほどの機器をメニュー選択して、左右で番号移動するなどの形をとれば、多くの視覚障害者が使っているので、ある意味使いやすいリモコンになるのではと考えました。

もう一つ、デジタル放送になったときに文字放送が増えるという話も聞いているのですが、そうなった際に、普段視覚障害者が多く使われている某企業の >PC-Talkerというんでしょうか、そういうソフトウエアが既にあるので、そういう慣れ親しんだソフトウエアをつかって、普通の人には聞き取れない非常に速い速さで耳で聞き取れているので、スピード調節も含めて今まで使っている商品を中に取り込むことはできないか。既存にある視覚障害者関連企業とデジタル放送開発時のいろんな企業とのコラボレーション、話し合いというのはもう既に持たれているのか、可能性としてあるのかどうかというのをお聞きしたいです。

 

寺島●では、これも谷水さんでいいですか? 

 

谷水●皆さんが本当にテレビに対していろんなご意見・要望、熱心に話をしていただいているのが、本当に伝わってきます。ありがとうございます。リモコンについてはメーカー間で共通でできるところとそうでないところがあると思います。音量とかチャンネル、放送のモード切り替えなどは、リモコンの中で各メーカーのコードを入れることで対応できると思います。ただ、メニューから入ってきて機能を選ぶというところでは、やはり各メーカーごとに工夫を凝らしていますので、一部の機能以外はなかなか実現が難しいところもあるのかなと。十字キーとか決定キーで押していくことである程度はカバーできると思うのですが、完全にということでは、ハードルがあるのかなと思います。この辺りも各メーカー同士で話をする機会に意見として出してみたいとは思います。

あと、機器を専門に扱っているメーカー間での技術のコラボということでは、残念ながらほとんどできていない場合も多いというのが実態です。

今日参加していらっしゃる皆さんからもそういうメーカーさんを紹介していただいて、我々の持っていない技術のところは、コラボも含めて今後やっていこうと思いますので、またいろいろとお聞きしたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

寺島●どうもありがとうございました。そろそろ時間になりましたので、最後にパネラーの方のまとめを1分ずついただいて終わりたいと思います。最初に、大久保さん、お願いします。

 

大久保●では簡単に。まとめということではございませんが感想を含めて申し上げたいと思います。

まず先ほどフロアからいただいた字幕についてですけれども、平易な文章で漢字にルビを振ることは知的障害のある方にとって非常に重要なことです。それをまず申し上げたいと思います。

それから皆さんのご意見を聞いていく中で、技術的な問題、あるいは施策的な問題が多くあること。その中でご本人、当事者の声があまりうまく伝わっていないのではないかという話でした。例えば具体的に申し上げますと、今回のアイドラゴンⅡですか、これについても厚生労働省の特別対策基金からお金が出ることになったのですね。総務省のお金ではないのです。ということは、当初からこの補助金を考えていたのかどうか、どうもその辺がわからないところです。

それと午前中の藤井さんからの話にもありましたけれども、今、権利条約絡みで総務省ともお話をしています。その中で情報保障の問題は非常に重要に考えており、いわゆる流れとして申し上げるなら、どちらかというと、これまで障害者を福祉の客体という形でとらえてきた。権利条約は障害者を権利の主体として強調しているといえます。つまり、福祉や雇用施策については一定の進展があるのですけれども、それ以外の部分がなかなか進んでいないという状況があります。実際に今回の総務省の対応についてもそのような感じを持ちました。

そこで、少なくとも、法律とか、制度・仕組みで、そういったものをどこかで担保しないとなかなか一歩前進しないのかなと。つまり、総務省の中の審議会みたいなものがあるでしょう。そういったところに当事者が参加して意見を述べる、厚生労働省の福祉分野、雇用分野ではそれは既に行われていてそれが制度の仕組みに反映されています。こういった形がベースとして必要だと強く感じた次第です。そういう意味では私どももJDFの会員の一人ですので、ともに一生懸命にやっていきたいと思います。以上です。

 

寺島●どうもありがとうございます。では高岡さん、お願いいたします。

 

高岡●高岡です。最初に少し、宮本さんの方から字幕利用者としての発言をされたと聞いたのですが、最初の発言は確かに字幕は使っている人なのですが、すべての障害者の立場で発言をしました。それから大阪からの質問があった、ローカル局の助成の問題については、多分、もしかしたらローカル局に字幕や手話制作をするマンパワーの問題があるかもしれません。これについては統一機構との業務提携で解決できるのではないかなと思いました。

最後のコメントですけれども、私たちは放送事業者、メーカーなどに働きかけをするのですが、私たち自身も意識を変えないといけないかなと思いました。それは私の所属している東京都の難聴者協会に総務省から地デジの説明会を開きたいというお話があったんですね。これから具体的に聞くところなのですが、説明会を開く場所を2、3回提供すればいいかなと思っていました。しかし、今日の話の中で考えを変えました。難聴者協会の会員全員に、一人ひとりにちゃんと地デジが受信できているかどうか、そのことを確認する、いわば緊急災害時の安否確認のように一人ひとり確認をする、その中で私たち自身の意識を高め、社会に啓発を訴える、そういうまたとない良い機会ではないかなと。市町村など地域行政ともタイアップしてこの取り組みをするというのが、結構重要じゃないかなと思いました。

あと民間企業に対して何かしらこういう取り組みをやることが自分の会社のステータスになる、あるいはお金が儲かるというインセンティブも、私たちが知恵を絞って提案していくことも必要だと思いました。

 

寺島●どうもありがとうございました。宮本さん、お願いします。

 

宮本●これからの課題としてはもちろんモニタリングという機能が非常に重要で新しく盛り込むということは我々が取り組まなければならない課題だと思います。先ほども言いましたように法的な壁というものがまだまだ残っていますので、それをどのように打開していくか、我々、ともに頑張っていかなければならないと思います。以上です。

 

寺島●どうもありがとうございました。南谷さん、お願いします。

 

南谷●私、先ほど地デジという問題を関門にたとえて、我々障害者を挑戦者だと言ったのですが。そもそも公共のサービスとして人々が楽しむために提供されているはずの地デジが、関門になっていて、それに挑戦しなければいけないこと自体、何かおかしいんじゃないか。本当は即楽しめていいものじゃないのか、そういう疑問があるということを皆さん、確認しておいていただきたいと思います。

今回視覚障害関係の方では、やはり受像機の問題。これがないとどうしても話が始まらないので受像機及び解説放送の話が中心になってしまって、他の障害の皆さんとの連携の話があまりできてこなかったことを若干反省しています。これまで視覚・聴覚が中心だったんですが、今回知的障害の代表の方ともこのように協調することができまして、非常に心強く、またありがたく感じています。

視覚障害に関わらない障害全般の問題として、また別の観点を提示したいと感じているのですが、障害者権利条約の問題があります。本日は、障害者権利条約にこう定めてあるのだから国内でもこういうことを推進しなければいけないという話が中心だったと思いますが、もう少し別の観点をここで出してみたいと思います。つまり、障害者権利条約において、これがなぜ権利として盛り込まれているのか、認められているのか。またそれを権利として認めることを、障害者権利条約を積極的に推進しているような文明的で先進的な社会あるいは国家というものが、なぜ積極的にアドボケート、支持しているかということを考える必要があります。午前中に藤井さんから、日本政府の障害者権利条約の批准と、それを踏まえた対応について、なかなか気が重くなる部分もあるような話もありました。仮に権利条約と今の現状というものを、血眼になってつじつまを合わせる行動をとるとすれば、それは文明的で先進的社会・国家が行うことと言えるのかどうかということについて、もう一度考えてみる。私は、ここで結論を言うつもりはありませんが、皆さん、自由に考えていただければと思います。

言いたいことはたくさんありまして、例えば今日取り上げられなかった緊急放送をどのようにバリアフリーにするかという問題。これは実はNHK放送技術研究所の研究者の方がなかなかうまい解決策を見つけていらっしゃって、技術的には解決のめどが立っていて、あとは何とか運用に持ってくるという段階に入っているという印象を受けている問題なんですが、この話ができなかったこと。あるいは、テレビはテレビというものにとどまらず、デジタル家電の中核の位置を占めているわけで、テレビを通じてデジタル家電を使いこなす観点を導入しなくてはいけないという話もしたかったのですが、話が長くなってしまいますし、そろそろ切り上げないと「笑点」が始まってしまうので、私としても話を済ませたいところなんですが。ただ、2011年までに、地デジを視覚障害者が見られる状況が実現しないと、仮に 2011年以降、「笑点」が放映されても私は見られなくなってしまいます。ひょっとしたら私は 2012年以降はここで4時間、5時間しゃべり続けるかもしれません。それを避けたいということであれば、皆さんもぜひ、視覚障害者及び障害者全般の地デジのアクセシビリティということについて、積極的に考えていただければと思います。

 

寺島●どうもありがとうございました。最初に申し上げたように、厚生労働省、経済産業省、国土交通省に比べて、総務省の放送関係は、動きが鈍いというか、理解がどうも進んでいないという気がしています。その一つの原因は、私たち障害者放送協議会の力が及ばないというのがあるんじゃないかと思っています。しかし、この問題は、生存権に関わる問題ですので、ぜひ力を入れていきたいと思います。皆様方のご協力をお願いいたします。

お忙しい中、しかも日曜日にたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございました。特に、大阪会場では立ち見席も出ているということですので、皆様方の関心の高さを知ることができました。いただいた貴重なご意見をこれからの私たちの活動に反映させたいと考えております。本日はどうもありがとうございました。

最後に、このスポンサーであります全国労働者共済生活協同組合連合会にお礼を申し上げたいと思います。また、本日、手話通訳、字幕制作、要約筆記など協力をいただいた多くの皆様に感謝申し上げます。また、大阪会場で司会をしていただいた花山さん、どうもありがとうございました。パネラーの方も本当にありがとうございました。