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平成18年度
地域におけるインターネット・パソコンを利用した障害者情報支援に関する調査研究事業報告書

有限会社Commit

沖縄県那覇市安謝1-2-5
Eメール:michel_angelojp@yahoo.co.jp

【団体の概要】

平成17年、ヘルパーステーションとして(有)Commit ヘルパーステーション コミットを立ち上げる。管理者の迎里崇雅氏は平成16年度、沖縄県の委託事業であるパソコンボランティア派遣事業の事務局を任されていた。 迎里氏は就労につなげるためIT作業所サンブリッジをコミットに併設し、そこではパソコンを使った仕事を障害を持つメンバーが主体的に行っている。また、コミットはパソコン指導をボランティアで行っている。

【パソコンボランティア活動】

職員と作業所(IT作業所サンブリッジ)に通っているメンバーが支援者。職員とメンバーで約10名弱の体制。メンバーの年齢は20歳代~50歳代。支援対象者には無料で教えている。活動資金はヘルパーステーションの収入等をあてている。

  1. 自治体から委託を受けてIT業者が中間に入り、パソコン講座を開催。3ヶ月のコース(週3回)で、対象は身体・視覚・聴覚・知的・精神障害者。障害別の講座を開設した。要請があれば訪問支援を行う。支援内容は基本的なパソコン操作、インターネット、メール、ワード、エクセル、スクリーンリーダー。障害によって内容に多少変化をつけている。(平成16~18年度)就労コースはIT業者が担当。
  2. 障害者職業センターから委託を受け、OA講習会を開催。視覚障害者のためのパソコン指導を行う。
  3. 職業訓練校の障害をもつ方々のコース(平成18年度)

【リハビリテーション関連機関との連携】

様々な障害(重度、てんかん等)を持つ方々の支援をどのように行っていくかという問題がある。現在は当事者の方とよく話し合って緊急の際の対応などに備えている。現時点では、リハビリテーション関連機関等との連携はなく、障害をもつ人と支援機器に詳しいリハビリテーション関連専門職との連携を望んでいる。

【課題】

パソコン講座のコースを終えた人をできるだけコミットで受け入れ、就労につなげたいと考えているがコミットのみではマンパワーが不足しているので、やむなく受け入れを断っている状況がある。就労の受け皿を行政側も、企業も真剣に考えてしい。行政、企業が歩み寄ってくれることを望んでいる。 コミットの目指すのは就労支援なので、障害者の方々が働くためにはパソコンの技術以外に社会的な信頼を得る必要があり、そこをどう障害を持つ方々に習得してもらうかが課題。また就労のためには、企業とのルート作りをしていくことが重要であると考えている。

【聞き取り調査を終えて】

迎里氏はご自身も当事者で車椅子を利用している。障害を持つ方々のニーズや問題を理解しつつ、コミットを立ち上げて、社会で働くためには技術のみではなくコミュニケーション能力も非常に大切だと実感した。その経験から、パソコンを習いたいとコミットに問い合わせがあったときは、まず本人がパソコンを使って何をしたいのかを主体的に考えてもらうようにしている。パソコンを使って働きたいのか、またはインターネットなどで社会との接点を持つために活用したいのか、その目的は自由だが、いずれの場合も目的意識を持って学びに来てほしいと考えている。
 迎里氏は、ヘルパーステーションの経営、サンブリッジの運営、就労先とのコーディネート、パソコン講習会のアレンジ、企業とのやりとり、パソコン講師など一人で何役もこなす多忙な日々を送っている。また、行政に対しても就労やパソコン支援に対する働きかけを行っている。
 当初、沖縄県に関してはパソコンボランティアの活動が見えにくく、聞き取り調査先も難航したが、パソボラグループの存在は確認できずとも迎里氏のように熱意を持って取り組んでいる人の存在を知ることができたことは収穫であった。
 今後、沖縄県での障害者へのIT支援のニーズがますます高まることは予想され、コミットが先駆者的な役割を果たす可能性が大きい。多くの支援者が起されることを期待し、また行政、民間、ボランティアが連携することにより支援内容が充実するので、そのときにコミットの経験が生かされてくることは想像に難くない。

   迎里氏  IT作業所サンブリッジ
             迎里氏                       IT作業所サンブリッジ