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オープニングセッション

Pr. Costas Stepanis
-ギリシャ厚生大臣

アテネ大学医学部卒。神経学と精神医学を専門とする。アテネ・アカデミー会員。アテネ大学部名誉教授(精神医学)。Stefanis教授は国際レベルの重要な会議にギリシャ医学研究所や各種学会の代表として何度も出席。大学付属のギリシャ精神衛生研究所の創始者であり、現在は所長を務める。精神医学分野における重要な調査を実施。Stefanis教授の著作は国際的にも高く評価されている。

Stepanis氏は、障害者とマスコミが一同に会するこのような会議の重要性を述べました。すなわち、自らの当然の権利として平等な扱いを求める社会の1つのグループ(障害者)の観点と、社会の発展に影響を与える意識や認識の伝達経路であるメディアの観点がこのような形で集まりました。

Stepanis氏は、障害者は、いまだに現代社会の構成員として十分認識されていないことを指摘しました。全世界人口の10%以上が障害者です。職場や学校で、そして街で、私たちは日常的に障害者と接し、障害者は、私たちの日常生活の一部になっています。しかし、障害者が人々の目に触れる機会が少ないため、社会は障害者を無視し続けています。偏見と無意識の恐怖心のため、社会は現実から目を背けようとしています。しかし、ある社会における障害者の扱われ方を見れば、その社会の全ての構成員が、尊厳を持って扱われているか否かを判断することができます。従ってその社会の文明化のレベルがわかるのです。

このような状況を改善するため、政府および関係機関は、障害者の暮らしを容易にするための法規を制定し、必要な手段を講じていかねばなりません。しかしそれだけでは不十分です。社会全体の態度を変えるための取り組みが求められています。ここで重要になるのがメディアの役割です。この「イメージ中心」の現代社会において、マスメディアの伝えるメッセージは非常に大きな影響を及ぼします。このプロセスでマスメディアは触媒の役割を果たすのです。障害者の存在を隠そうとするのではなく、その現実の姿を映し出すことによって、そして、障害者の欠陥や「無能さ」ではなく、彼らの独自のスキルや能力にスポットを当てることによって、マスメディアは障害者に関する「正しい理解」を社会に定着させるのを促すことができます。

Stefanis氏は、まず、特に知的障害者が置かれている情況を討論のテーマとする必要性について強調しました。続いて大会の成功を祈念し、障害者とメディアに関する議論から、具体的な提案や決議案、そして理論が導き出されることを期待すると述べました。本大会の結論をもとに、メディアは障害者をより正確かつ適切に描写することが可能になるでしょう。その結果、障害者に対する社会の認識と態度も変化していくのです。