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平成17年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した
障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

好事例紹介

寺田 慶治
ドリームナビゲーター横浜代表

ただいまご紹介にあずかりました、ドリームナビゲーター横浜の寺田と申します。

私どものほうも、なんで好事例なのか、ちょっと不思議に思うところもあるのですけれども。ちょうど先ほど札幌の方がお話された通り、だいたい同じような時期に、私どものほうはパソコン通信でそもそもやっていた人間がおりました。新横浜に障害者文化スポーツセンターで、横浜ラポールというのがございます。こちらのほうの企画として、芸術市場という文化祭ですか、そういうのがありまして、その中でパソコンを使った何かイベントはできませんかということで、そのときのパソコン通信の仲間が集まったわけです。そのイベントだけで1回で終わらせてしまうのはちょっとつまらない。せっかく場所も、横浜ラポールのほうでいろいろ利用してくださいというのがあったものですから、そういった人間が集まって、ではとりあえず団体として始めましょうということで、翌年の2000年の4月に、団体としてスタートしたわけです。

ひとつの特徴として、パソボラの団体は、いわゆるサポートする側とされる側というふうに分けられてしまう部分があるのですけれども、こういったイベントで一緒にやるときに、ちょうど横浜市の地域作業所の人間もおりましたものですから、メンバーとして車椅子に乗ってる人間ですとか、全盲の人とかがおりまして、障害当事者といわゆる健常者とが一緒になってやっているというような段階です。

メンバーでは高齢者、定年退職される方も最近は多くなりまして、地域がら、電気メーカーさんなどに勤めていらっしゃった方も多いものですから、いわゆるパソコン関係の専門家がいるものですから、技術的なレベルとしては、割合高いほうではないかと思います。

国のほうの、総務省などでも最近は名前が、呼び方が変わっていると思いますが、我々のほうも機器という言い方ではなくて、いわゆるICT、インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジーということで、コミュニケーションというのをやはり中に含ませたいということで、我々も呼び名としていわゆるICTという言い方をしております。

ICTの便利さだとかいうのは当然なのですけれども、昨今生活に関わってきているというところで、危険性とかモラルとかそういった部分もとても大きく重要になってきていますので、そういったものも含めた講習会とか相談会をやっております。

それから、ICTを使うことによって、既にお話がでているように、いろいろな障害を持った方がたとか、それから健常者の方とのいわゆるコミュニケーションをとる道具として存在するということで、こういった機器を利用して交流を深める。

それから、こういった機器を利用して使える、サポートができるんだということを広めていく、ふつうの人たちに知らないことを知らしめるということで、活動しています。

それから、地元ということで横浜とか神奈川のバリアフリーとかユニバーサルデザインに対する認識を深めるというようなことを目的としてやっています。

先ほどちょっとありましたけれど、我々も他の団体と、いろいろな場所で知り合ったりするのですけれど、やはり運営していくうえでお金という話が当然でてきます。特にICTということで当然機械ですとか、あるいはインターネットに接続するとか、場合によってはこういう場所を借りるというものもあります。それは、やはり無料では当然無理ですから、我々は会員からは一応2千円ということでいただいておりますが、講座とかイベントをやるときに、我々単独でやるのもあるのですが、やはり企業だとか団体と協力してやったり、先ほどの横浜ラポールなんかもそうなのですが、共催という形でやっているものが多いものですから、いわゆる費用についてはもちろん全額というわけではないのですが、出していただいている。

それから、その関係で企業さんから、リースバックになりましたパソコンがあります。そういったものをいただいたりしておりますので、幸いにもそういう面ではお金がかかっていない。支出としては、いまウェブなんかもやっておりますけれども、そういったレンタルサーバだとか、やはり機材を持っているのですけれども、メンテナンスも当然かかるわけで、それからソフトも必要なわけですから、そういったものにはお金がかかるということですね。

場所はちょうど、地域作業所の人と協力していろいろやっていますので、地域作業所の一角に本棚とかロッカーを置かせていただいて、電話もそこに置いて、そこの職員が代わりに対応してくれているというような形でやっております。

おもな活動実績として、パソコン相談会というのがあります。これは先ほどから何回も名前が出てきております横浜ラポールというところで、もうだいたい2~3か月に1回なのですが、横浜ラポールの企画としてやらせていただいております。午後からなのですけれども、いちおう横浜ラポールのほうから食事が出て、いちおう謝金も出ているというので、我々としては儲かるということはないのですが、比較的メンバーが参加しやすいという形になっています。

またそこで逆に、他の人が相談しているのを見て、メンバー同士が勉強し合うという場にもなっております。

それから、以前やりました総務省のIT講習会というものがありましたけれども、これの障害者向けの講座を横浜市の場合やりまして、実際に講習そのものを受けたのは福祉局から回ってきて横浜市の身体障害者団体連合会というところで請けたのですが、その事務局が横浜ラポールにあるものですから、そちらのほうから「講座を請けたのだけれどもどうしようか」ということで依頼を受けて講座をやりました。

そのときにいちおう横浜市ではIT講習のテキストというものは一般向けも含めて用意されていて基本的にはそれを使ってやってくださいということであったのですが、我々のほうから当然障害者はそれぞれの障害に応じたものでなければ、まったく同じものを使うことは難しいということで、その横浜市のオリジナルテキストにですね、全て、本来はデータでいただきたかったのだけれどもなかなかそういうのは出してくれないということで、改めてこちらのほうで入力しなおして、知的とか精神の方にはルビ付きのものを作って、それから視覚・聴害の方にはまったくそれと同じテキストではしょうがないので別個にこちらのほうで作って、行いました。そういったものを使って、なるべく各障害に、すべての人が満足いくかどうかは別なのですけれどもある程度は対応できるようなものをやりまして、その実績が認められて横浜市のほうは、この総務省のIT講習が終わった後も、現在でも横浜市の福祉局がお金を出して、このIT講習を障害者向けにやっております。

それから、日本障害者協議会のJDのネットワークプロジェクトの主催でパソコンボランティアカンファレンスというのが何回か開かれておりますが、いちおうこれの準備とか企画、横浜では2回ほどやりましたが、そういった活動もしております。

それから、ここにあるシニアITサポーター養成講座というのは、これはNECの社会貢献からお金を渡していただいているものです。NECのほうは、例えば車椅子のテニス大会、世界大会もそうなんですが、非常に積極的にお金とかそういったものを協力していただいているものですから、我々もこのシニアITサポーター、要するに先ほどのサポーターのことを養成することですね、こちらのほうのことをやっておりまして、年に3~4回、これは日本全国、と言っても地元の方のパソコン関係の団体の方が受け入れてくれるかどうかというのがありますが、そういったところと協力してやっております。ですから、この費用は全部、NECの社会貢献部様からいただいております。我々のメンバーがだいたい4~5人、車椅子も含めて移動するのですが、それに対する移動、宿泊もその中の費用でまかなっております。今まで、7回くらい行っております。今年は最後は、再来週に神奈川県の大和市でやります。

それから、横浜ヒューマン・テクノランドというのが、横浜のほうのリハビリテーション財団というのがありまして、そちらのほうで、パシフィコ横浜で4回やっているのですが、こちらのほうも、横浜ラポールというのはリハビリテーション事業団がやっているのですけれども、出てくださいと。ふつうそういったところは展示会みたいなものなのですが、そういったものに出るときには例えば企業さんですと1コマ30万円とかね、お金を取られるのですが、我々の場合は出てくださいと言われて、なんか考えてくれというので、逆にお金をもらっていつも出しています。ふつうの他の団体、いわゆる市民活動をやっている団体はそんなに高くはないのですがいちおうお金を払っているらしいのですけれども、我々のほうはそういうところで逆にいただいちゃっているものですから、いろいろ一生懸命考えて、じゃあなんか、人がいっぱい集まってきて知ってもらうようなことをやろうよということで、例えばそういうところに我々の持っている機材を持って行って、例えば点字プリンタ、最近は小さいのがありますので、点字プリンタを持って行って、その場で名刺を、今はA4のシートで10枚できますので、ミシン目の入っているやつですね、ああいうのでやって。あるいは手持ちの名刺を数枚いただいて、その場で点字を入れてあげるとか。

そうすると、なんか特殊な機械を使う、まあプリンタ自体は特殊ですけれども、パソコンは手持ちのものを使っていますので、なんだ、こんなに簡単にできるのって驚かれる方もいらっしゃるし、それから例えばオペレートナビだとかラクラクマークとかそういうものを使って、それから障害者自身がそこに車椅子でいて操作をして、インターネットを見たりいろいろやっている。

そういうのをふつうに来られた方に見ていただくことで、いわゆる相互理解ということができるのではないかと思います。最近は地域の方が、横浜ラポールというのは障害者文化スポーツセンターとなっているのですが、地元の方もけっこう来られるものですから、やはり来られた方が、横浜の場合には各地域に地区センターというのがございまして、そちらのほうからやってくださいというものですから、そういった感じで地域住民の方の講習なんかもやっております。

以前はですね、神奈川県では、県のホームページなんかを作るときに、いちおうアクセシビリティ基準というのを2年前くらいに作ったんですよね。その前の、いわゆるアクセシビリティの基準を作成するのに、我々もいろいろ協力して、ちょうど僕らのところには全盲の人間もいるものですから、実際に使ったりしてどうですか、ということで、これくらいの分厚いファイルになって、神奈川県の情報課にはあります。ただそれがすべての部署でちゃんと配られているかどうかというのは我々は特にそこまで検証はしていませんが、一応そういった基準に対して協力もしております。また後で、パネルディスカッションのときにやりますが、こういった形でいろいろ講習とかを我々はやっております。

こういったところで終わらせていただきます。