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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

全難聴アンケート調査結果における電子メール活用状況

川井 節夫
(社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会理事

皆さん、こんにちは。私は社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会で情報文化部長という職にあります川井と申します。どうぞよろしくお願いします。

聞こえない人には大きく分けて二種類あると思うんですが、私たち中途失聴者というのは、だいたい言葉のイメージを覚えてから聞こえなくなった者の集まりですから、普通にしゃべることはしゃべれますが、聞こえません。そういった全国団体の集まりでございます。その中で私は昨年から情報文化部長という拝命を受けてやっているのですが、理事長から第一に言われたことは、全難聴としてITを推進してほしいということでした。

ではまず日本全国59協会あるわけですが、会員は全体として4,500人くらいの会員数ですが、現状はどうなっているかということを昨年末から調べ始めました。

加盟協会59協会のパソコンの利用率。主としてメールを調査したわけですが、どの程度メールを会の中で使っているかという調査をいたしました。全国59協会でだいたい50協会から来ましたのでそれなりの精度はあるかと思います。だいたいこの図を見ますと、4分の1協会はパソコンを使って全国組織としてやりとりをやっている。その他は使っていない。というわけで非常に普及率はいいかなと思ったんですが。調べるのは難しかったんですが、各協会に「お宅の協会はだいたい何%くらいの人がパソコンメールを使っているかということを尋ねました。その結果がこれです。一番下の「パソコンメール」。パーセントを聞いてその協会の人数でかけて集計した結果、全体としては23.3%。つまり約4分の3の協会の事務局は全難聴本部でメールで全部できるわけですが、その協会の中で見るとだいたいこの程度。パソコンメールを使っている人がだいたい23%くらい。昨年度の総務省の統計を見ますと、昨年度ですから今じゃないですけど、だいたい63~64。日本全国の健常者のインターネット普及率は六十数%ですから、難聴者の団体はその約3分の1という普及率である。これは健常者の3分の1というのはちょっと低いなと私は思っております。

今この数字を得たばかりなので、これからどうするかということはこれから考えますが、考えるときにパソコンボランティアの皆さんのご協力ということも大きくあるかなと思っております。

現在私はリハビリテーション協会主催のパソコンボランティア指導者養成講習会の聴覚障害部門の講師としてお話ししています。聴覚障害というと特に私のようにしゃべれるとなると、皆さん健常者は聞くということにあまり意識を持たれないので、何が問題かなと思われる方があるかもしれませんので申し上げておきます。例えばパソコンのようにモノと言葉で、ある媒体と言葉を一緒に受けて覚えていくというようなものに対しては(聴覚障害者は)非常に弱い面がございます。

私は数年前、横浜の地域で難聴者相手のパソコン教室をやったことがございます。その当時は街の中、いろいろNTTとか各メーカー、会社が主催でパソコン教室をやっていました。難聴者も、手話がつくから、通訳がつくからと参加したんですが、私のところへ十数人くらい来て、川井は少しパソコンができるらしいから講習会をやってくれという話が来ました。「皆、パソコン教室へ行ったんでしょう?私はそんなにパソコンなんてエキスパートじゃないから困る」と言ったんですが、川井ができる程度でいいんだということで受けたわけなんですが。結局、話を聞いてみると、いくらパソコン教室で手話通訳やパソコン要約筆記通訳をつけたとしても、結局、言葉が途切れるところがあるわけです。例えば今、このように一対一の通訳者がいます。しかし一対一の会話になるとそれに追随して通訳がつくわけではありません。とにかく人が多いと気が散ります。そういった状況下で、安心してパソコン教室を受けられない。集中して話の内容を受けられないという理由だったと思います。

聴覚障害者の支援で心がけてほしいこと

ですからまず考えていただきたいのは、聴覚障害者を安心させること。この教室へ来て教える場合とか、一対一の場合でもそうです。とにかくこの人ならばちゃんとわかるように手話をやってくれるとか、筆談をやってくれるとか、そういう安心さがないと、なかなか。自分がやりたいなと思っていても、陰から見るとか、そういう性質がございます。ですからボランティアとしてやっていただく場合は、非常に言いにくいんですが、「いらっしゃい、ちゃんと筆談しますよ、手話で通訳しますよ」という表現、表情をしていただきたいと、常々思っているわけです。

先ほど畠山先生のお話にもありましたけれども、非常に細かな話ですが、言葉の端々における気持ち、聴覚障害者の気持ちに触れれば、なれなれし過ぎるほど近寄ってきますけれども、いったん離れてしまうとなかなか元へは戻らないという状況がございます。その辺はもうちょっと述べたいんですが、お時間もありますんでこのくらいにとどめたいと思います。どうもありがとうございました。