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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅳ(マスメディアにおける障害者の雇用/採用)

Ms. Hiltrud Fischer
-Taubert-Zweite Deutche Fernsehen(ZDF)編者―ドイツ

Fischer-Taubert氏はZDF(ドイツ公共放送局)の視点を説明し、ドイツ政府が現在のZDFの雇用方針に及ぼした影響を説明しました。

ZDFに勤務する障害者の状況を理解するのに、ドイツの一般的な雇用状況を知っておくことは有益です。ドイツの社会立法により、各企業は従業員の5%以上を障害者とすることが義務付けられています。この割合が5%以下の企業は補償税を支払う必要があり、支払われた税金は統合政策に再投資されます。

現在のところZDFが雇用している障害者の割合はこの5%規定に達していません。ZDFで働く3,600人の従業員のうち、障害者は180人で、全体の4.7%です。数年前この割合は6%でしたが、失業対策の一環としてZDFが1昨年導入した60歳前の早期退職制度を、障害者も利用したため、この割合が減少したのです。また基準の改定により「障害を持つ労働者」の障害の程度が50%に変更されたため、この定数を満たすことがより難しくなりました。

ZDFに勤務する従業員のほとんどは、事故や病気の結果障害者になった人々です。年配者の場合は特にそうです。一般的にこれらの年配の障害者は、適切な人的・技術的サポートを得ることにより、仕事を続けることができます。もちろん若い従業員にはZDFに専門職として就職してから障害者になった人もいます。通常彼らは編集者、スポーツのリポーター、映画の編集者もしくは管理部や製作部の従業員です。

障害者法に基づき、ZDFは、1979年に障害をもつ従業員の社会的利益に関する取り決めを行いました。これは高次の保護と支援、適切な職場環境、柔軟な就業時間、必要に応じた支援、昇進における優遇措置、基礎訓練および高度な職業訓練の提供、そして彼らの利益を保護するためのオンブズマンの指名等を保証するものです。この取り決めの結果、昨年度はより多くの障害者がZDFの要職に就くことになりました。

連邦雇用省は、障害者のために新たに5万件の就職口を確保する精力的な取り組みを行いましたが、障害者の失業率は依然として平均を上回っています。ZDFも障害者の雇用にむけた精力的な取り組みを行っています。特に重視しているのが、教育訓練です。これは、機会均等の基礎となります。ZDFは現在実施している実践的な講義と訓練コースの受講者は、15人に1人が障害者です。ZDFでは特に情報助言会社のRH-Integraと密接に協力しています。RH-Integraの理事会では、ZDFの代表者が障害者オンブズマンを努めています。

RH-Integraは、雇用主と従業員の架け橋となり、障害者に雇用機会についてのアドバイスを、そして企業に障害者の雇用についてアドバイスを提供しています。このシステムは低コストながら非常に効果的であることが証明されています。

Fischer-Taubert氏は具体例として、2つの短いビデオを上映しました。一つは幹部職員として働く一人の障害者のビデオ、もう一つはRH-Integraのビデオです。

Fischer-Taubert氏は最後に2人の編集者と1人のアシスタントで構成される彼女のチームを紹介しました。編集者の1人は視覚障害者です。またZDFのフリーランスのジャーナリストにも障害者がいます。彼女の番組を現在担当しているのは障害者ではないという批判に答えるとすれば、まだ適切な障害者のプレゼンターが見つかっていないからです。ZDFは障害者であろうとなかろうと、全ての従業員に一律の職業的基準を適用するという原則を貫いています。その逆の試みこそが差別だからです。