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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅵ(積極的行動の支援における政策決定者の役割)

Ms. Maria Eagle
-障害者問題担当相―英国

Eagle氏は、EU加盟国中アクセシビリティの法規制が最も進んだ国、英国における政府の取り組みについて説明しました。

Eagle氏はこの会議の重要性を強く認識しています。障害者はその才能と特性により、私たちの社会をより豊かなものにすることができます。しかし、彼らはこれまで、そのような社会参加を阻害されていました。しかし、現在、障害者は価値のない人々ではなく、自立した市民として完全な市民権を得ようとしています。障害者はより広く受け入れられるようになったのです。温情主義は消滅しつつあります。その結果障害者が直面している障壁を打破する道が開かれたのです。否定的な固定観念は捨て去るべきです。恐れと無知に基づくヨーロッパ文化は変わっていく必要があります。その際、メディアの果たす役割が非常に重要です。メディアは自らが認識する理想の世界のイメージを、私たちに絶えず発信しています。この世界は、往々にして障害者を含まない世界なのです。

Eagle氏によれば、政策決定者は現状を次の3通りの方法で変えることができます。まず強固な規制の枠組みを制定すること、次に社会に対して障害者の完全参加のメリットを示すこと、そして最後に障害者の権利擁護のリーダーであることです。彼女の担当業務は広範な人々に関わるものであり、また他の閣僚の業務にも関係するため、各大臣への働きかけを精力的に行い、障害者問題が政府の重要課題として取り上げられるように尽力し、それによって全ての政府省庁において障害者の権利が確実に考慮されるようにしています。

Eagle氏は、「無知」こそ最大の障壁であると訴えます。これは日々各種の組織と接する中で彼女が確信している事実です。無知と戦うため、「障害者のイメージ」という取り組みを導入しました。これは広告主に対して、障害者のイメージを独創的な方法で広告に含めることで、社会における障害者のイメージの改善を促すものです。強制的でもないのに、この取り組みが大きな成功を収めているのは、作業グループの設置、インセンティブの提供、ベストプラクティスの紹介、最優秀広告コンテスト等の取り組みを行ったからです。

Eagle氏がもう一つの優先している事項は、態度を変える必要性を人々に確信させることです。改善すべき点は、障害者の雇用機会のみならず、あらゆるサービスを利用可能なものにすることです。法規制の導入だけでは不十分です。多種多様な人々(特に知的障害者)を雇うことの重要性を雇用主に納得してもらう必要があります。激しい競争市場にさらされる雇用主は、市場としての障害者の重要性を理解し、商品やサービスを障害者が利用できるようにすることで、大きな見返りが得られるという事実を認識する必要があります。障害者の購買力は年間600億ユーロに達します。他の人々と同様、障害者も消費者なのです。経済における供給側にこの市場価値を納得させるのは、政策決定者の役目です。ここでもまた政府が、最も優れたアクセスサービスを提供した業者を表彰するなどのインセンティブを提供することは重要です。

政策決定者のもう最大の役割は、効果的で強固な法的枠組みを策定することです。これは障害者の自立を可能にする上で非常に重要です。かかる法的枠組みを定期的に再評価し、あらゆる抜け穴を排除する必要があります。この目的のためEagle氏は障害者の権利に関する委員会を設置し、障害者をその作業部会に参加させ、新たな法規の提言を行いました。そしてこの法規の履行を確認するツールの強化に尽力しました。Eagle氏は本大会に出席しているメディア関係者に対して、メディアは人々の観念と認識を変える力を持つこと、従ってその言葉とイメージを駆使して、一般市民に影響を及ぼすことが重要であると訴えました。「メディアは社会の鏡です。どの国も、障害者の計り知れない潜在性を無視して、経済や社会の可能性を最大に発揮することはできません。」