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平成20年度 国際セミナー報告書
障害者の一般就労を成功に導くパートナーシップ

Report on International Seminar
Success through partnership to promote open employment of persons with disabilities

ソーシャル・エンタープライズについて(英国の取り組み)

ソーシャル・エンタープライズの定義の設定

「ソーシャル・エンタープライズとは、基本的に社会的な目的を持ったビジネスで、事業で得られた利益は、株主や事業主の利益を最大限に増やすためではなく、主にその社会的な目的のために、ビジネス或いはコミュニティに再投資される。ソーシャル・エンタープライズは、幅広い社会問題及び環境問題に取り組むことで、あらゆる経済分野に影響を及ぼす。ソーシャル・エンタープライズは、強力かつ持続可能な、そしてインクルーシブな経済の創造において明確かつ重要な役割を果たす。社会企業は多種多様であり, 地方のコミュニティ・ビジネス、ソーシャル・ファーム、共同組合のような共済団体、国内および国外で活動する大規模な団体を含んでいる。社会企業に法的な基準はなく、有限会社、産業節約組合注、株式会社を含み、非営利または公認慈善事業の団体もある。」

2002年、英国の貿易産業省(Department of Trade and Industry)、社会企業ユニット発行、「社会企業-成功への戦略」より

現在の状況

ソーシャル・エンタープライズについては英国内閣府第3セクター(Cabinet Office,Office of the Third Sector)のウェブサイトに以下のような説明がある。

ソーシャル・エンタープライズの背景

ソーシャル・エンタープライズとは、「基本的に社会的な目的を持ったビジネスで、その利益は、株主や事業主の利益を最大限に増やす必要に駆り立てられることなく、むしろ主に、その社会的な目的のために、そのビジネスあるいはコミュニティに再投資される」と定義されている。

これは、商品やサービスを取引し、その利益の大部分を社会的および環境的目的のために使用する組織という意味である。「ビッグ・イシュー」や「ジェイミー・オリバーのレストラン15」のような例を知っている者もいるかもしれないが、このようなソーシャル・エンタープライズは、イギリス全体で少なくとも55,000社、存在している。

ソーシャル・エンタープライズは、我々が抱える最も根の深い社会的かつ環境的課題に、革新的な方法で取り組んでいる。ソーシャル・エンタープライズには、コミュニティが経営する村の商店から巨大な開発トラストまで、多数の形態と規模が見られ、またコミュニティ・インタレスト・カンパニーや産業共済組合、そして有限会社など、その法的形態も多様である。

どのような形態を取ろうと、ソーシャル・エンタープライズは、社会的および環境的責任が、経済的な成功と結び付けられるということを証明する。ソーシャル・エンタープライズは、我々が公共サービスを企画し、提供する方法を改善するために取り組み、政府を支援している。そして革新的なアイディアと「やる気」のある態度を持ち込み、政府の関与が最も難しいと考えられるコミュニティ・グループの中で活動することができる。同時に、倫理的なビジネスと企業の社会責任の水準を高めている。

経済および社会におけるソーシャル・エンタープライズの役割を促進しようとする政府の取り組みは、2006年の戦略、「ソーシャル・エンタープライズ行動計画:新たな高みに向けて」で打ち出されている。(出典:http://www.cabinetoffice.gov.uk/third_sector/social_enterprise.aspx

ソーシャル・エンタープライズ行動計画

政府のソーシャル・エンタープライズ行動計画は、ソーシャル・エンタープライズのための戦略設計で、2006年11月に開始された。

イギリスには少なくとも55,000のソーシャル・エンタープライズがある。行動計画では、さらに数千のソーシャル・エンタープライズに門戸を開くことを目指しており、そのためにソーシャル・エンタープライズが達成できることへの認識を高め、より多くの人々に、参加か投資のいずれかの方法により、変化をもたらすよう働きかけている。

行動計画には、12の政府各省および各機関が参加している。その中には、第三セクター局をはじめ、ビジネス、企業および規正改革省、保健省、児童、学校および家庭省が含まれている。

行動は4つのテーマに分けられ、それぞれ以下のことを目的としている。

  • 特に次世代の人々に、ビジネスの社会的影響について考え始めさせることにより、ソーシャル・エンタープライズ文化を育成する。
  • ソーシャル・エンタープライズが利用できる、ビジネスに関するアドバイス、情報、および支援を改善する。
  • ソーシャル・エンタープライズの成長を制限する、財源へのアクセスを妨げる問題に取り組む。
  • ソーシャル・エンタープライズが、専門分野における政策の開発に、政府とともに効果的に取り組めるようにする。

ソーシャル・エンタープライズが、専門分野における政策の開発に、政府とともに効果的に取り組めるようにする。

  • ソーシャル・エンタープライズ行動計画:新たな高みに向けて

2007年11月15日(ソーシャル・エンタープライズの日)の1周年記念日の時点で、行動計画の目的達成における進展を検討した冊子も利用できる。

  • ソーシャル・エンタープライズ行動計画:1年後の現在

行動計画は、政府の2002年の戦略、「ソーシャル・エンタープライズ、成功のための戦略」に基づいている。(出典:http://www.cabinetoffice.gov.uk/third_sector/social_enterprise/action_plan.aspx