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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

好事例紹介

加納 尚明
札幌チャレンジド共同代表

皆さん、こんにちは。NPO法人札幌チャレンジドの共同代表をしております、加納と申します。よろしくお願いいたします。時間が15分しかありませんので、最初はちょっとポイントになるところだけお話したいと思うのですが、まずは、東京はあったかくっていいですね。昨日の夜、札幌からこっちに来たのですけれど、ちょっと声もがらがらして風邪気味だったのですが、東京であったかくって、これはいいなあと思っています。

今北海道はですね、とにかく雪が多いんです、今年は。札幌チャレンジド、障害のある方のサポートをしていますから、この雪っちゅうのはけっこう大きな敵ででしてね、車椅子の方とか、目の不自由な方とか、本当にたいへんな思いをしながら暮らしてはおられるのです。

私たちは2000年の5月にできました団体で、神戸にプロップステーションという団体があるのをご存じの方、ちょっと手を挙げていただけます?……さすが、多いですね。半分くらいの方、おられますね。竹中ナミさんという方がですね、まあ大阪のおばちゃんなんですけれども、この方が、障害があっても、やる気も能力もある方はたくさんいると。そういう方が働いて、チャレンジドを納税者に、なんていうセンセーショナルなスローガンを掲げて、就労支援をおもに一生懸命やっておられる方がおられまして、この竹中ナミさんが書かれました「プロップステーションの挑戦」という本を読んだ札幌チャレンジドの初代の代表が札幌にもこういう団体を作りたいということで、2000年の5月に団体を立ち上げました。

私たちは、プロップステーションさんは就労支援を大きく取り上げられていますが、私たちの会ができたときには、障害のある方にパソコンやインターネットをお教えして、社会参加と就労支援ということで、この2つを同じ重みづけで取り組んでいこうということで、会ができました。

2000年の5月ですね、なんにもないわけですよ。あるのはとにかくその集まった数人のやる気だけということで、皆さんもいろいろな団体の方がこられておられると思いますが、最初ってみんなそうですよね。最初からパソコンがあるとかね、事務所があるなんていう団体は、ないですよね。

私たちもまったくそういう状態からスタートしたのですが、今回こういう好事例ということでお声かけをいただいたのは、きっと、5年、6年の間にですね、今、札幌駅から歩いて2~3分のところに事務所があります。そこに、4名の常勤の職員がおりまして、年間だいたい2千人くらいの障害者の方にパソコンをお教えしています。毎日午前、もしくは午前午後、パソコン講習をしておりまして、皆さんのお手許にこの札チャレ(サッチャレ)通信というのが、その緑色の封筒の中に入っていると思いますが、これが私たちの会報誌で、どういう講習をしているかはまたこれはあとでご覧いただければと思うのですが、障害のある方を対象にさまざまのパソコン講習をしておりまして、年間の事業規模でだいたい3千万円前後の事業規模になっています。

いきなり3千万円になったわけではなくて、本当に任意団体として立ち上がって1年目は100万円に行くか行かないかくらいだったのですが、それからいろいろなそれこそチャレンジをしてきまして、今にいたっています。

一言で言うとですね、とにかくいろんなところに提案をしまくりました。提案するのはタダですから。別に提案したものが全て実現するほど世の中は甘くないのですが、とにかく、行政であったり企業であったり大学であったり、いろんなところにいろんなことを、新しいことを次々と考えていって、提案していって、それがいくつか実現していってだんだんだんだん大きくなっていったというところです。

私たちの基本原則はですね、有償ボランティアというところにあります。日本の場合、まだまだボランティアイコール無償というふうに思われる方が多いのですが、私たちは会ができたときから、やはりパソコンを責任を持って教える、また学ぶ側のモチベーションということも考えたときに、「お金って大切だよね」と。そのお金が高いか安いかはその人の判断によるのでしょうけれど、やはりなにがしかのお金をそこにちゃんと介在させるということで、パソコン講習会は1回1,300円。もともと1,200円だったのですが、消費税対象事業者になりましてですね、今1,300円ということなのですが、1回1,300円を受講者の方に支払いをいただいておりまして、講師には1回5,000円をお支払いしています。

一応、最低受講者を4人ということにしておりまして、4人の申し込みが来ない講座は、開催しません。こうやって案内を載せているのですが、たまにあります、人気のない講座は。2人とか3人とかしかいなくて、「ごめんなさい、なくなっちゃいました」って連絡するんですが、1,300円が4人集まると5,200円で、講師に5,000円払うとほぼチャラですよね。こんな本当に小さなビジネスモデルの積み重ねが、まずひとつあります。

ただ、パソコン講習だけだと年間たぶん300万円から400万円の収入規模なので、残りの二千何百万というのはやはり行政の受託事業であったり、企業と仕事をもらったりしてやりくりをしております。

例えば、3年前くらい前からやっているのが、札幌市の障害者ITサポートセンターという事業がありまして、全国にも何か所かきっとこの行政がやっている障害者ITサポートセンターというのがあると思いますが、これを今やらせていただいておりまして、少し実例として、さっきから提案提案って、では具体的にどんな提案をしているのかという、いろんな事例があるのですけど、その一番最たる事例をお話します。

この障害者ITサポートセンターというのは、2003年から始まったんですね。2002年の夏に、厚生労働省が財務省に対して、障害者ITサポートセンターの概算要求をしたという話を、道庁の知り合いが私に教えてくれました。「こんな動きがあるよ」って。

これを聞いたときに私は「よっしゃ」と思いまして、1週間かけてですね、先ほどから皆さんが発表されているパワーポイントで20ページ強かな、30ページくらいの提案書を作りました。タイトルはですね、「北海道における障害者のITサポートのグランドデザイン」。

グランドデザインという言葉はわかりますか。いわゆるその方向性であったりとか、大きな観点からこうあるべきだ、こういうふうにしようよという提案書を作りまして、それを道庁の福祉課と、IT関係をやっている情報政策課というITと福祉の部門、それと、札幌市役所のやっぱり同じようにITの部門と福祉の部門、合計4か所の部門にですね、「ちょっと話を聞いてほしい」ということでその資料を持って、説明をしに行きました。

中身は、障害者ITサポートセンターというものを、北海道でも札幌市でも、一緒にやりましょうよという提案だったんですね。

札幌市のほうは本当にそれから「そうか」と。そういう制度もあるのだし、是非必要だなあということになっていきまして、わりとすんなりきまして、翌年札幌市のほうでも、これは国の2分の1補助なので札幌市が2分の1予算化して、運営することになりました。

でも、箱ものを決して建てたわけではなくて、札幌チャレンジドの事務所には今3つの電話が並んでいましてですね、札幌チャレンジドの電話機、障害者ITサポートセンターの電話機と、札幌IT市民塾という札幌チャレンジドが受託している事業の電話機が並んでいましてですね、うちの事務局員はそれを取るたびに応対が違うのですけれども、そういった形で札幌チャレンジドの事務所が、障害者ITサポートセンターとなって事業を受託してやらせていただいております。

道のほうはどうなったかといいますとですね、やっぱり北海道って広いんですよね。ITサポートセンターを物理的に一か所作ったからといってなかなか広がるものでもないから、道の人はなにを考えたかというと、そもそも、札幌チャレンジドのようなパソコンボランティア団体が全道にきっちりとしたものができてほしいという話があったもので、全道21か所に、パソコンボランティアの養成講習会ということを、3年間かけて、だから毎年7か所ずつですね、そういった事業を札チャレでやってほしいということで言われまして、今年で終わるんですけど、21か所でやりました。

21か所でやりまして、もう5~6か所、少し立ち上がりだしているところもあって、そういったところが今後、さらに私たちとも情報交換しながらですね、広がっていけばいいなと思っております。

こんな形で、いろんな提案をしながらやっております。

あとは、後段のパネル・ディスカッションでは、就労支援ということも今やっておりまして、就労支援は、難しいですね。割とその社会参加と言っているパソコン講習のほうは本当に順調に立ち上がってきて、ボランティアの方も年間ですと延べ500人くらいの人が携わってくださっていて、本当にいい感じなんですけれども、就労支援は本当に厳しいです。

でも、厳しい厳しいと言っていたら前に進めないのでいろんな取り組みをしていますので、そんなところを、後半にご紹介できればと思います。

以上です。ありがとうございます。