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平成20年度 国際セミナー報告書
障害者の一般就労を成功に導くパートナーシップ

Report on International Seminar
Success through partnership to promote open employment of persons with disabilities

開会挨拶

鴨下 重彦
日英高齢者・障害者ケア開発協力機構委員長
国立国際医療センター名誉総長

皆様お早うございます。ご紹介を賜りました日英高齢者・障害者ケア開発協力機構の鴨下でございます。主催者を代表して一言ご挨拶申上げます。

本日はこの国際セミナーに、日曜日の朝からこのように大勢の方々のご参加を頂きまして、主催者として誠に喜ばしく、御礼申し上げる次第です。このセミナーは2000年に第一回が開かれておりますので、今回で既に9年の歴史を数えることになりますが、「高齢者や障害者の社会参加を促進する、そのためにどのような支援を行なうべきか」ということを基本テーマとして毎年開催されて参りました。私は途中からの参加で過去5回の出席になりますが、年ごとに新しいテーマに取り組み、議論も深められているように感じております。

今回のテーマは「障害者の一般就労を成功に導くパートナーシップ」となっておりますが、障害者の一般就労については、解決すべき様々な困難な課題があります。特に昨年後半から続いております世界的な経済の大恐慌は、一般の雇用問題にもかってないほどの深刻な打撃を与えております。日本でもここ数日、大企業は軒並み大幅な赤字決算になることが報じられており、NECでも20000人の人員カットをする、などと発表されておりました。そのような中で、障害者の雇用は一層厳しい状況に置かれている、と考えざるを得ません。しかし、そのような危機的な悪条件の中でこそ、社会的弱者がどのように処遇されるのか、それは社会が真に思いやりのある社会であるかどうかを示す一つのバロメーターではないかと思います。そのような状況下で行われる本日の国際セミナーには、また特別の意義があるのではないでしょうか。

今日は午前中に先ず、炭谷さんが「日本におけるソーシャルファームの発展に向けて」という題で基調講演をされます。炭谷さんについては、今さら申し上げるまでもなく、この国際セミナーの生みの親、育ての親であります。次にソーシャルファームUKのクオリティ開発部長のキャシー・ベーカーさんが「英国でのソーシャルファームの設立とパートナーシップ」について講演されます。そのあと、昼食・休憩を挟みまして、午後は「ドイツにおけるソーシャルファームとパートナーシップ」という題で、国際移住機関経済開発局プログラムマネジャーのゲーロルド・シュワルツさんがお話をされます。シュワルツさんは2006年、2007年にもご講演を頂きました。休憩のあと、早稲田大学の山内繁教授の司会進行の許に、パネルディスカッションに移ります。パネリストは3人の講演者に加え、もう皆様おなじみのリンクス・ジャパン会長のフィリーダ・パービスさん、浦和大学総合福祉学部の寺島彰学部長、東京家政大学文学部の上野容子先生、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の河村宏先生の合計7人の先生方です。

会の終了は16時40分を予定しておりますが、活発なご討論をお願いしたいと思います。

あまり関係がないかも知れませんが、今年は国際天文年、International Year of Astoronomyであります。今から丁度400年前、ガレリオが、今からみると玩具のような望遠鏡で天体を観察して、月の表面に凹凸があることや、太陽に黒点があること、天の川は星の集まりであること、などを発見し、それは当時の天動説から彼自身が地動説を確信することへとつながりました。

私どもも経済不況ということで、とかく足元の暗いことばかりを見ておりますが、目をもっと高く天に向け、広い空を見てはどうでしょうか。そして広い宇宙に思いを馳せたいと思います。障害者の方々は私どもにとって、夜空に瞬く希望の星ではないのか、そうなることを願って、開会のご挨拶とします。有難うございました。