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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅲ(広告・小説の中の障害者の描写)

Mr. Calos Biern
-BRBインターナショナル共同制作部長―スペイン

Biern氏はスペインで非常に人気のある漫画を紹介しました。主人公は視覚障害を持つ男の子です。これは障害者を肯定的に表現した好例で、ビジネスとしても非常に好ましい例だと言えます。

Biern氏は商業的な漫画作品の制作に携わっており、彼が担当した映画や短編作品は世界各地で上映されています。2年前BRBと共同制作した「ニコラス」は大成功を収めました。これは6~10歳の子供たちを対象とした30分番組で、これまでに26話制作されました。

ニコラスは生まれつき視覚障害のある男の子です。彼は引越し先で新たな課題に直面します。新しい友達、学校そして盲導犬に出会うのです。これは世界で初めての視覚障害を持つ子を主人公とする連続ものの漫画です。この男の子はまさに「スーパーヒーロー」として描かれています。このシリーズは、特異な行動をしたり、一時的な恐怖心を示したり、不適応傾向が強い等の何らかの障害を持つ子供の第一印象を変えたいと願うONCE(スペイン盲人協会)が、スペイン国営放送と共同で準備した原案に基づいて制作されました。

この漫画は、頭が良くユーモアのある陽気な10歳児ニコラスの日常生活を描いています。ニコラスはインターネットや料理をしたり、仲間と触れ合ったりする中で、様々な出来事に自分のペースで対処しています。目が見えないことは問題ですが、そのために健常者と同じ生活ができないわけではありません。私たちは子供時代に知識や社会的習性を身につけます。その過程でテレビから受ける影響については誰もが知るところです。テレビは日常生活をありのままに伝えながら、その教育的役割を果たす必要があります。テレビは理想的な教育ツールであり、肯定的なイメージを視聴者に送ることで固定観念を打破することができます。子供に効果的なメッセージを伝えるためには、教育的でありながら楽しい番組にしなければなりません。この漫画の脚本作成およびアニメ化には多大な努力が費やされました(特にONCEとの協力で行った調査段階において)。その結果この作品は視覚障害のある子供の実生活を可能な限り忠実に再現したものとなり、当初の目的を達成することができました。「ニコラス」は娯楽作品ですが、障害者を日常生活の一部とする試みの基準を提供することになったのです。テレビを見る子供たちは、視覚障害者も自分たちと同じようにスポーツを楽しみ、通常の生活を送っていることを知ったのです。そして点字や盲導犬について学び、また彼らの特定のニーズを知ることができたのです。

このシリーズは大きな成功を収め、再放送でも高い視聴率を確保しました。他のメディアでも広く取り上げられ、教育的要素と娯楽的要素を兼ね備えた作品として高く評価されました。海外でも40カ国以上で放送されましたが、ヨーロッパでこの作品を放送したのはわずか2カ国です。問題はここです。ヨーロッパ諸国の放送局が競って買おうとするのは、主として暴力をテーマとするアメリカや日本の番組なのです。

Biern氏によれば、このシリーズはビデオ化されていて、障害を持つ若者のために字幕や吹き替え、もしくは音声解説が付けられているとのことでした。