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国際セミナー「知的障害者の自立、社会参加及び就労ースウェーデンから学ぶ」

講演1
「LSS 法とヴェスタブロプラン・デイ・センターの活動―私の経験から」

ヴェスタブロプラン・デイ・センター所長
インガー・メスタトン

インガー・メスタトンと申します。中央競馬馬主社会福祉財団と日本障害者リハビリテーション協会からご招待いただき、非常に光栄に思っております。
できるだけ分かりやすくお話をします。私の英語をご理解いただければ幸いです。
プログラムでプロフィールを読んでいただいたと思いますので、改めて自己紹介に時間を割くことはいたしません。(1)

まず、スウェーデンについて簡単にご紹介してから、機能障害者に対する支援とサービスに関する法律(LSS)で最も重要な条項についてご説明します。最後に、ヴェスタブロプラン・デイリー・アクティビティ・センターでの私の仕事についてお話します。(2)

ご質問がある方や、詳しい情報を希望される方は、それをメモして下さい。折を見て、講演の後かパネルディスカッションの間にお答えしたいと思います。
スウェーデンは人口900万人の小さい国ですが、国土面積で見るとヨーロッパ第5位の大きい国です。スペインやフランスとほぼ同じ大きさです。スウェーデンは、例えばノーベル賞、電気通信会社のエリクソン、音楽グループのアバで有名です。スウェーデンは立憲君主国です。(3)

国家元首である国王は象徴で、儀礼的職務のみ行い、政治的権能はありません。スウェーデンは議会制民主主義国家です。つまり、全ての公的権力は人民に由来するという意味です。4年ごとに行われる総選挙は、民主主義国家に住んでいる究極の証です。選挙は、国家、地方、地域の3つレベルで行われ、それぞれ国会(Riksdag)、県議会、市議会の議員を選出します。各レベルにはそれぞれの責任があり、税金を徴収しています。スウェーデンの国会Riksdagは首相を選出します。現在は社民党のヨーラン・パーション内閣が政権を握っています。政府はRiksdagの決議を実行し、新しい法案や修正案を作成しています。国家レベルでは、国防、外交問題などについて決定します。(4)

スウェーデンは1995年欧州連合に加盟して以来、5年毎に欧州議会議員の選挙も行っています。

スウェーデンには290の自治体があり、首都ストックホルム市は最大の都市です。デイリー・アクティビティ・センターは自治体に帰属しています。中央政府と自治体の間に21県から成る地方レベルの政府があります。県議会は、例えば保健と医療、歯科治療サービス、輸送と地域計画の責任を負っています。

1994年以前、デイリー・アクティビティ・センターはデイセンターと呼ばれ、県議会の管轄下にありました。スウェーデンでは2つの名前が混同されることが多く、私もそうしてしまうかもしれませんが、混乱しないでください。ある意味では、最初は県の管轄下にあるほうが良いと思います。現在、当センターは地域評議会に属していますが、地域が高齢者向けに組織している介護サービスと比較してあまりに小さいからです。

ストックホルム市は、765,000人を超える人口を抱え、地理的に18の地域評議会に分かれています。私は、淡青色で示されたKungsholmens地域評議会で働いています。ストックホルム市の2005年度の歳入は、312億スウェーデン・クローナです。60パーセントは、主として、地方の幼稚園、小中等学校、高齢者および障害者向けの介護サービス、社会福祉サービス、通りと公園の維持のために18の地域評議会に割り当てられています。後ほど、当センターの予算と、スタッフ経費、賃借料など十分な資金を調達する苦労について少しお話ししましょう。(5)

スウェーデンの障害者施策は、どの人にも同じ価値があり、同等の権利があるという原理に基づいています。障害者に健康、社会、経済的な安全を保証する基本的な責任は、国家、地方、地域の政府が分担しています。ひとりひとりの生活の可能性を高め、自立生活を後押しすることも責任の一つです。
障害者施策の目的は、障害者と健常者の間の格差を縮めることです。両者にはまだ格差があるからです。ご存知の通り、理論と実際は必ずしも同じではありません。(6)

さて、機能障害者に対する支援とサービスに関する法律(LSS※)の中で最も重要な条項についてお話しします。LSSサービスの大部分の責任は自治体が担っています。(7)

2004年10月の自治体の報告では、合計52,900人の個人が、カウンセリングその他の個人的支援を除くLSSサービスを一つ以上受けました。
カウンセリングと支援の責任を担う県議会と2、3の自治体の報告では、合計11,200人の個人が、LSSに従ったカウンセリングその他の個人的支援を受けました。(8)

2004年にLSSサービスを受けた個人の総数は推定55,000~57,000人で、これはスウェーデン人口のおよそ0.6パーセントに相当します。
SSサービスの提供件数は合計104,200件でした。(9)

第1条には、3つの異なるグループが含まれています。当センターでは第1グループだけを扱っています。3つのグループを一緒にしないのは良いやり方です。(10)

第1条本法には、以下の対象とした特別な支援および特別なサービスのための措置に関する規定が含まれる。

1.知的障害者、自閉症患者または自閉症に似た症状の者。

2.成人後に外力または身体的疾患による脳外傷を負い、大きく恒久的な知的機能障害を持つ者。

3.明らかに通常の老化によらない他の恒久的な身体的または精神的機能障害者。ただし、その障害が日常生活で相当の支障を生じる大きなもので、支援とサービスを必要とする場合。活動の目的および一般的方向性(11)

※LSS法については9ページ参照のこと。

第5条本法に従った活動は、第1条に挙げた対象に対し、生活条件の平等と地域社会生活への完全な参加を促進するものとする。目的は、当該私人が他の人と同じように生活できるようにすることである。
下線部は2005年7月1日からの追加部分です。LSSに従って仕事をしている当センターは、上手に文書を作成し、不平等を報告しなければならないという意味です。(12)

第6条本法に従った活動は高品質なものとし、他の公共団体や当局と協力して行う。当該活動は、個人の自決権とプライバシーの尊重に基づいたものとする。できる限り、当該私人が提供された措置に影響を与え、決定事項に参加できるよう保証する。活動の品質は、系統的かつ継続的に開発および保証される。
本法に従った活動のために、優良な支援と優良なサービスを可能にし、ケアを提供するスタッフが必要である。
次に、第9条と第10条の様々な権利についてお話します。

第9条特別な支援と特別なサービスのため措置(13)

  1. 大きい恒久的な機能障害を持つ者の生活を支配している問題と状況に関する特別な知識を必要とするアドバイスその他の個人的支援。自治体ではなく、県議会のハンディキャップおよびハビリテーション・センターで受けられます。
  2. 個人アシスタントの支援または当該支援のための妥当な費用に対する資金援助で、資金援助のニーズに援助手当法(1993:389)に従った援助手当が適用されないもの。後ほどデイセンターの個人アシスタントについて、私個人の意見をお話します。
  3. 話し相手のサービス。すなわち自由時間のサービス。
  4. 個人的な交際相手による支援。これは、親友となれる人が、映画やフットボールの試合などに同行するものですが、残念ながら、個人的な交際相手になりたい人は極めて少ないためなかなか得られません。
  5. 家庭における気晴らしサービス。自宅に障害児がいて、例えば夕方、自由時間が欲しい親のためのもの。子供が成人している場合も利用できます。
  6. 自宅から離れるショートステイ。これも自宅に障害児がいる親のためのサービス。もちろん子供が成人している場合も利用できます。通常、1ヵ月につき1週間。
  7. 12歳を越える生徒の自宅外における短期間の監督。学校のある日および休暇中に利用する。
  8. 親と離れて住まなければならない子供および若者のための家庭または特別サービス施設で暮らす手配。
  9. 成人向けの特別サービスのある住居の手配、または特別に合わせて改造された他の成人向けの住居の手配。当センターのクライアントのほとんどは、特別な種類の住居でグループ生活をしています。
  10. 労働年齢で収入の多い仕事がない人や訓練を受けていない人のための日々の活動。日々の活動を計画するのが私の仕事です。

2004年10月には、スウェーデンで24,100人の障害者が日々の活動に参加しました。(14)

私は2002年1月にKungsholmensデイリー・アクティビティ・センターに移りました。同センターは建物の空気の状態が悪く、新しい建物に引っ越しました。スウェーデンには、労働環境に関する厳しい法律があり、移転しなかったら、地域評議会は罰金を支払わなければなりませんでした。

2月、新しい職場をヴェスタブロプラン・デイリー・アクティビティ・センターと名づけました。西の橋の平野を意味するヴェスタブロプランにあるので、名前は当然ヴェスタブロプラン・デイリー・アクティビティ・センターでなければならないと思いました。所在地の名前をセンターにつけると役に立つと思います。例えば、話ができる中等度の精神障害者が道に迷ったら、簡単に助けてもらうことができます。これは、非常に良いやり方です。成人の障害者の最も一般的な住居である特別な種類の住居についても当てはまります。
当センターでは、クライアントを「従業員」と呼んでいますので、今後、当センターの日々の活動に参加している知的障害者には「従業員」という言葉を使用します。当センターの目標は、従業員の生活を仕事と社会的な参加のある意義のあるものにすることです。
当センターのスタッフの大部分は介護人ですが、その他に作業療法士3人、教師2人、私と所長補佐がいます。「従業員」30人に対し、全部で約18人のスタッフがいます。(15)

スタッフの1日は、毎朝8時の会議で始まります。その日の計画作成、情報伝達、日課などを行います。普通、フルタイムと言うと、週5日1日8時間です。当センターでは昼食時間さえも労働時間になります。これはスウェーデンではかなり異例のことです。私たちは、知的障害の全3レベル(重度、中等度、軽度)に対処しています。さらに、身体障害も重複している人にも対処しています。
従業員には、自分が何をするのか、誰と、何時間働くのかについて理解させます。当センターには、従業員の障害を取り除くための様々な補助器具と方法があります。例えば、従業員の大部分は読むことができないので、絵文字や写真を使います。歩行には靴、食事にはスプーンというように単純なものが、これから起こることの理解に役立ちます。もちろん、簡単な手話も使用しています。(16)

従業員の時間の理解に役立つ補助器具もあります。例えば単純なタイムレコーダーを用いてこれを視覚化します。(17)

曜日は色分けされています。月曜日は緑、火曜日は青、水曜日は白、木曜日は茶、金曜日は黄、土曜日はピンク、日曜日は赤です。しかし、普通の生活はそのようになっていません。映画の赤いチケットが日曜日以外の日に使えることが理解できなかった知的障害者の話を聞きました。
私は日本語がわからないし、読めないので、日本に来ると少し障害を感じます。これは私にとって良いことです。なぜならば、従業員を助け、自分の周りの世界を理解させるのも私の仕事で、彼らが置かれている状況を理解するのが容易になりました。
当センターには7つの異なる作業グループがあり、従業員をその興味に従って分けています。彼らが自分の仕事や職業に誇りを持てることが重要です。各グループは4~5人で構成されています。
グループの1日は、朝のミーティングで始まります。ミーティングでは、その日が何日か、どんな天気か、誰が出席しているか、昼食のメニューは何かを伝達します。それから、昼食前に活動を1つ、昼食後に1つ行います。最後にまとめを行います。従業員は、多くの場合、スタッフの助けを借りて、その日にやった事を自分のノートに記入します。(18)

私がこの仕事を始めたとき、グループには様々な色の名前がついていましたが、大の大人がピンク、白、青、赤のグループで活動して誇りを感じられるとは思えません。これでは幼稚園です。そういうわけで、グループ名を変えました。
第1グループは、スタジオ・グループです。彼らは、たくさん絵を描きます。春のパーティーでは、くじ引きの賞品としてよく彼らの絵を使っています。これについては後でお話します。スタジオ・グループは年2回、自分たちの絵も展示し、美術館その他の展示会にも出かけ、創造的刺激を受けています。(19)

第2グループは、Cafe Vastergok(英語で「西洋カッコウのカフェ」という意味)と呼ばれています。このグループは、健康福祉局でカフェを運営しています。彼らの1日は、コーヒーやお茶を入れ、ミルクと清潔なカップなどが十分にあるか、確認作業をすることで始まります。それから、他のグループのように朝のミーティングを行います。誰がサラダを作るか、誰が皿を洗うか、誰が特別なレジを担当するかを決めます。従業員の自立を強めるために、キャッシュボックスにはお金の絵とメニューの絵が入っています。このグループは、カフェで売るケーキとパンもたくさん焼いています。(20)

第3グループは、ヴェスタブロプランプラン新聞「VN」です。建物の外でご覧いただけます。ニュースとメディア・グループは、1年に約5号執筆し、発行しています。難しい語や表現は使わず、「読みやすく」書きます。このグループは、このプログラムの中にあるパンフレットの製作にも関わっています。毎週、昼食メニューをタイプすることも彼らの重要な仕事ですので、皆、メニューの情報を知っています。当センターでは、特別な機会があるときはいつも、写真やビデオをたくさん撮りますので、やることがたくさんあります。(21)

第4グループは、オフィスグループです。このグループは、毎日、通常の郵便と、地域評議会宛の社内便の両方について、集配業務を行っています。また、社内郵便と情報を持ち帰ります。私にはこのサービスは十分に役立っています。請求書の一部は支払い前に私の証明を受けるため送ったり返したりする必要があるからです。給料を支払う地域評議会の人事部にも郵便を送ります。新任のスタッフ、勉強などの理由による退職、出産などについても報告します。スタッフの誰かが病気の子供の世話で自宅にいる、本人が病気、または休暇など、毎日報告しています。彼らはまた、近所の幼稚園の郵便の集配も行っています。(22)

彼らは、カフェの洗濯物全部および触感刺激マッサージのタオルと衣服のクリーニング業務も行っています。当センターは、近所の銀行のクリーニング業務も行っています。彼らはミルク全部と昼食後に食べる様々な果物を買ってくれます。その他に、昼食後の皿洗い、極秘文書の細断処理、缶、ガラス、プラスチックごみの回収と特別リサイクル場への持ち込みも行っています。スウェーデンでは、ごみのリサイクルが義務付けられているからです。他のごみは地下室に運びます。1人の従業員が健康福祉局でコピー機の紙を補充する仕事を始めました。慣れて欲しいと思います。
これらは非常に単純ではありますが、必要な仕事だということがおわかりいただけたと思います。重要で意義のある仕事だということを従業員にもわかって欲しいと思います。

第5グループの名前は偵察隊です。全員が重複障害者であるため、職業を見つけるのは困難でした。メンバーの2人には個人アシスタントがついています。これが問題となる場合があります。個人アシスタントの仕事は、食事、衛生、対話の面での障害者の支援です。個人アシスタントは私のスタッフではなく、外部の会社から派遣されているので、誰が来るのかさえわからないことがあります。私のスタッフは、活動に対する責任を負っています。新しい個人アシスタントが来るときは、簡単な説明をして、当センターの規則と日課について詳しく話すことは当センターにとって非常に重要です。新しい人が来ることを知らず、わずか1、2日しか来ないとなると面倒です。そのようなシステムは、誰のためにも良いものではありません。このグループの仕事は、社会に出て、刺激的なものを探すことです。また、通信および様々な簡単なコンピュータプログラムも活用しています。(23)

第6のグループは、発見隊と呼ばれています。彼らはボールペン、画像でご覧いただいているスヌーズレン室、大きな暖かいウォーターベッドのある白い部屋など、感覚刺激を受ける活動を行っています。ミュージック・ベッドのある部屋まであります。ここでは、ベッドの底から響く音楽を聞き、感じることができます。彼らは、週に1度、「触感刺激」と呼ばれる一種のマッサージを受けています。彼らは、また、走行通路のコイルと特別な接触子を使って自走式電動車椅子を運転することもできます。(24)

全ての従業員は、自分のスケジュールに合わせて少なくとも週1回、屋外の散歩を行っています。昨年は、特別な水泳にも行きましたが、残念ながら、費用の関係で今日はそれについては何もお話することがありません。しかし、健康面のケアが重要であると思っています。
最後のサービスグループは、大きいデイセンターの外の2Kのマンションで活動しています。週2回大きい公園で庭仕事をしています。週末は、このマンションをスウェーデン中から来た障害者のための小さい宿泊所として使用しています。サービスグループは予約の受け付け、請求書の作成、部屋の掃除をしています。自分の昼食は自分で作っています。(25)

他の人たちは、昼食に調理済みの食事を配達してもらっています。毎日、大手業者が届けてくれます。ほとんどの部屋に電子レンジがあります。
グループ同士のつきあいは非常に重要であるため、たくさんのパーティーを催しています。春、夏至祭、復活祭、今ご覧いただいている12月13日の聖ルシアの日(26)、クリスマス、もちろん全員の誕生日などです。
金曜日の午後には、通常ディスコ、ビデオ、音楽または歌のグループなどの催しも行います。春のパーティーは、いつも5月の金曜日の夕方に行っています。これは1年の中で大きい行事です。通りをはさんで向かいにある学校の大きい食堂を借ります。従業員ほぼ全員が参加し、親戚や友人も参加することがよくあります。皆が、そのパーティーの準備に何らかの形で関わり、パーティーの最中にも少し仕事を行います。パーティーは、飲物と軽食から始まります。従業員は、自分たちで作った立派な賞品の当たる宝くじを買います。それから、座って、サンドイッチ・レイヤーケーキを食べて、ビールまたはレモネードを飲みます。宝くじが売り切れたら、抽選を行います。(27)

お茶またはコーヒーを飲み、手作りクッキーを食べたら、従業員による歌や踊りの余興の時間です。彼らは素晴らしいと思います。マイクを使って歌ったり、レコード/CDのマネをするだけだったり、皆、自分の能力の範囲内で行います。(28)

各グループには、たくさんの絵や1年間の活動の成果など、発表するものがあります。パーティーの締めくくりはディスコで、遅くなるまで踊ります。デイリー・アクティビティ・センターは夏中営業していますが、カフェだけは閉鎖されます。夏季の最も重要な作業は、近所の屋外バスで使う日光浴用の椅子の貸し出しです。今年は、最初の2週間はすばらしい天気でしたが、その後、寒くなってしまいました。スウェーデンとはそういう所です。(29)

従業員には全員、障害年金があるので、給料はありません。しかし、全員、象徴的な金額として1時間6クローナのハビリテーション手当をもらっています。昼食代に25クローナ支払っています。お金は現金または銀行口座振込みで受取ることができます。
さて、当センターと県との間の医薬品の責任に関する問題についてお話しましょう。従業員の中には、てんかんや呼吸疾患で、昼間の投薬が必要な者がいます。従って、地区の看護師はスタッフの各メンバーに対し、従業員ひとりひとりに関する非常に具体的な指示を与え、書面で委任し、看護師と各メンバーの両者がこの書類に署名しなければなりません。そして、ヴェスタブロプラン・デイリー・アクティビティ・センターでは、投薬について全部メモをとらなければなりません。夏の間は、医薬品が必要な従業員への投薬が認められているスタッフがいつもいるようにスケジュールを立てなければなりません。(30)

親と同居している従業員のうち2人は、親がフルタイムで働いていて5時半まで帰宅しないため、時間を延長して預かっています。他の従業員は全員、4時に家に帰ります。スタッフには特別な時間割があり、スタッフは翌日1時間半遅く出勤するか、早く帰宅するかを選択することができます。従業員の大部分は、タクシーまたは高齢者および障害者向け輸送サービスを利用してデイセンターに来ます。自分で歩いたり、バスに乗ったりして通える人も2、3人います。交通費は、当センターの予算からは出ませんが、地域評議会の部門から支払われます。
ストックホルム経済は、非常に厳しい状況にあります。当センターには購入者-供給者モデルがあります。障害者がどれくらいの支援またはサービスを必要としているかに従い、23、24、25の3レベルについて支払いを受けています。個人アシスタントを使っている場合に当センターが受取る金額は、当センターがすべての世話をした場合よりも少なくなります。今年、2ヵ月間で死亡した従業員は2人です。これは悲しいことですが、当センターにとっては収入の損失でもあります。従業員の死亡後、わずか1ヵ月でお金が支払われます。(31)

今年、家賃が上がったので、どうしたらいいのかわかりません。当センターがこの建物へ移転する前の数年間、新しい建物を探していたと聞いています。当センターは利益を生み出す組織です。黒字になれば素晴らしいことで、これを保有することができますが、赤字を出してもこれを保有することになります。
経済活動の方はあまりうまくいっていませんが、私の仕事で一番良いところは、非常に暖かい気持ちと抱擁を与えてくれる従業員たち全員です。だから毎日くつろいだ気分で仕事に行っています。よく、自分の仕事は世界一だと思います。決して退屈することはありません。(32)

私の話はおわかりいただけたことと思います。当センターに興味を持たれ、ご質問もたくさんあると思います。もう一度、ご招待いただき御礼申し上げます。

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