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世界保健機関(WHO)国際セミナー報告書

シンポジウム

リハビリテーション専門職の訓練と教育

平成9年11月12日(水)10:00-12:00
D501 Conference room
座長

Zaliha Omar   マラヤ大学
柴田 貞雄    国立障害者リハビリテーションセンター

symposium

中国におけるリハビリテーション専門職の教育
EDUCATION AND TRAINING OF REHABILITATION PERSONNEL IN
CHINA

ナン デンクン
Nan Dengkun
同済医科大学 CHINA

[要約]
中国におけるリハビリサービスの必要性について考察し、これまで行われてきた様々なレベルにおける、リハビリ従事者に対しての訓練と教育について紹介する。過去に行われてきた訓練と活動の実績と問題について分析することで、リハビリ科学の公式な教育システムと、近い将来のうちに、中国において、確立されるべき専門的な訓練(養成)プログラムと資格制度について提案する。また、アジア及び西太平洋地域におけるリハビリの専門家の訓練及び教育の分野での国際協力に関するいくつかの提案をする。

[はじめに]
中国には、9.6百万平方kmの地域にわたって12億もの人々が住んでいる。1987年に障害児者になされた調査によれば、中国の人口において、クラス5の障害児者が4.90%におよぶと報告された。現在では、6千万人もの障害児者がいる。老化の速度が増すことによって、高齢者が全人口のほぼ9%を占め、合計で1億人である。その2/3の人、すなわち6千600万人が、様々な種類の障害のためにリハビリサービスを必要としている。慢性疾患、外傷、損傷などのために毎年、ほぼ1千万人ずつ増加している。リハビリサービスを必要とする人は、合計1億5千万人である。これは、かなりの人口である。この人口に対するリハビリのためには、少なくとも、数千人のリハビリ従事者が必要となる。80年代前半に中国で始められたリハビリプログラムが、他の開発途上国に追いつくまでには長い道のりがある。我が政府の支援があれば、中国において、リハビリは非常に前進するであろう。

[現状報告]
1.政府による支援
我が政府は、中国における障害児者のリハビリを重視している。1986年に、政府は、Mr.Deng Pufangが議長を務める中国障害者同盟の設立を許可した。

 同盟は、社会に衝撃を与えるような多くのプログラムとキャンペーンを始めた。

 政府は、障害児者の問題についての一連の公文書(法律と規定)を公布した。「中国障害者保護法」、「中国における障害児者のための活動5か年計画(1998-1992)」、「障害者のための国際発展5か年計画・8(1991-1995)」、「障害者のための5か年計画・9(1996-2000)」、民政局、公衆保健局、中国国家教育委員会、その他の政府組織も公文書を発表し、これらは、中国におけるリハビリの発展を後押しする推進力となっている。

 これらの公文書では、あらゆるレベルの医療団体において、リハビリの部局を設立すること、また、リハビリ従事者の訓練(養成)することについて責任を負うと規定している。

 例えば、「中国障害者保護法」においては、医科大学や学校あるいは関連する教育機関では、計画に基づいて、様々なリハビリの専門家を訓練できるようにリハビリの教育課程や専攻を提供しなければならないと明記されている。

 省や団体は、リハビリで働く人のために様々な形態の技術訓練を提供しなければならない(第2章、16条[従事者の訓練])。

 「中国における障害児者のための5か年計画」においては、リハビリの仕事とリハビリの知識を教えるための能力を訓練することは重要であると明記されている。リハビリについての研究は、行われるべきであり、リハビリあるいは地域リハビリに関する教科書、雑誌、ハンドブックが編集されなくてはならない(Ⅳ.評価、リハビリテーション、49)。

 近年では、公衆保健局は、中国におけるリハビリの活動に関する7-8の公文書を公布している。

 1989年に発表された公文書では、すべての一般病院における4つの主なリハビリ(医療ケア、予防、健康促進、リハビリ)について規定されている。

 これによって初めて、リハビリ活動は、一般病院における重要な責任として公式に明記された。これはクリニックでのリハビリ活動の意識を高めることにつながっている。

 1996年、13番目のリハビリの訓練の発展に関連する公文書が公布され、すべてのレベル2の病院(100ベットを有する病院)は、リハビリ医学部門を持ち、1人のリハビリ医師と2人のリハビリ療法士を職員としておかなくてはならない、とされた。

 また、レベル3の病院は、2人のリハビリ医師と4人のリハビリ療法士を置かなくてはならない、とされた。

 現在では、1万2千ものレベル2の病院と560のレベル3の病院がある。公文書によると、少なくとも13,120人のリハビリ医師と26,240人のリハビリ療法士が必要である。

 この要求が達成されたとしても、先進諸国(アメリカ合衆国では、リハビリ医師と全人口との割合は、一万人につき1.8人である)におけるリハビリ医師とリハビリ療法士の数と比較するとその数は不十分である。

2.1983年以降の訓練プログラム
1)中国の全ての医科大学は、中国で必要とされているリハビリ活動の訓練に焦点をあてた多くの訓練プログラムに着手した。

それらには以下の内容が含まれている。

  • Sun Yat-Sen医科大学のGuangzhouは、中国で最初の訓練コースを始め、それらには、継続して4年間に及ぶ150のIBRとCBR従事者の訓練が含まれていた。
  • Tongji医科大学(Wuhan)、公衆保健局から委任された、リハビリホンコン組織のHarry S.Y.Fang教授と協力して、一年課程のリハビリ医師のための資格取得コースを設定した。
    この教師は、アメリカ、イギリス、日本、フィリピン、スウェーデン、カナダ、ホンコンを含む世界の各地出身である。外国の教師に対する中国人の教師の割合は年々増加してきた(2:8,3:7,4:6、、・・・6:4,7:3,8:2)。1989年から1996年までに、29の省や市から合計で315人のリハビリ医師が訓練された。
    これらの医師はそれらの地域で重要な役割を果たしている。
  • ホンコンのリハビリ組織は、Anhui医科大学におけるリハビリ療法士のために設けられたコースの3セッションを行っている。20の省や市からやってくる125人のリハビリ従事者に訓練を行っている。
  • 中国における身体医学とリハビリ組織が共同で提供しているAMAと中国リハビリ研究センターでは、先進的な5つのリハビリコースが、Beijingの医者の知識を新しくするために開催されている。各セッションは一ヶ月間続けられ、20の省や市からの250人の医師がコースに参加した。
  • リハビリ訓練コースの30セッション以上は、Shanghai,Nanjing,Xi'anやその他の場所で開催される。
    これらのコースは、たいてい1~3カ月続き、平均で40人の生徒が在籍していた。
  • ホンコンのリハビリに関するWHO共同研究センターとリハビリの訓練と研究のためのWHO共同研究センターであるTongji医科大学が協賛して、3種類のワークショップが開催され、10の特別課題リハビリワークショップ、25のCBRワークショップそして脳性マヒ者のための5つの指導教育ワークショップなどが含まれていた。
    合計で1600人のリハビリ従事者が多様な種類の訓練を受けた。

2)中国障害者同盟によって支援されているTongji医科大学は、1990.1991年に、医学部出身者からリハビリ医師の訓練を行うことに力をいれた。

 この参加者は、自発的な志願と試験によって、医学部生の中から選ばれた。合計で29人の学生が、プログラムヘの参加資格を得た。大学の5年目に、いくつかの臨床コースを免除され、集中的なリハビリコースに換えられた。そのプログラムを卒業した学生の臨床知識が不足していると、そのプログラムはあと2セッション延長された。その後、いくつかの医科大学が同様な試験にもとづくプログラムを採用した。

3)Guangzhou,Anhui,Tianjing,Xi'anやその他の場所において、大学レベルのリハビリ教育プログラムが導入された。学生は、高卒であり、彼らは3年から5年間かけてこれらのプログラムを学習した。合計で、150人弱の学生が、このようなプログラムで訓練を受けてきた(それぞれ異なったセッションで、18,25,20,80人)。

4)Hubei省やShanxi省においては、いくつかの保健学校(職業学校)でリハビリプログラムを行っている。学生は、これらのプログラムを4年かけて学習する。7年間で、200人が訓練を受けており、彼らはそれぞれの場所でリハビリ療法士となり、中国のリハビリサービスの供給において重要な役割を果たしている。

5)リハビリ医師は、更なる訓練のために、日本、カナダ、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、ホンコンヘ送られる。彼らのうち、300~400人は戻ってきている。

6)6から7つの医科大学では、リハビリ医学の修士や博士課程プログラムが提供されている。1983年以来、80人以上の学生が修士や博士を習得し、関連領域のリーダーとなっている。

7)大多数のリハビリ従事者は、中国におけるリハビリの発展のニーズを満たすために、更なる訓練として他の病院で働いたり、自分の職場で活動することによって、リハビリの知識を増加させたり、新しくしたりする。

8)医学生のためのリハビリ医学の教育は、33/113の医科大学や総合大学で実施されており、教科書にはこれらのプログラムが編集されている。これは、リハビリに関する知識の普及とリハビリに対する意識の高まりに貢献する。

 この結果は近い将来に表れてくるであろう。これまでに述べたプログラムによって訓練を受けたリハビリ従事者の合計は、まだ、5千人に満たない。その中の2千500人は医者である。

3.実績(経過)と問題
1)リハビリ医学の発展段階の早期においては、実績がないため国際的な支援によって中国のリハビリ従事者を訓練することが必要な方法である。

 それは、ホンコン、シンガポール、フィリピンによって行われている方法である。最近10年間に、日本やホンコンといったような外国からの同僚や友人が中国におけるリハビリの発展の促進の支援を行っている。私は、彼らの熱意と努力に感謝したい。しかし、少数の従事者への短期間の訓練プログラムであるため、リハビリの活動を始めるには不十分である。このような人材に関する問題には以下のようなものがある。

  • 地理的に不公平な供給:  訓練を受けたリハビリ従事者のほとんどは、大きな市の大きな病院で働いている。町レベルはいうまでもなく、より小さい省においては、ほとんどいない。
  • 系統的な知識の不足:  リハビリ従事者は短期間の訓練しか受けていないため、系統的なリハビリの知識を新しい訓練者に伝えることが困難である。また、いくつかの新らしくかつ困難な技術とテクノロジーを習得するためには、実践的な経験が必要である。2.8~10年後には、リハビリ医学における国内の人材は、一人前になるであろうし、リハビリ医学での従事者を訓練するための正規の教育や訓練システムが確立し、中国におけるリハビリ医学の発展にみあう状態になっているであろう。リハビリの専門家や専門医学実習生のための正規の教育や訓練プログラムが設定され、訓練プログラムのための資格許可システムが確立されるであろう。リハビリ療法のテクニックが複雑で多様性があるため、正規の質のよい訓練プログラムや質のよい学校や大学を必要とする。現在、中国には、113もの医科大学や学校、そして、551もの第2レベル(準ずる)の保健学校がある。リハビリ医学をこれらの正規の医科大学や学校の全体的な教育システムに組み込むことが、現在我々が直面している偉大な挑戦である。資格をもった教師と質の良い教育的な施設は、リハビリサービスの真剣で持続的な供給、そして、少なくとも10年間に及ぶリハビリ医学のたゆまぬ研究があって初めて発展していくであろう。

2)中国は、資格許可システムを確立し、リハビリ医学における人材の発展を促進するための資格を有する機関を選択し、中国におけるリハビリのニーズを満たしていく予定である。

[未来への提言]
国際協力に関するいくつかの提案。

  1. 国際協力の強化:中国とホンコン、中国と日本の間の協力が模範とされている。
  2. WPRO(オーストラリア、日本、中国、ホンコン、フィリピン)のWHO共同研究センター間そしてその他の地域にあるWPROとWHO共同研究センター間の協力の強化を行うこと。
  3. すべてのWPROのWHO共同研究センターが、協力に基づいて、それぞれの責任で、特定のプロジェクト(更なる訓練と研究の情報)についての活動を分担すること。
  4. 情報交換を促進するために、教育と訓練に関する季刊発行物としてNEWSLETTERを刊行すること。
  5. WPROにおけるリハビリについての教育と訓練に関する政府白書を編集すること。
  6. 国際協力の目的のためにインターネットやネットワークを十分に活用すること。

symposium

障害者リハビリテーションの人的資源
-マレーシアにおける人材教育の展望-
HUMAN RESOURCE FOR THE REHABILITATION OF PERSONS
WITH DISABILIES -EDUCATION & REHABILITATION
PERSPECTOVE IN MALAYSIA-

ザリハ オマール
Zaliha Omar
マラヤ大学 MALAYSIA

[要約]
障害児者サービスのための人材教育と訓練プログラムは、3つのリハビリテーションモデル、すなわち、Carity(慈善)モデル、医学モデル、そして、社会モデルを通して、発展してきた。訓練には2つの主要なモデル、すなわち、非専門家レベル、専門家レベル、がある。非専門家レベルの訓練は、個々の組織に一任されるため、規格(標準)化されていない。さらに、このようなグループのための資格許可システムも存在しない。専門家の訓練は、主に教育省(文部省)と保健省に限定され、高等教育機関によって提供されている。国際計画の一環としての障害児者へのサービスの計画、実行、再検討などを管轄する調整組織はない。

[はじめに]
マレーシア国際局の1991年の方針は、”マレーシアを2020年までに十分に発展した国家にする”ために調整していくと定められた、1970年代のNew Economic Policy(新経済政策)の中に組み込まれている。焦点となる分野には、”貧困の撲滅と社会と経済のバランスを調整するために、社会の再編成の過程を促進すること”が含まれている。障害児者へのサービスのための人材の開発は、この分野の焦点の一部として位置づけられている。マレーシアにおける障害児者サービスの発展は、今世紀初頭の慈善モデルから始まり、第2次世界大戦後の医学モデル、近年になって社会モデルが発展した。

 慈善モデルでは、障害児者のホーム、例えば、a)Sister of Infant Jesusの家(1991年)、b)長期の病気、視覚損失、切断などの障害を受けた人たちのための戦後のケア施設、c)障害児のための宿泊施設であるThe Jubilee Home(1953)、d)肢体不自由児者のための総合リハビリテーション施設の提供を目的としたThe Cherasリハビリテーションセンター(1965)、e)Cheshire Home,f)Bcthany Homes,g)Malaysia Care and others、などが見られる。1946年に設立された政府の社会福祉局は、”肢体不自由児者と精神遅滞者のケア”を提供することを目的としている。

 ケアについての医学モデルは、保健省の専門分野において発展した。1930年に、国家ライ・ハンセン病コントロールセンターが、ハンセン氏病による肢体不自由児者のための居住施設として設立された。第2次世界大戦の直後は、特に、理学療法、作業療法そして矯正学、補綴学などの整形外科的な領域における障害児者のための医学的サービスの発展が見られた。医学的リハビリテーションサービスは、1970年代の整形外科的なサービスを通して徐々に発展し、1980年代の半ばになってようやく、実質的に機能し始めた。

 障害児者へのサービスのための社会的モデルは、最近になってようやく発展した。この分野では、障害児者自身が、リハビリテーションの過程における積極的な参加者である。最初の自助グループは、1976年に成立したマレーシアの肢体不自由児者の社会(POCAM)や1977年に成立したマレーシアに住む中国人の障害児者の社会を含めて、1970年代に形作られた。これは、主に、相互援助や相互支援の必要性を主張した政府の第2次マレーシア計画の要請を受けたものであった。”社会でケアする”という概念は、相互援助の姿勢を強く啓発するために、1990年代に提唱された。

[現状報告]
これまでに述べられた障害児者サービスを供給するための人材は、以下のように分類される。

  1. 障害児者サービスにおける非専門家を含むSupport workersには、リハビリテーション補助者、治療補助者、アシスタント教師、教師、地域リハビリテーション従事者、Community workers,Care workers、福祉補助者が含まれる。
  2. サービスを提供するために、公式の訓練を受けた専門家の資格をもつ者もいるが、マレーシアにおける障害児者サービスのSupport workersの70%に及ぶ人が、サービス業務の中で行われる作業(訓練)を制限されている。慈善モデルやいくつかの社会モデルにおいても同様に、強制的な制限が存在している。これらの訓練のための許可が早急に必要である。このグループのための公式なコースの開発に向けた動きがある。以下に、非政府組織(NGO)によるSupport workersのために開発されてきたコースの例を示す。
  3. 遅れを持つ子どものためのSelangor Associationによる、3年間のパートタイムのコースがある。このコースを終了するとTEP資格が授与される。TEPは教師訓練(養成)プログラムを指す。
  4. 地域サービスにある、高等資格コース。13ヵ月のパートタイムコースである。一般的なSupport workersは、専門家コースに参加資格を持っていない。専門的な訓練は、特に、教育と保健の分野で必要とされる障害児者サービスの供給のために計画されている。この他、選抜制の特殊教育コースが3つの大学にある。教育学士(特殊教育)は、4年間の全日制のコースである。

 以下は、マレーシアで許可されている障害児者サービスのための保健専門家訓練である。

No. コース名 組織者 期間 資格
1. 理学療法 教育省 全日制 3年間 理学療法士免許
2. 作業療法士 教育省 全日制 3年間 作業療法士免許
3. 言語学 教育省 全日制 4年間 学士
4. 聴能学 Kebangsaan大学 全日制 4年間 学士
5. リハビリ医学 Malaya大学 4年間 修士
6. リハビリPractice
(糖尿病食事ケア)
Malaya大学 9年間 免許

 障害児者の調整・管理に関するテーマを含むその他の専門家訓練には、以下のようなものある。

  1. 医科大学の学部・・・Malaya大学
  2. スポーツ医学・リハビリテーション修士課程・・・Malaya大学
  3. 整形外科修士課程・・・Malaya大学
  4. 予防医学修士課程・・・Malaya大学
  5. 小児科学修士課程・・・Malaya大学
  6. 臨床心理学修士課程…Malaysia大学

[未来への提言]
障害児者サービスにおける人材に関するいくつかの問題には、以下のようなものがある。

  1. Support workersのためのon-the-job(就業中の)訓練プログラムの大半が、うまく組織化されていない。
  2. 個々の資格制度システム、あるいは、この目的のための。on-the-job(就業中)の訓練プログラムがない。
  3. Support staffを輩出するような。career path(進路)がない。
  4. 多くの訓練プログラムの調整が不足している。
  5. 障害児者サービスに従事する人材の総合的な開発や訓練を統括するような中央の調整組織がない。
  6. 現存する養成コースについてのデータベースがない。
  7. 訓練者や教育者がきわめて不足している。
  8. 専門家と非専門家の間の訓練プログラムの統合が不足している。

以上のことから、以下のことを提案する。

  1. 障害児者サービスに要する人材開発のための国際協定を監督・調査するための中央調整組織を設立する。
  2. 障害児者サービスの人材開発のためのすべてのタイプの養成コースにわたるデータベースと情報ネットワークシステムを作る。
  3. Support groupのための組織化された訓練プログラムの枠組みを開発する。訓練に基づいた実践が推奨される。
  4. 現在する、on-the-job(就業中)訓練プログラムの資格制度システムを確立する。
  5. support staffのために経歴を活かせるような機会を提供する。
  6. Support workersの専門的訓練への参加を可能にするような学位取得や転学のためのいくつかの継続的な訓練や資格は、彼らに、更なる訓練や職業獲得の機会を提供するために作り出されるべきである。
  7. 専門家と非専門家の訓練プログラムの統合を目的とする中央の調整組織を設立する。
  8. 療育、教育、ソーシャルワークなど、なるべく多くの関連する職種に対応するプログラムを作製して障害児者について関連する事例研究を紹介する。

symposium

リハビリテーション専門家のための教育と養成
EDUCATION AND TRAINING FOR REHABILITATION
PROFESSIONALS

チャン ウェイ リム ウィリアム
Chan Wai Lim William
タン・トク・セ病院リハビリテーション部 SINGAPORE

[要約]
シンガポールでのリハビリテーションサービスの長所の1つは、リハビリテーション専門家の持つ訓練経歴の多様さである。彼らの海外での訓練経験が、この多文化社会での障害者管理に関するアプローチを向上させているのだ。医療ソーシャルワーカーと心理学者の養成は、長年にわたって地域で行われてきており、リハビリテーション医、理学療法士、作業療法士は、ここ5年間で養成が行われている。シンガポール政府は、リハビリテーション専門家の為に基礎(大学)と基礎終了後(大学院)における海外奨学金を提供している。ほとんどのリハビリテーション専門家は、公立病院、或いは奉仕的福祉団体(VWO)、私立病院で働いている。

 他国からのリハビリテーション専門家の養成について述べると、Tan Tock Seng病院のリハビリテーションセンターで、リハビリテーション医学と理学療法の分野において、研修する専門家を大部分はWHOの職員同様に最長6ヶ月まで養成目的で受け入れている。また、理学療法、作業療法、言語療法、人間行動科学の分野では海外留学生も受け入れている。

 この分野でのリハビリテーション専門家のための教育や養成のニーズが全国的に多様化するにつれ、それぞれの国の長所やニーズの正確な把握、交換プログラムの適切な調整が、増えつつある障害者の二ーズに対応するリハビリ分野の質を大いに向上させるだろう。

[はじめに]
シンガポールでは、人口300万に対し8人のリハビリテーション医(うち4人が国内で養成)、200人の理学療法士(うち40人が国内で養成)、110人の作業療法士(うち38人が国内で養成)、60人の言語療法士がいる。これらの大半が公立病院やVWOでの仕事に従事している。公立病院には60人の医療ソーシャルワーカーと、20人の心理学者、4人の義肢装具士も働いている。(全てTan Tock Seng病院の義肢センターにおいて)

 理学療法士と作業療法士の免許取得コースは、学生の興味を引くにはいくつかの問題を抱えているが、その理由は大学入学の許可を取得している学生が学士号の方の取得を強く希望することにある。最近では、オーストラリアの大学とシンガポールの学校の共同組織による学士編入制度計画があり、これらのコースを以前より学生にとって魅力的なものにしている。Nanyang工科大学では、学士コースとして地域的に言語療法士の養成を始めようとしている。

[現状報告]
現在シンガポールで可能なリハビリテーション専門家の養成は、職種ごとにレベル分けすることができる。

  1. 理学療法士・作業療法士の免許状コース(オーストラリア・シドニー工科大学のコースに基づく)。大学入学許可取得後3年間のフルタイム
  2. 理学療法分野において、地域の免許取得コースを終了したものに対する応用科学学士編入コース(西オーストラリア・ガーティン大学との共同組織)。1年間のパートタイム
  3. 社会学・心理学のいずれかを専攻する学士コース3年間(基礎)、4年間(専門)。
  4. カウンセリングにおける大学院での資格認定コース。1年間のフルタイム或いはパートタイム。
  5. シンガポールの医学アカデミーの大学院生対象給費コース。卒業後最低8年経っており内科関連経験5年、加えてリハビリテーション医学関連経験3年。

[問題点]

  1. ごく少数の学生のみしかリハビリテーション専門家として養成されない。わずか20~30人の学生のみが、理学療法・作業療法の分野で養成されるにすぎない。これらの免許取得コースは、学生の興味を引くに十分なものではない。また、リハビリテーション専門分野の訓練者も少ない(わずか2名)。
  2. 地域での言語療法と義肢装具分野における専門家養成の免許や学士のコース不足。
  3. 地域での臨床心理学・臨床神経心理学・ソーシャルワークの大学院学位と、セラピーにおけるリハビリテーション看護やサブスペシャリスト(手先を使ったセラピーなど)のための大学院研究コース不足。
  4. 職員や設備不足によって生じる、病院やVWOでの専門家養成に必要な実用品の不足。

シンガポールでの理想的な構造モデル

  1. リハビリテーション専門家やリハビリテーションの専門性へのニーズに関する認識を高める。例えば、シンガポール国立大学でリハビリテーション医学を公衆医学訓練の一部として、大学レベルで教えるように推進する。
  2. ポリテクニックでの理学療法・作業療法分野の免許取得コースのレベルを学士レベルに引き上げる。
  3. 大学・大学院でのコースをさらに総合的なものにする。

[未来への提言]
国際協力の見地において推薦されること。

  1. それぞれの国における地域の長所やニーズを把握する。地域全ての国々を調査した中からリハビリテーション専門家の養成活動を統一的に実施したいものは、WHOによって指導を受けることができる。
  2. 近隣諸国のためにもリハビリテーション専門家の養成が可能な地域のリハビリテーションセンターを把握しておく。調査とさらに詳しい研究から、WHOは近隣諸国のために地域のリハビリテーションセンターと連絡を取ることができる。
  3. WHOは、地域の養成施設での奨学金を取り扱い、調整する主要部の役割を担っている。総合的なプログラムに対する養成に必要な予算の引き上げが要求されるであろう。
  4. 地域でのリハビリテーションセンター間での、専門家の交換プログラムは、障害者に対して同じレベルでサービスすることを目的としており、リハビリテーションセンターは近隣諸国からの専門家に奨学金を提供することはできないであろう。この問題を解決するのが他のセンターとの専門家交換である。こうすることによって、双方のセンターでの専門家の考えを交換したりお互いの視野を広げることが可能になる。
  5. その地域の国々にとってモデルとなるような専門家の教育や養成と、専門家の養成に最低限必要な基準を勧告する。
    1)リハビリテーション専門家としての大学・大学院における資格認定証・免許状・学位。
    2)リハビリテーション医学分野での大学院コース。
    3)年齢・人口の地理的配分を考慮して、総人口に対するそれぞれの国における、リハビリテーション専門家それぞれの数。
    4)都市・地域におけるリハビリテーション専門家の供給。
    5)全てのリハビリテーション専門家の養成には機能障害・能力低下・社会的不利・機能表出尺度に関する国際規約の概念と実践を含む。
  6. WHOが刊行している地域リハビリテーションの冊子は、世界や地域のリーダーたちによって行われているリハビリテーションの記事が載っており、多様な障害に対する現代のトレンドを知ることができる。
  7. 地方や地域で、障害に対する予防やリハビリテーションに関するワークショップやセミナーを開催する。

symposium

タイ王国におけるリハビリテーション専門か教育の現況
KINGDOM OF THAILAND SUMMARY REPORT ON SITUATION OF
THE EDUCATION AND TRAINING OF THE REHABILITATION
PROFESSIONS

ポーンピット アマチャクル
Poonpit Amatyakul
ラチャスダ大学 THAILAND

[要約]
タイ国において、最初の特殊教育プログラムが行われたのは、盲(視覚障害者)が1939年、聾(聴覚障害者)は1951年、肢体不自由児は1958年、精神遅滞児は1962年であり、民間の財団(学校、病院、社会事業団体)と文部省によって支援されてきた。

 国立統計局、首相(総理大臣)局、人口研究所による、1990年から1993年の間のいくつかの報告書(1,2,3,4,5,6、)によると、タイ国は1,057,010人の障害者がおり、そのうちの26.6%(281,162人)は、0-19歳の教育年齢の範囲にいる、と報告している。しかし、1993年には障害児のうち、5.37%が学校に入学していたと報告している。

 1995年度の終わりには、33の国立の特殊教育学校(7)入学の学生が6617人おり、その一方で、2047人がメインストリーミングのプログラムに参加している。そのため、全体として、8864人の学生が、その当時学校に入学しており、就学期の障害児のうち3.08%を占めていた。非公式な教育組織に入学している障害児の数および割合についての報告はない。

 1995年の後期において、入学した8864人の学生のうち、44.25%は、聾学校に入学し、22.59%は精神遅滞のプログラムに、10.15%は、盲のプログラム、現在就学期にある児童のうち、4.6%は、肢体不自由児のプログラムに参加している。重複障害、脳損傷、自閉症(アスペルガー症候群)の子どもたちは、就学期の児童の2.9%以下となっている。

 1996年に保健省によって報告された最近の統計(8)によると、すべての国立の学校における障害児の推定は、およそ4,825,680人(8.08%)であり、1994年の報告よりも割合が高く、1997年5月における特殊教育部の非公式な報告(9)によると、45の特殊学校と5つの新しい特殊教育センター、60ものメインストリーミングプログラムの学校があり、合計して10,473人(特殊学校で8684人、メインストリーミングプログラムで1789人)になると報告されている。この報告には非公式な教育組織は含まれていない。

 以上の報告(数値)は、教育的なリハビリテーションの基盤のために、直接的に計画されていないサンプルの収集と同様な研究方法で行っているため、それほど信頼できないように思われる。

 1995年の報告では、国立の学校における特殊学校の教師と児童の割合は、1:8.6であり、許容される割合であったが、残念なことに、1997年には、1:11.54の割合へと変化した。これは、リハビリテーション法(1991)による影響であり、文部省の大臣が、適切な割合以内で、教師の数が増加しないにもかかわらず、学校を管理して多くの子どもたちを、一つの教室へ受け入れるようにしたためである。

 文部省の管轄にある特殊学校児童のための、適切に訓練された教師の数は、ほとんど増えておらず、非常に遅いもの.であったが、特殊学校に採用された教師の多くは、現在の職場に関する十分な訓練を未だに受けていない。このような教師の訓練の不足は、主に、タイ国における障害児教育を専門とする教師訓練プログラムの少なさの現れである。1995年時点で、特殊教育のプログラムを提供する6つの教員大学がある。しかし、この6つの大学のうち、4つは、過去2年から4年の間にこれらのプログラムを設立したばかりである。

 特殊教育の教師のための大学卒業者に対する訓練は、BangkokのSriNakar-in Wirrote大学においてたった一つのプログラムがあるだけである。この大学は、聾、精神遅滞、健常児の教育に関する修士プログラムを提供している。この卒業者プログラムは1974年から設けられており、特殊教育の修士学位を持って約200人の教師が卒業した。更に、9年前に、この大学は、特殊教育に関する様々な分野において大学院レベルの短期コースを設置した。今日までに250人以上の教師が、大学での短期コース訓練ワークショップを終えており、これらの教師のほとんどは、現在、すべての国立の学校の特殊教育指導プログラムで働いている。しかし、1995年にRatchasuda大学によって収集された統計(7)によると、修士課程を含む特殊教育システムの中で現在働いているのは、たった49人の教師だけである。それにもかかわらず、過去20年間に訓練を受けた200人の教師のうち何人かは辞職したり他の分野へ移動したりしており、大半の修士レベルの教師の現在の職場について未だに疑問が残る。自分の専門的な分野で適切に採用されていないであろう特殊教育の訓練をうけた専門家たちの集合というのは可能であろうか?できるだけ適切に採用されるように、特殊教育の資格をもった多くの教師のためにこの分野においてさらなる調査・研究が必要だと示唆される。

 タイ国においては、特殊教育の学校は、私的な寄付や政府からの補助などの様々な財源から資金を得ている。多くの学校において、特に聾学校は、財源の大半をタイ政府から受けている一方で、地域の寄付金は学校を支援するために必要な資金の一部として不可欠なものとなってきた。しかし、しばしば、寄付金は、例えば、児童のための食料や寄宿舎を提供するといった特定な分野のためにと指定されており、教師の訓練やワークショップの料金への資金は、この資金ではしばしば、適切にまかなわれていない。このプロジェクトは、将来行われる新しいプログラムと同じように、準備する必要がある訓練分野を的確に指摘しているので、資金は、それぞれの専門的な分野の教師を援助するために利用するべきである。

 1995年の報告(10)によると、様々な方法で障害者を支援する74の非政府組織(NGO)のうち、15(21.62%)の組織のみが障害者の教育プログラムを積極的に支援している。障害者に関して活動しているNGOの中で、5つは聾で、4つが盲、1つが精神遅滞そして1つが肢体不自由と重複障害である。他は、一つの分野以上の障害にまたがって活動している。

[現況報告]
タイ国の専門家教育の実状について以下に述べる。
1.専門家についての問題
教育リハビリテーションサービスに関しては、現在行われているが、すべての障害児が社会的リハビリテーションサービス(適応指導、移動、自立生活、スピーチと聞こえのコミュニケーション、人間関係など)を受けることも同時に必要である。障害児のための最も重要な人材であるだけではなく、以下に列挙されているような良い支援チームである教師たちは、タイ国において不可欠で必要とされている。

盲児および弱視児 担任教師
  • ブライユ点字の専門家
  • コンピューターの適応と盲人教育のためのコンピューター技師
  • 盲のための教育用メディアや教材制作の従事者
  • O&M訓練のための教師あるいは指導者
  • 視覚訓練(弱視児)のための視能訓練士
  • R&D作業のための研究者
聾児および難聴児 通訳者
  • 筆記者
  • 言語療法士
  • 聴能士
  • 聾児の教育のための聾教師
  • 聾児のための聾のチューター
  • 聾児のためのコンピューター技師(手話言語のコンピューター研究所)
  • 手話言語の研究者(聾文化の基礎研究と手話言語の文法)
  • 手話言語を教える科学技術
  • 聾教育用のメディア製作者
肢体不自由児 教育評価のための技術適応の専門家
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 職業訓練専門家
  • 言語療法士
自立と社会生活のための訓練者
精神遅滞児
学習障害児
自閉症児
  • 学校心理療法士
  • 教育評価のための技術適応専門家
  • 作業療法士
  • 職業訓練士
  • 言語療法士
  • 自立と社会生活のための訓練者
  • アシスタント教師と学校看護婦

 更に、障害者や障害児の家族を支援するための相談事業は、国立ではあまり設立されていない。リハビリテーションカウンセラーとして訓練される人は教育チームを支援するために非常に必要とされている。

 タイ国の、支援グループに関する主要な問題は、このような人材の不足に集約される。職業認識、適切な給料と専門家としての職場における立場は、不十分である。言語病理学者と言語療法士の訓練(教育)は、1976年に始まったが、未だに不十分である(1997年度は、全国で105人である)。心理療法士(1965年に始まった)と作業療法士(1980年に始まった)は、4大学でB.Sの学位を提供しており、1000人以上の卒業生を出しているが、現在60%のみがサービスシステムで働いており、残りは、仕事を変えたり、タイ国より給料がよいという理由で外国で働いている。

 リハビリテーションカウンセラーの養成は1997年から始まったが、アクセスと適応テクノロジー以外の、リハビリテーション部門サービスは未だに始まっていない。

 盲と弱視についての、適応(方向)指導と移動についての訓練者は不十分であり、Resorce教師や盲児のためのブライユ点字の教師と同様にどうしても必要である。

 聾教育については、タイ国では通訳者養成の学校がない。通訳者養成を始めるために、タイ国における基礎研究と手話言語学が必要であり、我々は、今年Ratchasuda大学(11,12)で始めたところである。学校カウンセラー(心理療法士)は、大学院レベルでなされるか、あるいは少なくとも大卒後の短期コーストレーニングでなされるべきであり、その一方で、例えば、その他の聾教師養成、教育メディア製作者、研究者そして研究補助者などは、支援チームが活動を開始する前に養成訓練が必要である。

2.アクセステクノロジーの問題
タイ国において、新らしいテクノロジーや装置は、高いコストのために非常に限定されている。そのため、技術(テクノロジー)移転や伝授が、タイ国において非常に必要とされている。障害についての深い知識を基礎にした情報テクノロジーは未だに限られている。

 建築物や環境のデザイン、建築上のアクセス、技術訓練なども、自立のために必要である。身体障害を持つ子供のうち、90%以上が日常生活におけるアクセスの不足のためにメインストリーミングの教育プログラムに参加することができない。

 タイ国においては、教育的、社会的リハビリテーションを支援するための不十分な両親指導プログラムしかない。多くの家族は貧しく、しかも親が仕事と生計をたてるために多くの時間を費やしているため、少数の親が早期介入プログラムに参加できるのみである。

 自閉症児の親は、子供のための特殊学校を調整するために政府へ申請を行ってきたが成功していない。一つの病院のみが、自閉症とアスペルガー症候群のために教育サービスを行っている。しかし、バンコクでは大学と連携して一つのモデル学校があり、数人のアスペルガー症候群の子供との統合学級を始めている。

3.障害児に関しての研究と発展
タイ国において、特殊教育プログラムの領域あるいは障害児という立場で行われている幅広い研究はない。開発途上国としてのタイ国は、主に、経済の成長に力をいれるように促されている。

 財政を節約するという考え方は、一つだけではなくそれ以上の障害を持つ子供を同じ学校に在籍させるという文部省の新たな政策で解決された(例えば、聾と精神遅滞、盲と精神遅滞と聾)。この考えは、1994年からタイ国では、行われたが、スカンジナビア地域の国では、1800年代の後半には、既に、この考え方が廃止されている。このような状況になったのは、研究不足と適切な学校システムの調整指導の不足のためである。

 タイ国において、消費者(障害児者とその家族)のニーズに関する研究は、1997年まで行われていなかった。障害児者のための多くのリハビリテーションプロジェクトは、消費者のニーズの現実性というよりもむしろ社会福祉の一部分として取り扱われてきた。

4.早期介入プログラム
タイ国において、特殊教育の対象になる子供たちの家族に対するカウンセリングのためのプログラムは、十分に確立されていない。就学前に障害児のために行うことは重要な仕事である。更に、プログラムに基づく家庭への早期介入は、いくつかの分野(盲児の親)で始まったばかりであり、大半が、それぞれのNGOを通して資金を得ている。障害をもった乳幼児の家庭訓練のために、国全体を網羅するような調整プログラムはない。しかも、いくつかの学校プログラムは、特殊なニーズを持つ児童(就学前児)のための日常訓練を提供しているが、このレベルにおける介入は、盲や精神遅滞児のプログラムに集中されている傾向があり、すべての障害児に及んでいるわけではない。

社会的リハビリテーションと自立スキル訓練は、障害児の家庭において初めに行われるリハビリテーションの中心となるものである。NGOと政府のプロジェクトの両方の人材を導入する早期介入の調整プログラムが開発されるべきである。早期介入に基づく、家庭と学校のプログラムは、子どもたちへのサービスの継続を維持するために有効であり、成功する統合プログラムあるいは終日参加の特殊学校を始めるために必要な多くの学習前のスキルをもつ公式な学校の設立を可能にする。

5.特殊教育メディアの製作
障害児のための地域の教育メディア製作センターは、国全体にわたって十分に確立されていない。現時点で、盲人のための2つのセンター、バンコクの郊外にあるCaulfield LibraryとBan Kum HaiにあるKhon Kaenセンターがあり、盲人のための点字本、朗読本そして学習用品などを製作している。聾者や肢体不自由者へ適応できるメディアサービス提供のためのセンターはない。

6.その他の関連問題
タイ国において、リハビリテーションサービスに関係するその他の問題がある。一つは、社会への障害者の同化に関する文化的なバリアーである。この問題は、障害者と一緒に働く人々と同様に、親、教師の信仰、伝統、行為、態度と密接に関係している。”障害者のために”という古い福祉交渉の考え方は、現在では、”共に”あるいは”障害者とともに働く”という方向へ変化している。このように、将来のプロジェクトの実施や計画は、障害者のニーズに沿うものとなるであろう。人権、公正、教育、新テクノロジーの促進は、文化的なバリアーを和らげるであろう。実際に、我々は、社会への事例となりうるような”障害者の自立と成功”を求めているが、まだ、障害者コミュニティそのものに指導できていない。

 1991年のリハビリテーション法では、政府は4つの主要な分野、医療・教育・社会・職業について宣言し、実際的で共通性を持つような活動計画がなされた。現在、解決された問題は、主に、特殊教育と障害者と支援チームのための養成訓練についての政府政策に関係するものである。リハビリテーションチームの活動のための新たな移動テクノロジーは、タイ国において、差し迫ったものであるが、これは、外国の専門家、その上、時間とお金が必要とされることである。

 タイ国の政府政策に関するその他の重要な問題は、特殊教育プログラムの中で、福祉の対象となる児童(貧困家庭、hill tribes、らい病・ハンセン病やエイズの親を持つ健常児)が含まれているという点である。確かに、特殊教育のための政府財政の50%以上が福祉児童のための学校に費やされている。更に、リハビリテーションサービス局に使用される国家予算は、労働局の監督下にある。障害者組織のリーダーが障害者のための予算を分割してもらおうと試みているが、現在のところ成功していない。

[未来への提言]
アジア及び太平洋地域において有効なリハビリテーションサービスは、それぞれの国において様々である。しかし、このシンポジウムに参加している国においては、確固たる合意がなされるであろう。また、特定の問題について共同研究や協力が優先的に設定されるであろう。

 リハビリテーションサービスプログラムの中での、人権、公正(平等)、教育、アクセステクノロジーなどについて促進する。障害児者の教育的な評価システムにおけるMinimal Accomplishment標準尺度を開発する。障害児者に関する国家統計と研究は効果的に増加するであろう。タイ国をはじめ外国にいる障害児のためにより大規模な教育奨学金や基金が提供されるであろう。

障害児者を教育、訓練するための適切なカリキュラムの発展は、カリキュラムがよく確立されている国から、支援や助言を行う研究者が必要である。これは、開発途上国にとって有効である。リハビリテーションに関わる人材に対しての専門的な認識と促進は、検討されるであろう。

 地域に根ざしたリハビリ事業(CBR)は、今後、増加と強化を押し進めるべき活動プログラムとは別の問題である。よりよい理解をもたらすような適切なCBRや国によるリハビリテーション活動がなくても、テクノロジーは、すばらしい影響をもたらすであろう。

symposium

国際協力によるリハビリテーション関係職の教育と訓練
-日本の国際協力の可能性と提案-
THE EDUCATION AND TRAINING OF REHABILITATION
PROFESSIONAL -THE JAPANESE POTENTIAL TOWARDS
INTERNATIONAL COOPERATION-

柴田 貞雄
Sadao Shibata
国立障害者リハビリテーションセンター JAPAN

[要約]
アジア・太平洋地域では約3億人の障害者が存在し、リハ関係職員の不足が障害者のリハビリテーションを阻んでいる。日本政府は1992年以来、障害者分野における国際協力に極めて積極的で、障害者対策のノウ・ハウの移転と経済的支援など福祉国家にふさわしい国際協力・交流を目指すべきとしている。

 また、アジア・太平洋地域における障害者リハビリテーションの推進の、最優先・最重要課題はリハビリテーション関係職の不足を解消するための「リハビリテーション関係職の育成」であることを基本認識とし、国立障害者リハビリテーションセンター(以下NRCDと略す)をその有力な実施機関として役割を重要視している。

 そのような背景から、シンポジウムはリハビリテーション関係職の効率よい育成・確保のために、国際協力は何をすべきか、どのような点で貢献できるかなど、あり方を論じ、浮かび上がらせることを目的とした。

 各国の状況報告、日本国或いはNRCDに対する期待、各種の提案・提議などに対応して有益な議論に発展させるために、この報告は日本国およびNRCDがリハビリテーション関係職の教育・訓練に果たしうる貢献の可能性を示唆・呈示することに重点を置いた。

 Country Rrportでは、リハに関係する職員を、リハビリテーションを目的に長期間の教育を施される理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などの全部で10種類のいわば「固有リハ専門職」と、他領域の専門職で比較的短期間の教育・訓練でリハに関与する、例えば各科の医師、看護婦、心理士など10数種類以上のいわば「転用リハ専門職」に分けて、教育の状況と国際協力への潜在的可能性を検討した。

 その結果、以下のことが明らかとなった。固有リハ専門職の教育体制は、
(1)良く整備され、専門職は視覚障害生活訓練専門職(RB)、リハビリテーション体育専門職(RS)を除きほぼ充足しているか、早晩、充足する見込みである。
(2)教育の質も高く、国際協力への潜在的可能性は、施設、人材、プログラム作成のどの面からも十分な能力を備えている。転用リハ専門職の教育は、(3)短期間の体系的プログラムによる研修会形式の他、目的に応じて自由な形態で行え、NRCDを始めとして各所で頻繁に開催されており、リハビリテーション過程のニーズに対応できていると考えられる。(4)ニーズに即応できる人材を即席に育成出来るフレキシブルな教育方法である。無数に近い参加の機会があるので、国際協カへの潜在的可能性は高い。リハビリテーション関係職教育の発展段階で辿る形式でもあるから、固有リハ専門職教育に並行して重要視すべき教育方法である。
併せて、(5)国際協力に実績のあるNRCDの養成・研修事業の紹介を配付資料により行った。

 今後の発展に関しての提案、提議では、(1)としてNRCDのリハビリテーション関係職教育に関する、現在、実行中の、また計画中の諸事業について紹介し、参考に供した。NRCDが国家予算を獲得して独自の事業として営むものには、a)学院養成課程への留学生の受け入れ、b)PT,OT,STなどのリハビリテーション専門研修会の開催、c)各種のリハビリテーション専門職の教育カリキュラムの研究開発など合計10項目に及ぶ。

 また、ODA,NGOからの委託による事業例として、中国リハビリテーション研究センターのフォローアップ事業とPT,OT,ST養成事業計画、義肢装具製作技術者集団訓練コースの参加定員と対象国の拡大、その他の職種に対する新規研修会の開催、清水基金研修プログラムなどを示した。

 (2)として、国際協力推進のための提案を二つ行った。一つは「情報交換網」の確立で、他は「アジア・太平洋リハビリテーション関係職員養成・研修センター」構想の議論の開始である。

[はじめに]
ESCAPの1991年の報告によると、アジア・太平洋地域には約3億人の障害者がいると推定され、リバ関係職員の不足が障害者リハ実施の阻害要因となっている。

 日本政府は1992年以来、障害者対策分野における国際協力に極めて積極的な対応を行っている。政府は集積した障害者対策のノウ・ハウの移転と施策推進のための経済的支援など、わが国にふさわしい国際協力・交流を目指すべきであるとし、国立障害者リハビリテーションセンター(以下、NRCDと略す)をその実施機関と見なしている。そしてアジア・太平洋地域における障害者リハの推進の最優先、最重要課題として「発展途上国のリハ関係職の育成」を第一に挙げている。つまり、日本の国際協力の第一優先課題はリハ関係職の不足を解消するためのリハ関係職の養成・研修である。

 従って、このシンポジウムの狙いは、アジア・太平洋地域において、リハ関係職を効率よく育成、確保するために、国際協力はどうあるべきか、どういう点で貢献できるかを浮かび上がらせることである。

 そこでこの報告は、先ず日本国およびNRCDが、リハ関係職の教育と訓練への貢献の可能性、提供できるものなどを示すために、country reportとして、日本(NRCDも含む)におけるリハ関係職の教育・訓練の状況を述べ、国際協力への潜在的可能性を検討する。

 次いで、将来への提案では、(1)として事業展開の参考のために、現在、実行中および計画中のNRCDのリハ関係職教育に関連する事業の紹介を行う。そして(2)として、より”地域”を念頭においた発展を考えるために、二つの提案を行う。その一は参加国で形成する「情報交換網」の確立の構想であり、二は新しい設立の理念による「アジア・大平洋リハ関係職養成・研修センター」構想の議論開始の提案である。

 最後に、その他の予測される議論の論点をキーワードで示す。

[現状報告:同本におけるリハ関係職の教育・訓練と国際協力]
1.リハ関係職の種類と教育・訓練方式
障害者のリハに関与する職種は多く、その教育・訓練の形態は様々である。そこで、リハ関係職を2種類に大別して教育・訓練を考える。第一は、リハ業務に就くことをほぼ唯一の目的として長期に及ぶ専門教育を受けて養成される、いわゆるリハ専門職、例えばPT,OT,STなどである。もう一つは本来的な養成目的に加えて、又は、から転じてリハの業務に参入する他領域の専門職、例えば各科の医師、看護婦、ソーシアルワーカー、心理士、エンジニア、職業指導員などで、比較的、短期間の教育訓練でリハ専門職になるものである。

 前者を、固有リハ専門職Proper Rehabilitation Specialist(PRS)、後者を転用リハ専門職Converted Rehabilitation Specialist(CRS)と呼ぶことにする。

 PRSの養成と供給は障害者の基本能力の機能回復に不可欠であることは周知の如くである。しかし、多様な障害者のニーズに応えるためには、必要なときに必要なサービスを実現できる、フレキシブルな人材活用の利点のあるCRSの確保も極めて重要である。私見であるが、リハサービスの発展・普及の初期段階ではCRS育成が鍵かも知れない。
2.固有リハ専門職(PRS)の教育・普及の現況と国際協力への可能性

1)現況
わが国のPRSは10種類あると考えられる。その一つ一つについて、専門職養成の法的根拠となる国家資格法の有無、現任者数、養成校の数、毎年誕生する専門職の数(一学年の定員)などを基にして、想定される障害者数或いはサービス対象者数に対する専門職員の数の充足の程度を推定した。

 その結果、PT,OT、および視覚障害に対する視能訓練士(ORT)では、専門職員の数が満足か、それに近い状態であった。

 ちなみに知的発達障害者に専従する専門職はケア・ワーカーなど数種あり、その数は約2万5千人であり、これも充足しているといえよう。

 次に、義肢装具士Prosthetist and Orthotist(PO)、ST、手話通訳士Sign Language Interpreter(SI)、精神障害者に対する精神保健福祉士Psychiatric Social Worker(PSW)らは、現任者の数は大幅に不足しているものの、資格制度が出来ていたり、養成校の数がある程度そろっているなどから、どんどん充足の方向にあり、早晩、障害者のニーズに十分、応えられる状態である。

 最後に、障害者全般の身体機能の向上、維持、健康増進、社会参加の促進などをスポーツによって図るリハビリテーション体育専門職Rehabilitation Sprotsspecialist(RS)、視覚障害者の歩行も含めた生活活動能力全般の再獲得を訓練によって図る視覚障害生活訓練専門職Rehabilitation Worker for the Blind(RB)では、資格制度がなく、養成校も少ない状態で、専門職の養成を急がねばならない状況である。

2)国際協力事業への潜在的可能性
日本におけるPRS教育の体制は良く整備され、教育の質も高いと言える。専門職の充足の目安、すなわち数の確保は職種によって早い遅いがあるが、RSとRBを除いて順調に推移していると言っていい。国際協力に応じる可能性は、施設、人材、プログラム作成のどの面でも十分な能力を備えていると考えられる。

3)問題点と課題
固有リハ専門職の養成校の中には、卒業すると国家資格のライセンスはとれるが大学ではないために世界的に普遍性のある学士や修士の学位が取得できないことがある。これでは外国人留学生にとって魅力が減じる。学生受け入れの観点から問題である。また、教育の質、教官の質を支える研究所や研究・教育者育成のシステムに改善の余地がある。

3.転用リハ専門職(CRS)の教育・訓練の現況と国際協カへの可能性

1)現況
障害者のリハビリテーション過程(医療、保健、福祉)のニーズに応じて、必要な教育内容を必要な期間だけ行って、必要な他領域或いは他分野の各種の専門職をリハの領域に自由自在に取り込み活用することは極めて重要・不可欠である。その教育・訓練の形態はいろいろある。
(1)研修会形式一体系的カリキュラムによるShort-trem(Post-graduate)trainingcourseである。PRSのためのLong-termtraining courrseと対比できる。例として国の福祉政策と連動して行っているNRCDの1979年の設立以来の研修会の実施がある。

 約18年間に、各科の医師、看護婦、心理士、SW、エンジニア、自動車運転指導者などのCRSに相当する職種と発展段階のPRSに対して、合計23種の研修会を行い、これまでの修了者総数は約1万1千名に及ぶ。研修会のプログラムの消長を見ると、このshort-term courseはその時代時代の障害者のニーズに応じたプログラムを、常に新しく作ってきたことが削る。

 このような定型的な研修プログラムは、各専門領域の学会や協会、障害者の団体、身体障害者福祉団体、地方自治体や民間の施設などが主催するものなど無数にある。(2)非定型の研修
期間、カリキュラム、担当者など必要に応じて自由に行う。わがセンターの病院、更生訓練所、研究所などで受け入れた研修生は、1979年からの18年間で、国内研修生550名、同じく国外研修生327名に及ぶ。

2)国際協力への潜在的可能性
CRSのプログラムは極めて重要である。この柔軟な教育形態を最大限活用すべきである。国際協力に応じる可能性は、施設、スタッフ、プログラム作成の点から十分にあると考えられる。

4.NRCDの学院における養成・研修事業
学院では5つの固有リハ専門職の養成課程があり、その他に19種類の研修会を開催している。養成課程には、外国国籍者の入学を受け入れている。研修会への参加も歓迎されているが、参加は希である。

 養成課程と研修会に関する詳細な情報は、配布される学院案内パンフレットを参照されたい。

[未来への提言]
1.NRCDのリハ関係職教育に関する国際協力事業
シンポジストに事前に日本国およびNRCDに対する要望の有無を尋ねた。以下にNRCDが現在、行っているもの及び計画中の事業を示すので、意見を得たい。

1)NRCD独自の事業計画-国リハが資金(国家予算)を得て実施する計画

  1. 専門職員養成課程への入学受け入れ:養成課程の種類、修業年限などの情報は、別途に配布した学院案内を参照されたい。
  2. リハ専門研修会の開催:PT、OT、PO、STなどの研修生の受け入れ。
  3. 発展途上国のリハ専門職(リハ医師、PT、OT、ST、RBなど)育成のためのカリキュラムの研究開発。
  4. 来日留学生のための通訳者養成と確保の事業。
  5. 「国内リハ専門家国際協力研修」:国際協力を行う国内リハ専門家(教育人材を含む)の研修・登録・派遣。
  6. 交換学生制度の創設:専門職養成課程の学生レベルの交換。早期からの人材育成。新規の構想。

以下の物は間接的に教育訓練事業を支えるものである。

  1. リハ分野別技術マニュアル作成と提供:これは障害予防とリハに関するWHO事業の協力事項の一つである。教材として利用できる可能性がある。96年度には、義肢装具関係、聴覚障害関係、視覚障害関係の3編のマニュアルが完成した。参加者に配布する。97年度は、Low Vision Clinicと障害者のリハビリテーションスポーツに関するものの2編を執筆中である。この事業は98年度以降も継続の予定である。
  2. 共同研究事業-リハ研究者の育成。
  3. 障害者リハ実施モデル事業の展開。
  4. アジア・太平洋諸国障害者ニーズ調査
    アジア・太平洋地域におけるリハ関係職の調査とリハ関係職教育機関の実態調査については次項の提案A「情報交換網の確立」で述べる。

2)ODA、NGOに委託されて行う事業計画。

  1. JICAからの委託による事業例
    a)リハセンターの建設・運営の支援協力(例、中国リハ研究センターのアフタ・ケア協力。PT、OT、ST養成計画)。
    b)義肢装具士の研修会-受け入れ対象国と定員の拡大計画中。 
    c)その他の専門職種の研修生受け入れ-研修コースの種類の拡大計画中。
  2. NGOの例
    a)清水基金によるアジア・太平洋地域の研修生受け入れ。
    b)プノンペンの会による義肢装具士の派遣。

3)障害予防とリハに関するWHO事業の推進および拡大への協力

4)NRCDが提供できる設備

  1. 研修会場と会議室。
  2. 宿舎一長期滞在可能な18室。

2.リハ関係職教育に関する国際協力推進のための提案
1)情報交換網の確立-実態調査の結果のデータベース化とインターネットによる相互利用-
リハビリテーションや福祉の成否は、如何に各国が各国独自のやり方で専門職教育を強力に実施するかにかかっている。その際、リハ関係職に関する他国の情報、例えば養成対象職種とその必要数、養成年限、カリキュラム、教官、専門職資格などに関する情報は自国の教育の実施に大いに役立つと思われる。そこで、これらの情報をアジア・太平洋諸国間で相互利用しあうことを目的に、情報蒐集と提供を行う情報交換網の形成を提案したい。

 その手始めとして、我々は今春から参加国のリハ関係職の調査(Survey of Rehabilitation Professionals)と養成教育機関の調査(Survey of Educational Institutions for Rehabilitation Workers)を行い、その結果を、つまり集められた資料・データをデータ・べ一ス化しつつある。そしてインターネット網を通じて各国間での自由な利用に供せられる準備をしている。蓄積されたDBの一部を例として示すが、意見を伺いたい。

2)「アジア・太平洋リハ関係職員養成・研修センター」設立構想の討論の開始
アジア・太平洋諸国が対等な立場で、互いに持てるもの(人材、知識、技術など)を出し合って、各国が必要とするリハ関係職を教育訓練する「互助互恵」を原理とするセンター構想の議論を始めることを提案したい。参加国が等しく運営と教育の実際に参加するmulti-nationalが基本的な考え方である。どこかの国が土地の提供はするが、このセンターのスタッフ、人材、学生は参加の各国から集まる。運営資金も参加の各国が持ち寄るが、現実的な方法も模索する。

3.その他の議論すべき論点(キーワード)

  1. 国際協力事業の原理・原則面-自助自立、双方向協力事業、財政的負担の方法など。
  2. リハ関係職の教育・訓練の方法-方向性、場所、形態、質と量、資格、ライセンス、教育・訓練コストなど。
  3. リハ関係職普及の条件-福祉政策、資格法、雇用機会、住民意識など。

4.政府の理解と援助-WHO勧告、宣言など。


**参加者名簿**

ポーンピット・アマチャクル
マヒドン大学ラチャスダ・カレッジ
タイ、ナコーン・プラトン市
 
浅井 邦彦
日本精神病院協会
日本、東京
 
ベンジャミン・ジェラルド・G・カブレラ
フィリピン総合病院眼科
フィリピン、マニラ市
 
チョラベチ・チャバシリ
マヒドン大学脊髄ユニット
タイ、バンコク市
 
プリミテイーボ・カマヨ
ネグロス州リハビリテーション基金
フィリピン、バコロド市
 
チャン・ウェイ・リム・ウィリアム
タン・トク・セ病院リハビリテーション部
シンガポール
 
M・P・ディヴァ
マラヤ大学医学部精神科
マレーシア、クアラルンプール
 
ロバート・B・フィッシャー
ロックハンプトン地区精神保健サービス
オーストラリア、ロックハンプトン市
 
初山 泰弘
国立障害者リハビリテーションセンター総長
日本、所沢市
 
ヘンダルト・ヘンダルミン
インドネシア大学医学部耳鼻科
インドネシア、ジャカルタ市
 
ソーパン・インシラット
国立リハビリテーションセンター
ラオス、ヴィエンチャン市
 
ハッサン・サイディー・カーン
国立小児聴覚・言語センター
バングラデシュ、ダッカ市
 
木村 哲彦
国立障害者リハビリテーションセンター病院
日本、所沢市
 
吉川 武彦
国立精神・神経センター精神保健研究所
日本、市川市
 
リー・ジャンジュン(李建軍)
中国リハビリテーション研究センター
中国、北京市
 
マリア・クリスチーナ・S・ロペス
サント・トマス大学病院耳鼻咽喉科
フィリピン、マニラ市
 
ルース・マーシル
王立アデレード病院整形、切断、脊髄損傷リハビリテーション・サービス
オーストラリア、ノースフィールド市
 
リノ・ピント・マルケス
コンデ・デ・S・バニュエロ中央病院リハビリテーション部
マカオ
 
リンダ・ミラン
WHO西太平洋地域事務局
フィリピン、マニラ市
 
N.V.K.ナイヤー
WHO西太平洋地域事務局
フィリピン、マニラ市
 
中村 隆一
国立障害者リハビリテーションセンター更生訓練所
日本、所沢市
 
ナン・デンクン(南登昆)
WHO指定研究協力センター同済医科大学
中国、武漢市
 
二ュン・ニュン
国立リハビリテーション病院
ミャンマー、ヤンゴン市
 
ザリハ・オマール
マラヤ大学医学部整形外科
マレーシア、クアラルンプール市
パク・チャン・イル
延世大学医学部リハビリテーション部
韓国、ソウル市
 
アントニオ・ペリケット
WHO西太平洋地域事務局
フィリピン、マニラ市
 
サンディヤオ・セバスチャン
マラヤ大学教育学部教育心理学科
マレーシア、クアラルンプール市
 
シェン・ユークン(沈漁邨)
北京医科大学精神保健研究所
中国、北京市
 
柴田 貞雄
国立障害者リハビリテーションセンター学院
日本、所沢市
 
ポーンチャイ・シマロー
マヒドン大学眼科
タイ、バンコク市
 
ソプランジョーノ
ソエハルン教授記念整形外科病院
インドネシア、スラカルタ市
 
飛松 好子
国立障害者リハビリテーションセンター病院
日本、所沢市
 
ジャカタマ・トガ
フィジー障害者全国協議会
フィジー、ナッソー市
 
ハンドヨ・チャンドラクスマ
CBR開発・訓練センター
インドネシア、スラカルタ市
 
山内 繁
国立障害者リハビリテーションセンター研究所
日本、所沢市
 
簗島 謙次
国立障害者リハビリテーションセンター病院
日本、所沢市
 
ツァオ・ダホン(卓大宏)
WHO指定研究協力センター
孫中山医科大学
中国、広州市
国立障害者リハビリテーションセンター
国際協力推進本部事務局[編集]
[編集長]
矢野 英雄
 
[副編集長]
植村 英晴・塩出 博司・服部 兼敏
 
[編集委員]
木村 博光・飛松 好子・角田 尚幸
安梅 勅江・倉内 紀子・林  弘美
西村 陽子・千田佳遠利・新妻 淳子
小島 成実・中西佳代子

主題:世界保健機関(WHO)国際セミナー 報告書  102頁~参加者名簿(終端)
発行者:国立障害者リハビリテーションセンター
財団法人日本障害者リハビリテーション協会
発行年月:平成9年11月
文献に関する問い合わせ先:国立障害者リハビリテーションセンター
国際協力事業推進本部事務局
電話 0429-95-3100 ファックス 0429-95-3661
国立障害者リハビリテーションセンターホームページ
http://www.rehab.go.jp/