音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

平成20年度 国際セミナー報告書
障害者の一般就労を成功に導くパートナーシップ

Report on International Seminar
Success through partnership to promote open employment of persons with disabilities

講演1:「英国でのソーシャル・ファームの設立とパートナーシップ」

キャシー・ベイカー
ソーシャル・ファームUK クオリティ開発部長

キャシー・ベイカー氏の写真

講演要旨

  1. イギリスにおける政府とソーシャル・ファームの接点
  2. 企業とソーシャル・ファームとの連携
  3. 質の高いソーシャル・ファームの経営と開発

ソーシャル・ファームUKは、イギリスのソーシャル・ファームの統括組織である。今回論じるテーマを設定するに当たり、まずソーシャル・ファームとは何かを簡単に説明し、ソーシャル・ファームに関する短いDVDを紹介する。

1.イギリにおける政府とソーシャル・ファームの接点

ここでは、中央政府および地方政府と、ソーシャル・ファームUKおよびソーシャル・ファームとの関係を説明する。政府との相互関係の相違、そのような関係が生じるさまざまな状況について説明する。

あらゆるレベルにおける政府との良好な関係の構築にかかわる、ソーシャル・ファームUKの戦略活動と経営活動の両方を検討する。さらに、政府との良好な関係の構築をめぐる課題、たとえば公平性の維持、法的資格、クリティカル・マスなどについて検討する。

接点の構築については、これまで重要な成果がいくつかあがっているが、現在も取り組みが続けられている。

このセクションでは、ソーシャル・ファームに関する2つの短いDVDを紹介する。ソーシャル・ファームと政府との関係は、それぞれ異なっている。

2.企業とソーシャル・ファームとの連携

これは、まだごく初期の段階にある分野であり、物議をかもしているが、多くの人は、ソーシャル・ファームのクリティカル・マスの構築には、これが不可欠であると考えている。景気が後退し、倫理的取引が新たに重視される中、機会と課題の両方が生じている。それは成長の機会と、倫理的アプローチを維持する難しさである。

多くの企業は、企業の社会的責任に関して、十分に検討された方針と優れた手腕とを備えている。これは慈善的アプローチに基づいている。ここでの課題は、慈善にとどまらず、多くの場合サプライチェーンの一部とされる社会起業家の精神にまで達することである。

この講演では、我々を取り巻く現状を見つめ、ソーシャル・ファームの成功事例と、企業、ソーシャル・ファームUKおよびソーシャル・ファームとの確固たる関係を築く、ソーシャル・ファームUKの計画を紹介する。

3.質の高いソーシャル・ファームの経営と開発

グッド・ガバナンスは、質の高いソーシャル・ファーム経営に欠かせない。このセクションでは、ソーシャル・ファームが取り組んできた経営上の問題を検討することから始め、グッド・ガバナンスのための助言を提案する。

この4年間で、ソーシャル・ファームの質に重大な変化がみられた。これは、ソーシャル・ファームの活動がうまくいくようになったためである。ソーシャル・ファームUKは、ソーシャル・ファームのクオリティ基準を初めて開発した。このセクションでは、基準の概要と、ソーシャル・ファームがスター・ソーシャル・ファームとなるための有効な方法を紹介する。また、社会関連会計を導入し、スター・ソーシャル・ファームとなるために申請書を準備している、受賞歴のあるソーシャル・ファームに関する短いDVDを紹介する。


講演

おはようございます。今日はお招きいただき、ありがとうございます。

最初に、皆さんにソーシャル・ファームUKのスタッフをご紹介したいと思います。

真ん中、一番大きく映っているのがサリー・レイノルズ、私たちの最高経営責任者、CEOです。皆さんにくれぐれもよろしくと言っておりました。この会議の成功を祈っておりますし、またソーシャルファームジャパンの成功、本当に素晴らしい取り組みだと思います、こちらの成功もお祈り申し上げますというメッセージを預かってまいりました。

1.イギリにおける政府とソーシャル・ファームの接点

スライド1

(スライド1の内容)

炭谷さんのお話、本当によかったと思います。私どもがここでお話したいイギリスにおけるソーシャル・ファーム、そしてその発展の話と非常に結びついていると思います。現在抱えているこの経済情勢における状況ととても関連性があると思いますので、既に炭谷さんがおっしゃったことと一部重複します。

今日の私の話は、三つの側面に触れたいと思います。ソーシャル・ファーム・セクターの三つの局面についてお話したいと思います。

スライド2

(スライド2の内容)

この三つ、画面にありますが、イギリスにおける政府とソーシャル・ファームとの連携、次に企業とソーシャル・ファームとの連携、そして最後に質の高いソーシャル・ファームの経営と開発という点です。ソーシャル・ビジネス、ソーシャル・ファームの質、これは大変重要であると考えます。この点について触れたいと思います。

最初に、皆さんにビデオをお見せしたいと思います。ソーシャル・ファームに関して説明したビデオです。これを見ていただきますと、日本におけるソーシャル・ファームもイギリスにおけるビジョンとかなり共通点があると思います。まず映像を見てください。

【ビデオ音声】

お金が世の中を動かす、といいます。ビジネス、商業、利益が世界を形成します。しかし、現実にはこのような金儲け一辺倒ではない企業も何百と存在します。これらの企業は社会に役立つ事業を進め、かつ利益をあげています。それがソーシャル・ファームです。

ソーシャル・ファームとは何なのでしょう。それは、就労上不利な立場に立つ人々を雇う企業です。スコッチ・ベネットは、アフリカやカリブの料理を企業のイベントや様々な企画に出すケータリング会社です。2年半ほど前に設立されました。大きな成功を納めています。

「おはよう、元気?」

ケータリング会社であると同時に、精神、知的障害のある人々が厨房で活躍できるよう研修し、サポートします。

「味見してみて?」「ありがとう。これ味見するわ。」

このような企業の経営は決して楽ではありません。しかし、人々が能力を身につけ、自信をつけていく姿を見るにつけ、我々の努力は報われます。この仕事を通じ自信がつきます。

また、いろいろ大変なこともあります。自立に役立つと思いますし、自分にはできるんだと思えるようになります。自分にもできると信じることが大切です。

アクアマックスというのは水族館の会社です。バーミンガムなど全国に水族館の設備を据えつけ、維持しています。約1年、ここで働いています。アクアマックスはソーシャル・ファームです。つまり従業員の25%以上が就労において不利な立場にあります。中でも聴覚障害者は厚く雇っています。

「ロビーと働くことは楽しい。聴覚障害者と働いたのは初めてですが、偏見を試されましたが、しかし耳が聞こえないからといって、他の人とは変わりません。ここでは、いろいろな人との出会いがあります。室内にいた同じ人たちと毎日一緒に仕事をするのとは違います。いつも初対面の人を相手に新しいことをしています。楽しい。毎日新しいことをやっています。」

このようにソーシャル・ファームは利益をあげ、かつ就職において難しい立場にある人たちを雇っています。なによりも人々の生活を大きく変えます。すべての企業がこうなれば素晴らしいではありませんか。ソーシャル・ファームへの就職希望者はまだまだいます。もっともっと数が必要です。

【ビデオ終了】

今のお話を聞いて、皆さん共感されたと思います。ソーシャル・ファームはまだまだ数が必要ですし、これらを設立するための起業家が必要です。

スライド3

(スライド3の内容)

スライド4

(スライド4の内容)

今画面に定義が書かれています。ソーシャル・ファームとはなにかという具体的な説明が書いてあります。ソーシャル・ファームとは何か、いろいろな説明があると思いますが、あまりこの点にこだわる必要はないと思います。むしろ大事なのは、ソーシャル・ファームの根底を流れる文化です。三つのEのつく言葉があります。Enterprise=企業、Employment=雇用、Empowerment=エンパワメントの三つです。ただ私は、もう一つのE、Ethical(倫理的)をともなうと思っています。倫理的企業、倫理的雇用、倫理的エンパワメントです。こういった文化こそが日本、そして多くの国においてソーシャル・ファーム・セクターにおいて共有されている価値観であると思っております。

次に政府、ソーシャル・ファーム、UKおよびソーシャル・ファームの連携についてお話したいと思います。

スライド5

(スライド5の内容)

画面にソーシャル・ファームUKと書かれており、右側が政府のロゴです。王冠のあるロゴです。ここにまさに、二つの間に距離があることが示されております。確かに、両者の間には距離があります。しかし、私たちは懸命になんとか関係を構築しようと努力してきました。そして進展も見られています。

私たちの政府では、大臣がよく代わります。誰かを教育したと思った途端に別の人に代わってしまい、またゼロからやり直しということがよくあります。最終的にはすべての人を教育し、そしてソーシャル・ファームの理想的な状況が生まれればと思っていますけれども、しかしまだそうはなっておりません。

では、なぜ政府とソーシャル・ファームUK、またソーシャル・ファームの連携が必要なのかということについて考えたいと思います。

スライド6

(スライド6の内容)

まず、ソーシャル・ファームの成長を支援するために必要です。また、政府との対話が必要です。政府が我々の味方になる必要があります。日本でも同じだと思います。

今日お話する内容はどれも、皆さんが驚くような内容はないと思います。ここで皆さんにお話をしている理由は、我々が何をしているかをお話し、何か皆さん、考えるきっかけができればと思っております。日本でこういったことがやりたいと考えるきっかけになると思います。必ずしも我々がやっていることがすべて正しいとは限りません。成功することもあれば失敗することもあります。私たちも皆さんからいろいろと学ばせていただきたいと思っています。

従って、ソーシャル・ファームの成長を支援するため、私たちは政府に対して説明をする必要があります。ソーシャル・ファームの役割は何なのかを説明しなければなりません。

これは、最も労働市場において不利な立場にある人々を働けるようにする、最も費用対効果の高い方法だと思っております。歴史が我々にあります。私たち、工場を支援してきた歴史があります。炭谷さんも少しお話しておられましたが、私たちはこれまで工場を支援してまいりました。しかしこれは政府の負担の非常に大きいやり方です。例えばこのような授産施設、また福祉作業所で一人を雇うために、一人あたり年間3万2,000ポンドかかるという計算があります。ソーシャル・ファームではそういったことはありません。これはまた研究調査の結果になりますけれども、むしろ政府にとっては節約になります。ただ、それを証明しなくてはなりません。このメッセージをすべての人に伝える必要があります。そしてこれが非常に経済性の高いモデルである、費用対効果の高い方法であるということを証明しなくてはなりません。不利な立場にある人たちを助けるための非常に効果的な方法であることを示す必要があります。

もう一つ政府に対し、専門家の支援を行うための基金を設立するために働きかけが必要です。これは日々の事業のための費用ではありません。あくまでもソーシャル・ファームを興す、起業する際の資金です。ソーシャル・ファームの場合は特にお金がかかります。それだけに政府は起業の際の支援をすべきであると伺います。それからまた、税制改正をソーシャル・ファーム対象に行うべきであると考えます。イギリスにおける我々のやり方を考えた場合、税制改正はすべての人たちを対象にすべきであると考えます。

スライド7

(スライド7の内容)

従って、どの会社でもいいのですが、25%以上の従業員が労働市場において不利な立場にある人々であった場合、税金の控除が受けられるべきでしょう。ですから例えば大手企業、シェル、BPであったとしても、突如従業員の25%の人たちを、不利な立場にある人たちを雇うと決めた場合、大手企業であっても税の控除が受けられるということになるでしょう。従って、そうするとこによってソーシャル・ファームが優遇されているということにはなりません。イギリスにおいては、ソーシャル・ファームは決して何らかの他の企業と比べて優遇されている対象ではないことを証明する必要があります。

それからもう一つ、社会保障制度の簡素化を働きかける必要があります。今の給付制度は非常に複雑です。例えば支援付きの住宅に働いている人たちは給付金が受けられますけれども、3時間半以上働いた場合はこの給付が受けられなくなってしまいます。従って、こういったことをやめさせることが必要でしょう。政府はその点を変えさせなくてはなりません。もっと働く時間を増やせるようにすべきであります。

では、どのような形で連携をしているでしょう。

スライド8

(スライド8の内容)

まず、一つは戦略という形をとります。いろいろなレベルで行われています。例えば、ヨーロッパ、UK全土、そして地域レベル、もっと地元に基づく公式、非公式の形で進められており、テーマは様々です。

ではヨーロッパではどうなっているかという話をまずしたいと思います。

スライド9

(スライド9の内容)

ヨーロッパでは私たちソーシャル・ファーム・ヨーロッパの一員として積極的に活動しております。例えばソーシャル・ファーム・ヨーロッパは欧州議会および欧州委員会に対するロビー活動などをしています。こういったことをしていることは、非常に重要です。もっとソーシャル・ファームを発展させるうえで連携、整合性をとるうえで重要です。国際的にはごく最近、国際ソーシャル・ファーム同盟を設立しました。ソーシャルファームジャパンもこの同盟に加わられると期待しております。

スライド10

(スライド10の内容)

イギリスにおいては、まず公式の連携としては、ソーシャル・ファームUKは第三セクター局(OTS)の戦略パートナーとなっています。これは政府の中でもソーシャル・エンタープライズ全体を管轄している部局です。こことの公式なパートナーシップがあります。そして一緒にそれぞれ政策の実施のうえで協力しています。例えば私たちは第三セクター局に対しいろいろな出版物を提供し、セミナー、会議にもお招きしますし、また我々も彼らの政策立案に参加します。大臣、また政府高官とは極力しあうようにしております。そしてこれはソーシャル・ファーム等の政府との連携につながります。私たちのスタッフの中には、政策担当、政策オフィサーがおります。これによって私たちは政府との、特に国との関係が大きく変わったと思っております。さて、このパートナーシップについて、特にこの第三セクター局との関係をご覧になりたい方は是非我々のホームページ(http://www.socialfirms.co.uk/)をご覧ください。

次に、非公式な連携についてお話したいと思います。いろいろな部局との非公式の関係があります。

スライド11

(スライド11の内容)

政府との良い関係を作るということ、これが私たちの重要な仕事となっております。例えば、大臣に影響を行使できる人たちがいます。そしてなかには、私たちの目的のために様々な活躍をしてくださっている方々もいます。例えば公務員などは大変我々にとっては重要なパートナーです。また、ソーシャル・エンタープライズ連合がソーシャル・エンタープライズを代表する組織であり、その中でもソーシャル・ファームは発言しております。またもう一つ、コミュニティ地方自治省というものがあります。こことも連携を図り、そして相手に対してソーシャル・エンタープライズ・セクター全体がどういったものが必要であるのかを伝える努力をしております。

ソーシャル・ファームUKは多少複雑な組織となっております。というのは、UKはそれぞれの地方に分かれているからです。

スライド12

(スライド12の内容)

ソーシャル・ファーム・スコットランド、ソーシャル・ファーム・ウェールズがあります。ソーシャル・ファームUKの姉妹団体となっています。ローカルなベースにおいては現在地方分権が進んでおります。したがって、例えば6人のスタッフだけではこういった自治体における動きを設計するのは難しいということはおわかりだと思います。ソーシャル・ファーム、そしてソーシャル・ファームUKがこのような現地レベルでの意思決定に参加することはほとんどありません。

ごく簡単に、ここに様々な政府機関をリストアップしております。

スライド13

(スライド13の内容)

何らかの形で私たちが一緒に仕事をしている、あるいは働きかけをしている組織であります。例えば一番上にある第三セクター局は大変重要であります。また同時に、雇用年金省も重要です。また、下の方のヘルス・ソーシャルケア情報センターとの関係は、さほど重要ではないと言ってもいいと思います。

スライド14

(スライド14の内容)

ではここで、政府とソーシャル・ファームとの連携についてお話したいと思います。

今からご覧になるスライドは5つのソーシャル・ファームです。中央政府と直接的な関係があるSpeakupCatering2Order、地域政府と密接に関わっているPembrokeshire Frame、地方自治体と連携をしているPlussRed and Blackです。

スライド15

(スライド15の内容)

それではここで、Speakupについての短いビデオをご覧いただきたいと思います。1988年に設立されまして、知的障害を持った人たちが運営し、20人を雇っています。20人中、13人がフルタイムで働いています。

【ビデオ音声】

私は、デイビッド・マコーマックと申します。Speakupというのは、変化を求める国中の人の声です。私たちはいろいろな方法でこれをすることができます。このDVDに出てくる人たちはフルタイムで適切な賃金を受けながら働いている人、あるいは公的給付を受けながら小規模のプロジェクトで支援を受けつつ仕事をしている人たちです。私たちの団体は知的障害を持つ人に雇用機会を提供している国内最大の雇用主の一つです。トレーニングと仕事の経験、そして仕事のために必要な技能を獲得するチャンスを提供します。全英オープンカレッジネットワークのメンバーでもあるので、公に認定されている訓練コースも提供できます。Speakupではたくさんの大切なスキルを身につけることができます。リーダーシップや事務に必要なスキルです。Speakupでは楽しく技能を学びました。いろいろな会合にも参加しています。コンピュータもできるようになったんですよ。今コンピュータを使ってコンサルテーション業務に就いています。ここで人々は仕事場での責任や市民としての責任を学びます。コンピュータの使い方や、アドボカシー、救護活動、人前での発表の仕方などたくさんのことを学ぶことができます。

Speakupは慈善団体でありソーシャル・ファームです。ここの活動はビジネスと同じです。人が私たちの活動の主体です。すべての人が平等に扱われ、様々なことを体験するチャンスを与えられています。

こちらではハイテク装置がそろった大きな会議室を貸し出しています。誰でも利用することができます。マリソンさんは人間中心のプログラム開発に深く関わっています。フルタイムの賃金が支払われ……。

【ビデオ終了】

Speakupについて短いDVDをご覧いただいたのですが、ソーシャル・ファームが直接中央政府と契約を結んで情報を提供する、あるいは読みやすい形で提供したり、DVDあるいは映画を作って知的障害について伝える、人々に理解を深めてもらう、そういう人たちを雇用する企業にもそれを理解してもらうということで作っているところです。それではもう1本、短いDVDをご覧下さい。Catering2Orderの例をお見せしたいのですが、その前にごく短いNewco ProductsのDVDをお見せしたいと思います。これを見ていただいたうえで、なぜお見せしたかを説明したいと思います。

【ビデオ音声】

ロンドンのニューハム区でNewcoがどのように始まったのか。もともとは第一次世界大戦のときに視力を失った兵士のために作られた福祉作業所でした。現在は90人を雇う近代的な工場となっております。半分は障害者が雇われています。Newcoは公営住宅の窓とシステムキッチンを営利で作っています。Newcoはまだ地方自治体に属していますが、ソーシャル・エンタープライズの新しい形態をとりいれるため独立したいと考えています。

【ビデオ終了】

ここで少し説明したいと思います。このNewcoはもともとは福祉作業所だったのですが、しかしそうではなく企業になろうと考えて、このような工場を作るようになりました。まだ今現在は自治体の一部となっていますが、しかし今は非常に商業的に利益をあげている企業です。そしてこの利益が企業を成長させるために再投資されています。これが一つのソーシャル・ファームで、自治体と非常に緊密な関係を持っているところです。何故なら今現在、自治体が所有しているものです。

スライド16

(スライド16の内容)

ではもう一つのDVD、Catering2Orderをご紹介したいと思います。

【ビデオ音声】

Action for Blind Peopleの支援はケータリング事業にとって不可欠です。ジョン・チャールズの会社、Catering2OrderAction for Blind Peopleのオフィスで食堂を経営しています。この先拡大し、サンドウィッチなどをロンドンで働く人たちに提供することを目指しています。ジョン・チャールズは8年前、自分の会社を興そうと考えましたが当時は支援がありませんでした。

「大学を出たとき、このアイディアがありました。会社を作ろうと考えました。いろいろな銀行を回ってなんとか融資を受けようと考えました。しかし、そこで視覚障害者であるがためにこのような厨房のような仕事はできない、このような責任を負えないのではないかと言われてしまいました。視覚障害であるがために、銀行に断られました。」

その後ジョン・チャールズは8年間仕事に就けませんでした。その後、ようやく支援が受けられるようになりました。

【ビデオ終了】

このビデオですが、これは3年前に作られたものです。ジョン・チャールズは、まさにソーシャル・ファームの起業家のよい例だと思います。こういった人たちをもっともっと育てなければならないと考えています。皆さんがご覧になっているこのスライドに書いてありますけれども、Catering2Orderは15人の従業員を抱えています。本当に素晴らしいことだと思います。このような形で、一般市場において、例えばロンドン・オリンピック・スタジアムの建設業者に食事を供給する契約を獲得したことは素晴らしいと思います。

最近ジョンに会ったのですが、彼は別の地方自治体ともこのケータリング・ビジネスで200万ポンドの契約が受けられることになるかもしれないということで、リストに挙がっているそうです。ですから、ほんの短い時間に絶対に成功させるという決意を持ってやっていて、とても成功している例だと思います。

スライド17

(スライド17の内容)

Pembrokeshire Frameはリサイクリングの企業です。この企業はウェールズ政府が障害者の雇用を、調達契約のなかの社会条項に含めるという決定をしたのですが、そのうえで非常に大きな役割を果たしました。すなわち、地方自治体が調達をするときには、社会条項というものが含まれるということになりまして、その時に社会条項の実施を考えなければいけないということになりました。ウェールズ政府においては、この社会条項の中に障害者の雇用を入れなければならないということが書かれていますので、それを考慮しなければならないということになりました。ご覧になってわかりますように、地方自治体と700万ポンド相当のリサイクリング事業の契約を取り付けようとしています。

スライド18

(スライド18の内容)

Plussというのはイギリスで最も大きなソーシャル・ファームです。興味深いことに、ここもかつては地方自治体の事業所で、かつてやはり授産所でありましたが、今は大きく変わりました。ご覧のように500人以上の従業員がいまして、売上高は1年間に2,000万ポンドを超えています。ソーシャル・ファームとしてはここまで大きくなるというのは非常に珍しいことです。イギリスの他のソーシャル・ファームではこれほどの大きさになっているところはありません。しかし、このプラスというところは非常に大きな成功を収めています。ソーシャル・ファームにとって、この分野にとって、提供してくれるものがたくさんあるだろうと、この数年間で様々な専門能力を培ってきたソーシャル・ファームです。

スライド19

(スライド19の内容)

最後にRed and Blackをご紹介したいと思います。これはまだスコットランドで作られた新興のソーシャル・ファームです。新興のソーシャル・ファーム25%のスタッフが厳しい障害を持ち、そして50%は商取引からの収入でなければならないという規制があります。まだRed and Blackはそこにまでは至っていません。しかしながら、興味深いことに地方自治体が立ち上げたソーシャル・ファームです。独立型ビジネスで公共セクターなどへの調査研究、コンサルティングサービスを提供しています。

さて、最後にまとめになりますが、多くのことが達成されました。

スライド20

(スライド20の内容)

組織としての名声と認識という点では非常に大きな高まりがあったと思います。ソーシャル・ファームとソーシャル・ファーム・セクターに対する関心も高まってきたと思います。時間はかかりますけれども、その活動の価値はあると思います。今では政府が我々にしばしば発言を求めるようになり、ソーシャル・ファーム・モデルの理解を深めています。ゆっくりと進んでいますが、目に見える結果を出すためには非常に重要なことです。ソーシャル・ファーム・セクターに関する認識が高まることによって、例えば「下請け」というような分野でも活用されるようになる。これは非常に重要なことで、そのような方向に進んでいます。

第三セクター局との契約は2011年まで続くことになっています。例えばソーシャル・ファームをやってみたいというような人たちや、すでに始めているが、より専門的知識が必要な人たちに訪問プログラムを企画したりしています。

まだまだたくさんやらなければならないことはあるのですが、ソーシャルファームジャパンからいろいろと教えていただけることもあるのではないかと思います。

イギリスでは、坂をのぼるように大変だという表現を使うことがあるのですが、政府の心をとらえることはそういうことだと思います。この絵は私が今からお話することを象徴していると思われるはずです。

スライド21

(スライド21の内容)

おそらく、この絵は次のプレゼンテーションのセクションにとても関係があるのではないかと思います。次のセクションは、企業とソーシャル・ファームとの間の連携ということです。

2.企業とソーシャル・ファームとの連携

スライド22

(スライド22の内容)

企業との連携は時間がかかることだと思います。企業と連携をしたいということに関する関心は高まってきています。必要であるという認識も高まってきています。新たな領域です。期待を持っている人もいれば、そんなことはよしたほうがいいと言う人もいます。

スライド23

(スライド23の内容)

イアン・ピアソンさんというのはビジネス・企業規制管轄省の経済ビジネス大臣です。ソーシャル・ファームとの連携についていろいろなことを発言しています。例えば、この数年間で企業の社会的な責任に関する考え方は明らかに変化した。イギリスの大手企業は倫理的なビジネスの実践により多くの時間を費やすべきであると言っています。まさにその通りだと思います。さらに、現在の経済情勢では企業はあらゆる新たな機会を探る必要があり、CRS、企業の社会的責任というのはビジネスチャンスとしてではなく、むしろしなければならない正しいことだと考えるのが重要であるということもおっしゃっています。

スライド24

(スライド24の内容)

今回このプレゼンテーションをするために東京にお招きをいただきましたときに、実はダブル・インパクトという会議を開催するところでした。企業とソーシャル・ファームとの連携のイニシアティブの一つなのですが、ソーシャル・セクター・ファームにとって付加価値を高めることによって企業との連携ができるように、ということでこの会議を計画しておりました。ここにありますのが二つのその目標だったのですが、実際にはこれは実現しませんでした。

スライド25

(スライド25の内容)

2008年の11月に会議を開催する予定でして、企業会員を募るということになりました。しかし皆さんご存知のように、経済の不況に陥ってしまいました。会議を延期せざるを得なくなりました。誰も興味を持つ人がいませんでした。11月11日に会議が行われることになったのですが、その2週間前にいろいろなところで金融機関や企業が倒産するということになりまして、とても会議をやっている状態ではないということになりました。そこで、先のばしをしなければならなくなってしまったわけです。

スライド26

(スライド26の内容)

この会議ですが、ダブル・インパクトを意味していました。企業にとっても有利だからです。たとえばビッグイシュー、英国王立盲人援護協会、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、内閣府第三セクター局などです。

スライド27

(スライド27の内容)

会議の目的は、新しい方法とアプローチについて学び、変化を受け入れ、新しいドアを開けてCSRの概念を共有したいと考えている企業の話を聞くことです。

企業と連携することによって、ソーシャル・ファームをサプライ・チェーン(供給プロセス)の一部に入れてもらおう、あるいはソーシャル・ファームを始めてもらうということを考えました。たとえば大きな企業、たとえばシェルというような企業がありますが、そういう企業でケータリング・ビジネスをソーシャル・ファームに契約するということがあれば素晴らしいと思っておりまして、今年のもう少し先になってから会議が開けるようでしたら、そういうことを進めたいと思っています。

スライド28

(スライド28の内容)

企業をメンバーとする企業会員制を始めたわけですが、企業がソーシャル・ファームとの連携を行えるように、そしてソーシャル・ファームの分野でイニシアティブを実践していって、ソーシャル・ファームの更なる発展につながるように、ということを考えました。もちろんロイヤル・バンク・オブ・スコットランドが私たちの企業としての最初のメンバーになってくれたことを大変うれしく思っています。

さて、ソーシャル・ファームとの連携の成功事例をいくつかお話したいと思います。

スライド29

(スライド29の内容)

一つはStreetShine、もう一つはHaven Productsというところです。

スライド30

(スライド30の内容)

ロンドンにおいでになると、StreetShineを見かけるかもしれません。StreetShineというのはロンドンのオフィスの中で靴磨きをする革新的なビジネスです。KPMG、ロイター通信社、アーンスト・アンド・ヤング社、バークレイズ、グローバル・インベストメントといった大きな企業40社と契約しています。それから、ビクトリア駅の近くにありますグローブナー・ホテル、それからチープサイド駅の中にあるテッド・ベイカーに常設の靴磨きスタンドがあります。皆さまがロンドンにいらっしゃったら、StreetShineで靴を磨いてもらうことができます。ソーシャル・ファームがホームレスの人たちを雇って、大きな企業とパートナーシップを組んでこの事業を展開しているという例です。

これにより、カナリーオーフ、スクエアマイルというところでは売上が20%も拡大いたしました。11月7日のデイリー・テレグラフという新聞で紹介されました。新しい仕事を探すときはピカピカの靴で行きたいので、“靴磨き屋は不況もなんのその”というふうに書かれました。

スライド31

(スライド31の内容)

企業とソーシャル・ファームとの連携の一つでもうひとつお話したいのは、Haven Productsというところです。ここはスコットランドの大きなソーシャル・ファームです。プロダクションのプロセスを外注したい方々に製品や解決策を提供しています。パッケージングから最終的な印刷までの仕事をしております。非常に困難な要求に対して、しっかりした業績があります。

日本でもウィスキーをお飲みになると思いますが、Haven Productsが梱包したものをご覧になるのではないかと思います。スコットランドのウィスキー業界で最大のセクションを所有しているエドリントン・グループと密接な連携をとっております。Haven Productsというのはスタッフがいるわけですが、他の組織に派遣されるような人もいます。ジョン・デュワーという人、スコットランドの大きな組織に派遣されたりもしています。Haven Productsのメンバーはいろいろな企業、いろいろな組織にいって別の組織の問題の解決にあたる、というようなことも行なっています。

スライド32

(スライド32の内容)

では皆さんは、社会や環境に配慮した買い物客ですか?倫理的な企業活動をしているでしょうか。ソーシャル・ファームから買い物をしていますか?StreetShineはソーシャル・ファームと企業のパートナーシップを組んでいるところです。我々はまだ初期の段階ですが、状況は整っております。人々は倫理的に商取引をしたいと思っていますし、企業は倫理的なビジネスパートナーシップの価値を認識し始めています。ソーシャル・ファームUKはこの動きの最前線で、向こう2年間で随分進歩するのではないかと思います。このスライドが私のプレゼンテーションの締めくくりです。ソーシャル・ファームの経営とクオリティについて質の高いソーシャル・ファームの必須要因です。

3.質の高いソーシャル・ファームの経営と開発

スライド33

(スライド33の内容)

ソーシャル・ファームに欠かせない要因があります。第一に、良質な製品またはサービスが提供できなければなりません。ですから、人の欲しくないようなものを売るわけにはいきません。そして二番目は、製品、サービスに関する経験が豊かなマネージャーの存在です。5年前のことですが、UKにおいてはソーシャル・ファームがソーシャル・ケアの人によって運営されているようなことが、珍しくはありませんでした。すなわち、医療のサービスや社会サービスに関わっていたような人、ケア・サービスに関わっていたような人が運営していることがあったのですが、今はそういうことはなくなりました。良質なきちんとした製品、サービスに関する経験のある人でなければならないと考えられるようになりました。

質の高いビジネスをするために、効率的で倫理的な業務とシステムが必要です。

この4年間の間、大きな変化が起こったと思います。本当に職場で効率的な仕事ができて、それで業務を行っていくためにはきちんとした仕事ができることを示さなければなりません。

そして、グッド・ガバナンスが必要です。役員が、つまりトップの人たちがきちんとした人であることが必要です。これについて、これから述べていきたいと思います。

スライド34

(スライド34の内容)

我々のほうで、ガバナンスについての研究をしたことがあります。そこでわかったことは、経営は非常に複雑だということです。管理はできますが、組織的な構造を作るということはそんなに簡単にはいかないということがわかりました。しかしながらそれが可能であるということはわかりました。以前、ガバナンスは医療とソーシャル・サービスの分野の人々が行っていました。しかし今はビジネスと必要なソーシャル・ケア、ビジネスにおける社会的責任のバランスがとれるようになってきました。

また、ガバナンスにおいては、カルチャーシフトが必要だということがわかりました。というのは、役員会というのはどうしてもリスクを回避する傾向があったわけです。ですから、適切な人たちに役員になってもらわなければなりません。誰だって変化を求める人はいないと思いますが、イギリスでは首相が道路を進むときには、あらかじめ他の交通を遮断することが行われていましたが、そのようにソーシャル・ファームの役員も同じような傾向があります。しかし、リスクを負うことが出来る人たちが必要です。リスクを計算し、道理にかなったリスクであるべきです。そうでないと、アイスランドの銀行のようになりますので。

時には役員報酬が問題になることもあります。今検討しているところなのですが、役員にはお金を払うべきではないという考え方があったのですが、しかし専門家で役員になってくれるような人にはお金を払うのが当然だとも思います。

それから、役員の責任ということが大変重要になってきます。私たちは障害を持つ人たちが役員になることはどうなのかという問題もあって、これも今悩んで解決しようとしていることですが、役員に対する研修が必要であろうと思います。

スライド35

(スライド35の内容)

そして、このように経営はいまだに複雑です。有能な人たちを揃えなければならないということが問題になります。それから、カルチャーシフトは確実に行われつつあります。チャリティがビジネスの手法に気づき、そして、メッセージとトレーニングが今実を結びつつあります。赤字にはなっておりませんし、支払い能力があることは重要であると考えられています。適切な方を役員に迎えるというのは簡単なことではありません。つまり、役員はもっときちんとビジネスとしてやっていくためには必要なのですね。ですから今でも技能は不足しているという問題があります。

それから、役員に対する報酬ですが、以前ほど問題にはならなくなりました。障害を持っている人たちが役員である場合、サポートの必要性を考えなければなりません。やるべきことはいろいろありますが、トレーニングは確実に改善されています。

スライド36

(スライド36の内容)

さて、質の高いソーシャル・ファームということなのですが、ソーシャル・ファームUKにおいてはソーシャル・ファーム・クオリティ基準というものを作りました。

これはソーシャル・エンタープライズ部門で初めてできたものです。1年前に作ったものです。5つのスター・ソーシャル・ファームがあります。英国には5つのソーシャル・ファームがこの基準を満たしたということです。最先端の本物のソーシャル・ファームです、つまり持続可能で、プロフェッショナルで、クォリティを追求したビジネスで、健全に利益を追求しているということ。人々が自信を持って購入できること、そしてきちんとした企業の社会的責任を果たすことができるということを意味します。

スライド37

(スライド37の内容)

また、これは独立機関によって査定されます。それはソーシャル・ファーム・セクターでトレーニングを受けた人たちです。そして、ソーシャル・ファームがビジネスを増やすということが目的で、今PR活動が行われています。

スライド38

(スライド38の内容)

去年、ソーシャル・ファームで受賞した例です。5社ですが、そのうちの二つは既に紹介いたしました。右上はPembrokeshire FRAME、左下はHaven Products、右下はPlussです。3社ですけれども、今日ご紹介した3社が質の高いソーシャル・ファームとして受賞しております。

スライド39

(スライド39の内容)

では、スター・ソーシャル・ファームの基準とはどういう要因からなるのでしょうか。

スライド40

(スライド40の内容)

3つの価値観により決定します。

まず一つはそのエンタープライズ(企業)が法的地位と構造を持ち、環境面、財政面どちらからも持続可能であるということです。そして、ソーシャル・ケアとビジネスの両方を満たしていなければならないということです。ソーシャル・ファームとして持続可能性があること、言い換えれば、ソーシャル・ケアとビジネスの適切なバランスを達成していること。明らかに、非常に不利な立場にある人たちの雇用を生み出せなければなりません。そして職場および役員会レベルの役割が明確化されていることが必要です。そしてエンパワーメントということですね。もちろん法律を守るということなのですが、雇用においてきちんとした法律が守られることが重要ですし、また研修および学習が大事です。その一方で、積極的な支援と開発が行われていなくてはなりません。

私どもはウェブサイトを持っております。ご興味がありましたらご覧下さい。

それからもう一つ、社会会計(ソーシャル・アカウンティング)というクオリティ基準があります。

スライド41

(スライド41の内容)

NMCグラフィックデザイン・プラス・プリントのとても短いビデオをご覧いただきたいと思います

2008年のエンタープライズ・ソリューション・アワードを受賞したところです。

【ビデオ音声】

この企業は神経筋肉障害のある人たちのために仕事を提供しています。MMCデザインプラスプリントは神経筋肉センターのなかにあります。この障害は筋肉の機能に影響を与えますので、だんだん筋肉が弱くなるのです。

家族が随分ケアをしなければならないのですが、私たちのセンターはこの病気を抱える人に自立性を提供しているのです。ここでは柔軟に働くことができます。小型バスやスタッフが送り迎えをします。ここにはたくさんの支援スタッフがいます。そして従業員の身体的な能力の補助をしております。

神経筋肉症は治ることのない病気です。理学療法は効果的ですが、完治させることはできません。そして国民健康保険は使えません。筋肉センターでは理学療法を行い、国民健康保険に患者の負担を引き受けるよう運動をしています。

とても助かっています。以前は予約を取って病院に行かなければなりませんでした。しかしここでは、2週間に一度、理学療法を受けることができます。

ここは福祉作業所ではありません。普通の企業です。ですから最初の頃は社会的使命を第一に考えていましたが、収益があがればセンターに寄付することができます。ビジネスとして立ち行くことが大切だと考えています。我々のビジネスは成長していて、毎年売上が増えています。

NMCグラフィックデザイン・プラス・プリントは毎年10万ポンドをこのセンターに寄付しています。わが社は他の印刷会社と同じようなサービスをしていて、収益が増えています。とてもやり甲斐を感じています。それがとても重要です。

NMCグラフィックデザイン・プラス・プリントはデザインの訓練プログラムを実施しておりまして、現在35人の神経筋肉障害者が学んでいます。ここでは生活の質を第一に考えています。毎日前向きに取り組んでいます。病気があっても、ここでは働くことができます。他の人を自分が助けられるのはうれしいことです。仕事に就くことができました、夢がかないました。ありがとうございます。

【ビデオ終了】

今のビデオをご覧いただいておわかりだと思いますが、NMCグラフィックデザイン・プラス・プリントなのですが、1年に10万ポンド以上の収益をあげています。そして、みんな理学療法を受けることができますし、またこの病気のために必要ないろいろなサービスを受けることができます。収益をあげることができる。そしてそれを使ってただ単に会社の発展だけではなく、組織全体の強化を促すことができます。それを社会会計と呼んでいます。つまりソーシャル・ファームはビジネス以上のいろいろなことを満たさなければならないということであり、まず一つのクオリティの要素であります。

スライド42

(スライド42の内容)

これは、アンケート結果です。MMCデザインプラスプリントが個人を尊重する、オープンな経営スタイルの機関であるか尋ねています。ご覧のようにかなりの方々が賛成しています。

スライド43

(スライド43の内容)

また、もうひとつの質問は、障害が業績の妨げとならないような環境を作って維持しているかどうかです。そしてほとんどの人がこれに賛同していることがわかります。この調査は強制されて言わされているようなことがあってはなりませんので、内密に行われました。

スライド44

(スライド44の内容)

「私の上司は尊敬と尊厳をもって接してくれる」、「私は自分の個人的な成長が真剣に受け止められていると感じる」という質問に対しての結果にあります。

ソーシャル・アカウンティング、これは非常に時間がかかって複雑なのですが、しかし我々はきちんとした証拠を集めていかなければなりません。そういう社会関連会計をすることにより、ソーシャル・ファームは本当に前進の方法であるということを政府その他の人たちに納得させることができるのです。

スライド45

(スライド45の内容)

政府とともに協力しながらガバナンスと質を改善するということが、我々にとってソーシャル・ファーム・セクターを成長させることにつながると考えています。したがって、将来に向けていろいろなことをしなければなりません。そしてソーシャル・ファームの顧客サービスとしてクオリティ基準を導入するプログラムを始めたばかりです。そして、基準に従って評価するプロジェクトに着手しており、先ほどお話したようにソーシャル・ファーム訪問プログラムを始めたところです。

世界は大きく変わりました。炭谷さんがオバマ大統領のお話をされましたが、オバマ大統領は社会的な変革に熱心です。彼自身もソーシャル・エンタープライズに関わっていました。彼のような人がいて、ここにいる私たち、そして語られた展望を考えるとき、まさに私たちは変革の歴史の中にいて、企業が倫理的なものになり、私たちは成功するベンチャーを推し進めていくことができます。鴨下さんが、私たちは暗く内にこもっていないで、空を見上げなければいけない、とおっしゃいました。私も全くその通りだと思います。本日はお招きいただき光栄です。皆様方の成功をお祈りいたします。どうもありがとうございました。