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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

札幌チャレンジド

正式名称:NPO法人札幌チャレンジド
所在地:〒060-0005 北海道札幌市中央区北五条西6丁目 札通ビル8階
メールアドレス:challenged@s-challenged.jp
ウェブサイト:http://www.s-challenged.jp/

団体の概要

札幌チャレンジドは障がいのある方にITの技術を習得する支援をして、社会参加や自立支援をしている団体である。平成12年3月に神戸のプロップステーションをモデルに北海道でもITを活用して障がいのある方の自立を支援するボランティア活動、団体ができないかということで、初代代表の森田氏が呼びかけて発足した。設立当初は各地域の大学で場所とパソコンを借り、大学の先生に講師を依頼。障がい者向けパソコン講習会(有料)をスタート。また独自に作業所へ区役所などから借りたノートパソコンを持参し出前講習(有料)も行った。団体として安定した継続のために、平成13年4月にNPO法人格を取得。同年より札幌市身体障害者福祉協会より障害者IT講習会へ講師派遣を受託し平成13年には年間344回、14年には312回の講習会(肢体、知的、聴覚(手話、要約筆記)、視覚)を開催した。

平成14年に事務所を設置し、常駐職員を置くことで活動が広がり、助成金の取得も増えた。

設立当初から調査研究の活動も重視し、毎年課題を決めて調査研究を実施。平成14年は「情報のユニバーサルデザインに関する共同研究」を北海道、札幌市、北海道大学、民間企業とともに実施。視覚、肢体、精神、聴覚障害の当事者に研究員として参加してもらった。また、「本当に困っている方、外出が不可能な方への支援、自分の意思を伝えられない方々への支援を積極的に行っていく。」という目標があり、視覚障害者への訪問講習や重度障害者への意思伝達装置支援事業を実施した。その際、医療関係者から医療に関する知識や支援に関する技術を学ぶ研修を受けた。平成15年に札幌市障がい者ITサポートセンター事業を受託(9ページ参照)。

また同年、北海道から委託により、北海道内全域で21箇所パソコンボランティア講習会を実施した。北海道は広いので、各地域にパソコンボランティアが必要で、近くにいる人がサポートできるような体制づくりをしたいと考えた。利用者の年齢層は様々だが、20歳~70歳くらいまで。中途障がいの方が多いので年齢的には高くなっている。

札幌チャレンジドの活動

パソコン講習会の実施:初心者向け講習から、就労を目指す人向けのホームページ作成、写真加工、CADなど多種多様な講習会実施している。その方の目標にあったいろいろな講習を選んで参加できる。1回の講習に最多で8名まで。また視覚障害者向けのIT講習もマンツーマンで実施。この講習会を受講して力をつけた障害者の方々も講師として活躍している。1回2時間半、受講料は1,300円とテキスト代実費。テキストは市販のものか、団体で作成したもので、それぞれの障がいに対応したテキストを使用。例えば視覚障害者には音声のテキストのCD、点字などを用意、弱視の方には拡大版を提供している。ハローワークを通じた就労対策講習会も開催している。内容はコミュニケーション研修、ワード、エクセル受験ための講習などを実施。

パソコン訪問講習:個人宅や作業所、施設への訪問講習をマンツーマンで実施。札幌市障がい者ITサポートセンターが主催するパソコンボランティア講習を修了した方々が実際の訪問講習に同行して指導方法を見学したり、視覚障害のある講師に同行し、見学の傍ら、講師のガイドヘルプ的役割を担うこともある。

意思伝達装置の操作講習:ALSなどの重度の障害を持っている方々が、パソコンを使ったコミュニケーションを行うための操作方法習得の支援を家族や医療関係者などの協力を得ながら、ご自宅や病院などを訪問してマンツーマンで実施している。

パソコンボランティア養成事業:障がいのある方へのパソコンボランティア年3~4回実施。実際に障がいのある方が講師として12時間の講習を実施。年間50名ぐらいの方が受講している。

パソコンボランティア派遣事業:外出が困難な方々への訪問講習を札幌市の事業として、平成17年12月から実施開始。

札幌IT市民塾(平成17年度):札幌市情報センターで行われているパソコンの講習会で、障がいの有無にかかわらず市民だれでも受講できる。講師に障がいのある方が講師をしている。一般向けではあるが札幌チャレンジドが講習を担当することで、障がい者にとっても利用しやすい環境をつくることをめざしている。

就労支援:当初は企業への就職支援をめざしていたが、自分達で企業に働きかけて仕事の場を生んでいくということに力をいれている。現在、在宅や札幌チャレンジド事務所の場を提供し、通勤型で企業からの仕事をしてもらっている。企業へ10名程度就職、在宅で定期就労という形の仕事を受託しているのが20名程度、就労メーリングリスト(テープ起こしやデータ入力、ホームページの作成など、できる仕事の能力を登録してもらい、在宅で単発の仕事をしてもらう)への登録者が全道で70名程度。この他企業からの依頼で障がいのある方のお宅でADSLの設定の実施やマイクロソフト関連のネット上での質問に答える仕事、字幕制作などもある。またホームページの素材集を作っている企業からの委託で、写真の修正などの仕事があり、こちらは事務所に通って作業をしてもらっている。この仕事は企業側が事前に研修に協力してくれるなど連携があり、現在まだ技術的に遅れている作業者に対して、定期的にマンツーマンの研修を行ってもらうなどの協力を得ている。自治体や企業から仕事の依頼がきている。ホームページのユニバーサルデザインに力を入れており、そういった技術を持つことで就労の機会も増えていくと考えている。

他の団体との連携について

道内に向けて行ったパソコンボランティア養成講座で各地のパソボラ団体と知り合うことができた。連携できる部分は連携していきたいと考えている。例えば意思伝達装置の支援活動は、各地域の方々が積極的に参加していただくことがとても重要だと考えているので、もしも需要があればその地域の団体あるいは個人に支援の依頼をしている。この他、札幌市、北海道、民間企業、大学などとの連携はすでに実施しているが、地域やボランティア団体との連携もすすめていきたい。

困っていること

事業が拡大するにつれて人材が必要になってきており、講師が不足している。現在、講師への謝金は2時間半~3時間の講習につき一律で税込み、交通費込みで5,000円、補助講師は一律3,000円を講師謝金として支払っているが、講師の生活を支えるまでには至っていない。

従って、講師も仕事を持った上での有償ボランティアという形になるため、人材を確保していくことが難しい。訪問講習は団体が交通費実費を負担している。

札幌市障がい者ITサポートセンター

NPO法人札幌チャレンジドが札幌市から運営委託を受けて運営。札幌チャレンジドが発足以来行っていた活動が自治体から認められ、平成15年にその業務の一部を市の事業として実施していくことになった。このセンターは、障がいのある方に、パソコンの利用相談や情報提供、講習会の開催を行うことにより、情報バリアフリーを推進し、障がいのある方の自立と社会参加を支援している。パソコン初心者向けの講習を行い、受講料は無料。

ITサポートセンターの活動

パソコン講習会の実施:肢体、視覚、聴覚、知的の各障害別の講習会を実施。一回3時間、4回の講習会でパソコンの基礎を学ぶことができる。講習の内容はパソコンの基本操作、文書作成、インターネットやメールの利用方法など、初心者向けの体験講習。受講料は無料。

電話による相談:パソコンに関する質問や相談に電話で応じる。

意思伝達支援:ALSなどの重度の障害を持っている方々が、コミュニケーション手段として利用している意思伝達装置(スイッチで会話文や文書作成、メールの送受信が可能なパソコン)を利用する際のサポートを実施。

来所相談:各種補助器(マウス操作の困難な方が使うトラックボールやジェリービーンスイッチなどの大きいスイッチ)をデモ用に用意している。

所在地:〒060-0005 北海道札幌市中央区北五条西6丁目 札通ビル8階
メールアドレス:challenged@npohokkaido.jp
ウェブサイト:http://www.s-challenged.jp/