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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

オープニングセッション

Mr. Donald Tait
-欧州委員会雇用社会業務総合理事会障害者統合部

欧州委員会障害者統合部に勤務。欧州委員会理事会および事業部において障害者関係の問題に対する意識向上業務を担当。またヨーロッパ障害者年関連の取り組みならびに加盟諸国におけるその推進のための業務を担当。

Tait氏は、ヨーロッパ障害者年の重要な取り組みである本大会の開催に主導的役割を果たしたEU議長国ギリシャ、およびギリシャ全国障害者連盟に対して、欧州委員会を代表して謝意を表しました。また、彼は、このイベントにメディアが積極的に参加していることについて喜ばしいことであると述べました。Tait氏は現状について概説し、近年の個人主義的傾向の高まりは自己決定を促し、「障害者問題は人権問題」という意識を高める道を開くものであると述べました。障害者に対する社会の認識はいまだ非常に低く、偏見や教育の分離、職場や交通機関等における差別は依然として存在します。私たちはこれら全ての問題を創造的な方法で解決し、障害者がこの社会の一員として、経済活動や日常生活の様々な場面で重要な役割を演じられるようにする必要があります。「間違えないでください。障害とは実際『権利』の問題なのです。」

Tait氏は、「雇用および職場での平等な扱い」という新しい権利と義務に関する情報活動をEU全域で推進していくため、理事会内に新しい委員会を設置する予定だと述べました。この取り組みを成功させるためには、マスコミを始めとするあらゆる関係者の積極的な支援が不可欠です。

近年障害者に関して実施された調査の結果、障害者関連分野における情報と認識の不足が明らかになりました。ヨーロッパ人の57%が、この問題に関して十分な情報を得ていないと答えました。Tait氏は、法的手段に頼って障害者の完全な社会参加を促すのは不可能だと述べました。これは基本的には態度を変化させることが可能か否かという問題です。この変化は自然に生じるものではありません。政府、NGO、雇用主、雇用者、あらゆるレベルの関係当局を含めた全ての関係者による一致団結した取り組みが求められています。

この目標に向けてまず取り組むべきことは、情報不足という問題の解決です。障害者が直面する現実に関する正確で最新の情報が求められています。障害者の障壁とは何か?それを克服するにはどうしたらよいか?それにより社会全体はどのようなメリットを享受できるのか?マスメディアが重要な役割を演じるのは、まさにここです。社会のあらゆる方面にアクセスできるメディアの特異性を発揮すべきときです。これはテレビ、ラジオ、ニュース、インターネット等あらゆるレベルについて言えることです。

メディアは、国内およびヨーロッパ全体の障害者組織および各種のヨーロッパ組織と緊密に連携し、障害者の利益確保を目指した協働を進めることで、その役割を強化することができます。私たちはこのプラスの側面を強調し、障害者という言葉から連想されがちなマイナス面の浸透を阻止する必要があります。

欧州委員会の使命の1つは、障害者の置かれている状況を改善することです。これはまさに欧州委員会にとって最も重要な任務の一つです。欧州委員会は、「全ての市民のニーズを満たすヨーロッパ」という理想の実現に向けた取り組みを行っています。ヨーロッパ障害者年は、この目的を達成するまたとないチャンスを提供してくれます。この1年は障害者のための(for)年ではなく、障害者自身の(of)年なのです。すなわち障害者自身の参加と統合という原則を推進する年なのです。障害者もまたヨーロッパ市民であり、障害者の関心とニーズは全てのEU加盟国に共通するものです。この認識を浸透させることは重要であり、そのための政治活動は、地方自治体、政府当局、NGOの協力を得て、障害者自身が主導していく必要があります。これにはメディアの関与が不可欠です。

2003年を端緒として、革新的で継続的なプラスの結果が生じることになれば、本年度の取り組みは成功したと考えていいでしょう。その成功の鍵を握るのが、この取り組みにおけるメディアの支援です。Tait氏は、本会議をこのような目的の達成に向けた義務の履行と行動(メディア・アクションプラン、メディアと障害者団体間の対話の続行等)推進の端緒と捉えています。欧州委員会は本年度の結果に基づき、今後の障害者政策に関する「送達」を出す予定です。

私たちはこの「ヨーロッパの一年」が生み出した契機を無駄にすることなく、数々の新たなイニシアティブの結果を基に、そして持続可能な方法によって、断固たる態度で障害者関連の問題を推進していく必要があります。